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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーガルネス編ー(傍観)
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5-12 悪狼神様の草庵②

 宙に映し出された画面、モニター、スクリーン。もう何でも良いや、フォルティーナに合わせてスクリーンって事で統一しようと思う。


 さて、そのスクリーンなのだが、問題だ。

 スクリーンに映し出されている映像が、問題だ。


 そう。

 今の速度で移動を続けた場合、このままでは、フォルティーナを放置したままでは、変化に乏しい大自然大草原に小一時間も……。正直、俺達は暇じゃない。


 しかもだ。

 そよ風の様に流れる景色には、フォルティーナの白々しいガイドナレーションが……。実に迷惑な話である。


 ここには、時の理の一部寿命から解放された存在しか居ない。

 大いなる力や不慮の消滅、余程のことがない限り存在し続ける存在しか居ない。

 それでも、時間は別だ。時間は貴重だ。


 時の理が空間に干渉し時空と時間が存在する。それが下界だ。

 時空は下界を固定するツールの一つ。

 時間は下界を管理するツールの一つ。


 そして、時間は俺達を置き去りにする。概念でしかないが時を刻み続ける。

 気が付いたら千年経ってましたでは遅過ぎる。


 つまり、「このままじゃダメだ」って、言いたいだけなのだが……。

 無駄だ。

 理不尽な存在に理を説く。それ即ち、火に油、波風そのもの。



 ………………ここは、誉めちぎって何とかするしかないだろう。……たぶん。



・・・・・・・


・・・・



「そこを何とかお願いします。そろそろあ、愛も司ってしまいそ、」

「良いかね。ロイク」

「そうなフォルティーナ」

 おっと、舌を噛みそうに……。

「それ、愛!?……な、何を言ってるね。ロイクそれに皆もだね。人生とは急がば回れと言うね。時は金なりと何でもお金で解決しようと思ってはいけないね。愛は金次第だね」

 何言ってんだこいつ……。だが今は、

「フォルティーナ。そこを何とか。そろそろお金も司ってしまえそうなフォル」

「そもそもだね。お金は」

「ティーナ」

 あれ、おかしいな。スムーズに言えちゃった。

「おか、お金かね。……ワルクナイ……ムシロ…………あっ!ゴホッン。お、お金は大切、その通りだね。あたしもそろそろ良い頃合いだと思っていたね」


 食い付いたっ!!

 …………なるほどな。心にもない事と違って実感を伴っていたからか。に、しても……。

 いつも以上に残念な顔だ。


 フォルティーナは、ニヤニヤとほくそ笑み「あたしは金の女神だね」と呟き悦に浸るを繰り返している。


 ヘラヘラニヤニヤと気味が悪い。と言うか気色悪い。



 視界からそっと外した。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



「金の女神と呼んでくれて構わないね。寧ろ呼ぶね。それで、金の女神でもあるあたしにいったい何の用だね。最初に断っておくがだね。あたしはビタ一NL(1ネール)貸さない。分かったかね」

 ……残念って、極めると最低の仲間入りするんだな。

「金を司りしフォルティーナ様にお願いがあります。映像を一〇倍。いえ、七倍。……贅沢は言いません。三倍でお願いします。三倍でも有難いです。三倍で感謝します。尊敬します。言い値をお賽銭お布施、金を司りしフォルティーナ様の言い値でお渡します。ですので」



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



 そして、三倍速に成功した。



「ようこそうちの草庵へって言うてもモニターの話やけどなぁ」

「穴?」

 スクリーンには大自然が作り出したと思われる小さな穴が一つ映し出されていた。

「何、言うてるんどすか、穴ちゃうでうちの草庵どす」

「ワッハッハッハッハッハまだ微妙に人間のロイク。通訳しよう。私の友神は、大地に出来た空洞を利用した粗末で見窄らしい庵に住んでいるんだぞ。どうだ、凄いだろう」


 大草原の小さな穴にしか見えないんだが…………何て言うか色々と思うところはあるが、触れないでおこう。それよりもだ。これって、確認しておく必要があるよな。

「ユーコ様」

「なんだ」

「さっきの話だと森と草原の境界の町から一から二ラフン移動した場所にあっおい様の草庵があるって事でしたが、町はいったい何処に?」

「あっちだなっ!」

 ユーコ様は、スクリーンの右側を指さしている。


「フォルティーナ、ユーコ様が指さした方角に映像を動かして貰えますか?」

「構わないね」


 映像が動き、そして、おっおい様の家を背に大草原を映し出した。


 !???

「えっと……町は?」 

 もしかしたら自分にだけ見えていないのかもしれない。ありえないけど。だがしかしだ。フォルティーナのやることだ。万が一って事もありえる。

 念の為、皆の表情を確認する。

「ないですね」

 目が合うと、アルさんは小首を傾げた。

「……」

 目が合うと、マルアスピーはティーカップを口へと運ぶ途中だった。

「フォルティーナ様。私達が今目にしている場所は」

「おい、人間の女。私はさっきから言ってるぞ。あれは私の友神悪狼(あっおい)の庵だぞ」


 目が合うと、サンドラさんはフォルティーナへと視線を動かし、改めて場所の確認をした。だが、途中でユーコ様に遮られてしまう。


「あの穴が、狼の神あっおい様の神殿である事は理解しています。ですが、フォルティーナ様によって映し出された宙の絵には、ランドリートの町が描かれていません」

 神殿!?あっ、はいはい。神様の住居だから神殿か。なるほどね。

「何を言ってるんだ。見える訳無いだろう。寧ろ見えたら怖いぞ」

「と言いますと?」

「サンドラ。悪狐神の言う通りだね。流石のあたしでも裸眼であそこからランドリートは見えないね」

ありがとうございました。

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