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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-MS-69 共通点は悪気⑪ そうだ、ドラゴラルシムへ行こう①

『竜王。こちらロイクです。今、風の精霊様方と竜宮の上空に来ています。こっちに来て貰えると助かります』

『アシュランス王か。空におるのだなっ!! 了解した』


・・・

・・


 竜王と念話で会話をしてから早十ラフン。一向に姿を見せない竜王。


『『『来ないね』』』

『ですね』


 小精霊達子供精霊達は待つのに飽きてしまっただろう。思い思いにどこ吹く風。あっちへ行ったりこっちへ来たり。楽しそうにそよ風(お喋り)したり疾風(駆けっこ)したりもう元気一杯だ。



 更に十ラフンが経過した。


 無邪気な精霊達を保護者気分で見守っていると、竜宮の北西側にある開けた場所から一匹の竜種(ドラゴン)が飛び立ちこちらへ向かって来るのが見えた。


管理神(カンリシャ)様、風の眷属が来るヨ』

 猛禽類の姿の小精霊が右の耳傍まで吹き付けて来て楽しそうに囁いた。


 風の眷属って言うのはあの竜種(ドラゴン)のことなんだろうな。普通に考えたら楽しい内容ではないが、本来恐怖の対象でしかないあれも精霊様方にとっては楽しいことの一つってことなのかもな。


『私達の眷属だから安心してね』

 綿の塊にしか見えない子供精霊が左肩の上でフワコロフワコロ浮かんだり転がったりしながら話し掛けて来る。


『はい。でも大丈夫ですよ。あの竜種(ドラゴン)は、さっき来て欲しいって頼んだこの国の王様の相棒の一匹で確か【天駆けるシュトゥルム.Jr(ボーイ)】です』

『『『『『かっくいい』』』』』

『名前があるの、凄いね』

『ライダーが決まっている騎竜には名前があるって言ってましたよ』

『ホントなの、ライダーがいれば私にも名前が貰えるの?』


 肩で転がっている綿の塊にしか見えない子供精霊をチラ見する。


 現状ではまず間違いなく無理だな。

『残念ですが、竜種(ドラゴン)とか亜竜種の飛竜(フライングドラゴン)とか高位蜥蜴種の翼蜥蜴(ワイバーン)とかの話です。精霊様の場合は成長して中精霊になれば親から名前を付けて貰えるはずですよ』

『大人になるまでお預けかぁ~、残念だね』


「待たせたな、アシュランス王。して、この状況はいったいなんなのだ。風の精霊様のこの数はいったい……」


 竜宮の上空に浮いたまま、ネコトミサール大陸での話を簡単にだが説明していると。


「アシュランス王よ。風の精霊様方が我の天駆けるシュトゥルム.Jr(ボーイ)の周囲に集まって来ているようなのだが……」


 粗方説明は終えたし、そろそろ本題に入っても、って、何? 何事?


 小精霊達子供精霊達百以上の精霊様に取り囲まれ今にも気を失いそうな尻尾を丸めた竜種(ドラゴン)が、クゥークゥーとか細い鳴き声で竜王に助けを求めたいた。


『君名前があるんだね。凄いね』

『僕も名前が欲しいなぁ~、良いなぁ~』

『私に君の名前ちょうだい、良いよね?』

風竜王(おう)ちゃまのところのドラゴンだよね、どうしてここに居るの?』


 物凄い質問攻めにあっているようだ。これって、声が聞こえないあの竜種(ドラゴン)にとっては悪夢でしかないな。


『はーい皆、こっちに集合してくださーい』

『『『『『はい』』』』』

『『『『『なに、管理神(カンリシャ)様新しい遊びを教えてくれるの?』』』』』

『そうですね。竜王と私の話が終わったら、皆で新しい遊びを試してみましょう』

『『『『『ワーイ。お話早く終わらせてね』』』』』


 風の小精霊達子供精霊達が満足するような遊び……って、いったいなんだ? ……あとで考えよう。


「俺の近くにいるように言いました。どうも、名前があるそのその竜種(ドラゴン)に興味を持ってしまったみたいで、……その竜種(ドラゴン)には災難でしたね」

「そうか。理由さえ分かればなんてことはない。なるほどなっ、天駆けるシュトゥルム.Jr(ボーイ)。風の精霊様方はお前の勇ましい名前を褒めてくださっているそうだ。良かったなっ!! ガッハッハッハッハ」

厩に帰りたいよぉー(キュ――――ィ)ここなんなの?(クゥ――――)怖いよぉー(ピピェ――――)

「そうかそうかお前も嬉しいのか。そうだろう、そうだろう。我もお前が褒められて嬉しいぞぉ~♪」



 状況はどうであれ、二つの事件の真相を竜王に説明し終えた俺は、竜王からの質問攻めと小精霊達子供精霊達からの催促の嵐に巻き込まれていた。


「魔界。イヤ、メア亜下界であったな。メア亜下界のイート市の監視網の暴走とコルトとメアの魔力の接触が偶然同時に起きてしまって集団転移が起こった。今回の接触はコルトからメアに魔力が流れた為、転移はコルトからメアだった。言葉の意味は理解できるのだが、イート市とは街の名であろう、街一つの監視網が暴走した程度でガルネス市とその周囲を根こそぎ転移させたなど流石に信じられぬ。何か我に隠してはいないか?」

『『『『『そうだね。皆で隠れん坊もいいよね』』』』』


「監視網の暴走だけだったらあの規模にはなってないんですよ。監視網の暴走は、転移先の座標軸を固定させる力として消費されたみたいなんです。転移の規模が大きかったのは、コルトからメアに流れた自然魔素(マリョク)がいつもより多かったかららしんですよね」

「今回、……いつもよりか。考えずともそうであるな。あっちからこっちへの者があれだけいたのだ、こっちからあっちへの者も多くいて当然だ。爪痕に連れ帰って来たと言っていたが、その中に竜人種(ドラゴ)はどれくらいいたのだ?」


「そうそう、それで一つ相談があったんです。竜人種(ドラゴ)は長命じゃないですか。家族に会いたいって言ってる人が何人かいるんですが、失踪したはずの人が突然集団で街に帰って来たりしたら騒ぎになる」

「集団なのかっ!?」

「シニアが百人ちょっとで、アダルトが八人でジュニアが一人ですね」

「……そんなにいるのか」

「で、問題はシニアなんですよ」

「寿命が近いのだな、良し分かったっ!! この我がその者を家族達と最後の瞬間を過ごせるよう取り計らう」

「いや、まだまだ死ぬ感じではなかったです」

「早速、……健在であるか。良いことではないか。すると問題とは何だ?」

高位竜人族(ハイドラコ)が二人」

高位竜人族(ハイドラコ)だとぉ~~~~~っ!!!!」

「はい」

貴重な時間をありがとうございました。

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