6-MS-71 共通点は悪気⑫ そうだ、ゼルフォーラへ行こう
竜王は今直ぐにでもと言っていたが、国には体裁という物が存在する。
高位竜人族の受け入れ態勢が整い次第連絡を貰うことにした。
移動に制約がない。って、ホント便利だな。と、思いつつ、最後の地ゼルフォーラ聖王国の王都最近では聖都として定着しつつあるモルングレーの王城へと、神授スキル【フリーパス】で移動した。
移動した場所は、騒ぎにならないよう配慮し、王城の一階にある大広間のド真ん中。
式典や祭典やパーティーを催す以外では使われることのない王城の中で最も広い空間だ。
数えるのが馬鹿らしくなって途中で数えるのを止めたもの凄い数の小精霊達子供精霊達を引き連れ大広間へと移動した俺の判断は間違っていなかった。
『『『『『暗いね』』』』』
『使わない部屋は何処もこんな感じですよ』
『『『『『そうなんだね』』』』』
真っ暗な空間も意識しない限り日中と余り変わらず良く見える。視界に制約がない。って、
『ホント、便利な眼だ』
『『『『『普通じゃない?』』』』』
『『『『『普通だよね』』』』』
『『『『『皆おんなじだね』』』』』
うっかり漏らしてしまった独り言に盛大に反応する小精霊達子供精霊達。
何がそんなに楽しいのか全く理解できないが思い思いに楽しんでいるようだし好きにさせておこう。
精霊達とお喋りをしながら、王族専用の扉へと向かって歩いていると。
ギギギギギギィーーーー。
重い扉が自動で開いた。
「だ、誰かいるのかっ!? へ、返事は出来れば、ヒッヒィ
―――」
あれれ、気配も足音も存在も何となく消していたはずなんだけど、どうして気付かれた? ん? 兵士さん、いったい何に怯えてるんだ?
小精霊達子供精霊達の声は騒がしいけど俺意外には聞こえないし……。
『『『『『見つかっちゃったよ』』』』』
『『『『『皆ぁ~隠れろぉ~』』』』』
『『『『『隠れん坊だね』』』』』
『『『『『おおおおおお』』』』』
あぁ~なるほどね。声じゃなくて風の音ね。窓が一つも無い大広間、締め切った大広間にこれだけの何処吹く風が吹いていたら、誰だっておかしいと思うよな。
フォルティーナを真似して右手でフィンガースナップを一回響かせ頭上二mに光球を出現させ兵士へと近付く。
「う、うわぁ~で、でたぁ~ぁん!!」
兵士が指差す方、俺の後ろを念の為確認してみたが、誰もいない。
からかわれてるのか? 出たっていったい何が?
『『『『『ねぇねぇ』』』』』
『『『『『これが新しい遊び?』』』』』
『『『『『それが新しい遊びか~♪』』』』』
『『『『『たっのしそぉ~♪』』』』』
楽しそうには見えないが……。
小精霊達子供精霊達は精霊としてはまだ未熟な存在だ。感覚もかなりずれている。……そうでもないか。マルアスピーもミト様も結構ずれてるし、未熟とか関係なく全般的にずれてるのかもな。
床にへたり込み意識を手放しかけている兵士へと声を掛けながら近付く。
もしかしてこの兵士さん、何か眼を持ってるのかも。
神眼を意識し兵士さんの眼を視たが至って普通の瞳だった。
白目になりかけてる兵士は。
「く、来るなぁ―――ぁはっ」
変な声を残し床に崩れ落ちた。
もしかして病気?
『『『『『眠っちゃったね』』』』』
『『『『『変な遊びだね』』』』』
『『『『『これってあれだよ』』』』』
『『『『『あれだね』』』』』
『『『『『だよね。あれだよね』』』』』
『眠れない夜に大人はこっそり遊ぶって前に母様が言ってたよ』
猛禽類の小精霊が変ことを言いだしたぞ。止めた方が良いだろうか?
『『『『『あ――――!?』』』』』
『独りよがりの真夜中に』
『はいストォ―――ップ。その話は聖域に戻ってからにしましょう』
ヴェルフューネ様。いったい何教えてるんですかっ!!
「おいっ! どうしたっ!! 何かあったのかっ!!!! 」
「あれ、ゴムゲスじゃないか? おい、どうしたっ!?」
二人の兵士が駆け寄って来る。
兵士が倒れてる現場に一人佇む俺。これは確実に良くない。面倒事はごめんだ。取り合えず逃げよう。
駆け寄って来る二人の兵士からゴムゲスさんへと視線を移し聞こえていないだろうけど言葉を掛ける。
「あとでちゃんと謝ります」
逃げよう。
『皆』
『『『『『はーい』』』』』
『ここにいると遊べなくなっちゃうんで』
『『『『『なんでぇ~』』』』』
『怖いお兄さん達が……』
あー何だ。続きが思い浮かばない。
『『『『『キャー』』』』』
『『『『『怖い怖いはダメだよ』』』』』
『『『『『皆隠れろぉ~』』』』』
『『『『『隠れん坊だね。やったぁ~』』』』』
『『『『『九千九百九十九数えたら探しに来てね』』』』』
あえ?
あっという間に姿を消してしまった数え切れない数の小精霊達子供精霊達。
……何から何まで全てが急過ぎて付いて行けないんですけど~。って、違う違う逃げないと。
神授スキル【フリーパス】で、聖王の執務室、大叔父イヴァンの目の前に移動した。
精霊達がいないなら直接でも問題ないじゃないか。大叔父さんに会うだけ、だし……。
「ロイク。何やら城が騒がしいようだが。……心当たりは」
「……」
「ありそうだね」
問題ない訳ない。親しき中にも礼儀あり。偉い人に会う時は前触れ。さっき学び直したはずだったのに、焦ってやってしまった。ここは開き直ってしれっと……。
「実は...... ~ ......といことが……スミマセン。それで本題なんですが、実は白光の夜の怪事件...... ~ ......」
ゴムゲスさんは何も悪くない。後で謝罪するから、罰とかはなしの方向でお願いします。と、伝えた後は話すのが何かちょっと上手くなって来た真相の説明をした。
こうして、時間が勿体ないからと始めた直接説明しに行くは今後に多くの課題を残して終わった。
次からは一人で動くのは止めておこう。
次からは数え切れない数の小精霊達子供精霊達と説明して回るのは止めておこう。
次からは可能な限りchefアランギー様に任せてしまおう。
・
・
・
・
・
真夜中、ベッドで横になっていると。
『管理神様。皆待ってるよ』
猛禽類の小精霊が寝室の窓を叩いていた。
あっ!
『えっと、まだ三十三……』
『そっか。ちゃんと九千九百九十九まで数えてね』
『お、おう』
『隠れなきゃ~♪』
……ま、いっか。
貴重な時間をありがとうございました。
この話もかなり削って会話を多目に。
削り過ぎて分かり難いし読み難い。
いつもいつも本当にありがとうございます。




