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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
-スタシオンエスティバルクリュ編ー
41/1227

1-28 未来の為の明日と、今を生きる事。

***********************

【タイトル】 このKissは、嵐の予感。

【第1章】(仮)このKissは、真実の中。

 1-28 未来の為の明日と、今を生きる事。

***********************

――― パマリ侯爵領コルト

ジェルマン・パマリ子爵邸 客間

――― 6月4日 17:10


 俺とマルアスピー様は、ジェルマン・パマリ子爵邸の客間に出現したばかりだ。


「ただいま戻りました。アリスさん、パフさんを任せてしまってすみませんでした」


「ロイク様。マルアスピー様。お帰りなさいませ」


「ロイク様。お気になさらずに、パフさんと色々なデザートのレシピを勉強してましたので、私も楽しめました」


「あら!私も、お菓子のレシピ・・・クレープやエクレア、他にも沢山覚えたいわね」


「今日は子爵邸の使用人さん達から学びましたので、エクレアやクッキーのレシピは確り書き写してあります」


「ありがとう。パフちゃん!アリサさんもありがとう」


『ロイクこれで、私はエクレアールね』


 何ですかそれ?


chef(シェフ)アランギー様がパティシエールとはパティシエの女性ヴァージョンなのだと、エクレアの女性ヴァージョンはエクレアールよ』


 エクレアって菓子その物ですよね?たぶんですが、エクレアはエクレアのままですよ。



『ふ~ん・・・疑問が1つあります』


 疑問ですか?


『はい、妖精達からJOB『パティシエ』をリードし、私にJOB『パティシエール』をライトしましたよね?』


 そうですね。


『本職がパティシエールになったにも関わらず、お菓子が作れる気がしません』


 今迄、お菓子を作った事が無いんですよね?


『えぇ~無いわ』


 ですよね。それに、パティシエールとしてのレベルはまだ1です。だからじゃないですか?


『そうね。ですが私の疑問は違います。どうして、ロイクはJOBをライトするだけで、レベルが最高値なのかという事です』


 そればかりは、神様に聞いてみない事には・・・


『私より上手に美味しく可愛くお菓子を作ったら、絶交ですからね』


 はぁ~・・・・・・作りましょうか?


『いやです』


 彼女は、頬を膨らませ、気持ち非難の目を俺に向ける。残念な事に腕を組んではくれなかった。


『フン』



≪ガチャッ


 ジェルマン・パマリ子爵様と奥様マリアさんが部屋へ入って来た。


「待たせたかな?そろそろ、ロイの侯爵邸まで移動しようと思うんだが、ロイク君。転位移動を頼む」


「はい。そのつもりでしたし、それでは移動しましょう。パフさんはここで待っていてください。終わったら迎えに来ます。それと、ジェルマン・パマリ子爵様にマリアさん」


「何かね?」


「ロイクさんどうしました?」


「随分と軽装ですが、このまま向こうに移動しても大丈夫ですか?」


「私達は、ロイの騎士団事務所(オルドルロア)に、装備一式と王都への荷物を置いたまま屋敷に寝に戻って来た。寧ろ向こうの方が現状では充実しているかな。ハッハッハッハ」


「まぁ~アナタったら」


「分かりました。それでは移動します」


「ロイク様。皆様、お気を付けて行ってらっしゃいませ」


 【フリーパス】ブオミル侯爵領ロイの侯爵邸の侯爵執務室 移動 ≫



――― ブオミル侯爵領ロイ

侯爵邸(領主館) 侯爵執務室

――― 6月4日 17:20


 俺は、ブオミル領ロイの侯爵邸の侯爵執務室に移動した。


 【召喚転位】:対象・マルアスピー・シャレット、アリス・パマリ、ジェルマン・パマリ、マリア・パマリ:場所・俺の周囲 発動 ≫


 俺の周りに、マルアスピー様、アリスさん、ジェルマン・パマリ子爵様、マリアさんが出現する。


≪ガチャ


「昼過ぎに来ると伝えておいたはずだが、誰も居ない様だね」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、侯爵執務室のドアを開け、廊下の状況を確認した。


