1-32 魔術革命と、神聖文字。
宜しくお願いします。
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【タイトル】 このKissは、嵐の予感。
【第1章】(仮)このKissは、真実の中。
1-32 魔術革命と、神聖文字。
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――― アンカー男爵領マルアスピー
ロイクの実家 居間
――― 6月5日 15:40
大樹の森の聖域の精霊樹に宿りし精霊で世界創造神様公認の嫁で大精霊マルアスピー様と、契約奴隷パフ・レイジィーさんと、母メアリー・シャレットと、俺は、昼食を済ませると居間にある暖炉の前のソファーに移動し思い思いに寛いでいた。
俺は、生き物や食材への感謝、料理や食の有難み、母への感謝、パフさんの有難みを実感しながら、甘さ浅はかさに気付けずに生きて来た無力な己を省みていた。
マルアスピー様の美味しい物を作って食べさせてあげたいという気持ちを汲み、勇気を振り絞り立ち向い激しい後悔と挫折を味わう事となった愛情の塊。志半ばの者は決して口にしてはいけない死の足音が響き出す愛情の塊。そんな愛情の塊がこの世界には存在する。知らなかった・・・
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――― 6月5日 15:50
「ねぇロイク」
「何ですか?」
「考えたのだけれど、私には卵を使ったデザートはまだ早いと思うのよ」
「はぁ~・・・」
「それで、プディングは卵を極めてから挑戦する事にしたわ。まずは、卵を使わないパンナコッタね!」
「マルアスピー・・・・・・オムレツって、デザートじゃないですからね」
「あら、そうなのね・・・ふ~ん」
「マルアスピー様。次も頑張りましょう」
「そうねパフちゃん」
「アスピーちゃん専用のフライパンを準備しておくわ」
「有難うございます。メアリーママさん」
「良いのよ・・・新しくしようと思っていたところだし」
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「そうだった。母さん。王都への旅の途中でまだロイまでしか行って無いんだけど、マルアスピーが見立てたプレゼントがあるんだ」
「アスピーちゃんからのプレゼント?」
「えぇ~私が選びました。ロイの特産品の綺麗な石です」
「出しますね」
可視化:道具・装飾品・空色金剛石のイヤリング【歓喜の涙】:取り出し≫
≪・・・道具・装飾品より【歓喜の涙】を取り出しました。
空色金剛石のイヤリング【歓喜の涙】が、マルアスピー様の手に現れる。
「白金細工に、青い金剛石かしら?」
「えぇ~空色金剛石という宝石です。10ctの石が1つずつのシンプルなデザインにしました」
「マルアスピーがデザインを考えて、俺のスキルで創造したんだ。空色金剛石はロイで知り合いになった宝石商から購入したんだ」
「まぁ~、アスピーちゃんとロイクの手作りって事ね。嬉しいわ」
「歓喜の涙。私が名前を付けました」
「名前を持った宝石なのね。アスピーちゃん有難う」
「装備者指定武具の効果と、付与付加の範囲の実験も兼ねて色々やってみたんだ」
「私専用の宝石なのね」
「母さんと、母さんが一時的に貸し出しを認めた家族や仲間だけが身付けられる様に工夫してみた。」
「アスピーちゃんが持っていて平気なのはそれでなのね」
「それはまだ、装備者指定武具が機能していないからだよ。母さんが、歓喜の涙に触れた時から、装備者指定武具が機能する様になってるんだ。それで、範囲の話だけど、身に付けた状態で、半径7m以内の家族に状態異常【毒】【麻痺】【睡眠】【沈黙】【暗黒】【失聴】【呪い】の無効化の効果が付与されるようにしてみた。7m以上にすると五感以外の状態異常【毒】【麻痺】【睡眠】【呪い】を完全に回避出来なくて、結局7m以内って制限付きになっちゃった」
「ほぼ全ての状態異常を無効化出来るイヤリングなのね・・・世界中何処を探してもこれより素晴らしいイヤリングは見つからないでしょうね」
「フッフッフッフ!メアリーママさん。それだけではありません」
