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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-11 白光の夜の真相を求めて④【大黒柱】の記憶③

 ――― 00:11:09


 少し離れた闇の中に薄っすらと浮かび上がった光は、大黒柱へと近付いて来ているようだ。


 ――― 00:11:28


 光の正体は、裏門の記憶で見た、闇夜に紛れる気のない白いローブの集団が発動させた火属性の魔術だった。


「オデスカル枢機卿猊下。あ、あ、あ、あああありがたやぁー。つい、ついに私にもその時が訪れてしまいました。この、この、このような時にはい、い、いったいどのようにしたらよろ、よろしいのですかな?」

「どうしたのだ。落ち着かぬか。えーい、落ち着けと申しておるだろうが」

「なる、なるほどまずは落ち着く、落ち着けばで、で、でその後はどのようにしたらよろしいのですかな? オデスカル枢機卿猊下、猊下、教えてくださいませんかな? さぁ、早く、さぁ」

「わ、分かった分かったら落ち着けブギーガン」

「オデスカル枢機卿猊下。私はその者の誉を称えます。その者は殉教したのです。今の私はカーネギアン、お忘れなきように。で、ででその後はどうしたらよろしいのですかな?」

「……教える、教える。教えようとも、まずはこの手を離さぬか」


「なるほど確かにいかにオデスカル枢機卿猊下であっても首を絞められ続ければ苦しいということですかな?」

「あ、当たり前なことを申すでないわ」

「で、で、で」

「……そ、それで、何が訪れたのだ」

「ついに、ついに頭の中に祈りの言葉が大合唱で聞こえるようになりました」


「それなら、私にも聞こえていますぞ」

「な、なんですと。サルーカス、貴方にもですか。そうですか、貴方にも聞こえているのですか?」

「あ、あぁ」

「そりゃーそうさね。さっきから」

「リズヘイミー、貴女もですかっ!? ついに、ついに、ついに! 時代が追い付いてきた。追い付いたのですね。フッファッファッファッハッハッハ、アッハッハッハッハッハ」


「お前達。この愚か者を黙らせなさい」


「畏まりました。……猊下」

「何だ」

「サルーカスは殉教したのですぞ。私はマダーガス。お忘れなきようお願い致します」

「マダーガス、任せましたよ」

「はっ」


「猊下」

「貴女もですか。分かってます。分かってますからもうさっさと」

「リズヘイミーも殉教の誉に身を捧げ」

「分っています。そうですジュスティンヌ、貴女もマダーガスもカーネギアンも殉教の誉の中にあるのでしたね。分かっていますとも」


「オデスカル枢機卿猊下、私はまだですが、それが何か?」

「猊下。私もまだですぞ」

「私もまださね」


「「「「「オイコラムホイコラムライセラムムンセラムバイセラムコンコンララムンモンセラムポモアスモシベアギイラセラム」」」」」


「わ、分かった。聞こえ、聞こえておるわ。奴らに気付かれたらどうすのですかっ!! 頼むからもう、もう誰も何も喋るな。黙れ黙れ黙れ黙れぇ―――っ!!!!」


 ――― 00:12:51


「「「「「ムニガコムリリタチフリアスリムバノムントテキアナリコンコンカラムンガルギモラティギティグラティグムーチョムーチョ」」」」」


 火属性の魔術で照らし出された光沢のある贅沢そうな白いローブを頭から被った集団。


 何故、この途轍もなく騒がしい集団がドラゴラルシム竜王国の竜騎士隊に気付かれずにここまでこられたのか疑問だ。


 白いローブの集団は大黒柱の手前、カラフルな集団の横で立ち止まり祈りの言葉を大合唱している。


 白いローブの集団に負けじとカラフルな集団も祈りの言葉を大合唱し始める。


 大司教の叫び声は、大合唱に飲み込まれ誰の耳にも届いていない。


 怪しい四人組。オデスカル大司教、ブギーガン神官改めカーネギアン、サルーカス神官改めマダーガス、リズヘイミー助祭長改めジュスティンヌは、大黒柱の目の前に立っている。


 寂しい憤怒の叫び声を、大黒柱だけが受け止めてくれていた。


 ――― 00:13:20


「……あー、猊下はお疲れです。私はガルネス大寺院付属ホノクレマ大修道院院長主席助祭長のジュスティンヌ。猊下に代わり伝えます。同志よ歓迎します。さて、蒼澄故御門(ソウトウユエゴモン)(裏門)の方から来たってことはだね。黄金祭壇から祈祷石を回収して」

「おい。一本だけ無傷で残ってた柱の方が騒がしいぞ」

「ああ、一本だけ無傷で残ってる柱の方から下手くそな歌が聞こえて来るぞ」

「大変だ。一本だけ無傷で立ってる柱の方に見えるのは松明の灯りじゃないか? 松明の灯りが見えるってことはだ、つまり、一本だけ無傷で立ってる柱の傍に誰かがいるって事じゃないか?」

「であえ、であえ。無傷で一本だけ立ってた柱の方から火属性の魔力を確認した。数は四」


「賊は四人だ」

「違うだろ。松明も見えるぞ」

「ぞ、賊は四人以上だ。南側へ急げ!!」


「「「はっ」」」


 ドラゴラルシム竜王国の竜騎士隊が、やっとこの集団の存在に気付いたようだ。


「……猊下。邪魔が入る前にやっちまうさね」


「ちっ、気付かれてしまったようですね。お前達がぐずぐずして……まぁ今更です。今更気付いたところでもう遅いのです。さぁー始めましょう。解放の時です。祈祷石を大贄儀礼の間へ」

貴重な時間をありがとうございました。

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