1-35 神獣の名前と、3匹の森熊。
宜しくお願いします。
――― アンカー男爵領マルアスピー
ロイクの実家 居間
――― 6月5日 21:46
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「あらぁ~早かったわね。もう帰って来たの?」
「はい、メアリーママさん」
「それで、そちらの女性は?」
「彼女は、エテルネルスワン......
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俺は、中空の避暑地に、運の神様と、妖精のお仕事の皆さんを残し、マルアスピー様とエテルネルスワンさんと一緒に、アンカー男爵領のマルアスピー村にある実家へ移動した。
道具の確認をするからと出かけ30ラフンも経たずに帰宅した俺は、13億年以上も前に神々の避暑地として栄えていたという中空の避暑地の事。神々の避暑地の管理人であり守護者であり聖人として世界創造神様から神授によって中空の避暑地を任された事。中空の離宮と呼ばれる世界創造神様の下界に存在する唯一の宮殿と別荘を神授され神様の力で突然親元から独立し一国一城の主になった事。運の神様で遊びの女神様の事。料理の神様の事。妖精のお仕事の妖精達の事。神獣カフェの事。そして、神獣、神大白鳥獣エテルネルスワンの事を母に話した。
......彼女は、神獣様なんだ」
「世界創造神様の他にも沢山神様は存在していて、東モルングレー山脈の高原に神様の避暑地が存在していて、ロイクはそこの管理人を家付きで任された訳ね」
「母さん。今の話だけで納得出来たの?」
「難しい話はしていませんし、精霊様や聖獣様や邪獣様。沢山の不思議を目の当たりにして、世界創造神様以外の神様の存在を今更否定するのもおかしな話ですからね」
「メアリーママさん。柔軟な思考は若さの秘訣です」
「そうね。アスピーちゃん」
「柔軟って・・・」
神様は世界創造神様ただ1柱のみそれが世界創造神創生教会の教えだ。そして世界創造神創生教はこの世界に存在する唯一の宗教だ。大きな力を持ち一国の政治や体制に度々影響を与えて来た。学問の基本、生活の基本、道徳倫理の基本、魔術の基本、礼儀作法の基本、言葉の管理、祭事式典の管理、戸籍の管理、掟の儀式の管理、誓いの儀式の管理。世界創造神創生教会の存在はこの世界に生きる者にとっても非常に大きい。
そんな教会の教えを根底から覆す話を、母はあっさり受け入れ理解した事になる。柔軟な思考という言葉で簡単に片付けてしまって良い物なのだろうか・・・
『良いも悪いも、他人の考え方や意見を真摯に受け止め対峙する。事の真偽を見極め正しく理解する。種族民族関係無く私達が神様から平等に与えられた考える力よ』
『そうよロイク。現実を直視し正しく判断する事はとても重要な事よ』
え?・・・『母さん?』
『やっぱりね。アスピーちゃんと念話出来るのですから、ロイクとも出来るかもと思っていたのよ』
『メアリーママさんはロイクよりもまほ・・・魔術の才能があるわね』
マルアスピーこれって、レソンネとは違うんですよね?
『違うわよ』
『何が違うのかしら』
『母さんには、俺の話は聞こえてるの?』
『今みたいに話掛けられると聞こえるわ』
俺、念話のスキルが無いのに、どうして母さんと念話が出来てるんですか?
『何を言っているの?私と繋がっているのだから、私と念話が出来る者とならロイクは念話が出来て当然でしょう』
そ、そうだったんですね・・・
『母さん心配していたのよ。2人は夫婦なのに会話が少ないでしょう。夫婦になって一週間も経っていないのにもう倦怠期なのかしらってね。倦怠期の夫婦じゃ子供も期待出来ないでしょう』
『運の神様が仰っていました。ロイクは鈍珍だと』
『鈍珍?』
『はい』
『会話が少ない事実を知った訳ですから、もうこの話はこれで終わりましょう』
『フフフッ』
『アスピーちゃんの、その笑い声って、耳で聞くよりも頭に直接の方がセクシーに響くのね』
『そうかしら?』
『可愛くてセクシーよ』
『ロイクさん。人間種は会話で意思疎通する種族だと思っていました。皆さん念話でも話が可能だったのですね』
『あら、綺麗な声』
『この状況ですけど、家に居るんだし普通に話しても問題無いですよね?』
『ロイク。私達精霊種の意思疎通はレソンネが普通なの。聖獣や邪獣や神獣もそうよ』
そうなんですか?
