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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
437/1227

6-MS-12 ホノクレマとバハムート's

―――アシュランス王国・グランディール城

 地下3階・未決拘禁要人保護地区・大取調室B

R4075年10月25日(風)13:44―――


 水人の兄弟立ち合いによる取調が終わり?、前バハムートの妹と前バハムートと現バハムート立ち合いによる取調が始まった。


「ハァ~、先程からおかしいとは思っていましたが、納得がいきました。そうでしたか、フォッホッホッホッホ」

「何がおかしいんですか?」


「余りにも稚拙で絶句極まり言葉を忘れてしまうところでしたよ。おかし過ぎて怒りすら覚えてしまいそうです。言葉の通じぬ稚拙な者達に囲まれ少々頭痛と眩暈を覚えていましたが、なるほど納得がいきました、ここは子供の溜まり場。豫と無知で愚劣で残酷な子供達を同列にすることで豫を崇め讃えんとする豫の民の崇高なる精神を折ることが目的ですかな?」


 手とか怪我とか治してやらない方が良かったかもな。愚痴や嫌味や罵倒する言葉よりも先に普通はお礼だろうが。


 確かに怪我の原因はエリウスと水人の兄弟だけど、治したことに対して礼の一つ位はあっても良いと思う。


「もうたくさんだ。お遊びは終わりでよいな。豫は城へ帰る。案内せい」


「おぉーそうかそうか。では我の城まで案内してやろうではないか。古の世界の管理者殿よ。我の伯母上様をあー数千年」

「四千年」


 言い淀む幼女姿に化現したバハムートに、助け舟を出した幼女姿に化現した前バハムート。


「四千年間も拘束し精神と肉体を蝕み」

「精神の支配を少しばかり受けはしたが」

「四千年間も拘束し少しばかり精神を蝕み悪行に利用していたことは明白である」

「「ふむ」」


 言い間違いを前バハムートに訂正され、何事も無かったかのように仕切り直したバハムート。

 仕切り直したバハムートの言葉を頷き肯定する前バハムートと幼女姿に化現した前バハムートの妹。


「よって、竜魔王バハムートの名の下において、……あー貴様はえっと……古の世界の管理者殿よ。ちとお尋ねしたい。極悪人に個人情報の保護だったかプライバシーを守る権利だったかそれらの類は適用されるのだろうか?」

「連合にそんな法律はないですよ。そのあたりって道徳とか倫理にあたると思います」


「そうか。では、ちとステータスを見せて貰うとするか」


 バハムートの二つの黒い瞳が深紅に染まり不気味に輝き始める。


 自然魔素(まりょく)悪気(あっき)が混ざり合うとあんな感じになるのか?


「おや、古の世界の管理者殿は、あの()を見るのは初めてですか?」

「そうですね。ロザリークロード様、ルージュ達、竜王のクロージャ陛下、英雄のドラコさん、ゴットフリート(ゴットフリート・ルーダン・ローリング竜騎士隊隊長)さん、竜種(ドラゴン)の目とかなら結構見てますが、悪気が混ざったぁ―――――あっ、ジャンガヴァード・バジャ・ギャヴォググとエレオス・グラブードン・ザゲヴァドルバとディッギングリーグ・ゴン・ガァルゴードゥの目は見てますね」

