6-MS-28 正しい。間違ってる。いったい誰が言い出した。
今日(R4075年10月25日)も長かった。
俺はふと思ってしまった。『村を出てからいったい何をやってるんだ』『どうして王様なんかやってるんだ』
強制イベント王様に謁見する。サブイベント母さんの手紙を届ける。
マルアスピー村から王都モルングレー。王都モルングレーから港湾都市サーフィス。旅の途中にある町や村にお邪魔しては観光する。全てを終えたら村に戻る予定だった。
そもそも『管理者って何。俺、何で管理者なんてやってんの?』
そもそも『神様って何。俺、何で神々様方に囲まれて生活してんの?』
そもそも『精霊様』って『高位種族』って『旧文明』って『古代文明』って『プリフェスト下界』って『メア亜下界』って『KANBE下界』って『神界、神域』って『精霊域』って『冥界』って『地下0階』って『聖邪獣様』って『ゴルゴーンの真実』って『スタシオンエスティバルクリュ』って『アシュランス王国』……って。
これは、省みる以前の問題じゃないか。納得がいかないまま次々と色々なことを積み重ね次々に色々なことが積み重なり、追い付いていない。
一度立ち止まって、ゆっくり考える時間が……って、そんな余裕はない。そんな時間があるならもっとこう何か色々片付いてるはずだ。
来年の二月二十三日の十五時頃に北の地の何処かで起こるらしい【来る悪】に備えなくては……。
そうなんだよなぁ~。日付と時刻だけで漠然としてるからこんなことになってるんだよ。もっとこう分かり易く簡単にはできないんだろうか?
無理なんだろうなぁ~。創造神様からの神授もフォルティーナやchefアランギー様との会話も他の神々様方との会話も凄い頻度で情報不足だからなぁ~。何より俺自身の能力がいまいち適当過ぎる。何か色々と高スペックにはなったようだが知能というか頭脳というか知的になった感じが全くしない。
そうか。『要領を得ない』のは俺のせいか。……確かに悩んでも何について悩んでいるのか分からなくなることが存外多い気もする。仕事の時間以外で仕事をしていると脱線して結局何をやっていたか分からなくなることが案外多いような気もしないでもない。
よくよく考えてみれば、邪魔されることが頗る多いようにも思えるが、ようは俺の……俺が問題じゃないか。
そうだよ。俺がダメだったんだ。『創造神様。俺、今、気付きました。やっと、気付けました。俺がダメダメだったんですね。俺、てっきりフォルティーナとか旧教とかガルネスとかホノクレマとかシュヴァルツとか天使とかその手の類がダメなんだとばかり。もう、迷いません。ダメなら変えてしまえば良い。そうですよね、創造神様。俺、生まれ変わります。そして来る悪に備えます。皆で乗り越えてみせます。見ていてください』
……まずは、フォルティーナをどうすからだな。
・・・
・・
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「ロイク...... ~ ......ロイク、……ロイク、聞いているのかね? 良いかね。アタシはそろそろゴルゴーンだとか創造神からの指令だからとかそういったくだらないことに振り回される時代は終わったと思っているね。つまりだね。アタシは竜のことで忙しいね。己のことは己で何とかするという諺が神界にはあってだね」
この女神はさっきからいったい何をいっているんだ? 毎度毎度毎度、ホント意味が分らん。
食後のティータイムは団欒の時間だ。その団欒を乱す為、俺の隣に座ったとしか思えない女神。
右隣に座るフォルティーナを無視し思考を巡らせ続ける。
・・・
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そして、一つの結論に達した。
そうだ。このままフォルティーナには関わらないで貰おう。
「己のことは己で解決する。素晴らしい言葉を教えてくれてありがとうございます。こっちのことは一切気にせず竜の飼育だけを兎に角頑張ってください」
だから、俺に関わらないでください。既に手遅れのことは仕方がないんで諦めます。
なので、お願いします。もう、邪魔だけはしないでください。
「フォルティーナは畏怖と畏敬の対象第二神の神様なんです。コルト下界のことなんて気が向いた時に何となく気にするくらいで十分なんです。コルト下界を信じて見守っていてください。偉大な神様は皆そうしてるって聞きました」
……たぶん、こういう考え方の神様もいるはずだ。知らんけど。
貴重な時間をありがとうございます。