「ちょっと待ってください。今、調べてます」


 可視化:表示・ヨン・ライアン、ルシア・ブオミル、ニーナ・ブオミル、ブルーノ・ブオミル、アルヴァ・ブオミル ≫


≪・・・表示しました。


 俺は、タブレットの画面を確認する。


「皆さん、昼食の間にいるみたいです」


「昼食時だった様だね。少しここで待たせて貰う事にしよう」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、応接用のソファーに腰掛ける。



「騎士団の報告会議は終わったんですか?」


「会議自体は終わったのだが、報告書がまだ完成していない。名誉を遂げた団員達の名前と功績をまとめる作業が、思う様に進んでいない感じだね」


「そうなんですか?」


「う~ん。私達は(ドラゴン)と団員達が戦った状況を見ていない。戦闘の状況を知る者が少ない上に、助かった者の多くが駐屯騎士団の団員だ」


「第3師団の団員達の報告書が遅れているんですね」


「あぁ~そうなんだよ」



「そうそうロイクさん。第3師団の遊撃部隊に所属していたという魔獣使いの男性の話なのですが...」


「リック・マケインさんですか?」


「...はい。主人とも話し合いましたが、申し入れを受け入れ、第3師団遊撃部隊に改めて所属していただきたいと考えています」


「本人に早く知らせてあげたいです。喜ぶと思います」


「しかしあれだねぇ~・・・。ブオミル侯爵家もそうだが、私達第3師団もここロイ駐屯騎士団も、これからが大変だ。ロイク君のおかげで、中央への報告がプラスの材料として働いてくれるだろう。予算は優先的に回って来るだろうが、結局のところ壊滅状態に変わりはない、元のレベルに戻るまでには根気と時間が必要だ!」


「俺が育った村の人口の10倍以上の人間が集まった組織を再編するって、想像がつかないですが協力出来る事は何でもします。ジェルマン・パマリ子爵様にはお世話になりっぱなしですから」


「それは、私のセリフだよロイク君。パマリ家に始まり第3師団にアリス。ロイク君には感謝しても仕切れないよ」


「そうだ。ねぇロイク」


 俺とジェルマン・パマリ子爵様との会話に、名案を思い付いたとばかりにマルアスピー様が割って入って来た。


「どうしました?」


「例の家の件を相談してみてはどうでしょうか?」


 どうやら、料理の神様chef(アランギー)様率いる妖精のお仕事(・・・・・・)の妖精達5人が織りなす超絶珠玉(ちょうぜつしゅぎょく)の愛情と友情を紡いだ料理を楽しみながら、遊びの女神様こと運の神様から提案していただいた元中空(スタシオン)の避(エスティ)暑地(バルクリュ)での開発計画(家の建築)の話を、マルアスピー様はジェルマン・パマリ子爵様に確認したい様だ。


「今ですか?」


「えぇ~」


「例の家とは何の事だい?」


 どう説明したら良いんだ?


『あとは、あ・な・た・に、任せたは。フフフッ』


 えぇ~。やっぱりそうなりますよねぇ~


「・・・それが、大樹の森の中に家を建て住む場合、何処に申請し許可を貰えば良いんでしょうか?」


「大樹の森の領域内に家を建てるつもりなのかい?」


「はい。9000m以上の上空を飛び回る事が出来るスキルを所持しているか。行った事の無い場所へも転位移動出来るスキルを所持しているか。山を越えるか谷を登るかでしか到達出来ない場所になんですが」


「また随分と凄い所に目をつけた様だね。大樹の森の領域内の場所はともかく、あそこは表向き国や種族関係無しに解放されているが、実際はゼルフォーラ王国と創生教会の上層部によって厳重に管理されている。無許可で勝手に住み着くか、ゼルフォーラ王国の法の下で領地として拝領されるか、特例を認めて貰うかしか方法が無いと思うが」