「目は目でもその目ではなく魔眼鑑定眼の()(がん)の話です」


「あぁ、神眼とかそっちの話でしたか」

「古の世界の管理者殿よ。我が妹は口下手なのじゃ、許してくれ」

「そうですかね? 普通に話せてると思いますけど」

「ふっ、余り妹を甘やかさないでやってくれ、図に乗り易い口でな面倒な女なのだ」

「姉上様? オホホホホホ随分と楽しそうなお話を」

「そ、そうなのじゃ、楽しいのぉー、わ、我は眼の話をするのが好きで好きでもうたまらないのじゃ。ワー楽しいなぁ~……ホント楽しいなぁ~……」


 妹バハムートの顔色をチラチラと窺っては白々しい台詞を口にする前バハムート。


「姉上様は放っておいて構いません」

「ちょっと待てい。我の話はまだ終わっておらん。古の世界の管理者殿よ。お主は一つ大事なことを忘れておる。この眼じゃ」


 前バハムートは自身の眼を指差し、俺に何かを訴え続ける。


「ハァ~……姉上様。おふざけが過ぎますよ」

「は? い、妹よお前は何を言っておるのじゃ?」


「申し訳ございません。古の世界の管理者殿。姉上様は昔からこのようにお茶目で迷惑な女なのです。本人に悪気が無いことが最も厄介なところではあるのですが、そこを何とか我慢することが出来ればそれなりに適当に付き合っていけるとは思うのです」

「お、おい。妹よ。我とても酷いことを実の妹に言われて、今とっても傷付きかけたぞ」


 ……傷付いてはいないのね。


「このようにタフな精神を評価され、姉上様は前ではありますがバハムートとなられたのです」

「そうなんですね。そう言えば前にロザリークロード様が言ってましたよ。上に立つって意外に鈍感力が必要だって」

「お、おいちょっと待てい。今の物言いでは我が鈍感だと言ってるように聞こえるのだが」

「姉上様、聞こえる、ではなりません。邪神竜様より姉上様は鈍感だとお墨付きをいただいのです。とても光栄なことではありませんか」


・・・

・・


伯&叔母上(おばうえ)。先に、話を先に進めても宜しいでしょうか? 話を先に進めますよ!!」


「……ふむ、許す。良きに計らうのじゃ」

「これはこれは姉上様が申し訳ございません。私達に気を遣う必要はありませんよ。貴女(あなた)はバハムートなのですから」


「……あ…………ありがとうございます。」

「ふむ」

「いえいえ」


「あれ? 随分と静かですが……あれ?」


 ホノクレマが席にいない。というか、座っていたはずの椅子もない。


「い、いつの間に……」


 前バハムート姉妹と話はしてたけど隙を見せた覚えはない。……迂闊だった。相手は腐っても猫、猫だということを忘れていた。いったいいつだ? いったいどのタイミングで……。

「主殿。兇徒でしたらあちらに」

「あ―――」


 エリウスが指差した壁にはホノクレマがめり込み、床には椅子だった物の残骸が転がっていた。


「えっと、あれって、いったい何があったんです?」

「バハムート殿のデコピンを受けたところあのようになりました」

「そ、そうですか」


 まぁ、一応は加減してくれたってことで良いのかな、頭あるし。


 壁にめり込んだホノクレマからバハムートへと視線を移すとバハムートと目が合った。


「ステータスを視たら……ジャミングの疑いがあったのじゃ。そ……それでな意識がなければ何とかなると思ったのだよ。……古の世界の管理者共も視ると分ると思うのじゃ。……あれは...... ~」


 若干言い訳がましいところはあるが、言葉少なめ身振り手振りで必死に説明するバハムート。


 説明を聞きながら、改めて壁にめり込んだホノクレマの状況を確認する。


「もしかして」


 神眼を意識し壁にめり込んだホノクレマを視る。


「~ ......我、竜眼には自信があったのじゃ。これ、どうやって人化しておるのかは分らぬが、怪猫族(キャスパリーグ)なのだろう。最近の怪猫族(キャスパリーグ)は侮れんのぉー。我の竜眼を欺けるまでに強くなっていたのだな。国に戻り次第見直しが必要そうじゃ」

「あれ? 読めるようになってる」


「な、なんじゃと。古の世界の管理者殿にはあれが読めるのかっ!?」


「主殿でしたら当然のことです」


「ふむ、どれ……ふむふむ我の半神眼でも読めるようだが……」

「読めますね。姉上様。この阿鼻(あび)の汚怪猫族(雄)とはいったい何のことでしょう?」


伯&叔母上(おばうえ)も読めるのですかっ!?」

貴重な時間をありがとうございました。

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