6-42 再びメア(亜)下界へ④ 転移先を見て回ろう③
サザーランド陛下、吸魔公、竜魔王(竜魔侯)、前竜魔王(前バハムート)、妹バハムート(竜魔王の叔母で前竜魔王の妹)、トラヤヌスさん。彼等との意思疎通主に会話はコルトの民とでも成立する。種族、スキル、称号が関係しているようだ。物凄く気になるが検証は今度だ。
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「...... ~ ......それで、魔剣隊を食べちゃったというか彼女達が口から体内に侵入するのを許しちゃった訳ですか」
「はっ、その通りであります」
竜に勝つ為、口の中に突入するとか聞いたことないんですけど……。ララコバイア、いや魔剣隊ハンパないや。
「それで、山の中腹や頂上にもおかしな点は無かったんですね?」
「はっ、おかしな点は間違いなくありませんでした」
大規模な転移、魔力陣の暴走だったとはいえ、流石に時間が経ち過ぎたか。
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山の北側に広がる荒野に築かれた見窄らしい集落(北の荒野グループは基地と呼称)。
集落には、完成間近の細長い櫓(地属性の魔術で建設中だった)が一基、箱型の心許無い建物(地属性の魔術で建設)が三棟、簡易の天幕が数万張り、浅い堀とそこにあるだけで役に立たなそうな柵が張り巡らされ、胸部と腰部に皮を巻いただけの原住民(悪人族と獣下族)が数万単位で居住。
斥候のディッギングリーグさんは、北の荒野グループのことを、下級下等種族の中でも文明レベルが極めて低い好戦的な原始住民の大規模集落、意思の疎通に大きな問題あり、現時点において再度の接触は不要と、本国に報告していた。
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北の荒野グループとの友好的な接触に失敗した斥候のディッギングリーグさんは、潰した櫓から飛び立ち山の中腹グループが上げる狼煙の手前に降り立ったが、山の中腹グループとの友好的な接触にも失敗した。
通じない言葉。疎通する気配を微塵も感じさせない意思。好奇心旺盛なナディア老師率いる魔剣隊の存在。
着地した竜目掛け一斉に攻撃を開始したララコバイア海洋王国の魔剣隊とゼルフォーラ聖王国の宮廷魔術師隊と家のリア大尉改め少佐率いる臨時遠征旅団上陸主力部隊。
老師ナディア達は斥候のディッギングリーグさんの寸隙を見て口内への突入を開始。激しい抵抗を物ともせず見事喉を通り抜け体内への侵入を成功させた。
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山の中腹に築かれた石造りの堅牢な村城(山の中腹グループは臨時の本陣と呼称)。
岩山の中腹には、緩斜面の岩肌を刳り貫いて作ったと思われる横穴式の住居と住居を守るように点在する石造りの砦と塔と壁、皮と革で縫製された衣類を頭と胴体と足に付けた発展途上文明人が数千単位で居住。
斥候のディッギングリーグさんは、山の中腹グループのことを、下級下等種族の発展途上中世初期文明レベルに達して間もない属性攻撃特化型の非常に好戦的な粗野住民の堅牢集落、口内より体内へと自ら入ってこようとするなど意思の疎通に重大な欠陥あり、現時点において再度の接触など以ての外であり全力で回避するべきと、本国に報告していた。
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山の中腹グループとの友好的な接触にも失敗した斥候のディッギングリーグさんは、老師ナディア達魔剣隊数名に体内で暴れられ胃の気持ち悪さと吐き気に耐えながらも飛び立つと岩山の頂上を越え山の南側の荒野グループが築き上げた植物に囲まれた土木造りの軟弱な城郭都市の大きな門の前に降り立った。
短時間のうちに二度も失敗を重ね、斥候のディッギングリーグさんは考えた。
さっきみたいにいきなり襲って来るような野蛮な連中かもしれない。少しだけ距離を置いて接触した方が良いかもしれない。あんな不味い物もう二度と飲み込みたくない。まずは様子を伺い友好的なところをアピールしながら段階的に接触を図ろう。
彼の考えは甘かった。
巨大な竜が襲ってきた。壁の外から中を覗き込み捕食の機会を狙っている。餌を見つけ歓喜の咆哮をあげている。
メアの民とコルトの民。隔たりは予想以上というか予想通りというか、かなり大きかった。
彼は山の南側グループとの友好的な接触にも失敗した。
貴重な時間をありがとうございました。




