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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-47 再びメア(亜)下界へ⑧ 転移先を見て回ろう⑥

 ポンザモーン男爵、ヒューイット伯爵、ルーヘン王弟君、アヤ大尉(新準男爵)の証言。


 コルト下界には戻さず、タブレットに回収したままの見窄らしい集落の人工物から回収した記憶。


 斥候のディッギングリーグ見習い騎士の証言。


 メア王国から提出された調査報告書。



 こんなところかな。


 メア(亜)下界に存在しないコルト下界由来の存在がメア(亜)下界にあっては良くない。


 当然だが逆も然りだ。タブレットに収納したままにしている物の多くが汚穢のリントブルム予備軍だった。

 何も考えず濃厚過ぎる闇属性と悪気(あっき)を纏った物なんか戻してみろ。まず間違いなくそれが媒介となって時間差で次々と汚穢のリントブルムが起こっていただろう。


 コルトには存在しない汚穢属性が周囲の環境を破壊しながら瘴気をばら撒き呪いを生み出す。


 まぁ~ぶっちゃけ、あの卵が腐ったような臭いが……ね……。


 別段俺が何かをした訳ではないが、右肩に左手を乗せ右肩を回しながら一仕事終えた感を演出しながら皆に声を掛ける。


「この辺りはもう大丈夫そうなんで、次に行きましょう」


・・・・・

・・・・

・・・

・・


 鞍組の跡地と同じ要領で、山組森組の跡地を見て回り、色々なことを無かったことにした。


 メアに来たは良いが特に何かすることもないそうそうたるメンバーの一部は、光源を得て見やすくなったメアに色々と思うところがあるようだ。複雑な表情を浮かべながらも終始無言を貫いていた。


 五月蝿く騒がれるよりはましだ。そんな彼等を無視し黙々と作業を進めた訳だが、作業が終わり彼等を戻す段になって、ターンビット王国のロジッドベリー侯爵とジャスパット東西朝王国のムーコン親王とララコバイア海洋王国の老師ナディアがここぞとばかりに声を上げた。


「シャーレット王よ。宜しいかな」

「ムーコン殿下。どうかしましたか?」

 シャレットなんだけど訂正するのも時間の無駄だしこのまま話を続けてしまえ。


「我々の世界とは異なる世界が存在した。その世界は我々の世界よりも遥かに広大であり住まう民の力も強大である。そんな強大な力を持った異なる世界の民が忌まわしきガルネスと旧教を創った。この認識で良いのかの」

「はい」

 概ねあってるかな。


「神の名を騙り神授を悪用し四千年もの長きに渡り我々は、我々は…………ハァ~、我々は四千年以上も支配されていたのだな」

 あぁ~なるほど、そういう解釈も出来るのか。



「議長陛下。議長陛下」

「あ、はいはい」

 どうも慣れないな。この人だけなんだよな議長陛下って俺のこと呼ぶの。


「帰国する前に席を設けていただきたい」

「席ですか」

「はい。メア王国の外交を担当する者と話をする機会をいただきたいのです」

「……」

 ん?

「御安心ください。本件は私の一存ではありません。……こちらを御覧いただけますでしょうか」


 厚手の白い紙を受け取り、紙に書かれている内容を確認する。


「特命全権大使ですか」

 メアに残るとか言い出さなきゃいいんだけど……。


「メア王国と連合国家フィリーの架け橋となり平和と繁栄の礎となれとの厳命を受けております」


 フィリーねぇ~。直接交渉したいって見え見えなんですけどぉ~。


「なんだ。儂の国と一対一で話がしたいと素直に申せば良いものを。儂は回りくどいのは好かん」

「異世界の王メア王国の国王陛下に、我等が王ターンビット王国の王より書状を預かっております。是非、これ」

「いらん」

「を、え? あっ、これは失礼致しました。この書状を受け取って」

「いらんと言っておるのが聞こえんのか? お若いのお前の主は古の世界のたかだか一国の主なのであろう。儂はこの世界、偉大なるメア全土を統治しておる。……儂が言いたいことは分かるな」

「で、ですが私は」

「興味がないとはっきり申せば良いのか。良いか儂はな。儂の可愛い孫娘を毒、毒、毒牙にかけた、それも二人だ。二人も毒牙にかけたこの男、この男だ。この男を恨んでおる。終生消えることのない憎悪と復讐の炎で今にもこの身が」

「旦那様。私奴は悲しゅうございます」

「何だトラヤヌス、儂はこの身が朽ち果てようともこの男だけはけっして」

「その愚かな口と足りない頭を恥、懺悔していただきたかったのですが残念でなりません」

「なっ!! お、お前、何故儂が懺悔などせねばならぬのだ」


 そっちなんだ。愚かとか、足りないとか、凄い事言われてたけど、そっちなんだ。


「この際ですから足りない旦那様にも理解できるように分かりやすく説明致します。このトラヤヌス、トゥーシェお嬢様とリュシルお嬢様の幸せを心より願っております。そして終生お仕えすると誓っております」

「お前の主は儂だよな」

「旦那様。今は私奴が話をしております。トゥーシェお嬢様とリュシルお嬢様の前で恥ずかしい真似はお控えください。お嬢様にうつってしまっては一大事でございます」

「う、うつる? 何が?」

「その話は今はどうでも良いのです」

「いや、儂、何がうつるのかの方が気になるのだが……」


・・・

・・


「このまま引き下がる訳にはいきません。任務も果たせず帰国したとあっては我が家の恥」

「恥だと。こ、この若造めが貴様まで儂を恥だと申すか、あぁ分かったそっちがその気ならこっちにも考えってもんがある。やってやろうじゃないか。帰って戦争の準備を」

「お、お待ちください。な、何故、我等が争う流れになって」

「ええいうるさいうるさいうるさぁ~い。トラヤヌスも貴様ももう黙れ黙れっ!! 儂はやると言ったらやる男だ。トラヤヌス、今直ぐ城に戻り戦の準備だ」

「……」

「聞こえんかったのか? 儂は城に戻って戦の準備をしろと命令したのだぞ」

「……」


 俺は今、何を見せられているのだろうか?



*****


意味不明な状況はこの後三十ラフン程続きました。


*****

貴重な時間をありがとうございました。

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