5-30 浜辺の傍観者③
空飛ぶ絨毯リビングルームセット特大ヴァージョンを囲む様に張られた三つのテントを確認する。
張られているのは、この前量産して軍に支給したばかりの等級星テントの五か六か七か八のワンルームタイプが2つと、多目的拡張テントのミーティングタイプ。
間違いなくここはアシュランス王国軍のベースキャンプだ。士官が一人もいないってどういうことだ?
***********************
≪ロイクが先日開発したばかりの魔道具≫
◇等級星テント(設備は㎡に含まれていない)
①一等星(一等級でも可)タイプ
・半神具(半神半魔道具)
・広さ拡張制限解除済
設備:バス&トイレ別・サウナ
冷暖房完備・照明器具
簡易神聖属性結界・他
素材:邪神竜のなめし革(軟鱗)
精霊の神虹石絹布
トフォレルチェの髭(尻尾の毛)
悪気で加工した魔銀石の骨組み
他
※【マテリアルクリエイト】で創造、
消費した素材は無し。
②二等星(二等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『SSS』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・3LDK(約60㎡)
設備:バス&トイレ別・サウナ
冷暖房完備・照明器具
地下シェルター・大型収納庫
地下食料貯蔵庫・水サーバー
聖属性結界(内部のみ聖域化)
風属性結界(周囲)・他
素材:古代種の竜のなめし革(堅鱗)
精霊の神金石絹布
アラクネの上級撚糸(蜘蛛の糸)
悪気で加工したミスリルの骨組み
③三等星(三等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『SS』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・2LDK(約40㎡)
設備:バス&トイレ別・サウナ
冷暖房完備・照明器具
地下シェルター・大型収納庫
簡易食料庫・水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:古代種の竜のなめし革(堅鱗)
精霊の神銀石絹布
アラクネの上級撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
④四等星(四等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・1LDK(約25㎡)
設備:バス&トイレ別
冷暖房完備・照明器具
大型収納庫・簡易食料庫
水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊のミスリル絹布
アラクネの上級撚糸
悪気で加工したミスリル
⑤五等星(五等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・1R(約15㎡)
設備:バス&トイレ別
冷暖房完備・照明器具
簡易収納庫・簡易食料庫
水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊の絹布
アラクネの撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
⑥六等星(六等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・1R(約11㎡)
設備:バス&トイレ別
冷暖房完備・照明器具
簡易収納庫・簡易食料庫
水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊の絹布
アラクネの撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
⑦七等星(七等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・1R(約8㎡)
設備:バス&トイレ別
冷暖房完備・照明器具
簡易収納庫・簡易食料庫
水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊の絹布
アラクネの撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
⑧八等星(八等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・1R(約4㎡)
設備:バス&トイレ別
冷暖房完備・照明器具
簡易収納庫・簡易食料庫
水サーバー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊の絹布
アラクネの撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
⑨九等星(九等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『A』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10)
・1R(約15㎡)
設備:冷暖房完備・照明器具
簡易収納庫・簡易食料庫
水サーバー・他
素材:土竜のなめし革(堅鱗)
瘴魔闇土蜘蛛の上級布
ルチェムノクターの堅糸
軽量化したミスリルの骨組み
⑩十等星(十等級でも可)タイプ
・魔道具 レア度『A』級
☆☆☆☆☆☆☆☆★★(☆8)
・1R(約15㎡)
設備:アラクネの絨毯(床一面)
素材:飛竜のなめし革(柔鱗)
ルチェムノクターの布
ルチェムノクターの糸
軽量化したミスリルの骨組み
◇多目的テント(設備は㎡に含まれていない)
・魔道具 レア度『S』級
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(☆10以上)
・広さ約40㎡~100㎡
設備:トイレ
冷暖房完備・照明器具
簡易収納棚・水サーバー
個体識別センサー
風属性結界(周囲)・他
素材:成竜のなめし革(堅鱗)
精霊の絹布
アラクネの撚糸
悪気で加工したミスリルの骨組み
①オフィスタイプ
②ミーティングタイプ
③ダイニングタイプ
④キッチンタイプ
⑤メディカルタイプ
⑥バスタイプ
⑦トイレタイプ
⑧インドアトレーニングタイプ
等々
***********************
「近衛兵。トイレとかバスとかは」
「声を掛けましたが反応はありませんでした」
「そうですか」
テントと空飛ぶ絨毯の間、小規模な広場の砂地の狭い空間で平伏している軽装の兵士達二百人程を見回し、テントの向こう側へと意識を向ける。
広場と同じくらい静かだ。
遠征軍は確か四千九百二人だったよな。もしかして、家も包囲網に参加、いやそんな話は聞いてないぞ。
「妙に静かですが、もしかして家も首都包囲網に参加してるんですか?」
「陛下。至急、ドラゴラルシム竜王国軍本陣へ赴き状況を確認して参ります。この場を、暫しの間任務より離れる許可をいただけませんでしょうか」
「ドラゴラルシム軍に聞くだけなら俺が」
「こ、こ。こ、こ、こここここ」
ミーティングタイプのテントの方から変な声が聞こえて来た。
草原鳥の鳴き声を真似しているのかもしれないが。残念なくらいに似ていない。
「あっ! あの女なのじゃ、あの女。プププッ、似てないのじゃぁ~~~!。メドウバードは、エーックイーエーックエーック♪ 分かったかぁ~なのじゃっ!」
「ハァ―――だね。トゥーシェ、お前は相変わらず足りないね。エーックイーエーックエーックはお前のところの草原鶏(軍悪鶏)だね。こっちのメドウバードは、トゥイートゥイートゥイーとココリコココリコココリコだね」
「残念でしたぁ―――。ココリコは鶏の鳴き声なのじゃぁ。フォルティーナは馬鹿なのじゃぁ~」
ニヤニヤとほくそ笑むトゥーシェ。
「知性と品位と羞恥心。実に可哀そうだね。何もかもが足りていないとお前みたいになってしまうということなのかね」
この上なく実に残念なドヤ顔でトゥーシェを見つめるフォルティーナ。
鳥の鳴き声一つでここまで仲良く盛り上がれるのはこの二人くらいだと思う。だから、放っておこうと思う。
「今、声を出したそこの君。階級と名前を」
「あああっ!!!」
「教えってぬわぁっ、な、何ですかサンドラさん急に大きな声出さないでください。ビックリするじゃないですか」
「陛下。彼女はリア。この旅団の団長です」
・
・
・
・
・
「軍事会議を終え解散し持ち場へ移動しようとしているところに、テーブルの上で仁王立ちする神フォルティーナ様の神々しいお姿を拝し、居ても立っても居られず慌てて平伏したそうです。士官一同、極度の緊張からか腰が抜け声がも出ず蹲るしかできなかったとも申しております」
ありがとうございました。