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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーガルネス編ー(傍観)
319/1227

5-11 悪狼神様の草庵①

「先程から気になっとったんどすけど。かれこれ三六〇(360)年あぁー今年で三六一(361)年になるんか。今までいっぺんたりとも草庵の近うで人間を見かけた事はあらへんどす」

「通訳しよう。私の友神は、コルトで言うところのガルネス神王国の、コルトで言うところのカルーダ山脈の麓、コルトで言うところのカルーダ湖に面した西ガルネス神森林(【通称:西の森】)の東の端。コルトで言うところの西ガルネス神森林と西ガルネス神平原の境界の町ランドリート。コルトで言うところのそこから西へ一から二ラフン()ちょっと進んだあたりに粗末で見窄らしい(いおり)を構えているんだぞ。どうだ、凄いだろう」

 ヒューム(人間)を見た事が無い……ふむ。もしかしてだけど、ランドリートって(故郷)のマルアスピー村より田舎なのかも。

 西ガルネスシン(・・)森林と西ガルネスシン(・・)平原の境界にあるんだろうなって事は分かるんだけど。そもそもその森林と平原って、ガルネス神王国の何処辺りにあるんだ?

 西ガルネスシン森林。西ガルネスシン平原。その境界にあるらしいランドリート。ランドリートか。……ランドリートねぇ―――。

 こりゃ検索だな。

「陛下。ランドリートは、ガルネス神王国の王都ガルネスの南約四七キロメートルの地点にあります畜産農業が盛んな町です」

 おぉ、流石サンドラさん。ナイスです。今一番欲しいのは正にそれです。それにしても気を付けないとな。俺って意外に顔に出やすいタイプなのかも。


「正解だぞ。人間。私の友神は、ランドリートの家畜目当てで庵を構えたんだぞ。どうだ、凄いだろう。キューン、キューン」

 ランドリートの家畜目当てってまた迷惑な。神様がその辺の獣や盗賊みたいな事して……。ん、あれっ!?

「ユーコ様。ヒュームを見かけた事が無いって言ってましたよね?」

「は? 言ってないぞ。人間を見かけた事が無いと言ったのは私の友神の悪狼だぞ」

 ユーコ様は、溜息混じりに小さく首を傾げた。


 で、ですね……。

「そうですね。申し訳ありません。言葉が足りませんませんでした。あっおい様は家畜を狙っていたのにヒュームを見かけた事が無い。って、おかしくありませんか?」

「おかしくないぞ」

 え?

「お、おかしくない?」


「そうだぞ。まだ微妙に人間なロイク。(・・)の話は最後まで聞くものだぞ。通訳の続きをしよう。私の友神が今の場所に庵を構え三六一年。私の友神は一度も人間の姿を見かけていない。それは何故か。何故なら友神の庵は人間の町から一から二ラフンちょっと離れた場所にあるからだぞ」

 それって、離れたうちに入るのか?


「ねぇロイク」

「はい、なんでしょう?」

 隣の席に腰掛けるマルアスピーへと体を向ける。

 マルアスピーは、左手でティーカップを持ち流れる様に口へと運びソーサーへと戻す。

 絵になるなぁ~……ってじゃなくて。

「ねぇロイク。思ったのだけれど」

「はぁ」


「神獣が一ラフンも宙を飛んで移動したのなら、それはいったいどの位の距離になるのかしらね」

「宙を飛んでですか。あっ!進んだ辺りって、そっかなるほど。町とか家の話だったから徒歩だと勝手に思い込んでました。ユーコ様、どうやって」

「今日は跳躍二回だな。前に会いに行った時は三回だったと思うぞ」

 跳躍二回?


 ……えっと、

「それって」

「コルトで言うところのジャンプ? あぁ―――スキップかもしれないなっハッハッハッハッハ」


 友人に会うのが嬉しくて、嬉しさの余りスキップで移動したってところか。


≪パチン

 フォルティーナのフィンガースナップの音が響くと、運営側と俺達普通参加側との間の宙に、大きな画面が展開した。

「はーい、注目だね。今スクリーンにはこっちで言うところのガルネス神王国が映ってるね。上が北と言うことは下が南になってしまうね。ここまでは良いかね」


 どう反応して良いのか悩みつつも、皆其々、何となく返事をする。

 画面が動き始める。

 平原を南へと移動している様だ。


「おはようございます。アシュランス王国の皆様、本日は神式会社(・・・・)ワールドマネー観光をご利用いただきまして誠にありがとうございます。本日皆様とご一緒させていただきます、ガイドのフォルティーナと申します。短い時間ではありますがよろしくお願い致します」

 は?


