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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
433/1227

6-MS-08 誤差2

 理解が追い付かず納得も出来ていない。だが、こういうものだそういうものだと割り切って今は考えないことにした。


 夕食の時間だからと帰界したが、夕食の時間まで後四時間近くもある。


 今日は帰界したらそのまま夕食を済ませ自由時間からの就寝時間。この予定で動いていた。


 つまり、俺は今、珍しく自由だ。四時間近くも自由の身ということになる。


 久々に属性の研究を。イヤ、ここは設計図のまま放置している魔導具を。イヤ、手狭になってきた寝室の拡張を優先するべきか。イヤイヤ、もっと他に。

「旦那様よ」

「やるべきことが、あはいはい、何ですか?」


 楽しい時間を頭に思い描きながら予定を練っていると、国王執務室をあとにしたはずのリュシルが執務机の前に立ち話し掛けてきた。


「旦那様も妾と同じであれば今日はもう予定がないはず。故に部下達を紹介する良い機会と考えたのだが、どうか?」

「部下ですか」

「先日、副王神(ふくおうかみ)アランギー様の梃入れで妾にも部下ができてな、会ってはくれぬか?」

「おっ!! 良かったですね。やっと専門のチームができたんですね。どんな人達なの気になるし早速会いに行きましょう」


 自由な親父が我が物顔で好き勝手にやってるので余り実感は湧かないが、リュシルは闇が支配する時間にのみ出現する迷宮の調査責任者ってことになっている。


 前々から、家族以外で迷宮の調査を安心して任せられるチームが欲しいとリュシルは話していた。どうやらそれが叶ったようだ。



「陛下、来局なされると連絡がありましたので急ぎ参りましたが本日はいったいどのような御用向きでございましょうか?」


 リュシルに部下を紹介したいからと言われ、気になり移動したのは何故かAIRA(諜報情報局)の一室だった。


 局長を任せている首相のルードヴィーグ・ダダ侯爵がとっても優秀そうな美人さん秘書を四人も引き連れ謁見のスタイルで膝を付き俺の言葉を待っている。


「リュシル。ホントにここであってるんですか?」

「旦那様よ。この部屋は妾の執務室になる予定故移動を頼んだまでのこと、部下達は隣の部屋で仕事をしておる。さっそく紹介しようと思うが、どうしたいか?」

「うん?」

「参るか、呼ぶか」

「あぁあそういことでしたか。新しい部屋なんですよね? せっかくだし見てみたいんで行きましょう」

「陛下、差し支えないようでしたら、御供致したいのですが、御同行の許可をお願い致します」

「ダダ卿何か硬くないですか?」

「公務中ですので何卒おゆるしくださいませ」


 サンドラさんタイプでいくって訳ね。言っても時間の無駄か。



 隣の部屋へ移動するとそこにはAIRAとは思えない妖艶な世界が広がっていた。


「皆の者、旦那様に紹介する故、前に出て整列してくれぬか?」

「「「「「はっ、夜王殿下」」」」


 やおう殿下?


「この者は、爺やの末娘で吸魔族(ヴァンピスト)のヤナじゃ。顔は若干幼くは見えるが体は成熟した立派な女子(おなご)じゃ、妾より年上故気にする必要はない。隊長を引き受けてくれたのだが。旦那様よ問題ないか?」

「トラヤヌスさんの娘さんでしたか、宜しくお願いします」

「トゥーシェのじゃなかったリュシルの旦那様かぁ~こちらこそ宜しくねぇ♡」

「ヤナよ。旦那様はトゥーシェと妾の旦那様故今の訂正は間違いじゃ、業務上相関は正確に把握するに越したことはない。勉強不足ではないか?」

「綾だよ綾。ちゃんと分ってるから安心して良いよ♡」

「それなら良いのだが、……こんな感じなのじゃが良いか?」

「リュシルが決めたならそれで良いと思います」


 トラヤヌスさんの娘さんってことだし何かあったらトラヤヌスさんに相談すれば良いし。それに何より良く分かってないしお任せで良いよね?


・・・

・・


「分隊長を任せることになった悪兎族(モーヴェバニー)のハイジィーじゃ。会ってから間もない故覚えているとは思うが羊魔族(オウィス)のスージーと三代前の羊魔王バフォメットの弟ジュレーヴィ・ザド・アドゥバスの息子羊魔族(オウィス)のフェルスと悪兎族(モーヴェバーニー)のペピの次女のハイジィーじゃ。覚えておるか?」

「お久しぶりです、ハイジィーさん」

「陛下、この度は身に余る光栄にございます」

「あ、はい」


 何だかとってもかたいんですけどぉ~……。


「この場をお借りし、改めて申し上げせさていただきます。一族を取り立てていただきましたこと祖父フォルカーに代わり深く深く心より感謝申し上げます」


 理解が追い付いていない俺の表情を察したのか、ルードヴィーグ・ダダが耳打ちして来た。


「陛下。ランドリートよりニューリートへ住民を移住させた際、水煙の聖域の玄関口を管理するフォルカー・テル・テュブール子爵を我が国に引き抜いております。その際、一族と使用人全員の生命と生活の保障のみを条件として提示され、それに感銘を受けたchefアランギー様が伯爵位をもって我が国に向かい入れるようにと神託され今に至っております」


 へぇ~そうなのか。俺何も聞いてないんですけどぉ~……。まぁー、chefアランギー様がやったことだし別に問題はないのか?


「旦那様よ。良いか?」

「リュシルが決めたならそれで良いと思います。ハイジィ―さん、これから宜しくお願いします」

「畏まりました」


・・・

・・


 チームは、想像以上に大掛かりな物だった。


 司令官のリュシル。隊長のヤナさん。

 司令官補佐の悪夢族(ナイトメア)のファティマさん。


 分隊長のハイジィーさんとアルマさんとダナさん。アルマさんとダナさんは夜女族(リリス)怪女族(ラミア)の上位種族の艶魔族(ケリオロス)


 隊員は、影魔族(シャドー)が三人。吸血族(ヴァンパイア)が十三人。夜女族(リリス)が十三人。怪女族(ラミア)が十三人。兎魔族(クニークルス)が一人。羊魔族(オウィス)が三人。悪兎族(モーヴェバニー)が六十六人。悪羊族(モーヴェシープ)が六十六人。


 女性オンリー、総勢百八十四人のチームだった。



 長い長い全員分の紹介が終わり、リュシルの執務室へ移動しようと振り返った時だった。


「「「「アシュランス王国AIRA諜報特務局特殊機密対策室、我等百八十三名、両陛下と共に」」」」


 ん? 闇の迷宮の調査チームじゃない?


 気にはなったが、彼女達から伝わって来る強い意思と情熱に背中を押され、執務室へと移動した。


「リュシル。彼女達の仕事って主に何ですか?」

「潜入故多くは語れぬが、旦那様が心配するようなことはない。部下達には命第一と厳命しておる。安心したか?」

「あ、……はい」

貴重な時間をありがとうございました。

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