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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-MS-61 共通点は悪気⑦ メアは広いな大きな④ ようこそル・リベリコサスへ

 敵意剥き出しの警戒から一転し溢れんばかりの笑顔で熱烈な歓迎を受けることとなった俺達。


 俺達は、見窄らしい集団もとい勇士隊の案内ですんなりと壁の中へ入ることができた。


「隊長!! 今直ぐ御会いしたいとのことです」

「そうか、了解した。これより我々は平時へと移行する。後は俺に任せてお前達は仕事に戻って良いぞ」

「「「はっ!!!」」」


「ヤッベッ、終わったんだったら早く戻ねぇとまた母ちゃんにどやされる、隊長皆もまたなっ」


「アンネさんに、近いうちに飲みに行くと伝えておいてくれ」

「了解しました。隊長」


「ツヴァイクガイとこの母ちゃん怒らせるとめっちゃ怖いからな」

「ああ、酔っ払ってトイレでゲロった時なんか酷かったぜ」

「先輩達が母ちゃんの悪口言ってたって言っておくからな」


 勇士隊のツヴァイクガイという名の少年は伝令役として往復走りっ放しだったのだろう息を切らせながら報告をしていた。


 報告を受けた勇士隊の隊長が解散を宣言すると、勇士隊の隊員達は思い思いに話始め俺達の周囲は賑やかを通り越しあっという間にお祭り騒ぎの様相になっていた。


「気を悪くしないでください。嬉しくて浮かれている……浮かれ過ぎてはいますが、根は良い奴等なんです。久々に故郷の新鮮な話が聞ける、楽しみにしているのです。これも勇士隊の役得って奴です」


 久々にコルトの話が聞ける、……か。そうなると最近ここに来た人はいないってことだよな。


「隊長さん隊長さん」

「何かねお嬢ちゃん」

「新鮮な話をするのは良いんだけど。ここって街中だよ。私達に早く会いたいとかって偉い人が言ってたんでしょう。こんなところで油屋なんて儲からないと思うよぉ~」

「ん? おっとそうであった。皆様を議事堂に案内致します。そこで議長と長老院元老院の議員に会っていただくことになります。……申し訳ありませんが議事堂までは、もう少しだけ歩くことになります」


「のぉー勇士隊の隊長殿よ。この都市(まち)は共和制なのかの」

「議会共和制だと教わりました」

「議会共和制、ふむ、初めて聞く。共和制とは何が違うのかの」

「そうですねぇー」

「ムーコン殿。政治の話は落ち着いてからにしてはどうだ?」

「ふむそれもそうかの。……そうじゃっ!! この都市(まち)に御文庫それに近しい建物はないかの?」

「御文庫ですか。……ご老人はコルトから魔界落ちされたのですよね。図書を集めた建物を御文庫と呼ぶ者がいたという記録が残っているのですが、その者達は我々とは異なる故郷から魔界落ちしたと記されているのです」

