6-MS-93 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 100回言ったところでライズアライズ -
「教王神王陛下の一族に伝わる秘術、詮索は不要とだけ言っておこう」
「はっ、腐れ根に敬意をっ!!」
「し、神王家に……のみに、伝わる秘術、ですか……ア、アドミン殿いえ殿下」
殿下? え?
シュヴァンツことダグマーさんは何を勘違いしたのか、突然俺の足元に跪き臣下の礼をとり硬直していた。
「シュヴァンツ? 急に跪いたりしてどうしたの」
「インじゃなかったシ、シュッペ。アドミン殿から直接御説明いただいたのにも関わらず分からなかったのですか?」
「ご説明とか何急に」
「こ、この馬鹿。良いからお前も今直ぐ跪け、臣下の礼を忘れるなっ!!」
「臣下の礼って……今ダグマー姉さん殿下って殿下って言った!? ……言ったよねっ!!!?」
「シュヴァンツだ。そんなことはどうでも良い。早く跪けっ!!」
「う、嘘……ど、ど、どうしてここここんな汚いところに神王家のっ!!!!」
シュッペことインガさんは今にも息絶えそうな病人のように青白い顔で勢い良くダイビング跪きからの臣下の礼をとり。
そしてまさかの俺の靴への頬擦りを始めた。
はっ?
「え? ちょっと何してるんですか? 汚いんで止めてください」
「き、汚い。そ、そうですよね。私なんかの頬擦りなんて汚いですよね。死死、死んでお詫び致せば御宜しいでございましゅでしゅしょうか……」
「シュッペっ!? まずは殿下から離れ深呼吸しなさい」
シュッペことインガさんは、俺の靴から離れると、跪くシュヴァンツことダグマーさんの隣まで戻り、三度大きく深呼吸してから改めて跪き、震える声でチンプンカンプンな語りを開始した。
「殿殿殿殿下におかれましては大変お日柄も宜しく本日この時私達は御会いできた幸運を一生涯忘れることはございません。一生涯とは死んでもという意味でございますればこそ。死んだら忘れるという意味では決してございませぬです。私達の私の忠誠は本物であると世界創造神様に御誓い申し立て祀り候であってるのかな?……後、後、わ私には妹がおりまして病気の母もおりまして...... ~ ......」
一生懸命なのは分かる。だけど余りにもヘンテコで必死過ぎて言ってる意味が半分以上理解出来なかった。
「シュッペよ。お主の母は教と民のハイブリッドのはず。欠乏症は今の時代有り得ん病気とはいったい如何な病気だ?」
「……あ……えっと…………」
俺も俺だな。何だよこのキャラは。何喋ってるのか自分でも良く分からなくなって来たよ。
『主殿、この女二人の身元は……』
『あぁー、任務遂行にあたり全部知ってるって体にしちゃいましょう』
「シュッペ、直ぐにバレてしまうような嘘を……」
「えっと……は、母ではなく父の方がびょ病気ででしたよ」
「黒の子は黒。シュッペ、いやインガよ」
「はっ!! ん?……ど、どうして私の名を……」
「フン。インガだけではない。ダグマーお主の名も最初から知っていた」
「はっ、殿下の御心のままに」
何か使い方が違うような気もするが、良く分からなくなって来たし、適当に押し通して丸く収められたらそれでってことにしてしまえ。
トントントン
「誰か部屋にいるのですか? ここは大番頭イグナーツの部屋ですよ」
ドアの向こうから渋い声の美少年ことソナハナ嬢の声が聞こえて来た。
貴重な時間をありがとうございました。
 




