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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
408/1227

6-32 メアと帰還者とコルト⑪ 荒野の漂流者②

―――――――――――――――――――――――

★メア(亜)下界★

 歴:創生1316656489年2月7日

 時:5時01分頃(午前)

☆コルト下界☆

 歴:R4075年10月12日

 時:11時01分頃(頃)

―――――――――――――――――――――――


 最も暗い星が東の空に昇り始めた頃、各国の代表者達は地(土)属性の魔術で建てた簡易の司令部に集結していた。


 聖王国(ゼルフォーラ)からの出席者は、主力艦隊旗艦艦長ポール・ゴーティエ名誉男爵(中央騎士団第七師団団長)とセザール・トゥージュー次期公爵(警護艦隊旗艦艦長)と他(警護兵)。


 アシュランス王国からの出席者は、アヤ少尉とギュンター准尉と炎の料理人カラブリアと他(警護担当のフォルシック鬼軍曹とネッツガング鬼軍曹)。


 海洋王国(ララコバイア)からの出席者は、総司令官兼近衛船団提督ルーヘン・カトラ王弟君と艦隊旗艦艦長イエルク・オリヴァー名誉子爵と他(警備兵)。


 ターンビット王国からの出席者は、ノトロス艦隊総司令パウロス・ヒューイット伯爵と他(警護兵)。


 東西朝王国(ジャスパット)からの出席者は、輸送船団司令長官イゴナイ・グ・ポンザモーン男爵(海軍少将)と他(警備兵)。


 竜王国(ドラゴラルシム)からの出席者は、なし。


 獣や魔獣の脂で作った蝋燭の灯りと火属性と光属性の魔術で作った灯りに照らされた土でできた簡易司令部。


 土でできたテーブルとイス。イスには獣の皮が敷かれている。


 各国の出席者は、獣の皮が敷かれたイスに座り報告という名の情報交換を行っていた。


 警護兵は、ガラスのない窓の内外とドアのない入口の内外と臨時司令部の周囲に配置されていた。



「今日も大活躍だったそうじゃないかアヤ少尉。いやぁー、アヤ少尉がいてくれて本当に良かった」

「はぁー……何度も説明しましたが、この神chefアランギー様よりいただきましたマントのおかげであって、私は何もしていません」

「いやいやいやアヤ殿それは違うってもんだ。そのマントは宝具(国宝級)とかそんなやすっちぃ次元の物じゃねぇ、神具そのものだ。神授だか神勅だか神託だか何が正しいか知らねぇーが、直接いただいた代物なんだろう? ならセザール殿の言う通り、お前さんあっての話ってことだ。お前さんがいなかったら皆御陀仏だったかもしれねぇー。つまりアヤ少尉、今日のもお前さんの手柄ってことだ」

「は、はぁー……」


 セザール次期公爵とアヤ少尉のやり取りにルーヘン王弟君が言葉を挟む。一日の終わりの光景。報告会の冒頭お決まりになりつつある一幕だ。


「先日聞いた時には信じられませんでしたが、目の前で見てしまうと信じるしかありません。このパウロス。帰還した暁にはノトロス艦隊数万の命を救った英雄として陛下に進言致しましょう」

「おっ!! そういうことならうちも負けてらんねぇなっ!  

 アヤ少尉最強伝説を帰還の宴で兄上に披露するとしよう。どうだイエルク。良い案だろう?」


「殿下。アヤ少尉殿がひいております。おふざけはこのあたりに……」

「そっか。まっ、最強伝説は兎も角だ。陸に打ち上げられた我が軍の窮地を救って貰ったことに変わりはねぇー。……金で良いか?」


「え……えっと……」


「殿下。帰還後の話は帰還後で宜しいのではないでしょうか?」

「景気付けって奴だ。戻るヴィジョン、上手くことが運ぶヴィジョンを皆で共有しておくんだよ。意外にいい結果に繋がんだ」

「そうかもしれませんが。他国の者を困らせてどうするのですか?」



「しっかしぃーそのマント、実に都合良く出来ているものですなぁー」


「うん? はん、分断国家の輸送船の船長様には面白くはねぇーわな。どっちが分断国家の正統な王家だあーだこーだ騒がしい上官大臣二人と左右両家に列なる爺さん王子様が消えてせぇーせぇーしてるところにヒーロー登場だ。船長様の部下の羨望を集めるヒーローは指示しか出さねぇー奴と違って微妙にノリはワリーが謙虚で面白れー奴だと来たもんだ。つれぇーよなー。プッ、八ハッハッハッハッハ」


「き、きさ……たとえ他国の王族であっても我が国を愚弄することは許さん。せ、せ、正式に三級国家ララコバイアに対し謝罪を要求する」

「たとえか。例える必要なんていらねぞ。兄上が国王やってるもんだから例える必要もなく王の弟、王弟なんだわ、わりぃーなっ!!」


「この場は海洋国家のプライドをぶつけ合う席ではありません。船長……ポンザモーン男爵もルーヘン殿下のおふざけを真に受けてどうするのです」


「そうだ。そうだ」

「殿下……」


「ルーヘン殿下もです。おふざけが過ぎます。ここは」

「はいよ。はいよ。海の漢の心に海の漢の言葉は良く響く。天下に名高いノトロス艦隊総司令パウロス・ヒューイット伯爵殿の顔を立てるとしましょう。どうだ。これが海の漢ってもんだ」

「殿下……」



 海に生息する魔獣は特大型が多い。家畜だけでは足りなかっただろう。漂流者達は白い光に巻き込まれた場所が海の上で幸いだったのかもしれない。食料と素材に悩まずにすんでいた。


 全員分の衣類を(腰に巻くだけを含め)簡単に揃えることが出来た。


 (餌の確保が難しい家畜を含め)食料も魔術で干物や燻製にし大量に確保出来た。


 水も湯も魔術で簡単に確保出来た。アヤ少尉は魔力欠乏症に陥ることなく火と水を生み出せた。


 獣や難易度の低い魔獣の骨を加工した武器ではスキルを使ったところで死ぬ未来しか有り得なかった特大サイズの水棲魔獣の攻撃を避けるでも弾くでもなく何事もないかのように歩いて近付きとどめを刺すアヤ少尉。



 漂流者達はアヤ少尉のおかげで苦労することなく体制を整え、岩山の中腹狼煙の可能性が高い地へ向け調査隊の派遣を決定した。


「登れそうなところは四ヵ所だったな」

「その通りです」


 ルーヘン王弟君の問いに答えたのは、麓の調査を担当したセザール次期公爵だ。


「我等がジャスパットは陸海に優れた軍を持っている。調査はジャスパットに任せて貰う」

「ふっ」

「王弟殿下、何がおかしいのですかな?」

「いや、なんでもない、ププ」


 聖王国、海洋王国、ターンビット王国、東西朝王国、四ヵ国が其々調査隊を出すことになり、アシュランス王国臨時旅団は其々の調査隊に数名ずつ参加することになった。


「ギャオォォォォォォ グワガァ―――――」


「「「何事だ!?」」」「「「なんだ?」」」


「た、大変です。数不明。岩山とは反対の方角より(ドラゴン)と思われる魔獣が飛来」

「報告します。ドラゴンの攻撃を受け第一櫓が倒壊しました」


「「「何が起こっている。誰か状況を報告しろ」」」

貴重な時間をありがとうございました。

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