『ロイク、母さんにも聞こえる様に話して』
「・・・はい、念話終わり!」
「それもそうね。エテルネルスワンさんは、鳥の神様なのよね?」
「そうです」
「とても綺麗で優しい声で羨ましいわ」
「声ですか?」
「えぇ。アスピーちゃんの声は、とても透き通っていて柔らかくて優しい綺麗な声。神獣様の声は、透明感があって清らかなのに温かくてそして美しい声ね」
「母さんそれだと何かどっちも綺麗って言ってるだけみたいだけど」
「仕方ないわよ。2人とも綺麗で美しい透明感ある声なんだもの」
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――― 6月5日 22:40
「それで、親父達が帰って来たら、中空の避暑地の新体制の祝いを運の神様が準備しているから、家族で新居に行こうと思うんだけど、親父を連れて行って大丈夫だと思う?」
「お父さんは宴会大好きよ」
「村のお祭りみたいに馬鹿騒ぎされるのも困るけど・・・」
「料理の神様や妖精さん達の至高の料理なんでしょう?連れて行かなかったら、ショックで寝込むかもしれないわよ」
「いやいやいや、母さん!それは無い無い」
「それもそうね」
「フフフッ!義理の御父様は些細な事を気にしたりしません。人間種にも関わらず運の神様顔負けです」
「ハハハ。それ言えてます」
「あらそうなの。運の神様は、お父さんと気が合いそうね」
「ロイクさん。先程から話題に上がっている人間の姿が見当たりません」
「あぁ~・・・弓使い3人で大物の魔獣を仕留める為に、大樹の森で狩りをしてるはずなんだ」
「そうね!そろそろ丸1日狩りをしている事になるわ」
「親父は、俺達に会う前から狩りをしていたはずだから、ぶっ続けで何やってんだか・・・」
「狩りでしょう!」
「そ、そうですね・・・」
「神獣様は、エテルネルのスワンという名前が正式な名前なのかしら?」
「私は、神鳥の中の、愛、美、若さの大白鳥種です。不死、不滅、復活の神鳥瑞鳥種。幸運、幸福、平和の神鳥雉鳩種。勝利、勇気、智恵の神鳥鷹鷲種。芸術、知性、継承の梟種。5大神鳥の中心に存在する神獣です」
「結局、名前はエテルネルスワンって事ですか?」
「名前ですか・・・」
「ロイク。本来、神獣達に名前は無いのよ。各々が種の代表であり頂点に存在するからよ」
「はい。私は、大白鳥の神獣。ドームココドリーロのケアーテイカー鰐の神獣クロコダイアンが、オェングスは発音が難しく呼び難いからという事で、エテルネルスワンと神獣カフェの登録リストに登録しました」
「つまり、エテルネルスワンは、名前では無いって事ですね」
「ビジネスネームだと思います」
「クロコダイアンさんもビジネスネームって事ですか?」
「彼は、誇り高き鰐種の神獣です。百獣神、獅子種の上位神獣から名を貰い、鰐の神獣クロコダイアン・クロコディルが正式な名前です」
「そうなると、エテルネルスワンは、大白鳥の神獣〇〇〇・オェングスって名前が良い訳かぁ~」
「ねぇロイク。彼女のステータスを見て御覧なさい。貴方がとっても喜ぶ状況になっているわ」
「俺が喜ぶ状況?」
***エテルネルスワンの情報***
【名前】アル・オェングス・シャレット
【性別】女
【種族】神獣種大白鳥族
↓※正式には※
神獣種神鳥類大白鳥種化現人間種人間族
↓※コルト下界開示情報※
人間種人間族
【生年月日】R1900年12月25日
↓※コルト下界開示情報※
R4053年12月25日
【年齢】2174歳
↓※コルト下界開示情報※
21歳
【血液型】B型
【身分】神鳥・大白鳥
↓※コルト下界開示情報※
王民
【階級】神獣
↓※コルト下界開示情報※
士爵家一族
【虹彩】フェニックス・レッド
【髪色】ユニコーン&シルバー
【髪型】ニュアンスロング(ウェブ強め)
【身長】164cm
【体型】セェンシュアル
【利腕】両利き
【状態】異常なし
***説明おわり***
「エテルネルスワン」