『ホラ、ロイク!私が話した通りでしょう』


 神様が良いって言っても、ゼルフォーラ王国に住む者としては、率先して法を無視するのもどうかと思うんですよね・・・


「バイル殿の自宅は大樹の森の目の前にあると聞いたが、バイル殿の様に、大樹の森の傍に家を建て、住む訳にはいかないのかい?」


「そうですねぇ~・・・もう少し考えてみます」


「焦る事は無い。兎角住まいの事に関してはね。ハッハッハッハ」


 ・・・。神様との約束だしのんびりしてられないんですよお~


『フフフッ』



≪ガチャ


 ルシア・ブオミル前侯爵第二夫人様と、ニーナ・ブオミル様と、ブルーノ・ブオミル様。執事家令(アンタンダント)ヨン・ライアン家臣女の男爵(バロネス)様と、ブオミル侯爵領の重臣達が侯爵執務室に入って来た。


「おや、お付きでしたか、一声かけていただければ、直ぐに参りましたのに」


 先を歩くルシア・ブオミル前侯爵第二夫人様が、俺達に気が付いた。


昼食(ランチ)の最中に呼び出しては失礼と思い、こちらで待たせて貰いました」


 ジェルマン・パマリ子爵様はソファーに腰掛けたまま、ルシア・ブオミル前侯爵第二夫人様に返答した。夫人はそのまま歩き続け、子爵の目の前に置かれたソファーに腰掛ける。


「ジェルマン・パマリ子爵様」


「ん?」


 ニーナ・ブオミル様とブルーノ・ブオミル様と重臣達は、ジェルマン・パマリ子爵様に一礼すると、重臣達の代表と思われる男が語り始めた。


「お願いがございます。現在、侯爵邸内におられます勅令叙勲された爵位持ちの方で上席者は、中央騎士団第3師団団長ジェルマン・パマリ子爵様です。先の話し合いにより既決し決定致しました案件の執行証に、次期領主ブルーノ・ブオミル様の後見人としてサインをしていだけないでしょうか?」


「領主権が法的に認められていないのは分かるが、ブルーノ・ブオミル殿は正統な後継者なのだろう?遅くとも10日以内に臨時領主権は認められるだろう。そして、どんなに遅くても3カ月以内には侯爵位を継承すると思うが、執行証は急ぎなのかい?」


「はい」


「そうか。私は、パマリ侯爵家の者だが、君達が問題無いと言うのであればサイン位はしよう」


「お願い致します」


「サインするからには、執行証の内容は確認させて貰うが良いかね?」


「宜しくお願い致します」


執事家令(アンタンダント)ヨン。政務室から関係書類を全て、ここに持って来る様に」


「かしこまりました。ルシア様」


 執事家令(アンタンダント)ヨン・ライアン家臣女の男爵(バロネス)様は侯爵執務室を後にした。



「ルシア・ブオミル前侯爵第二夫人様。エーギンハルト・ヘンデル士爵は見つかりましたか?」


「ロイクさん。その事なのですが、商人商家協会(アフェールギルド)を改めて捜索させましたが、潜伏していたという物的証拠すら見つかりませんでした」


「アイシェ・ヘンデル士爵第五夫人の証言で、アルヴァさんのふりをしていたヤスが、エーギンハルト・ヘンデル士爵との子供だと分かったんですよね?」


「はい。アイシェ・ヘンデルは、婚姻前に非嫡出子としてエーギンハルト・ヘンデルとの間に長男ヤスをもうけ、その後アーマンド・ブオミル前侯爵様との間に非嫡出子として次男アルヴァをもうけたそうです。執行証はエーギンハルト・ヘンデルの件が主な内容になっております」


「なるほど・・・それで、偽侯爵はどうなります?」


「領民達が最も納得する方法で解決する事になるでしょう」


≪トントン


「失礼します」


≪ガチャ


「ルシア様。お持ち致しました」


「ありがとう。ジェルマン・パマリ子爵様。関係書類と執行証です」


「どれ」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、関係書類と執行証を読み始めた。



「他領他家の事だ口を挟む気は無いが、これで納得出来るのかね?」


「はい」(大勢)


