5-28 大袈裟、捏造、御都合主義
修正前) 建国記では、AR歴11118年
修正後) 建国記では、AR歴11754年
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話がスムーズに進み過ぎてフォルティーナの顔が脳裏をよぎる。
嫌な予感がして不安でしかない。
ティーカップを手に取り、ハイジィーさんが淹れてくれたディステルティーの香りで心を落ち着かせる。
ふぅ~。……この紅茶、香りだけで味は良薬レベルで美味しくないや。苦くて渋くて後味が酷い。
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静かに飴と鞭もとい風味を味わっていると、ガルネス神王国の良薬もとい名産品の一つ嗜好品ディステルティーが気付けとなったのか、思考が何だかクリアになった感じがする。
さてと、頭と気分がスッキリしたところで、話をまとめますか。
結局のところフォルティーナはいったい何を知りたかったんだ?
どうせ報告したところで、いつもの如く漢の浪漫を態と主張させながら残念な顔で「アタシは神だね。全て知ってるね。当然だね」とか言われるに違いない。
いったい何の為に俺達がここまで来たのか。それすら「考えるだけ無駄だね」とか言われ一蹴されてしまうに違いない。
まぁ、「だったら最初から教えてくださいよ」と聞いたところで重要だったり本当に欲しい情報を的確に端的に伝えるなんて芸当フォルティーナには確実に無理だ。
言われるがままここに来たのは正解だったと思うことにしよう。
スージーさんやフォルカーさんから直接話を聞けたのもそうだが、何よりも二人に出会えた。
無駄ではなかったと思うことにしよう。そして、素直に。創造神様に感謝しよう。
しっかし、キャスパリーグはずる賢いよなぁ~。...... ~
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【ロイクなりにまとめたつもり】
ランドリートは、
あっおい様の腰掛石のおかげで、
悪気に満ちていた。
腰掛石は誰にも気付かれることなく、
あっおい様の腰掛石として機能し続けた。
ランドリートが、
ノルテールノーンの聖地になれたのは、
あっおい様の腰掛石のおかげ。
ガルネス(神)王家は、
メアの下卿で貴族階級キャスパリーグ。
コルトの存在にとっては天災レベルだが、
メアではそこそこ強いだけの存在。
ガルネス(神)王家は、
力では敵わぬ存在の懐柔を模索した。
コルトで生き続けていられるのは、
初代神王で教王のホノクレマ一世が、
契約神書を創造神様と交わしたから。
ファーストノーンには、
この地には世界創造神という名の
唯一神様が居られる。
絶対神様の御力が及ばぬこの地で、
意識を失わずに済んでいるのは、
世界創造神様の
愛情であり優しさであり惻隠である。
世界創造神様は、
キャスパリーグのホノクレマに、
契約神書を託された。
右も左も分からぬ地で争うは愚。
世界創造神様の御力に縋り、
絶対神様の御力を救いの日を待とう。
要らぬ争いを回避する為にも、
絶対神様。
メア王国。
一二諸侯国。
ヴィスズ。
救いの日が訪れるその日まで、
永遠なる祖国慈しむべきその名を、
口にしないと誓おう。
などとぬかしていたそうだ。
こんなんで納得できる訳がない。
キャスパリーグに都合良過ぎだ。
なのに、今でも残ってる。
上手くいってるとは言い難いが……。
まぁ~、この件に関しては、
契約神書の件をまとめてからにしよう。
そして、
セカンドノーンとサードノーンには、
捏造のオンパレード、
驚く程に神がかり都合良く盛られた
創作ファンタジーが刷り込まれた。
こんな感じだ。
契約神書には、
七つの神授と、長ったらしい戒法が、
神の文字により記されている。
※都合良過ぎ※
・神王家の血を受け継ぐ者のみに、
神の文字は扱える。
七つの神授とは、
【建国の神授】
神王国を建国しなさい。
神王国の名は、ガルネス。
元首は、世襲のみ。
【盟主の神授】
神王を定めなさい。
神王の名は、ホノクレマ。
元首は、神王のみ。
【信仰の神授】
国教を定めなさい。
国教の名は、世界創造神創生教。
教王は、神王一族のみ。
【盟友の神授】
迷いしメアの民に与えよう。
信仰と調和を以て神民と定めよう。
神民の名は、ノルテールノーン。
ノルテールノーンは建国の民。
【奇跡の神授】
イヴァリュエイション・完全耐性
擬態
隠蔽の情
プリペアの心・極
※たぶん、これは重要なこと※
・種族の固有能力として付与されていた。
・神授スキルではない。
【異名の神授】
※これも、それなりに重要だと思う※
・コルトの称号と類似している。
・フォルカーさんの異名は、
『至りし者』『馴染みし者』『護りし者』
・スージーさんの異名は、
『至りし者』『順応せし者』『思いし者』
・ハイジィーさんの異名は、『越えし者』
・猫姫様の異名は、
『越えし者』『齎せし者』らしい。
※これも※
・迷宮やゲート以外の方法で、
コルトに来てしまった
(メア(亜)下界生まれの)存在、
