6-43 再びメア(亜)下界へ⑤ 転移先を見て回ろう④
「私は、ウェードカルンドーナ帝国の南辺境中隊領境警備斥候隊第一部隊に所属する見習い騎士です。名は、ディッギングリーグ・ゴン・ガァルゴードゥ。見ての通り中級種の悪竜族です。この町は吸魔公領イート市の衛星城郭都市で間違いないでしょうか?」
と、斥候のディッギングリーグが門番に話し掛けていると。
「とつげぇ―――――きっ!!!!」
バァーンッ
喊声のような力強い叫び声が聞こえたかと思うと突然木製の扉が門から勢い良く弾け斥候目掛け飛んで来た。
扉を手で払い除け。
「話がしたいだけです。私は敵ではありません」
門から次々に飛び出し攻撃を仕掛ける竜王クロージャ率いる竜騎士隊と城壁を飛び越え上空から攻撃を仕掛ける竜騎士隊隊長ローリング率いる竜騎士隊。
彼は竜騎士隊の攻撃を華麗に回避しながら敵意が無いことを訴え続けた。
「我が出る。ローリング皆を」
「はっ!! 全軍第一ラインまで後退し衝撃に備えよ」
「「「はっ!!!!」」」
「貴竜を誇り高き古代竜とお見受けし一騎打ちを所望する。我はドラゴラルシム竜王国が竜王クロージャ・ルードラゴ・ルーバーン」
「ウーヴァン? *◇・・・・・♪・・・・・・×★・・・・・・・・・・・・・・ウーヴァン●P&※※?」
「参るっ!!こ、言葉が分かるのかっ!?」
「「「喋った!?…………」」」
「「「嘘だろ…………」」」
「我は竜王クロージャ・ルードラゴ・ルーバーン」
「※・・・・・・・・%・・・☆・・・・□・・・・☆・・・・・・・・。ウーヴァン★□っ!!」
頭上に竜王を乗せ突撃を開始した竜は、生まれも育ちも竜房らしいが、野生の本能をまだ失ってはいなかったようだ。斥候のディッギングリーグさんの声が聞こえた瞬間、超低空飛行による突撃を中止し本能の赴くまま腹を地に着け喉を鳴らし尻尾を大きく左右に振り従順の意を示した。
竜王クロージャは驚き困惑した。竜に名を呼ばれ不覚にも動揺し、動揺した姿を取り繕うのがやっとの状況だった。
愛竜の不可解な行動など気にも留めていなかった。
竜騎士隊の隊員達は、片言になる者、言葉を失う者、祈りを捧げる者、夢から覚めようとする者。統制を失っていた。
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「うっ、腹が……イタタタタ、ウッ」
ブリッ
貴重な時間をありがとうございました。