「そうか。ペンを」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、執行証に後見人としてサインした。


「ロイク君。最後の最後まで君に頼る事になってしまうのだが・・・」


「俺に出来る事なら手伝います」


「そうかね。ブオミル侯爵領の今後の為にも、例のスキルでエーギンハルト・ヘンデルをここに呼び出して貰いたいのだ」


「構いませんが、執行証はそのエーギンハルト・ヘンデル士爵様の事が書かれているんですよね?」


「王国全域に指名手配する手続きや他の手続きが書かれていたよ。エーギンハルト・ヘンデルを王国憲法と領条例の法律で正しく裁判にかける事で、忌まわしいこの3年間と過去の確執に一応の決着を見る事が出来るだろう」


「なるほど。それなら、俺達の目の前で幕引きにしましょう」


 可視化:表示・エーギンハルト・ヘンデル ≫


≪・・・表示しました。


「どうやら、ロイをうまく抜け出して、南へ移動中みたいです」


「トミーサス王国のガダムへ向かっている様だね」


「ここに呼んでしまって良いんですよね?」


「あぁ~頼むよ」


「お願いします。ロイク殿「ロイク様」」(大勢)


「それでは」


 【召喚転位】:対象・エーギンハルト・ヘンデル:場所・俺の目の前 発動≫


「あっえぇ~・・・?」




――― ブオミル侯爵領ロイ

駐屯騎士団事務所(オルドルロア) 監察官執務室

――― 6月4日 18:50


「リック・マケイン。ゼルフォーラ王国中央騎士団第3師団団長ジェルマン・パマリとして、第3師団遊撃部隊への所属を要請する」


「はぁっ!王国の為、国民の為、騎士団の為・・・」


「堅苦しい口上は良いよ。前に一度やってる訳だしな。ハッハッハッハ」


「はぁっ!それでは、せめて一言だけ言わせていただきます。謹んでお受け致します」


「あぁ~頼むよ。騎士(サー)リック・マケイン」


「はぁっ!団長殿」


「魔獣部隊を貴方に任せる事になると思います。宜しく頼みますよ」


「はぁっ!マリア隊長殿」


「リック・マケインさん。これで、約束は完了ですね」


「英雄ロイク名誉団長殿。感謝致します」


「俺の方も、おかげで色々出来る事が増えたので感謝してますよ」


「・・・色々ですか・・・」


「はい。色々です・・・それで騎士団復帰のお祝いに、使役魔獣を今から探しに行きませんか?」


「お・・れ。私の使役魔獣をですか?」


「はい」


「魔獣使いにも関わらず使役魔獣もいませんし、有難い話ではありあますが・・・」


「実験してみたい事があるんです」


「使役で実験ですか?」


「俺の仮説が正しければ、良い子が見つかるかもしれません」


「レベル相当以上の魔獣を使役出来るって事でしょうか?」


「その予定です。以前に使役していた魔獣は何ですか?」


殺戮魔蜂(ハベハスロォータ)を2匹使役していました」


「4本槍の蜂ですよね?」


「はい」


「今回も蜂種の魔獣が良いですか?」


『ねぇロイク。たぶんですが』


 何か良い魔獣が居ますか?


「女王蜂の巣分けにでも遭遇して、雄として目覚めた使役魔獣に逃げられたのでしょう?」


「は、はい。マルアスピーさん」


 リック・マケインさんは驚きの表情で、マルアスピーの質問に即答した。


『予想通りね』


 どういう事ですか?


『女に魅了され、腰砕けになった男の話ね』


 ・・・


『フフフッ』


「リック・マケインさん・・・今回の使役魔獣は、女王の居ない魔獣にしましょう」


「はい。任務中に使役魔獣に置き去りにされる経験は、もうしたくありません」


 あぁ~・・・騎士団を除隊した原因ってこれだたのかも・・・


『そうかもしれないわね』


 ショックな気持ち分かる気がします。


『私は、ロイクを見捨てたりしないわよ』


 マルアスピーが女王蜂みたいない感じですから・・・


『うん?・・・どういう意味かしら・・・』


 考えておいてください。宿題です。・・・ところで、使役するとしたらどんな魔獣が良いと思いますか?