「あらあらまだ何かあるの?」
「メアリーママさんが所持している水属性と風属性限定で、人間種の日常的な生活の範囲であれば、魔術を使っても【MP】を消費しません。ロイクが大地石を応用して空色金剛石に風と水の【MP】が自動で集まる様にしたからです。風と水の魔術を発動する時は空色金剛石が反応して、【MP】を放出します」
「【回復水・MP】を持ち歩く必要が無くなって経済的ねぇ!」
「母さんの魔術レベルなら、空色金剛石が放出する【MP】の量よりも、空色金剛石が集める【MP】の量の方が多いから、気絶する心配は無くなると思う」
「メアリーママさん。私のお母さんになってくれてありがとう」
マルアスピー様は、俺の母に歓喜の涙を手渡した。
「こちらこそ、ありがとう。大切にするわ。・・・付けてみても良いかしら」
「はい」
母は、歓喜の涙を耳に付けた。
「メアリーママさん。早速ですが【ブロウ】を2~3回良いかしら」
「【MP】消費の確認ね?良いわよ。息吹の風よ力を求めしその名は【ブロウ】≫息吹の風よ力を求めしその名は【ブロウ】≫息吹の風よ力を求めしその名は【ブロウ】≫」
母は、玄関のドアに向かって風属性の下級魔術ブロウを3発発動させる。
≪ビュッ―――ン
≪バァッン
玄関のドアが、1発目のブロウで粉砕した。
≪ビュゥ――――――― ブゥー―――ン
2発目と3発目のブロウは、小さな渦を巻きながら家の外へ飛び出した。
「あら、大変。ドアが・・・」
「・・・これって、もしかして」
『えぇロイクの精霊魔法と一緒ね』
自然魔素を人間が扱える様に清澄魔力に変換して、魔術として発動出来る様にしただけで、この威力になっちゃうんですねぇ~・・・
「ドアを壊してしまう程の威力のブロウを3回も使ったのに【MP】の消費を一切感じ無いわ。でもちょっと強過ぎてこれではダメね。・・・もう少し加減をして、息吹の風よ力を求めしその名は【ブロウ】≫」
≪ヒュゥ―
母は、ロウソクの炎を吹き消す位の風を発動させた。
「こんな感じね」
「母さん。それどうやったの?」
「どうって、今迄の感覚で魔術を使ったら、ドアが壊れてしまったでしょう。だから、今迄の感覚より加減してみただけよ」
「へぇ~」
『ロイクが加減が上手に出来ないのは、魔術の感覚が養われているかいないかが原因なのかもしれないわね』
だと思います。魔法が扱える様になってまだ数日の俺と、30年位使い続けて来た母さんとじゃ、やっぱり差があると思います。
「あのぉ~・・・」
「どうしたのパフちゃん」
「ドアが粉々に・・・」
「大丈夫よ。ロイクが修復のまほ・・・魔術であっという間に直してくれるわ」
「壊れた物を直す魔術もあるんですね」
「ロイク。貴方、アスピーちゃんと一緒になってから、益々成長したのね。母さん嬉しいわ」
「成長っていうか、スキル過多にはなってきたかな。増えたのは良いけど使った事が無いスキルばかりだよ」
【zungereparieren】≫
俺は、玄関のドアが在った場所に手を翳し、修復修繕の魔法を発動させる。粉々になったドアは、玄関の定位置に何事もなかったかの様に復元した。
「今の魔術は何でも生み出せる創造の神授スキルとは違うみたいね。壊れたドアの破片が宙に集まって元の姿に戻った様に見えたわ」
母さんは、zungereparierenに興味がある様だ。
「今のは、コルト大聖堂の大神官長様から教わった魔術で、zungereparierenって言うんだ」
「古代魔術の1つなのかしら?」
「これって古代魔術なの?」
「魔術名が、教会の讃美歌の言葉に発音が似ていたからそう思っただけよ」
「へぇ~・・・この村には教会が無いから、讃美歌とか1つも知らないや」
「神聖文字をコルト語で発音すると、古代言語。古代語ですね」
「マルアスピー・・・神聖言語もコルト語も聞いた事がないんだけど」
「アスピーちゃん私も聞いた事が無いわ」
「私もです」
「あら、驚きの展開ね。コルト語は人間種達全種族の言語の基礎になっている言葉よ。神聖文字をコルト語で発音すると古代語ですし、ナンフ語で発音すると精霊語です。サージュ語で発音すると聖獣や邪獣達の文字を持たない言葉になります」
「最初の言語は、神聖文字って事ね!」
「はい。メアリーママさん......