「はい、ロイクさん」
「名前なんですが、ステータスでは、アル・オェングス・シャレットってなっているみたいです」
「私は、アルという名前なのでしょうか?」
「下界ではそうみたいです」
「まぁ~声と容姿に相応し可愛らしい名前ね。それに、我家と同じシャレットが姓だなんて嬉しい偶然だわ」
「ロイクさんのお母さんは、シャレットという苗字なのですね」
「そうよ。私も主人もロイクもアスピーちゃん。皆、シャレットが苗字」
「語源は、労働の象徴『荷馬車・馬車』の事らしいけど、今は、『集中力・短期決戦』って意味で解釈される事が多いんだ」
「私も皆さんと同じシャレットで嬉しいです」
「フフフッ」
「どうしたんですか?」
「何でも無いわ」
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――― 6月5日 23:30
俺は、大精霊マルアスピー様、神鳥アル様、母と4人で、マルアスピー様が精霊樹の精域から俺の実家に持って来た魔導具と思われる時計を見つめていた。
「もう少しで夜になるわね」
「そうですね」
「ロイクさんのお父さんは馬車馬の様に働く人間なのですね」
「シャレット家だけど、親父の場合は熊かもな」
「熊ですか?・・・神界に伝わる御伽噺では、世界創造神様は人間種達を下界に創造する際に、今迄に創造して来たどの何よりも神の姿に近付けて人間種達を創造したそうです。ですが、一部の人間種は世界創造神様の創造とは別の派生から誕生しました。神界の獣、神獣の中でも化現ではない者達が、神の姿それは人間種の姿でもある訳ですが、その姿に化身し下界で暮らし始め、人間種達と交わる事で、下界に生を受けた人間種達の事です」
「あぁ~そういう意味で言ったんじゃないんですよ。怠け者って意味で熊って言ったんです」
「はい。神界でも熊は怠惰の象徴です。怠惰で怠け者の熊ですが密かに下界に下っては、人間種達の食べ物『ハチミツ』『ニンニク』を食べていたそうです。激しい争いの結果得る『ハチミツ』を食した熊は、神界に戻り神格を得て、熊の神熊種の一員へとなりました。ですが、姑息に盗み得た『ニンニク』を食した熊は、怠惰堕落窃盗の罪により神界から追放され下界で人間種になったという話です」
「熊を怠惰の象徴みたいに言うのは、神界の御伽噺が何らかの形で下界に伝わったからかもしれない訳か」
「御伽噺では熊の他に、美しさを追求し他の者の美を模倣した孔雀。怒りに任せ神界で暴れまわり全種族全亜種が下界へと追放された竜。愛情を奪い合った犬と猫。他の者を欺き騙した烏。下界に大飢饉を齎した豚。人間種の夫婦達の絆を断ち切った兎。神格を持たない神界の獣7種が人間種になりました」
「国や地域の違いで沢山の話がありますが、界が変わると全く聞いた事の無い話ばかりですね」
「ロイク。そんなに他の界に興味があるのでしたら、今晩から就寝前に精霊界と下界の話をしてあげましょうか?」
「気になった時に教えて貰えればそれで・・・」
「精霊界には神獣を、聖獣や邪獣と同列に見る文化が定着していますが、神獣は神様なのよね?」
「世界創造神様の獣で、神界の獣で、神獣です」
「神格を持った神界の獣が神獣であって、神界に存在する獣は神界の獣だけれど神獣ではないって事よね?」
「はい。神格を持たない神界に存在する獣は、聖獣邪獣と同じ聖であり邪な存在です」
「そうなると、アル・オェングス・シャレットは、やっぱり神様って事よね?しかも神獣の中の神鳥の中で最上位の神格って事よね?」
「神鳥の中では、最上位だと思います」
「マルアスピー。さっきから何の確認ですか?彼女が神様なのは、知ってるじゃないですか」
「同じ立場なのだから、様を付けて呼ぶのも他人行儀で失礼でしょう。だからと言って神様を呼び捨てするのもどうかと思う訳よ」
「えぇ~?自分はどうなんですか!俺に呼び捨てしろって言うじゃないですか」