『私が女王蜂???う~ん・・・』


 こっちは話進めてます。


『えぇ~そうしてください』



「騎士団に復帰を考えた時点で、使役魔獣は何にするつもりだったんですか?」


「機動力、攻撃力に優れた狼種を考えていました」


闇炎牙狼(オプスキュリテ)とか仲間だったら良いかもしれないですね」


闇炎牙狼(オプスキュリテ)?冗談じゃ無いです。無理です無理・・・それに討伐対象魔獣を軍の中で行動させる事は使役出来ていたとしても、周りに精神的な負担を押し付ける事になってしまいます」


「そうなんですか?頼もし頼りになる仲間が増えて良いと思いますけど」


「ロイク君。それは難しいと思う」


「どうしてですか?」


「小隊3部隊で討伐する様な魔獣が部隊に居る訳だ。使役者に何かが起きて使役の関係が解消した際に、どうなると思うかね?」


「あぁ~・・・なるほど。そう考えると、魔獣使いって意外に戦闘時の立ち位置が難しいJOBって事になる訳ですね」


「強い魔獣を使役しているイコール高レベルの兵士だと認識される為、真っ先に襲われる事は無いが、諸刃の剣になってしまう可能性もあるって訳さ」


「なるほど。集団の中では集団の心理やルールがある訳ですね」


「そうなるね」


「ねぇロイク。大地牙狼(ソイルウルフ)闇牙狼(ダークウルフ)はどうなのかしら」


「英雄ロイク名誉団長殿。可能でしたらその2匹のどちらか、欲を言うなら闇牙狼(ダークウルフ)を使役したいと思います。ですが、奴等も蜂種とは規模こそ違いますが群れで行動する魔獣です。使役する為のスキルを発動している隙がありません」


「群れの問題は何とでもなるので良いのですが、問題はリック・マケインさんと闇牙狼(ダークウルフ)のレベルの方です。レベル28って強さで言うとどの位なんでしょうか?」


「ロイク君。レベルの差が10以上あっても低い者の方が、練習試合や闘技大会では勝利する場合も多い。レベルで強さについて答えるのは難しいかもしれない」


「なるほど」


闇牙狼(ダークウルフ)と戦わせた方が早いと思うわよ』


 それもそうですね。試してみたい事もあるし、論より証拠やってみましょう。


「ジェルマン・パマリ子爵様。騎士団事務所(オルドルロア)闇牙狼(ダークウルフ)を呼んだらまずいですよね?」


「街中に魔獣は事前に許可を取ら無くてはいけない事になっているからね・・・一応だがね」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、微笑しながら俺の質問に答えた。


「・・・それなら、村に戻って、大樹の森の中、家の傍の森で、闇牙狼(ダークウルフ)を使役出来るか試してみる事にします」


「今から、マルアスピー村に行くのかい?」


「あそこなら実験も使役も例の数字のカウントの魔導具もまとめて解決します」


「おぉ~例のあれ(・・)かぁ~」


「ロイク様!」


「ロイクさん!」


 アリスさんとマリアさんは、物凄い形相で俺の名前を呼び、席から立ち上がった。


「は、はいなんでしょう・・・」


「今、バイル様に会いに行くと仰いましたか?」


「アリス。違いますよ。バイル様に会いに行きませんかと仰ったのよ!」


「え?」


『やっぱり、ロイよりコルトの方が面白い人間種が多い様ね』


 これって、例の病気ですかね?


『フフフッ』


「ロイク君。済まないが、この2人も連れって行ってくれないかね?騎士(サー)リック・マケインの使役の手伝いを必ず手伝わせるという条件で・・・」


 ジェルマン・パマリ子爵様は、アリスさんとマリアさんを俺に押し付けた・・・


「御母様。御父様から許可が出ましたわ」


「そうね。ロイクさん!」


「は、はい。何でしょうか。マリアさん」


(わたくし)準備して参りますので、少しだけお待ちいただけますか?」


「急いではいないので、ゆっくりどうぞ・・・」


「ロイク様!」


「は、はい」


「私、準備する物がありますので、少しだけお待ちになっていてください」


 2人は監察官執務室を飛び出して行った。


『うんうん。なかなか良いわね』



 30ラフン()後、二人は狩人射手として、完全武装の状態でやって来た。


「完全武装ですね」


「えぇ~」


「はい、ロイク様。準備万端です。さぁ~行きましょう!」


「いざ、バイル様のもとへ!」(マリアさんとアリスさん)