***言語の説明***
≪神聖文字≫
全ての言語の基礎となる文字。
≪コルト語≫
神聖文字を人間種達の言葉で発音した物。
≪ナンフ語≫
神聖文字を精霊種達の言葉で発音した物。
≪サージュ語≫
神聖文字を聖邪獣の言葉で発音した物。
≪古代語(古代言語)≫
コルト語を文字にした物。
【古代魔術】は、神聖文字をコルト語で、
発音し発動させる。詠唱時間が長い物が多い。
≪旧言語≫
ナンフ語を文字にした物。教会の浮彫細工の
模様は旧言語を崩し描かれている。
【精霊魔法】は、神聖文字をナンフ語で、
意識する事で発動させている。
≪≪古代語(古代言語)の派生言語≫≫
①アルブル語圏
人間種:人間族、小人族、巨人族
②ウヴェール語圏
人間種:獣人族、竜人族
③カノン語圏
人間種:妖精族、樹人族
④エーヌ語圏
人間種:魔人族
***説明おわり***
......アルブル語が、人間種達の共通言語になったのは、魔術革命が起きた頃だと本に書いてありました」
俺達は、ひょんな事から、古代語・古代言語について暫し語り合う事となった。
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――― パマリ侯爵領コルト
中央病院 屋上 院長専用の部屋
――― 6月5日 16:30
コルトの中央病院へ移動した俺は、マルアスピー様とパフさんをパフさんの母リディア・レイジィーさんの病室に残し、中央病院の院長でワルテール・ボルニ―家来男爵様の父親ヨルゴ・ボルニ―前家来男爵(74)と共に、中央病院の屋上に増築された院長の専用部屋に居る。
タブレットの道具を収納する機能は写真撮影だけではなかった。動画撮影で画面内に浮かび上がった俺に所有権のある道具もまた自動収納する事が可能だった。
「あれだけの数の書物が一瞬かぁ~・・・木簡や石板、羊皮紙に巻物に鉄板に彫られた文字。書物は書籍以外にも沢山あって管理が大変でのぉ~中には重過ぎて先祖がどうやってここに運び入れたのか疑問な物まであったのじゃ」
≪・・・道具・書物を更新しました。情報知識を更新しました。
「いただいた書物の整理が終わったみたいです」
「何じゃと?解読不可能な物も沢山あったと思うのじゃが」
・・・書籍の数の整理が終わったって事にした方が良さそうだ。マルアスピーそっちは退院の準備終わりましたか?
『お金の話をしているみたいね』
もう少しかかりそうって事ですね。
『そうね』
表示:10ラフン以内に収納した道具全て ≫
≪・・・表示しました。
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R4075年06月05日(風)時刻16:38
【木簡】392枚
【石板】87枚
【巨石・石像】6個
【羊皮紙】20091枚
【金属板】502枚
【武具】17点
【巻物】2巻
【書籍】340221冊
【魔術用紙】199枚
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これ生きている間に全部読むの無理そうだよ・・・
『あら?』
どうしたんですか?
『パフちゃんに、FORMカードの家族カードを発行しましたか?』
マルアスピーにしかしてませんよ。
『そうよね・・・パフちゃんの身分カードがMGカードに変わった様に見えたのよ。自然魔力を感じませんでしたから、神気かもしれないと思ったのですが、勘違いだった様ね』
「ロイク殿。どうかされましたかな?」
「・・・ちょっと考え事をしてました。書籍だけで、34万冊以上あるみたいです」
「そんなにありましたか」
「把握して無かったんですか?」
「儂が産まれる前から、あの有様だったそうじゃ・・・数える気になった先祖もおらんかったのじゃろう。かく言う儂もその口じゃがな!」
「なるほど。因みに武具も混ざっていた様ですが、どうしますか?」
「あれかっ!あれは、古代語で彫られた文字が書いてあっての、まったく読めんかった故・・・すっかり忘れておったわ」
「古代語ですか!」
「経典や医療、魔術の1部や、古代魔術の時代に存在していたと言われる魔法に関する記述のほとんどが古代語で書かれておる」
うん?今、魔法って・・・
「古代魔術は知っておるな?」
「はい」
「古代魔術は古代語を知る上で数少ない単語のパーツなのじゃが、その中に幾つか古代語の発音と異なる物が存在しておってな。その異なる物の多くが魔法に関する書物に度々出て来るのじゃ」
「魔法と発音・・・」
「そうじゃ。古代魔術の中に、明らかに言語形態が異なる物が混ざっておるのじゃよ。bagageやGepäckや魔導具のファルダガパオがその1例じゃ」
「bagage?Gepäckって、聞いた事が無いです」
「Gepäckはファルダガパオの普及によって忘れ去られた魔術じゃよ。音の響きが古代語の様に聞こえるが、Gepäckは第5次魔術大革命以前400年位前までは一般的に使われていた魔術でな。この魔術の旧式が、古代魔術bagageなのじゃが響きが古代語に聞こえんじゃろう?」
「はい。Gepäckの方が、古代語の音に似ている気がします。bagage・・・」
bagage・・・何処かで聞いた事がある様な?