ファーストノーンは、
『至りし者』の異名を必ず所持する。
・ファーストノーン以外は、
『越えし者』の異名を必ず所持する。
・長命の者は多くの異名を所持する。
【戒法の神授】
読めない文字で長々と、
都合の良いことばかり書かれている。
※ここまで来ると逆に凄いと思う※
・神王国建国記は神王家が開示した
契約神書の戒法の一部を、
誰もが理解できるように訳したもの。
戒法には、
世界創造神様、ガルネス神王国、
世界創造神創生教、神王家、神王、教王、
ノルテールノーン、ファーストノーン、
世界、他の成り立ちが記されている。
1.戒法に導かれ、
初代神王で教王のホノクレマ一世が、
辿り着いた草原。
草原はランドリートと名を変え、
ノルテールノーンの聖地となった。
※あっおい様の証言から※
・あっおい様は約6000年前から、
あの腰掛石に腰掛けていた。
つまり家畜がいた。
建国記では、AR歴11118年。
今からざっと約4322年前に、
ランドリートは聖地として、
建設された。
2.ガルネスの父ホノクレマ一世から、
ガルネス(神)王家が受け継ぐ旧教と、
ガルネス(神)王が受け継ぐ契約神書は、
ノルテールノーンの清い心から、
世界創造神様への信仰心と、
ガルネス(神)王家への忠誠心と、
ノルテールノーンとしての誇りが、
失われない限り揺るがない。
ガルネス(神)王家は、
ノルテールノーンと共にある。
※フォルカーさんスージーさんの証言から※
・キャスパリーグ(神王家)に、
忠誠を誓うなどありえない。
・若い世代や一族の弱き者を守る為、
絶対神様と世界創造神様の
御意志御意向に御力に寄り添っている。
・表のことはキャスパリーグ一族が
責任を持って全て行うから。
贅を尽くしてとまではいかないが、
何不自由なくのんびり暮らせるよう
全力でサポートするから。
メアの同朋達よ全部任せてください。
と、頭を下げられたから。
任せてるだけ。
・魔侯一族の血縁者。
キャスパリーグと同じ下卿だが力が上の、
リリス、カゲユイマ。
キャスパリーグより力が強い、
オウィス、スース。
力で敵わない同朋への便宜は手厚く、
力の劣る同朋への便宜は微妙なもの。
時代とともに軽視される傾向に。
・良い例が、
モーヴェバーニーでファーストノーンの
フォルカーさんだ。
メア生まれの同朋が、
のんびり暮らせるようにと言いながら、
辺鄙な土地と教子爵の位を渡された。
水煙の聖域への巡礼観光が盛んになると、
のんびりとは程遠い暮らしを強いられた。
寒冷化が進むと巡礼観光は下火になり、
のんびり暮らすというより隔離生活へ。
田舎辺境辺鄙な場所で暮らす。
それは、
のんびりしていたら死ねるということ。
近くには頼れる物が何もない。
自らの手で備えるしかない。
支道カルーダ獣道の道地主。
領主としてカルーダ湖畔域から、
離れてしまうと一族に迷惑が及ぶ。
キャスパリーグは、
体制の監獄に弱き者を繋囚している。
秘密を多く知る力弱きフォルカーさん。
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~ ......キャスパリーグ体制を維持する為にここまでやるとは。何ともまぁ~。
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分霊に関しては、スージーさんやフォルカーさんが知らないだけって可能性もあるが、遺骨のあの扱い方から見て、旧教もガルネス神王国も本当に何も知らないと考えて問題ないだろう。
分霊。分霊体。今日初めて知った言葉だが、憑依させたり憑依したりとロクな物じゃない。
今回のケースは、母体から胎児への転位(移動)とメアからコルトへの転位(移動)或いは強制召喚(移動)或いは不明な何らかの移動が重なってしまった稀有なケースだ。
母体から転位した分霊体が憑依し生まれた三つ子の長男イーゴン...... ~
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あっ、これは脱線ではなく余談だが。
ゼルフォーラ大陸の国々では、多胎の出生順により第一子第二子第三子だが、メア(亜)下界やガルネス(神)王国では第三子第二子第一子と逆だ。
俺としては、多胎児に順番なんてないような気もするが、戸籍を管理する上でどうしても必要な処置だと聞き、何となくだが納得することにした。
「ガルネス神王国では、実子の中で最も強い者が生き残り世襲する強者世襲が原則であり暗黙の了解なのです」
強い者が生き残り世襲するのか。って、ぁうん?
「フォルカーさん。それだと、本当の意味で順番なんて関係ないですよね」
「あくまでも死力を尽くす程度です。本当の意味で殺し合う訳ではありません」
「あぁ―――、なるほど」
この国が大袈裟で御都合主義だったの、忘れてました。
旧教と似てる。……って、似てて当然じゃん。元が同じだし。
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ありがとうございました。