「故郷か。勇士隊の隊長殿も同じ北大陸出身だと思っとったんだが違うのかの」

「私は、水氷(すいひょう)聖域大陸フィンベーラのマダヴェルード王国出身です」

「「「「「マダヴェ※▽〇□?」」」」」

「北の覇者魔導錬金大国マダヴェルード王国です」


 ムーコン親王、ヴィルヘルム殿、ルーヘン王弟君、老師ナディア、そして俺。俺達五人はそれぞれ国名を間違えてはいたが同時に叫んでいた。


 聞いたことのない国、そして水氷聖域大陸フィンベーラなんて言い方も初めて聞いた。


「驚かれましたか? ハハハハ」

 楽しそうに話を進める勇士隊の隊長。


 どう反応したら良いのか分からない。


 思考をフル回転させていると。

『お兄ちゃん、皆と念話繋いで貰っても良いかな?』

 老師ナディアからの念話が届いた。


『分かりました』

 そう言えばこの流れつい最近もあったような……。


『『『『静かに聞いてください。水氷聖域大陸フィンベーラってフィンベーラ大陸のことであってますよね?』』』』

『ロイク君。私としてはマダヴェルードなる王国の方が気になるのだが……』

『英雄殿よ。北の覇者とはまた漢心を擽る良い響きだと思うのだが海の覇者とはいったい誰を』

『ルーヘンは黙っておれっ!!』

『あ、兄上……』

『分かったのか?』

『承知いたしました……』


『お兄ちゃん。私の知識の中に【水氷聖域】【マダヴェルード王国】そんな言葉、ないよ』

『若かりし頃に西朝天帝御所の御文庫で、その昔水煙の聖域の滝は表層が万年氷に覆われていたと読んだ覚えがある』

『水が凍ってから水煙ではなく水氷って呼ばれてた可能性があるってことですか?』

『ただのぉ……』

『爺さん勿体ぶらずに早く言ってくれ』

『ムーコン殿』

『お爺ちゃん』


『滝が凍っていたのは、前時代なんじゃよ』

『『『『!?…………』』』』


「ハハハハ、皆様は時を同じく落ちたのですが、私は約二万九千年前のコルトから落ちて今に至ります」

「あっ、それです、それ」

「それと言いますと?」


「勇士隊の皆さんだけじゃないですよね? ここの人達は皆、コルトのことをコルトと認識してるんですよね?」

「はい。我々の大半はツインソーラーシステム・セカンドプラネット・コルトの出身です。大半と言ったのはですね。先程ご老人が御文庫と言う言葉を口にされたからです。我々の中にはキャラメルウェイギャラクシー、我々とは異なる世界のプラネットから落ちて来た者もいます。その一つがプラネットカンベです。かなり古い時代のカンベを故郷に持つ者達が御文庫という言葉を使っていたそうなのです」


「ほう。文庫で通ずる者達が同じ世界ではなく異なる世界におるとはまた感慨深いのぉ」


「お爺ちゃん、隊長さん。話し込むのは自由だよ。でもささっきから言ってるけど、ここって街中なんだよね。偉い人待たせるんだよね。急がなくても良いのかな?」


 俺としては急いで会う必要を感じてはいない。


 だけど、ここのトップが急いで会いたいって言ってる以上急いで会うべきだとも思う。


 だけど、俺としてはここのことよりも、どうしてコルトって名前を知ってるのかってことの方が気になってる訳で。


「ホラお兄ちゃん。何してるのさ。置いてくよ」


 老師ナディアに呼ばれ顔を上げると、四十m程前方に皆の姿があった。


「ちょ、ちょっと待ってください」

 フリーパスで老師ナディアの隣に移動する。


「い、今、消え……今のはいったい!?」

「あ、言ってませんでしたね。俺のこのスキルで結界の中に入ったんですよ」

「……あの結界はオーエルフのハイエルフ様によって張られたもので素通りは出来ないはずなのですが」


『アシュランス王よ。お主もここの歴史が気になっておるのだろう? 御文庫、図書館に足を運ぶべきだと思うのだが、どう考えておる』


「今使ったスキルって何処にでも自由に移動出来るある程度自由が利くようになるスキルなんですよ」

「……そ、そのようなスキルもあるのですね」


『知識は出来るだけ回収したいな、と。もし彼の言葉が本当ならですよ。コルトでは失われてしまった前時代の知識が手に入るかもしれません』

『お主も太古の浪漫を語る昔は良かった夢物語派かの』

『……過去から何も学べない体たらくよりはましだとは思いますよ』

『学ぶ…………か。どれ、太古のコルトに魚人族(サハギン)魚人族(マーメイド)がおったのか調べてみるのも一興かの、幼い頃夢見たもんじゃ、豊満な胸元を隠すその大きな貝殻はいったい何処で? 妖艶な歌声で漢のみを惑わすのは海の漢に魅力を感じているから、そうに違いない。と』


「コルトでは俺しか持ってないらしいですよ」

「魔術陣と補助の魔導装置を必要としない魔導門(ゲート)みたいなものですよね?」


 ……二人に対してどう答えて良いのか分からないや。


「ところで隊長さん隊長さん、この都市(まち)には名前はあるのかな?」


「名前ですか。……言ってませんでしたね。それでは、遅ればせながら、せぇーの」


 勇士隊の隊長と隊員達は目配せし呼吸を合わせると一斉に大きな声を上げる。


「「「「ようこそ、終末の地【ル・リベリコサス】へ♪」」」」


 実に楽しそうだ。終末の地とか言ってたけど……。


「どうせバレちまうだろうから先に話します。ルは、ゼルフォーラ大陸のルです。リはベリンノック大陸のリです。ベは...... ~ ......」

貴重な時間をありがとうございました。

削り過ぎて分かり難いです。

削ったのに長いです。

読み難くて申し訳ございません。

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