『ナンフ語でファルダガパオの事よ』
ナンフ語?
『私達精霊の言葉よ』
あぁ~旧言語とか言ってたあれですね。
『えぇ』
マルアスピー。精霊様の言葉が古代魔術に、どうして使われてるんですか?
『そうねぇ~どうしてかしら』
「儂は、古代魔術よりも古い時代の魔術の事を、先人達が魔法と呼んでいたのではないかと考えておってな......
『ロイクの家にも私達の生活様式が溶け込んでいましたし、過去に人間種達と交流を持た精霊がいたのかもしれないわね』
......仮に古代語よりも更に古い言語が、魔術革命以前の時代に使われていたとしたら、それが古代語と発音が異なる......
『4075年前の私の母の例もありますし、人間種と精霊種の文化や言葉が少なからず影響しあった可能性を、否定する事は出来ないでしょうね』
まぁ~マルアスピーと俺のケースもありますからね・・・
『そうね。フフフッ』
......魔法は魔術の原点だと考えられている古代魔術の原点。つまり魔術の原点は魔法じゃと儂は個人的に結論付けておる」
「古代語を研究しているところってあるんですか?」
「当然存在する。王都の王立大学学芸院や、宮廷魔術師研究所。世界創造神創生教会の学問所。図書館や協会。儂の様な人間もおる訳じゃからのぉ~」
話が長くなりそうだなぁ~・・・用事がある訳じゃないけど魔法の事はマルアスピーから聞いた方が正確だし・・・
『フフフッ』
それなら。
「ヨルゴ院長。先程、第5次魔術大革命と仰っていましたが、今は何回目の革命の後なんですか?」
「知らんのか?」
「はい。俺の育った村には教会が無かったので、村長様や両親から必要最小限の事しか学んでいません」
「プティアカデミーも無い集落という事か・・・ならば第1次から教えようかのっ!」
あれ?この質問を振ったのは失敗か?
「まずは、魔術革命からじゃ......
***魔術革命と第〇次魔術大革命の説明***
≪魔術革命≫
4075年前。
王位を継承したゼルーダ・ルーリンは、
ガルガンダ・アントン男爵の
大ゼルフォーラ王国からの独立を認め、
大ゼルフォーラ王国は、
前ゼルフォーラ王国と、
ヴァルオリティア帝国に分裂した。
前ゼルフォーラ王国の初代国王は、
大ゼルフォーラ王国最後の国王、
ゼルーダ・ルーリン。
ゼルフォーラ大陸の北の大国
ヴァルオリティア帝国の初代皇帝は、
ガルガンダ・アントン。
後の皇帝ガルガンダ・ルイーズ。
独立の背景には、
アントン男爵領ラクールで
開発された魔導具。
【魔術師の杖】を装備した
魔術の心得を持たない者達によって組織された
魔術部隊の存在が大きい。
ガルガンダ・アントン男爵は、
即席の魔術部隊の武力を背景に
独立を宣言。
ゼルーダ・ルーリンは、
戦争を回避する為、
一方的な独立を
追認する形で認めた。
この杖の魔導具が登場した時代
4075年前を魔術革命という。
【第2次魔術大革命】
リーファ歴18年
魔導機関【魔導上水システム】
魔導機関【魔導下水システム】
フィンベーラ大陸のラグナ王国で
開発される。
世界中で採用された上下水システムは、
水の革命といわれる。
特許の概念がまだ無い時代だった為、
ラグナ王国が資金的に潤ったという
記述は残っていない。
ただし、現在も【水の大国ラグナ】や、
【衛生国家ラグナ】と呼ばれる。
【第3次魔術大革命】
リーファ歴201年
魔導具【スヴェートトルゥバー】
光の革命と言われる。
発表者も国も不明な灯りを生み出す
光の魔導具は、様々な様式に発展を遂げ、
