表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
499/1227

6-MS-73 コルトに16歳の神授を取り戻せ - ちょっと悪い話がちょっとな理由 -

 コルトの理が非常事態モードに移行した。


 これの何処が良い話なのかはいったん置いといて。


 悪い話もといちょっとだけ悪い話を改めて検証したいと思う。


 ベトギプス王国の老齢の国王ヴィルトレイ・バーモン・ハウゼンカレッジが、王太子を解任された長子のハリートレイ・バーモン・ハウゼンカレッジに暗殺された。


 ベトギプス王国は内戦中の国だ。


***********************

 ベトギプス王国の主な派閥


 1.国王派

 国王ヴィルトレイ・バーモン・ハウゼンカレッジと中央貴族を中心とした最大派閥。ズィスパール王国が支援している。

 ララコバイア(海洋)王国で見かけたボノイズルパール・ル・ズィルパール・ア・リフレクト公王家当主バリフォスターは国王派への支援をララコバイア王国に働きかけていた。


 2.前王太子派

 前王太子ハリートレイ・バーモン・ハウゼンカレッジ第一王子とその第一妃ロージーレンスの父で宰相ルイスカッター・バル・オーパンズ公爵を中心とした派閥。


 3.現王太子派

 現王太子マックストレイ・バーモン・ハウゼンカレッジ第三王子と軍務大臣エルビィークリー・バル・アズフォークフォート伯爵と商務大臣ジェフベマール・バル・シャーカンウィッチ伯爵を中心とした派閥。アイゼンタール王国が支援している。


 4.地方貴族連合派

 ベトギプス王国、アイゼンタール王国、ズィスパール王国、フェルゼンラール王国、四ヵ国が面するコルト下界最大の内海五十五(ゴトゴ)タール海で一、二を争う港町ヴァロルタールを領都とする前国王ジョートレイ・バーモン・ハウゼンカレッジの孫にあたる無官ジョーリッパー・バル・シーミヤデッカーセット侯爵と地方貴族を中心とした第二派閥。御輿はルビーアンバー・ハウゼンカレッジ第九王女。世界創造神創生教会が支援していた。


 5.辺境貴族派

 アーチ―ネイサン・バル・ウェストアービーランド西部辺境伯とベリンノック大森林に領地を持つ西部辺境貴族を中心とした派閥。結束の一枚大岩大地の聖域の巫女を名乗るサファイアローレン・ハウゼンカレッジ第四王女率いる大地の神殿とフェルゼンラール王国が支援している。

***********************


 戦いは、地方貴族連合派と国王派、地方貴族連合派と現王太子派、地方貴族連合派と前王太子派、現王太子派と前王太子派、決起した国民、傭兵、冒険者、盗賊、海賊、身分を隠して越境した者達、概ね全土ベトギプス王国の至る所で起きている。


 比較的治安の良い王都の最も安全な場所だったはずの王城で国王を守るはずの近衛隊の副隊長ジャスティン・バル・グラフトレイガン名誉子爵の手によって国王は暗殺された。


 ジャスティン名誉子爵の生家グラフトレイガン伯爵家の寄親はオーパンズ公爵家。


 ジャスティン名誉子爵は抵抗した為、近衛隊の兵士部下の手によってその場で命を落としている。


 生家の寄親がオーパンズ公爵家。ジャスティン名誉子爵の背後には前王太子、摂政がいる。


 国王を暗殺したのは前王太子派。


 各派閥が、前王太子派を糾弾し各地で口だけの弔い合戦を激化させている中、国王派は、中心の国王を失ったばかりだというのに、元からあった権力争いが表面化し王城内で武力衝突に発展、武力衝突は王都市街地にまで波及し、王都も地方都市も大混乱に陥ってるらしい。


 争いを逃れ街の外へと脱出した者達を襲う盗賊や海賊。それを迎え撃つ警備隊や傭兵や冒険者。警備隊や傭兵や冒険者が野盗盗賊海賊化しているという報告まで上がって来ている。


 保護を求め家に移住を希望する者の多くがベトギプス王国からの避難民だ。


「...... ~ ......暗殺を機に移住希望者保護希望者がますます増えるでしょうなぁー、現状一時預かりセンターも移民受け入れセンターも避難民保護センターも満員御礼パンク状態。教育と呼ぶにはお粗末な低々々教育すらもまともに受けていないベトギプス王国の国民をただ受け入れる訳にもいきません。早急に然るべき対策を講じる必要がありますですぞ。ですので、ちょっとだけ悪い話という訳ですなっ、はい」


 なるほど。暗殺はベトギプス王国の国王派視点なら最悪だけど、家視点だと難民避難民問題でしかないってことか。確かにベトギプス王国の国王が亡くなったからって家には関係のない話だ。


「外交も然り、先方とは落ち着くまで外交を持つ必要はないと進言致しますですぞぉー、何故ならば、唯一まともで最も信頼に値する勢力が最も内戦を拡大させてしまうリスクを孕んだ辺境貴族派だらかです。実に惜しいですなぁー、はい」

「俺、さっきまでベトギプス王国のこと殆ど何も知らなかったんですけど、chefアランギー様は何でそんなに詳しいんですか?」


「私は陛下に何と言いましたかな」

「いつの話ですか?」

「先日、私は陛下にこう言いました。週三回から五回に増やすことにしましょうと」

「それって高級食材を使った料理の回数を増やしてくれるって話ですよね?」

「その通りですぞ。その際、ズィスパールの件、帰界した民の件も処理すると言ったはずです」

「はい、その節はありがとうございます」


「ズィスパールの件を処理する為にはズィスパールを知らなくてはなりません。全くと言って良い程に興味も湧かず実に仕事が捗ってしまいました。最短或いは同着で一位あっという間に終わってしまった処理の空き時間を埋めるべく、仕方なく周辺諸国を知ることにしたのです」

「なるほど……」

 ベリンノック大陸は料理が発展してないって聞いた事がある。料理を美味しくする香辛料や甘くて香りの良い果物は豊富らしいけど、chefアランギー様が興味を持つ程じゃなかったってことか。


「ズィスパール王国の隣国は、アイゼンタール王国、ベトギプス王国、フェルゼンラール王国、ベリンノック王国。割くと決めた時間を埋めるべく知ることにしたのです。その際、地方貴族連合派によるベトギプス王国国王の暗殺計画が進んでいることを知り人の世とは何とも世知辛いと熟思わされてしまいました。ですが私は神、人の業を赦すのも仕事の一つなのです。温かい神眼(ひとみ)で見守ることにした次第という訳ですぞぉー、はい」


 神不干渉は分かるんだけど……何て言うか、知った時点で俺に教えてくれるとか、何か手を打っていれば、ちょっと悪い話は最初から無かったんじゃ。


「実際、一人亡くなったところでとは考えました。ですが、結果的には二人、いえ、その後争いが波及し、一万人近い命が理によって回収されてしまい、平常モードに戻ってしまうのではないかと、このアランギー不覚にもハラハラドキドキまるで古き良き幼子の頃のそれのように…………ハァ~いやはや正に心臓に悪いとはこのこと、次からはもう少し上手にハラハラドキドキするとここに誓いますですぞぉー、はい」

「あ、はい……」


 ここで誓われても、俺達にはどうすこともできませんけどね。

貴重な時間をありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