6-34 白光の夜の真相を求めて⑩ 魔剣隊の老師ナディア②とライナルト王子
・・・
・・
・
家はちょっとばかり他所様と違って特殊な感じな訳でぇ―――、許可がなんとなく必要みたいな感じだったりする訳でぇ―――、創造神様や神々様方から運良く貰えると良いのですがぁ―――、ぶっちゃっけ運任せで神様頼みなんでこの話は保留ということで。
と、激しく言い争う父と娘を華麗にスルーした。まぁ~華麗か華麗じゃないかはこの際スルーするとして、本来の目的に話を戻した訳だ。
・・・
・・
・
「結局のところ、あっちの世界に転移してしまった人達は、……山の中腹に転移した、ガルネスの海岸にいて巻き込まれたグループ。山を挟み北側の荒野に転移した、湾内の船に居て巻き込まれたグループ。山を挟み南側の荒野に転移した、都市とその周辺にいて巻き込まれたグループ。三つにグループに分かれていた。
魔剣隊の皆さんは山の中腹に転移したグループな訳ですが、この山の中腹に転移したグループはかなり早い時点であっちの世界に対応しています。人数が比較的少なかったことと家畜が多かったこと守りやすい地形であったこと、そして老師ナディアがいたこと、巻き込まれている以上運が良かったとは言えませんが三つのグループの中で一番運が良かったと思います。
北の荒野に転移したグループは、家のアヤ少尉がいたことで戦力と水と火と調味料が三つのグループの中で一番充実していたと思います。chefアランギー様が料理人でもないアヤ少尉を弟子と認め渡していたマント様様です。アヤ少尉がいたおかげで海の危険な生物まで食料や素材として利用することが出来たようです。
南の荒野に転移したグループは、神都ガルネスの住民、旧教関係者、ガルネスの上層部、駐留していた解放軍、周囲の森や林に避難していた住民や旅人。その周囲の草原や森や林やそこにいた虫や鳥や獣や魔獣まで一緒に転移しちゃってそれ等に襲われ命を落としてしまった人もいたようです。あっちの世界からこっちの世界に迷い込んでしまった人達が帰還したことで対応するのは比較的早かったようですが、メアの民と教王と竜王と学者と軍人と市民と旅人からなる歪なグループです。大きな衝突が起きなかっただけでも奇跡です」
「アハハハハッ、皆全裸だっただろうから必死だったと思うよぉー。食料よりも水よりも灯りよりもまずは服ってね」
「良く言うわ。何かが違う。何かがいつもと違う。試さないと気になって眠れないとかブツブツ言いながら全裸で実験し続けていただろうが」
「そう言えば、気が付いたら体に何かまいてたような……」
・・・
・・
・
アヤ大尉を中心に遠征旅団の女性陣とゼルフォーラの上陸組が協力し体制を整えていたところに魔術に長けた魔剣隊が合流した。
中腹グループも北の荒野グループも互いの存在を認識してはいたが合流するには至らずか。
「南の荒野グループと合流することになった流れが突拍子もなくていまいち理解出来ていないんですが、あっちの世界のウェードカルンドーナの軍に襲われたんですよね?」
「「はい」」「その通りだよぉー」
「言葉は当然通じてませんよね?」
「「はい」」「その通りだよぉー」
「襲ってきたウェードカルンドーナの軍に南の荒野のグループ。竜王や教王のところまで運んで貰ったんですよね?」
「そこが微妙でして」「その通りだよぉー」
「結果的にそうなったと言いますか……」
微妙とか結果的にとかって、中腹グループは皆曖昧なんだよなぁ~。
「ライナルト王子。結果的にとはいったいどういうことですか?」
「少しばかり汚い話になってしまうのですが宜しいでしょうか?」
・・・
・・
・
ユルキリル副老師とライナルト第四王子の話は、食事時にはしてはいけない話だった。
貴重な時間をありがとうございました。