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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-MS-92 コルトに16歳の神授を取り戻せ - 好奇心と警戒心はカットトゥーウェイズ -

 八人の男達は手際良く布を並べ大きな魔力陣を倉庫の前に施した。


 厳密には、並べただけで描いてはいないので施したというよりは設置したが正しいのかもしれない。


 もっと厳密に言うと、魔力陣はまだ完成していない。


『なるほど、持ち歩けるように八等分した訳か』

『関心している場合ではありません。まだ動いては』

『ダメです。欠けた中央部分をどうするのか見極めてからです』

『か……畏まりました……』


 倉庫の前に設置された魔力陣は中央部分が欠けている。この未完成の魔力陣を彼等がどうやって起動させどのように運用するのか知る必要がある。


 ほぼ全壊したガルネス大寺院の最下階の消失した巨大な魔力陣とは全く異なる図柄だが限りなく同種だ。


 あの一見模様にしか見えない文字は昨日フォルティーナから貰った羊皮紙に描かれていた魔力陣の御遊戯文字(オユウギトーン)だ。


 古の技術を復活させた。新しい技術を開発していた。この線もなくはないだろうが、あの文字が使われている以上、プリフェスト下界の地の精霊様達それもプリフェスト下界が創造された頃から存在している上位の精霊様達が関わっている可能性が高い。


 先代バハムートの僅かに漏れた【HGMP】(半神気)と、先代バハムートに付着した地の公王で長老精霊ヘリフムス・フォン・センペル様の微量の【HGMP】と【SMP】(精霊気)と、大地の聖域の大精霊ロロノクック・フォン・センペル様の【SMP】の影響を受けた土砂を利用した最下階の魔力陣。


 あの布、あの魔力陣からは【SMP】を一切感じない。中央部分と【SMP】を欠いた状態でホントいったいどうやって……。



 魔力陣が起動するまでは邪魔をしない。ただし発動の直前で邪魔もとい阻止する。


 と、決めたエリウスと俺は、魔力陣の上空三mの高さに堂々と浮いていた。勿論姿を消して。


 八人の男達は、大きな魔力陣の外周に等間隔で並ぶとしゃがみ込み、魔力陣から伸びた二本の線に触れた。


『おっ、転写したのか……』

『主殿、大地との関連付けが成立したように見えるのですが』

『見えるというか、前からそこにあったと思えるくらいのレベルでリンクしてますね』


 八人の男達の左右の手が十六本の線に触れた瞬間。地面に敷かれていた布が消え布に描かれていたはずの魔力陣が地面に現れた。


 十六本の線の半分右手側の八本から欠けた中央部分へと【地属性】【水属性】【火属性】【風属性】【聖属性】【邪属性】【光属性】【闇属性】の自然魔素(マリョク)が流れ込んでいる。


 残り半分左手側の八本は外周と繋がっていた。


『大掛かりですね。大地に魔力陣が吸収されないように地属性の自然魔素(マリョク)を大量に流し続けるとか自殺願望でもあるんですかね』

『体内に魔晶石が埋め込まれています。あの男達は使い捨て利用されているのでしょう』


 欠けた中央部分に黒ずんだ血のような色の線が鈍い光を発しながら伸びだすと、八人の男達は次々と前のめりに倒れ、魔力陣に飲み込まれていった。


 あっという間の出来事だった。

『……エリウス、一瞬過ぎて間に合いませんした』

『そうですね。助けたところで助からない命でしたので気にする必要はないでしょう。魔晶石の影響で破裂寸前のようでしたのでどっちらに転んでも未来はなかったです』


 最後の一人が飲み込まれると直ぐに魔力陣全体が光輝き八層の円が浮かび上がった。


 俺達の足元の手前で静止した円は、闇の属性を帯びた魔力陣だった。


 浮かび上がった八層の魔力陣と地面の魔力陣。全九層からなる魔力陣を見て確信した。


『エリウス。これ転移とか召喚とかそんな可愛いものじゃないです。これ捧げるだけのものです』

『捧げる魔力陣ですか?』

『八人分の命と自然魔素(マリョク)が飲み込まれた時点で気付くべきでした』


 【時空牢獄】で大きな魔力陣を大きく囲み隔離し、【レソンネ】でアルさんに連絡してから、檻の中でぎゅうぎゅう詰めにされた人達を【転位召喚・極】で転位移動させた。


 魔力陣に飲み込まれたように演出したので彼女達の目を欺けたとは思う。


 念には念をで欺き次いでに、隔離した魔力陣を【タブレット】に収納する際にも、役目を終え消えたように演出した。


「ダグマー、インガ、見届けたぞ」


 魔力陣が消えた倉庫の前に何食わぬ顔で姿を現したエリウスは心のこもっていない言葉を二人に声を掛けた。


「「補助していただきありがとうございます。腐れ根(ヴルツェル)の御二人に敬意を」」


 上下関係って大変だな。嘘の上下関係なのに……。確認しておきたいことがあるし、何とか引き延ばしたい。この場は命令口調で押し切れば……。


「ダグマー、インガ。ヘナム、いやあんな役立たずでは話にならん。ジュンジェムと話をする必要がある。着いて来い」

「私達もですか?」

「完了の報告が優先では?」


 あれ?


 遅れて姿を現した俺は、取り合えず偉そうな感じで二人に命令した。だが、二人から返って来た言葉は俺の予想とは違い質問だった。


「そうだ。ん!? まもなく衛兵がやって来る。ここでは不味い一先ず大番頭室へ移動するぞ」


 【転位召喚・極】でシュヴァンツことダグマーさんとシュッペことインガさんを大番頭室へと転位移動させ、【フリーパス】でエリウスと俺も大番頭室へ移動した。


「「え?」」

「どうした」

「転移陣もなしに空間移動をしたような……」

「今の、これはいったいなんですかっ?」


 おっと、ついうっかり。あぁーどうやって誤魔化そう……。

貴重な時間をありがとうございました。

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