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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-48 再びメア(亜)下界へ⑨ 転移先を見て回ろう⑦

「お兄ちゃんお兄ちゃん。何か長くなりそうだしさぁー、私の要件を先に済ませてしまって良いよねぇー。ねぇー?」


 老師ナディアは、ロジッドベリー侯爵とサザーランド陛下とトラヤヌスさん揉める三人を尻目に俺に話し掛けて来た。


「フォッフォッフォッフォッターンビットもまた必死よのぉ~……、南の海洋国家ララコバイアの老師殿よ。シャーレット王に話があるのだろう。彼等のことなど順番など気にせずともよいよい」


「お、おお、おぉお感動だよぉー、北の海洋国家ジャスパットには話の分かる年寄りがいるなんてぇ、そうだよぉー、家の国はもっとジャスパットを見なうべきだねっ、ねっお兄ちゃん」


 おかしい。俺の目の前には五人しか人がいないというのに、どうしてこんなにも五月蝿いのだろう。


 少し離れた場所にいる皆へと視線を動かす。


 あっちは皆楽しそうだ。普通に会話を楽しんでいるように見える。


「ねぇお兄ちゃん、私としては...... ~ ......だから良いよねぇー」


 まだ実験が終わってないからもう少しだけメアに残ってるつもりだけど問題ないよねだと老師ナディアは何を言ってるんだ? 問題しかないんですけどぉ!!!!


「コルトとメアは全く別の世界なんですよ。むやみやたらと」

「そうだねぇー。だからこそ実験あるのみって感じだよねぇー。やっぱお兄ちゃんは話が分かるねぇー」


 ……何か通じてないぞ。

「理由も無しに関わり合いを持つのは控えた方が良い」

「そうなんだよねぇー、何が起こるか分からないってところがもう魅力マックスでビンビンに痺れるところなんだよねぇー。私としてはだよぉー、悪気(あっき)だっけ? この悪気がさぁ~属性に与える影響があっちとこっちでどれだけ違うのかとかもう知りたくて知りたくてウズウズしてる訳なのだよぉー。でだ。もう一度話を戻してぇ―――、そうだねぇー言い直した方が良さそうだね。ララコバイアに蔓延していた呪いってこっちの世界の悪気が原因だよねぇ♪? お兄ちゃん」


 流石は好奇心旺盛な老師ナディア。と、いうべきか。


「肯定ってことで良いようだね。まぁーなんだ、こっちに来れたことで確証を得たのだよぉー。前々から地属性水属性火風聖邪光闇無とは違う何かがあるなぁーって、その何かがずっと分らなくて実験を繰り返していた訳なのだよぉー。でもさぁー、お兄ちゃん達でしょう? ある日突然その何かが綺麗さっぱり消えちゃってさぁーもうこの世が終わるのかもって」


 コルトに悪気は存在しない。正確には存在しているが理として存在していないことになっている。


 理として悪気が存在するメアと理として悪気が存在しないコルトでは、悪気が各属性の自然魔素(まりょく)に与える影響に大きな違いがあった。


 メアでは闇属性に悪気が干渉すると汚穢属性が生じる。コルトでは瘴気九十九(99%)汚穢属性(1%)が生じる。


 コルトでは闇属性が瘴気に変わってしまう。…………本当に質が悪い。汚穢属性だったら自然の力の循環で何とか出来る範囲だったんだけど。


「不思議だよねぇー、今までの知識がこれっぽっちも役に立たないとかありえないよぉー」

「……えっと何がですか?」


「だってさ考えてもみてよ。あっちでは闇属性に悪気を混ぜると、まぁ大変これ変瘴気よ。って感じでしょう。でだ、こっちでは呪詛とか呪いそのものみたいな感じの良く分からない物にしか変化しない。これってつまりは基礎、構成段階でこっちとあっちは違うってことだよねぇー、でも同質の物が多く存在していて、こっちの人はあっちで私達はこっちで平気な訳だ。違うけど偶然似ていた? そんな偶然は絶対に無い。あってはいけない。だからこその実験なのだよぉー、分かってくれたかなぁー?」


 天才っているんだよなぁ~。何かめんどくさいし全部話して楽になりたい気分だよ。ハハハ。……う~ん。


「老師ナディアには話しますが、メアからコルトに迷い込んでしまった人達の多くはコルトの環境に順応できず命を落としています」

「なるほどねっ! 原因は悪気ってところかなぁー」


「そ、そうです。彼等の多くが悪気の欠乏症で衰弱死したそうです」

「分からないなぁー」

「分からない、ですか?」

「だってさぁー、……まぁーこっちとあっちじゃ違うのかもしれないけど、私達って短期間で順応できる程優れてないしさぁー。何万年も生きていられるとか別次元の存在とかなら有り得るかもしれないけどさぁー、現実はかなり厳しいって話な訳だ。こっちの人があっちで生き抜く為には悪気が……あっ! 悪気あるね。魔力溜まり魔力スポット呪い塚呪いの館とか、それに肥溜めの近くにも少しだけだったけどあったんだった、忘れてたよぉー私ったらもうあっ! 別次元の存在……こっちの人って私達から見たら別次元の存在にあたるのかな? ふーむっ、良いのかぁー共存が可能な存在を意思疎通が可能な存在を別次元の存在と定義しちゃっても良いのかぁー……う~ん、うーむ、う~む、うーん」


 助かった。本気で助かったよ。この状態になったら老師ナディアは暫くは戻って来ない。


 でも、実際何が正しいんだろう。異界同士干渉し合わないのが本来の姿なんだろうけど。


 迷い人の多くがコルトでの生活を希望したからメアの家族と定期的に会えるようにって、ニューリートにゲートも設置しちゃってるしなぁ~。


「旦那様よ。妾としては逃亡する不逞の輩共を少しでも早く一網打尽にしたい。見るに頃合い故早々に行動を起こすべきではあるまいか。旦那様も同じ考えではないのか?」

「お……」

「うん? 違うのか?」

「いえ、奇遇ですね全く同じことを考えていました」


 干渉し合わないか。俺は何に悩んでたんだ。最初から間違ってたよ。メアのリュシルとトゥーシェ。プリフェストのマルアスピー達。それと神様達。俺が悩む前すっごい前からコルトにいた。


 干渉し合い。し合っていたかは分からないけど、コルトは常に干渉を受け今に至っている。地形とか循環する自然魔素(まりょく)量の変化は干渉された結果だ。


 まずは難しいことを考えるのは止めよう。何か頭が痛くなるし馬鹿らしくなって来た。


 そうと決まれば、

「サクッと身柄を拘束しに行きましょう!! と、言いつつ」


 検索、ホノクレマっと。

貴重な時間をありがとうございました。

次回からメア・イート編の本編です。

宜しくお願いします。

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