「それは当たり前でしょう。旦那様に自分の事を様付けで呼ばれて嬉しいと思いますか?」
「あら大変。私もアスピーちゃんって呼んでるわね」
「メアリーママさんも義理の御父様も家族です。私のお母さんでお父さんですから、保護下の者として該当する私を『ちゃん』や『愛称』や『ハウスネーム』で呼んでくれるのは嬉しい事です」
「あらそう良かったわ」
「それで、呼称がどうしたんですか?」
「後ほど、当事者同士で相談します」
「お互い呼び合うだけなのに大変ですね・・・」
「人間種は様を付けて呼ぶだけで、ほぼ全てを解決する事が出来ますが、精霊は複雑なのです!」
「決まったら教えてください」
「えぇ~そうするわ」
――― 6月5日 23:50
「おっと、後10ラフンで夜だ」
「お父さん達が大樹の森の何処に居るのか教えて」
「まずは、居場所の把握っと」
可視化:対象・メアリー・シャレット:常時 発動≫
≪・・・更新しました。
画面表示:拡大・10倍 発動≫
≪・・・更新しました。画面を10倍に拡大しました。
表示:対象・バイル・シャレット、マリア・パマリ、アリス・パマリ ≫
≪・・・表示しました。
「えっと、加工場口から北に約8Kmの場所に居るみたいだけど・・・」
「誰か脚を怪我しているのかしら」
「怪我かぁ~・・・ステータス【HP】と状態異常を表示 ≫」
「義理の御父様も他の人間種2人も元気そうね」
「いったい何やってるんだ?」
「周囲に魔獣の群れがいて、慎重に動くしかない状況の可能性は無いの?」
「なるほど、母さんが当たりかも。魔獣を赤で表示 ≫」
≪・・・表示しました。
「あら!居ないわね・・・」
「半径10Kmの範囲内にはそれなりに居ますね」
「大樹の森の中だし魔獣が0って事は無いです」
「あと、数ラフンで、日が暮れてしまうし・・・」
「何やってんだぁ~・・・こんなペースで歩いてたら、日の出にも間に合わないよ」
「ロイク。運の神様主催のお祝いパーティーがあるのよ」
「ここに強制的に移動させましょう」
「ロイクお願いね」
「その方が良いと思います」
【召喚転位】:対象・バイル・シャレット、マリア・パマリ、アリス・パマリ:場所・俺の目の前 発動 ≫
俺の目の前に、父とマリアさんとアリスさんが現れる。
「・・・バ、バイル様、アンカー男爵領の・・・?」
「御母様、ロイク様の家みたいです」
「あら?」
「あぁーなんだぁー・・・」
「なんだじゃないだろう親父!いつまで狩りしてんだよ」
「ロイク!おめぇーの仕業かぁっ!」
「何がだよ」
「森熊3匹どうしてくれんだよぉー」
「森熊?」
「俺が1匹ぃー。ジェルマンとこのアリスちゃんが2匹仕留めた熊の事だよぉっ!」
「ん?取りに行くなら、戻しても良いけど・・・もしかして、森熊3匹を3人で運搬してたとか言わないよな?」
「ロイク様ぁ~あでぃがどぉーございばずぅ~・・・」
「ロイクさん、私達の森熊を・・・お、お願い・・・し・ます」
「え?マリアさん?どうしたんですか?」
「森の中でぇー獲物を担いでたんだぜぇー眠ったらぁーあぶねぇーからよぉっ!」
「寝ないでずっと運んでたのか?」
「ロイク様ぁ~あでぃがどぉーございまばすぅ~・・・」
「アリスさんも、マリアさんも、ソファーに座って待っててください」
「・・・」
「ばい・・・」
「親父、森熊を回収しに行くぞ」
「おぅっ!勿体ねぇーからなぁっ!」
「母さん、ちょっと行って来る。2人の事は任せた」
「2人とも、疲労の限界ってところね・・・」
【フリーパス】移動≫
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――― 大樹の森
マルアスピー村 北約8km地点
――― 6月5日 23:56
俺は、3匹の森熊が地面に転がる。大樹の森へ移動した。
この熊を運んでたのかぁ~・・・500Kg越えが3匹って、3人で1匹運ぶだけでも大変なのに、何考えてたんだ?
