6-MS-48 共通点は悪気③ 捧喚石④
・・・
・・
・
「三mmから五mmサイズの紫色の魔晶石に良く似た石がゼルフォーラ湖で水揚げされた魚の胃の中から見つかり、気味が悪いし気持ち悪いって商人達が買い取りを拒否するようになってしまって漁師達が大変なことになってる。ですか……」
紫色の魔晶石に良く似た石ってだけでも気になるが、魔獣ではなく魚からってことの方が問題な気がする。
魔晶石は魔獣か神授スキル【マテリアルクリエイト】でしか生成創造できない。魚からってことは魔晶石に似ているだけで何か別の物って可能性が高い。
「湖で漁をし生計を立てていた者もそうなのですが、私達妖精種もかなり深刻な状況になっています」
「ククイム州とフィーラ州とカトムーイ州は妖精種の移住者が増えてるって聞いてはいましたが、人口が増え過ぎて種族間で問題でも起きたんですか?」
「生活スタイルの違いから多少の行き違いは起きているようですが、衝突することなく話し合いで解決できているようです」
「フィーラでは各種族の代表が集まり種族の垣根を越え協力して町を盛り立てていこうとまとまったばかりです。何より、過酷な時代を支え合い補い合い耐え抜き乗り越えた者達が多く暮らす町です。あるのは子供の喧嘩くらいです」
「獣人種は族血統派生が多い種族です。昔から住み分けと言いますかグレーゾーンを設けることに長けています。その為、許容範囲が広いと言いますか大雑把と言いますか細かいことを気にしないと言いますか、他種族を気にしていない訳ではないのですが、他種族に何か言われても聞いてないと言いますか……」
「ククイムもフィーラもカトムーイも市民生活は安定してるって考えて良いんですかね?」
「…「「はい」」…はい」
メリアさんとバルサさんは力強く返事を返してくれたが、ククイムの執政官を任せているカトリーヌさんは少し考えてから控えめに返事を返してきた。
「種族間に大きな問題はないのですが、妖精種の食性が……」
何か言い難そうにしてるようだが、いったいどうしたんだ?
「カトリーヌさん、妖精種の食性がどうかしたんですか?」
「妖精種は綺麗な水で育った淡水魚、綺麗な水で育った花の花弁と蜜、豊かな森で育った大木の樹液と木の実しか口にしません。たまに自然魔素を沢山含んだ果物や、……わ、私のように何でも食べる雑食の妖精種もいますが、一般的には花弁と木の実と淡水魚を食べ蜜と樹液を飲み暮らしています」
カトリーヌさんは経験豊富な大女優。これは照れた芝居かなにかだろうか。突然芝居を始めるのも変か。だとすると、顔を、耳まで真っ赤にして俯いているこの状況は、素で何かに照れてるってことなのか? 今の話のいったい何処に照れる要素があった? ……良く分からない。分からないし、俺は何も気にしてないんでって感じで話を続けてしまおう。
「確認ですが、妖精種も食べようと思えば他の種族と同じ物を食べられるってことで良いんですよね?」
「……は、はい。そうなります」
「皆、カトリーヌさんみたいに食べたら良いのに、何で食べないんでしょう。美味しい物っていっぱいあるのに勿体ないですよね」
「そ、そうですよ。勿体ないし美味しいものばかりいっぱいあります。私がおかしいとかじゃないと…………お、思います」
貴重な時間をありがとうございました。




