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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーガルネス編ー(傍観)
318/1227

5-10 彼誰時の神授と、悪狼神様。

 明け方。俺が寝ている間にあったらしい神授は、俺を除く全て、コルト下界のヒューム(人間種)皆に与えられた二度目の大規模な啓示だった。


 二度目の大規模な啓示、集団神授は、後に【彼誰(かはたれ)の神授】正式には【彼誰時(かはたれどき)の神授】と呼ばれる様になる。


 二度目の集団神授に対し、一度目の集団神授は、後に【夜中の神授】正式には【夜夜中(よるよなか)の神授】と呼ばれる様になる。


 夜夜中の神授の前後に数多く存在する小規模な啓示、神授は、後に【兼行(けんこう)の神授】と呼ばれる様になる。

 フォルティーナの神託による啓示がかなり紛れ込んでしまっているが気にしないことにしようと思っている。



 彼誰時の神授を簡単に説明すると......


***********************


 神授の停止


 -停止する神授ー

  神授スキル・バースデイスキル限定

  神授ジョブ・レスぺセリ(尊敬系)以上限定


 ー停止期間ー

  旧教の排除駆逐を終えるまで


 -旧教定義ー

  世界創造神創生教

  世界創造神創生教の神官

  世界創造神創生教の巫女

  世界創造神創生教の狂信者

  世界創造神創生教に与する存在


 -対象地域ー

  下界名コルト・光の支配が及ぶ地

  

***********************


......こんな感じだ。


 対象地域がアバウト過ぎる。

 光の支配が及ぶ地。って……。

 陽の光が届く場所。とでも解釈すべきか。それとも、光属性の魔力(俺達は自然魔素(まりょく)と呼んでいる)が存在する場所と解釈すべか。光の神殿の威光がなんちゃら……。

 いかようにも解釈できてしまう。


 その結果。


 難しく捉えてはいけない。

 たぶん、これは単純なんだ。

 素直に受け止めてしまえば良いんだ。


 そうだ。

 そうだよ。

 そうだわ。

 そうか。


 簡単なことじゃないかぁっ!!

 旧教を排除すれば良いだけだ。そうすれば神授は復活する。


 そうか簡単だったんだな!?

 旧教を駆逐すれば良いだな。そうすれば何もかもが元通りになるんだな。


 ……。


 ……。


 ・・・。


 ・・・・・・。きゅ、旧教を潰滅せよ!!!!


 ガルネス神王国を打倒せよ!


 教王はどうした。教王に責任とらせろよ!


 血祭だ血祭。教王も神王国も皆血祭だぁーっ!!!


 取り戻せ。神授を取り戻せ。ガルネス神王国を打倒せよ。取り戻せ。神授を取り戻せ。旧教を潰滅せよ。

 取り戻せ。神授を取り戻せ。教王を血祭にあげろ。血祭にあげろ。


 教王を血祭にあげろ。血祭にあげろ。


 教王を血祭にあげろ。血祭にあげろ。


 教王を血祭にあげろ。血祭にあげろ。




 教王を血祭にあげろ。血祭にあげろ。



・・・・・・・


・・・・



 と、まぁ~、こんな神授があったら、そりゃねぇ~……。

 成人前の子供、成人前の子を持つ親、孫を持つ祖父母、正教関係者、旧教に恨みを持つ者とかさ、色んな人が、さぁ~…………爆発しちゃうよね。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



「いったいどうしましょう」

「創造神様は住まう者命ある者に託されたのでしょう。瑣事を數ふること多くして聽者を倦ましむる。と、言いますからなぁ~。管理者をして管理者たらしめんとするを望まれたのでしょう。ここは、コルト下界の存在に全てを任せガルネス同様傍観するとしましょう。はい」

 あ―――、話の意味が半分も分からなかったが、任せてみよう。傍観してて良い。って事みたいだしそれで良いや。寧ろ、それでお願いします。


「でだね。忘れてはいけない大切な事があるね。烏合の衆は烏合の衆。闇雲に意味は無いね。そのた」

「皆に集まって貰った件は、創造神様の神授があったからだと分かったんで解決しました。ガルネスと同様に俺達は傍観しているしかないんで」

「国や指導者だね。あたし達と同じあたし達に似せて創造されたコルトの人間は堰を切ってしまったら最後だね」

「確かに。……フォルティーナ様の仰られる通りです。人は寡勢にあって躊躇し多勢にあって決断するもの。指揮する者のいない決断の先は正に闇そのもの」

 はぇ?


