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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーメア・イート編ー
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6-6 白光の夜の真相を求めて④【大黒柱】の記憶の前に

 ほぼ全壊したガルネス大寺院には、地上に十五個の建造物があった。(旧教は大寺院の地下に地上を遥かに凌ぐ規模の愚行の場を設けていた。延床面積はざっと十倍以上)


 ① 裏門

 ② 大礼拝堂

 ③ 審問検邪室

    別名:善行の間

 ④ 宝物庫

 ⑤ 正門

 ⑥ 神聖堂

 ⑦ 大公会堂

 ⑧ 大創生殿

 ⑨ 世界創造神創生教教王書院

   別名:七星大教会(神王家の為の教会)

 ⑩ 正神殿

 ⑪ 内礼拝堂

 ⑫ 外壁

 ⑬ 内壁

 ⑭ 無名の太鼓橋 七本 

 ⑮ 時渡の橋


 無傷の状態で残っていものはかなり少ない。


 そんな中、世界創造神創生教教王書院に一本だけ無傷の状態で柱が残っていた。

 その柱は朱色のマルブル製で、高さ五百六十センチメートル、太さ六十センチメートルもあった。(高くて太くて立派な柱を便宜上大黒柱と勝手に呼称)


 大黒柱の記憶の前に、外から大黒柱までの経路を確認する必要があった。


―――大黒柱までの経路①


 裏門を潜り、白い玉砂利が敷かれた細道【滅罪の回廊】と呼ばれる低木の並木道をくねくねと十ラフン程歩くと、【大礼拝堂・外礼拝広場】がある。

 一般の信者は、外礼拝広場で祈りを捧げる。


 外礼拝広場から五千人規模を収容出来る大礼拝堂の中へと足を踏み入れると白い空間が広がる。

 白御影石が敷き詰められた床、白漆喰の太い柱と厚い壁、白漆喰に金漆喰(金粉を混ぜた漆喰)で描かれた神紋が等間隔で並んだドーム型の高い天井。

 財貨を沢山寄進し続ける信者は、白の礼拝堂と呼ばれる大礼拝堂で祈りを捧げる。


 大礼拝堂の【神木の祭壇】(世界創造神様より初代教王が神授された非常に有難い神の木を秘術で加工し造られた尊い祭壇という体になっている)の奥にあるアーチを潜り、小窓一つ無い廊下【法施の回廊】と呼ばれる窮屈な白漆喰の道を一列に並び頭を下げ屈みながら三ラフン程歩くと、三叉路にぶつかる。


 三叉路を左折し四ラフン程歩くと【審問検邪室】があり、右折し一ラフン程歩くと【宝物庫】(神宝殿は地下)があり、正面に真っ直ぐ七ラフン程歩くと【内礼拝堂】がある。


 ※審問検邪室は、禁書目録や審問諮問や裁判の記録を保管した図書資料室の様なものだという話だったが、押収した資料や保護した者達の証言から、実際には監禁拷問強姦殺人採取など悪行を繰り返し続けた惨憺たる部屋だった。※


 ※宝物庫は、三段収納の木の棚が十三列(一列二十四メートル)が規則正しく並び、価値の低そうなガラクタが大量に保管されていた。※


 ※内礼拝堂は、鍵がかけられた重厚な扉(内礼拝堂の裏扉)で法施の回廊と隔てられていた。(建物が崩壊していた為、調査団は法施の回廊側からも内礼拝堂に入ることが出来た)※


 内礼拝堂は、大礼拝堂の二十分の一程の広さで中へと足を踏み入れると白と黄金の空間が広がる。

 ホワイトマルブルが敷き詰められた床、ホワイトマルブルの壁、ホワイトマルブルに金漆喰で描かれた神紋と、銀漆喰(魔銀石(ミスリル)粉を混ぜた漆喰)と緑漆喰(緑柱石(エメラルド)粉を混ぜた漆喰)で描かれた神王家の紋章が等間隔で並んだドーム型の天井。柱は一本も見当たらない。

 そして、西側の壁側に設置された黄金(純金)の祭壇と金漆喰に漆で架空の生き物(たぶんメア(亜)下界の生き物だと思う)が描かれた祭壇の天蓋。

 各国の王侯貴族や神王国の教貴族と貴族や他例外の信者は、黄金の礼拝堂と呼ばれる内礼拝堂で祈りを捧げる。


 大黒柱のある世界創造神創生教教王書院まではもう一息だ。


 世界創造神創生教教王書院へは、内礼拝堂の観音開きの正扉から【宣託の回廊】を入口へと戻る必要がある。


 裏口からではなく、正門から向かった方が早いのではないか?


 経路の確認は大切だ。

―――大黒柱までの経路②


 正門を潜り、ガルネス大寺院が誇る巨大な庭園【見返りの園】の中央に建立された【神聖堂】まで道なりに二十四ラフン程歩き、神聖堂から伸びる【貴賤の回廊】を五ラフン程歩き、【大公会堂】前の参拝受付口で手続き(寄進)を済ませ大公会堂の中庭へと移動し、木造の太鼓橋を七本渡り池の小島に建立された【大創生殿】まで十ラフン程歩き、大創生殿の中に幾つかある階段をどれでも良いので地下一階(地下約二十メートル)へと下り、地下一階に造られた【創生祭壇の間】から伸びる七つの回廊の一つ【富貴の回廊】を十三分程歩き地上へと戻り、薔薇の道、花壇、草原、牧草地、背の高い針葉樹の並木道と目まぐるしく変わる【無月の回廊】を一ラフン弱から三十六ラフン強歩くと、大黒柱が立つ世界創造神創生教教王書院がある。


 因みにここから内礼拝堂まではとても近い。


 世界創造神創生教教王書院の庭を静かに流れる【回帰の小川】に架けられたマルブル造りの【時渡の橋】を渡り橋と直結し建立された【正神殿】まで三ラフン程歩き、正神殿から伸びる宣託の回廊を三ラフン程歩くと内礼拝堂がある。


 ※内礼拝堂の観音開きの扉(内礼拝堂の正扉)は、常に開かれていたそうだ※


―――大黒柱までの経路③


 重厚な扉の鍵さえ開いていれば、内礼拝堂を経由し、宣託の回廊、正神殿、時渡の橋、世界創造神創生教教王書院へと移動出来る。


 短時間で大黒柱まで行ける。



 鍵さえ開いていればだが。



―――白夜の夜の怪事件の経緯。

 詳細な時系列はタブレットが編集したから。


 日時:9日(闇)ー 29:53:47

 記憶:ガルネス大寺院大黒柱


「話が違うじゃないか。何が『七星大教会の隠し(脱出)通路は頑丈に作られてるから大丈夫だ』だ。誰もがお前の命に従って動くと思うなよ」


「良いではありませんか。これが成功しさえすれば、大司教猊下は晴れて枢機卿猊下になられるのですから」

「今のうちから、オデスカル枢機卿猊下。と、お呼びする練習でもしておきますかな」

「壁をよじ登り、闇夜に紛れて荒野と化した針葉樹林帯を抜け、まるで盗人のようでしたな。年甲斐もなく興奮してしまいましたぞ」


「お前達、お喋りは終わってからにしなさい。贄が来るまで身を隠すぞ」


「かしこまりました、猊下」

「そうですな、枢機卿猊下」

「おっと噂をすれば何とやら、巡回の兵士です」

貴重なお時間をありがとうございました。

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