【召喚転位】:対象・バイル・シャレット:場所・俺の目の前 発動 ≫
父が、俺の目の前に現れる。
「おっ!どうだぁー立派な熊だろうぉっ!」
「あぁ~・・・」
「この一番小せぇーのが俺が仕留めた森熊なんだよぉー。いやーアリスちゃんがなぁっ!一瞬で2匹仕留めた訳よぉー良い腕してんぜぇっ!」
「こんな重い獲物を1人で1匹って無理あり過ぎだろう」
「それがよぉっ!お前からファルダ―ガパオ受け取らねぇーで、大物狙いに行っただろうぉーいやーまいったまいったぁー」
「・・・そっか。ファルダ―ガパオ返すから、1人で家まで帰るか?」
「・・・うーん・・・それも悪くわねぇーんだがよぉ!母さんやお前達の事がしんぺーだからよぉっ!お前に任せたぁー」
「取り合えず、渡しておくよ」
「おうよ」
「で、この熊は、俺に所有権が無いから、このまま一緒に移動させるけど、家の中に3匹は邪魔だよな?」
「この際だ、パパっと、玄関前に頼むっ!」
「はぁ~・・・分かったよ。森熊を持って先に移動するから、ちょっと待っててくれ」
「おぉー!」
俺は、森熊を3匹重ねる。
「ロイク。お前って力もすげぇー強くなったんだなぁっ!」
「言われてみればそうかもな・・・熊を片手で動かす何て、前は出来なかったし」
「すげぇーなぁっ!今度俺にもやり方教えてくれよぉー」
「簡単だよ。掴んで持ち上げて動かすだけ」
「おぉ・・・そっかぁっ!簡単そうだなぁっ!」
・・・それで出来るなら皆やってるって・・・はぁ~・・・【フリーパス】移動 ≫
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――― アンカー男爵領マルアスピー
ロイク実家 玄関前
――― 6月5日 24:05
俺は、3匹の森熊と、玄関前に移動した。
「母さん!」
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≪ガチャ
「どうしたのロイク」
「この熊3匹が獲物で、これを3人で家まで運ぼうとしてたみたい」
「あらあら。それでお父さんは?」
「直したファルダ―ガパオと一緒に、まだ大樹の森の中」
≪コツコツコツ
「転位召喚で早く呼んであげなさいよ。運の神様を待たせてはいけないわ」
「料理やデザートを待たせると問題ですからね」
「そうね」
『良く分かったわね』
簡単ですよ!
『あらそっ』
「【召喚転位】:対象・バイル・シャレット:場所・俺の目の前の熊の上 発動 ≫」
父は、玄関の前に山積みされた熊の上に現れる。
「うわぁっ!何だここ、おっとっ・・・」
「貴方!」
「おぉ!今けぇーったぞっ!」
「貴方とあの2人は違うんです。本当にもう何を考えているんですか!」
「でけぇー熊だろうぉー。俺が仕留めたのは、この一番ちーせぇー奴で......
父は、俺に説明した事を、熊の上に座りながら改めて語り出す・・・
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「気が済んだのなら、早く家に入って身体を綺麗にしてください」
「おぉよぉっ!俺は清潔感溢れるクリアクールガイだからなぁっ!ハッハッハッハッハ」
こいつは・・・