『予想を外の展開で来たわ・・・』



「ロイク君、頼んだよ!」


「は、はいぃ~・・・・」



――― アンカー男爵領マルアスピー

ロイクの実家

――― 6月4日 20:10


 俺とマルアスピー様とパフさんと、マリアさんと、遊撃部隊隊長アリスさんと、騎士(サー)リック・マケインさんは、俺の実家に移動した。


「誰も居ないみたいね」


「そうみたいですね。親父は狩りに出かけてるとして、母さんは何処に行ったんだろう?」


「ロイク様」


「ロイクさん」


「は、はい。何でしょう?」


「バイル様はどちらに?」


「ですから、狩りに出かけているんだと思います」


「つまり、大樹の森の中に居ると言う事ですね?」


「えぇ~そうだと思います」


「アリス!森へ行くわよ。戦闘の準備をしますわよ」


「はい。御母様」


『これは冒険活劇の様な展開のコメディーなのね!』


 そ・・・そうかもしれないですね・・・


「使役を済ませて戻って来た頃には、帰宅していると思いますし、森に行きますか?」


「はい、ロイク様」


「ロイクさん。バイル様のもとへ宜しくお願い致します」


「使役が目的ですよぉ~」


「勿論です。さっさと使役を済ませ、バイル様のもとへ参りましょう」


「はい。御母様。森でばったり御会いするという運命が私達を待っています」


「そうねアリス。運命が大樹の森へ私達を導いているのね」


「はい御母様」


『・・・妄想の中で啓示を受けた様ね。プププ』


「パフさんは家で待っていてください。もし親父か母さんが帰って来たら、マルアスピーや俺の名前を言えば俺の両親なら通じると思います。留守番宜しくお願いします」


「はい。ロイク様、マルアスピー様。皆さん、お気を付けて行ってらっしやいませ」



――― 大樹の森の中

――― 6月4日 20:25


「この辺りで良いかな?」


「英雄ロイク名誉団長殿」


騎士(サー)リック・マケインさん。その呼び方止めてください。何だかいかついし目立ち過ぎて困ります」


「分かりました。それでは、名誉団長殿とお呼び致します。純粋に上官として私の事は、騎士(サー)リックとお呼びください」


「・・・分かりました。騎士(サー)リック。ここに闇牙狼(ダークウルフ)を呼び出します」


「はぁっ!名誉団長殿」


「ロイク様。私と御母様は木の上から援護致します」


「分かりました。マリアさんもアリスさんも気を付けてくださいね。それと宜しくお願いします」


「バイル様に無様な恰好を見せる訳にはいきません。お任せください」


≪カツカツ


 マリアさんは、弓を持った左手で軽鎧の胸部分を二度叩いた。


「勝利を我等に!・・・アリスは向こうの木に、私はこの木の上から狙います」


「はい」


「私は、ロイクの傍にいるわね」


「今回は付いて来たんですね」


「だって、とっても面白そうじゃないですか」


「・・・そうですね。それでは、呼び出します」


「お願いします」


「こちらもOKですわ」


「準備OKよ」



 可視化:表示・闇牙狼(ダークウルフ):範囲・俺を中心に半径5Km ≫


≪・・・表示しました。


 あれ?3匹しかいない・・・まとめて召喚しちゃうか。


『フフフッ』


 どうしたんですか?


『何でも無いわよ』


 そうですか・・・・・・【召喚転位】対象・表示中の闇牙狼(ダークウルフ):場所・俺の前方100m 発動 ≫


 前方100mの距離に闇牙狼(ダークウルフ)が3匹出現する。


「名誉団長殿!3匹いるように見えますが・・・」


「はい、半径5Km圏内に闇牙狼(ダークウルフ)が3匹しか居ませんでしたので、全部ここに呼び出しました」


「ロイク。来るわ!」


 闇牙狼(ダークウルフ)3匹は、俺達に気付くと正面左右三方に分かれ襲いかかって来た。

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