6-13 白光の夜の真相を求めて④【大黒柱と祭壇と偽聖杯】の記憶②
日時:10日(大樹)ー 00:18:03
記憶:ガルネス大寺院最下階の祭壇と偽聖杯
「ん!? おい。あ、あれって」
「人だ。人が降ってきたぞ」
ドゴッ ベチャッ ドン ベチャベチャベチャ
「おえ」
「きゃ―――」
「夢だ。きっと夢を見てるんだ。そうだ、これは夢だ」
「夢か。……そうだよな。人が降って来る訳ないしな」
「所謂、明晰夢という……」
・・・
「剣姫様」
「サンドラ様」
「魔力陣が魔力陣から光が」
「先程の石と人間の血に反応しているようです」
「あっ……し、新人研究員ミッチェル君良く見ていましたね。その通りです。この巨大な魔力陣の発動条件は、人間の血と先程振って来た魔晶石に良く似た石だと断定して良いでしょう」
・・・
「お、おい。あれって」
「一瞬で干乾びて……」
「もしかして、この魔力陣が血を吸ってるんじゃ!?」
「血がまるで生き物みたいに模様の上を動いてる!」
ゴドッ ベチッグチャッ
「いったい何人振って来るんだよ」
「夢なら覚めてくれ。早く覚めてくれ」
「お、お、俺……大変なことに気付いちまったかもしれん。こ、ここは邪教が儀式を行っていた場所。つ、……つまり邪教と悪魔や地獄が取引していた場所の一つ、と、言い切ってしまっても良いだろう。と、……ということはだ。魔力陣が完全に起動してしまった時、そ、その時が……」
「そ、その時が何?」
「おい、その時が何だよ!」
「早く言えよ」
「いや、聞きたくない」
「キャ―――」
「いやいやいやいやいやいや」
「続きを言ってくれ」
・・・
「地上でいったい何が起こって……うん、止んだようなので、私は地上を確認しに行ってきます。貴方達は待機です。絶対にここから、天蓋の下から動かないように。魔力陣には絶対に近付かないでください」
「サンドラ様、サンドラ様一人だけを……も、申し訳ございません」
「剣姫様。ここは私にお任せください。解析班の班長の名にかけて魔力陣を死守してみせましょう。さぁ、早く地上の確認を。さぁさぁさぁ」
サンドラさんの近くに立つ鼻息の荒い班長と優れた洞察力を発揮している新人研究員ミッチェルと騒がしい調査団。
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「お、おいミイラが魔力陣に」
「消えた?」
「違う。消えたんじゃない。飲み込まれたんだ」
「ひ、人食い魔力陣だぁ!」
「キャ―――」
「頼む頼む頼む。夢なら早く覚めてくれ」
「夢でありますように。寧ろ夢であれ、これは夢です。夢だ」
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サンドラさんが床を蹴ろうとした瞬間だった。
紫色の光が魔力陣全体に広がり、中心に集まり閃光となって打ち出され、天井に開いた大穴を抜け夜空へと昇り、白い光の粒子となって降り注ぎ、光の粒子が一斉に破裂し世界を真っ白に染め上げた。
白い光に包まれ何も見えない時間が十三カウン程続き、何事もなかったかのように一瞬で視界が元に戻る。
生ある者の気配を失った世界に訪れた静寂。その静寂を風の音だけが乱していた。
「は?…………な、何が」
風の音に溶け今にも掻き消されてしまいそうなか弱い声が微かに聞こえる。
その声は、一人佇むサンドラさんの声だ。
カッ カランカランカラン
タッ
周囲を見回し、慌ててアーメットを脱ぎ捨て、もう一度周囲を見回し、床を蹴り大穴を抜け地上の様子を確認するサンドラさん。
「何の気配も感じない…………さ、さっきの光が。……魔力陣に吸収された?……皆離れた場所に居た。だとしたら何処へ? …………へい、陛下、陛下に報告しなくてはっ!」
貴重な時間をありがとうございました。
会話中心、説明不足。
映像なり絵が無いと記憶の回想は・・・。
文字や言葉を扱う私がポンコツなだけ。
本当に、ありがとうございます。