6-MS-41 集団転移と大贄儀礼の間の魔力陣、どうやら無関係みたいです①
緊急って言う程緊急でもないが呼び掛けに応じ集まってくれた俺の家族眷属達。
地下とは思えない程に広い大贄儀礼の間の祭壇の傍で顔を合わせながらのレソンネによる話し合い。
神々様方に頼み切りは良くない。脱神頼みで前に進んで行こうと決意し始まった話し合い。
chefアランギー様やフォルティーナが参加していないのに断線しまくる話し合い。
脱神頼みとか口だけで実際には眷属神や眷属亜神が目白押し脱どころか入しちゃってる感が否めない話し合い。
なんだかんだとまとまり、いざ行動に移そうという段になって、まさかのカミングアウト。
フォルティーナの口から次々に齎される新事実とchefアランギー様とロザリークロード様から齎される情報過多な補足。
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先代バハムートを拘束していた時はギリギリのところで大丈夫だった。
先代バハムートを拘束する以前はあらゆる意味で不足していて儀式は成立していなかった。
先代バハムートを欠いた状況で儀式を強行し魔力陣は暴走させた。
暴走の原因は幾つかあってそれらが絶妙に絡み合った結果だという。
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「ギリギリのところで大丈夫ってどう言うことですか?」
「何を言ってるね。良いかねロイク、君が神気を使う時、誰の神気を使っているね」
何言ってるんだこいつ。
「神気って自分の以外も使えたりとかするんですか?」
「何を言ってるね。そんなことが出来たら神様皆創造神様ハァハァ~だね」
……我慢して話を続けよう。うん。
「それで神気を使う時がどうかしたんですか?」
「だからだね。誰の神気を使っているね?」
「自分のです」
「その通りだね。つまりだね。神気とは例外は当然大いに存在するがだね、概ね神本柱以外には使えないね」
だから何だ? フォルティーナは結局何が言いたいんだ?
「パトロン殿よ。つまりフォルティーナ様はこう仰りたいのですぞぉー。半神半竜の亜神ではありますがバハムートは歴とした神、微弱とはいえ神気を有する存在なのです。バハムートの神気は例外を除きバハムートにしか扱えません。バハムートありきバハムートを触媒とした儀式だったからこそ成功していたのですぞぉー、はい」
「その通りだね」
嘘くせぇ~~~。
フォルティーナがここまで考えて喋ってるとは思えない。chefアランギー様からフォルティーナへと視線を移す。
やっぱりか。何となくそんな顔してるんじゃないかなって思ったよ。その残念なドヤ顔ホントに止めた方が良いですよ。本当に勿体ないんで……。
「ここに居た連中はバハムート嬢を少しばかり力の強い竜種その程度にしか考えていなかったのであろう。それもまた儀式を成功させる要因となっていたようだ」
「その通りだね」
……ま、いいか、フォルティーナはもういいや。ロザリークロード様の話に集中しよう。
「強大過ぎる力は触らぬ方が良い」
「ふっ、これを触らぬ神に祟りなしと言うね」
「神の力は下界の創造物如きに扱える代物ではない。仮に神本柱と言う触媒があったとしてもだ」
「でも儀式は先代バハムートがここから居なくなるまで成功してたんですよね?」
「その通りだね」
「理性を失い指向性を失った竜気によって奇跡的にだ」
ダメだ。話が未だに良く理解できない。それにしても邪魔だ。
チラ見で一瞬だけ残念な顔を確認する。
「パトロン殿よ。つまり邪神竜、この場は憩いの場家族団欒の場でしたな。然らば、パトロン殿の奥方ロザリークロード殿はこのように申しているのですぞぉー。神気も竜気も例外を除き基本的には本人にしか扱えません。ですが本人と言う触媒の有無によって例外以外の第三者であってもそれが可能となる場合が稀にあり、その稀が奇跡的に続いてしまったと。はい」
「概ねそうである」
「うんうんその通りだね」
神気は無理でも竜気ならギリギリ何とかなるとかそんな感じか。
「それにだ。悪気は我が主によって冥界より亜下界へと齎された力」
冥界って死んだら最初に行くところだって旧教は言ってたけど、その冥界か?
「一つだけ確認させてください」
「何だ我が眷属ロイクよ。今の話の何処に分からぬところがあったと言うのだ」
「分からないとかじゃなくて、確認ですね。冥界って死んだら行くって言われてたあの冥界のことであってますよね?」
何とも言えない可愛らしさで小首を傾げる幼女姿のロザリークロード様。
「死んだら行くだと…………何故だ?」
「何故と言いますと?」
「態々死んでから冥界へ行くのは何故だ?」
「何故でしょう?」
「ロイク、ふざけておるのか? 阿呆な会話はこれで懲りておるのだ。面白半分で我で遊ばぬ方が良いと忠告しておこう」
ロザリークロード様は目配せと右の人差し指でフォルティーナを指し示しながら何度も溜息を零していた。
激しく同意する気持ちを抑えながら、何だかちょっとデリケートな話題っぽいこの話題には触れず、話しを戻し続けることにした。
「悪気はメア発ではなかったんですね。それで、その悪気が冥界から齎されたとして、今回の件とはどう繋がるんですか?」
貴重な時間をありがとうございました。