現在の生活に欠く事の出来ない物の
1つになっている。
【第4次魔術大革命】
リーファ歴3000年
LIFE・SKILLの付与の実用化
ターンビット王国の息吹の谷の
魔導研究所で発表されたスキルを
人間種人間族小人族巨人族間で
付与し合う魔術は、
人間族小人族巨人族を、
世界を牽引する民族へ導いた。
ターンビット王国は
世界の中で唯一の超大国としての
地位を確率した。
【第5次魔術大革命】
リーファ歴3674年
魔導具【ファルダガパオ】が、
ゼルフォーラ王国の
王立大学学芸院で開発される。
発表と同時に瞬く間に世界中に広まり、
交易輸送旅行に大革命を齎した。
特許期間99年間の利益によって、
ヴァルオリティア帝国に後れを取っていた
ゼルフォーラ王国は魔術途上国から、
世界の大国の仲間入りを果たした。
【第6次魔術大革命】
リーファ歴3801年
魔導具【身分カード読み取り専用機】
魔導具【身分カード書き込み専用機】
魔導具【身分カード】が、
ゼルフォーラ王国の軍で開発される。
発表と同時に
人間族、小人族、巨人族、
獣人族、竜人族の国では、
成人した者に対し所持する事を
義務付けた。
樹人族、妖精族、魔人族の国では、
現在も身分カードは普及していない。
特許期間99年間の利益によって、
ゼルフォーラ王国は
息吹の大国【ターンビット王国】
魔術の大国【ヴァルオリティア帝国】
と並び、
大樹の大国【ゼルフォーラ王国】
と、呼ばれる様になる。
世界三大大国時代の幕開け。
現在に至る。
***説明おわり***
......R以前にも魔術用紙の開発によって、文章を書物にまとめ残す事が可能になった文化革命もあるが、これはいつ頃起こったのか分かっていない。創生教会が社会生活を大きく変化させた事もあったが革命とまでは呼ばれておらん」
まだ、続くのかぁ~・・・失敗したなぁ~・・・
『フフフッ。こちらもまだ清算が終わっていませんし、ゆっくり勉強すると良いわ』
他人事だと思ってぇ~。
『フフフッ』
「何じゃと思うかのぉ~」
「教会が俺達の生活に変化を齎したんですよね?」
「そうじゃ」
「・・・う~ん。16歳の神授や、戸籍管理位しか思い浮かばないです」
「魔術によるJOB・cho(本職)の任意選択を可能にした事じゃ。これによって、親から継承したJOB以外の仕事に就く事が可能になった訳じゃ」
「転職のシステムって教会が生み出したんですね」
「転職というか、生まれた時に所持しているJOBその物の変更じゃな。JOB(本職)が医者でなくとも医者が出来る訳じゃからのぉ~」
「なるほど。何年位前の話なんですか?」
「JOBの任意選択は、1000年程前じゃと言われておる」
「ハッキリしてないんですね」
「宗教が関わる快挙や事件は、その多くが歴史の中に埋もれたままなのじゃよ」
「分からない事がまだまだ沢山あるって事ですね」
「それが、歴史を探求する事の面白さ、机の上の探検。閃き想像の冒険。まさに浪漫という訳じゃ。話が長くなってしまったのぉ~病室に戻るとしよう」
「はい」
何か勝手に完結して、そっちに戻れる事になりました。
『良かったわね』
書物も貰ったし、古代語の事も少し聞けたし、結果オーライです。
『ロイクは神眼があるのだから、全ての文字を理解出来る訳ですし、書籍から得られる知識は豊富なはずよ』
あっ!・・・そうですね。忘れてました・・・
『神聖文字を読む事が出来る唯一の人間種。考えてみたら精霊の私よりも人間から離れた存在よね!ロイクは!』
ぁえ・・・?