6-MS-14 白光の夜の日の黄昏①
白光の夜が起こったR四千七十五年十月十日大樹の日の夕食の時間の少し前、ちょうど二十三時頃。
コルト(下界)は光が世界を支配する時間から闇が世界を支配する時間へと移る逢魔が時俗に言う夕方黄昏時。
白光の夜の対策会議(記憶と調査結果の公開)を終えた俺は、実はもう一仕事頑張っていた。
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久々に食前の珈琲でも飲もうかなって思ってたのに、いきなり言ってくるんだもんなぁ~ホント自由だよなぁ~。
知らない場所に移動するってタブレットで地図を確認しながらでも結構大変なんですよ。
爾後の民を全員ねぇ~~~。
「ハァー、集落は幾つあるんだ?」
「ねぇロイク、一人でいったい何をしているのかしら?」
「え? あ、はい、何でしょう」
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「~ ......ようは各集落の爾後の民とか長とかを無人になったガルネス(ガルネス神王国の神都(首都))に集めれば良いんですよね?」
「そうね」
「ニューリートの方が状況とか説明し易いと思うんだけど、ホント、ガルネスで大丈夫ですかね?」
「心配いらないわ。悪狼神様と悪戯好きの狐が集めた後は任せてくれて構わないと言っていたのだから」
「そうなんですが。……寧ろそれが心配と言いますか。不安なんですよね……」
「そう」
興味の無いことには本当に淡々としてるよなぁ~マルアスピーは。
秘めた感情は非常に豊で情熱的なマルアスピー。表情の変化が少ないのは精霊様仕様だからと納得するしかない。全く興味が無い件ということもあり会話中に表情の変化は全く見られなかった。
確認したかっただけなんで別にいいんですけど、いいんですけど淡泊過ぎて何か何かが違う気がするんだよなぁ~。
「一緒に行きますか?」
「行かないわ。この後、パフちゃんとトゥーシェとメリアとカトリーヌと新商品の品評会を予定しているの」
「もう直ぐ夕食ですよ」
「えぇ知っているわ。後一時間半二時間後には食事の時間ね」
「分ってるなら良いんですけど」
「えぇ、リビングルームのドアの前でドアの横の花瓶に話し掛けているのが気になって話し掛けてみたのだけれど、……私の気のせいで良かったわ。一人でも……平気よね?」
「説明して集めるだけですからね」
「そう、なら良いわ、もう行くわ」
「あ、はいはい、それじゃ夕食の時に」
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神都ガルネスの東にあるイタフネスポートの領主の城の城門前にフリーパスで移動した。
「「「「「お待ちしておりました。神子様」」」」」
「うわぁ!!!! え、何?」
姿を現した瞬間、声を掛けられ、思わず飛び跳ねてしまいそうだった。
吃驚したぁ~。今ので一時間は寿命が縮んだかもな。……寿命があればだけど。まぁ~何だ、それはさておき。
「偉大なるメアの絶対神様より神託を授かり我等一同お待ち申しておりました」
「は?」
「御尊顔は神託で拝し存知ております。貴方様に偉大なるメアの絶対神様の神子ロイク・シャレット・ルーリン・ルナ・フォルティーナ・ロザリークロード・メアコルト様に我々の全てをお願い致します」
何かヘンテコな名前になってるんだが、ロイクって言ってるしたぶん俺のことであってるよね?
「何か長ったらしくて覚えられなかったんで、ロイクで良いですよ」
「お、これはこれは失礼致しました。俺様……私はここイタフネスポートの領主エズヴェーネ教公爵ゴンギーガァン・テル・エズヴェーネである、あります。この男は市長のバラバイデ・ゼスティリス。その男は副市長のゼレレモーガン・ジョブレレ。あの男が助役の一人でムンバババ・バリジョブ。ムンバババの隣の男も助役で」
「えっと、そんなにいっぺんに言われても覚えきれないので自己紹介は落ち着いたらでお願いします」
「そうでごいまするですね。はい、もう神子様の仰られるその通りでござるのですよ。もうはいお任せ致しますです」
城門を潜った先にある広場に集まっていた爾後の民とその家族達を【転位召喚・極】で無人のガルネスに転移させ、「全員を集める様に言われているんでちょっとここで待っててください」と言い残し、ガルネス全土を移動しまくる。
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移動しまくること小一時間。
神託のおかげもあり見事に遣り遂げた俺を待っていたのは、超勤。
貴重な時間をありがとうございました。