 皆其々、顔を見合わせていると、

「それでは、……スクリーンに注目するね。映っているのはこっちで言うところのガルネス神王国で西ガルネス神平原と呼ばれている普通の平原だね。時速は二〇(20)キロメートル安全運転で南へ向かって移動しているところだね」


 フォルティーナは、自信満々にほくそ笑んでいる。

 ホント。残念な表情だ。あの顔さえしなけければ……。


「フォルティーナ様。これはいったい」

「サンドラ、良い質問だね。はーい、注目だね。今、サンドラから良い質問がありました。聞いてたと思うがだね。良い質問だったね。あぁーガルネス神王国とは」

 これは長引く方だ。ここで脱線とかあり得ない。

「フォルティーナ。時速二〇キロメートルで西ガルネス神平原を南に移動してるのは分かりました。それで何がしたいんですか? フォルティーナは第二神の偉大な神様なんで何でも知って当然だと思うんです。ですが、俺達は所詮ヒューム(人間)です。所詮ヒュームの俺達にも分かるようにお願いします」


「私と私の友神は神だぞ」

「うちはこれでも狼の神獣おす」

「パトロン殿よ。言っては何ですがぁ~、このアランギー。料理を司り彼是数十憶年神をやっておりますですぞぉ~。はい」

 ……そ、そうですね。

「chefアランギー様、ユーコ様、あっおい様、ロザリー・クロード様、ミイール様、アルさん、エリウス。亜神(あがみ)様も含めるなら、バルタザールさんにマクドナルド卿にオスカーさんにあー他誰だ。えっとぉ~…………まぁー後は所詮ヒュームなんでお願いします。分かるようにお願いします」


「ロイク君。私は生きる(・・・)為に亜神となっただけで所詮元ヒューム。神授により聖騎士だっただけの男だぞ」

 そ、そうですね。

「主殿。私も所詮元聖獣程度の存在。第二神のフォルティーナ様。ましてや」

「わ、分かったから。エリウスもバルタザール殿も、もう分かったんで、話を進めさせてくださいよ」




「もう少しでうちの草案に着きますえ」

「うんうんだね。この速度なら後一時間弱で到着するね」


「「「「「えっ??」」」」」



―――――――――――――――――――――――


「ところで、神授スキル【タブレット】の絵の部分あるじゃないですか」

「それがどうしたね」

「あれって正式には何て名前なんですか?」

「名前と言われても困るね」

「困るんですか?」

「当然だね。良いかね。タブレットはだねアクティブマトリクス方式だね。つまり液晶パネルはTFT(ティーエフティ―)だね。だがだね。TFTにもだね。TN(ティーエヌ)VA(ブイエー)IPS(アイピーエス)というのがあってだね。IPSが一番良いらしいね」

「は、はぁ~。要するにタブレットの絵の部分は液晶パネルって言うんですか?」

「何を言ってるね」

「違うんですか?」

「当然だね。良いかね。液晶パネルの部分をあたしはスクリーンと呼んでるね」

 困るんじゃなかったのか?

「絵の部分はスクリーンって言うんですか?」

「それはあたしの場合だね。神によっては、画面、液晶画面、液晶、モニター、スクリーン、ディスプレイ、中には有機ELとかエレクトロなんたらと呼んでいるのもいるね」


≪You've Got Mail

「あっ、創造神様からメールが届きました」

「創造神からかね。いったいなんだね。空気を読めない神だね」

 ……。何も言うまい。

「えっとですね」


***********************


 タブレットの画面は、

 4Kから8KにUPされたばかりだよ。

 最上位グレード映像エンジン

 【a-souzousin-sama.ver3.456 La vie】搭載

 有機ELのHDRだよ。

 100インチまで対応。

 それ以降は、

 200インチまで4Kで対応

 300インチまで2Kで対応

 それ以降は、

 どんなに頑張ってもFullHDだよ。


***********************


「だそうです。フォルティーナ。因みに一〇〇インチってどの位の大きさですか?」

「一〇〇インチはだね。横幅がだいたい二二一センチメートルで縦幅がだいたい一二四センチメートルだね」

「何か細かいですね」

「創造神が決めたね」

「なるほど」


「二〇〇インチは、横幅がだいたい四三〇センチメートルで縦幅がだいたい二六九センチメートル。三〇〇インチは、横幅がだいたい六四六センチメートルで縦幅がだいたい四〇三センチメートルだね。忘れるところだったね。これは、一六タイ九の時の話だね」

「は?」

「だからだね。一六タイ九だね」

「は、はぁ~……」



「結局、タブレットの絵の部分の名前って」

「何でも良いね。小さい事を気にしてるとハゲるね。創造神が決めたね」

「…………」


―――――――――――――――――――――――

ありがとうございました。

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