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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-MS-15 白光の夜の日の黄昏②

「絶対神様の眷属? そのような世迷言に私が騙されるとでも? 我が領の神民達そして他領の神民達よ。私の発言が正しいことは皆が良く知っているはずだ。……絶対神様の眷属、神の名を騙るこの愚か者共をこのまま野放しにし、はたして良いのだろうか。否、答えは否だ。このような愚か者共が居続ける限り来る日は訪れない。絶対神様が我々に課した試練を忘れるな...... ~ ......」


 悪狼(あっおい)神様と悪狐神(ユーコ)様が姿を現し名を名乗った瞬間、刹那のタイミングで二柱様に噛み付いたのは、絶対神様に成りすました悪狼神様とユーコ様の神託を受け城門を解放した城に爾後の民を集め俺を待っていたゴンギーガァン・テル・エズヴェーネ教公爵だ。


 ゴンギーガァン・テル・エズヴェーネ教公爵は、ガルネス神王国で神王に次ぐ身分、教宰相(アシュランス王国なら第一首相みたいな感じらしい)で、旧教、邪教、汚教、悪教、誤教、糞教等多くの名を持つ世界創造神創生教で教王に次ぐ身分、副教王だ。


 つまり。ホノクレマ一世と同じ穴の狢な可能性が極めて高い面倒臭い存在という訳だ。


 ゴンギーガァン・テル・エズヴェーネのメア(亜)下界での立場を理解するとその面倒臭さが本当に良く分からる。


 長ったらして面倒なので、名ザド姓ゴンルード本名のザドと呼ぶことにする。


 ザドは、メア王国十二諸国区グレーテッドソウル(大王国)の今上猿魔王(本当は猿魔侯が正解)グシオンの長男。猿魔族(シーミア)の王族で次期猿魔王グシオンの立場にあった。(後日談になってしまうが、ザドは失踪手続き後に死亡が認められ廃嫡になっていた)


 猿魔族(シーミア)は、狡賢さと姑息さと意地汚さと食欲旺盛な雑食性と精力旺盛な繁殖性に特化した種族で、純粋な力比べでは下級種の悪人族(ヴィスズ)以下、純粋な悪気(あっき)比べでは中級種の人魔族(デーモン)並み。上級種にしては極めて低能らしい。ザドはそんな猿魔族(シーミア)の次期王になる予定だった男だった。


「あんたの言いたいことは分かる。分かるけどな、覆し様のあらへん事実は受け入れるしかあらしまへん。分かるなぁ?」

「そうだぞぉー。いつの世も諦めが肝心なんだぞぉー、コーンコーン」

「この不届き者共奴が。教宰相であり副教王の私に対しそのふざけた物言い万死と心得よ。()れっ!!」


 無人のガルネスを通り抜ける風の音だけが悲しく響く。


「なっ! 何をしている。 あの阿呆二人の首を今直ぐここに持って来いと言っているのです。聞こえなかったのですか」

「そら無理や思いますえ」

「そうだぞぉー。神授?神託だっけ?あぁ――――何でも良いよね。今ね、さっきみたいに神託?してるんだぞぉー」

「そやさかい、動けへんと思いますえ」


・・・

・・


 ザドは、絶対神様に成りすました二柱の神授が終わり目を覚ました爾後の民に取り押さえられ猿轡噛まされ簀巻きにされ地面に転がっている。


 呻き声を上げ身を捩る姿は無様でホント潔くない。


「彼等に何て伝えたんですか?」

「メアの子よ。神子に導かれしメアの子よ。二柱の眷属神に誘われ帰途を望むが良い。神子に全てを委ねなさい。神子の言葉は私の言葉、神の言葉、神子の言葉に従い汚らわしい呪詛の言葉を紡ぐ愚か者を止めるのです。メアへの帰途は開かれる」

「俺の指示って……」

「そないな小さなこと気にしとってはあきまへんよ」

「そうだぞぉー。気にする前に顔とか座高とかもっと気にする……コーンコーン。さてここからが本題なんだぞ」

「……本題ですか。真面目な話しみたいだし、今の話題は聞かなかったことにしますが、俺の顔にケチを付ける前にまずは親父にケチを付けてください。俺の座高に文句があるならまずは親父の座高に文句を言ってください。それで、本題ってなんですか?」

「……あ、あ、……バイルに言って来るからちょっと待ってるんだぞ」

「あ、え? 冗談冗談ですあっ!!」

「行ってもうたで」

「ですね」

貴重な時間をありがとうございました。

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