 バルタザールさんの言葉が俺の心に素直に響いた。


 ちょ、ちょっと待て。フォ、フォ、フォルティーナがっ!

「chefアランギー様。フォ、フォルティーナが」

「はい。流石はフォルティーナ様ですなぁ~。御身が住まう下層の下界の人間の機微にまで精通し」

「え? いや、そうじゃなくてですね」

 フォルティーナがおかしいって……

「何だね。ロイク。あたしに惚れても無駄だね。あたしは神、尊き貴き麗しの存在だね」

 何故だ。こいつが言うと微妙に下世話な感じがする。



 多岐に渡り傍観。見ている。いや、見守るしか出来ない俺達だが、そんな俺達にもまだまだやれる事がある。


 俺達は、臨時の会議検証対策室へと移動した。


「ユーコ様は、...... ......ガルネス神王国に滞在中の友神(ゆうじん)に会いに行きました」

 ユーコ様は、ミイール様に言伝を頼んでいた。


 と言う訳で、集まったのは、昨日のメンバーひく、ユーコ様だ。

 しかし問題だ。ガルネスはこれから戦場となる地。全てが自由な存在にうろつかれてはハッキリ言って邪魔でしかない。

 あの好奇心旺盛な元気の塊ユーコ様だぞ。

「早く戻って来てくれるといいのですが……」

「はい、陛下。彼の地は時期に戦火に巻き込まれます。ヒュームの醜態を御前で晒すのは」

 そっちですか!

「気にしなくていいね。神は気にしないね」

 って、サンドラさん。って、フォルティーナ。お、俺もそう思います……。

「そうなのですか?」

「うんうんだね」

「その通りですぞぉ~。醜態等下界の数と同じく瑣事、態々気に掛ける神などおりません。料理と幾許かのホビーにのみこの身を捧げる私が言うのです。はい」

「我は人間の戯れをこの竜神眼(【 め 】)で見てみたいぞ。か弱き存在同士の命を懸けた意地の張り合い。ぬるい死闘を垣間見るだけでも良い少しでも近くでこの竜神肌(【 はだ 】)で感じてみたいぞ。あいつ上手い事やったな」

「主殿。私も」

「エ、エリウスも近くで見たいんですか?」

「ち、違います。私もフォルティーナ様やchefアランギー様と同じく人間同士の争い戦いには興味ありません。と」

「ああぁなるほど……」

 だよな。エリウスは聖獣様の時から人には余り興味が無いみたいだったし、そうだよな。うん。


「ロイク様……」

「どうかしまいたか。アルさん」

「はい。あのですね」

「はい」

 アルさんは、俺の耳に口を近付けると、

「あの悪狐神です。面白半分でいったい何をしでかすか分かりません。戦いが始まる前に連れ戻すべきだと思います」

 あぁ、何だ。ウィスパーね。ちょっとドキッとしちゃったよ。

「奇遇ですね。俺も同じことを考えていました。ただ、相手は神獣様神様です。手段がありません」

「そ、そうです……よね。どうしましょう」

「どうしたらいいですかね」


「邪神竜。人間の争い方は野蛮だね。あたしは何度も見て知ってるね」

「醜く野蛮であってこその争い。三日先の事を知ろうが千年昔二千年先の事を知っていようが、化かし合い、奪い合い、殺し合い。争いは省みるものであって決して正当化してはいけない。名誉誇りは精神論でしかないからだ。我が従う神は争いを嫌う」

「うんうんだね。あいつはそんなだった様な気がするね。嫌うあいつに従っているのにだね。争いが見たいかね」

 えっ? フォ……フォルティーナが、やっぱり、おかしい。

 アルさんと俺は同時にフォルティーナへと視線を動かしていた。


「動物園や水族館と同じだぞ。野生の世界は弱肉強食、下層の下界でしか見られぬ自然の営みは気高く美しく残忍なんだぞ。見ておきたいと思うは素直な者の証ではないか」

「まぁ~何だね。あたしは止めないね。世の中には聞いただけでは理解出来ない存在が多くいて、見ても理解出来ない程度の低い存在も多くいるね。知識として蓄え知恵として残す事の出来ない存在が多過ぎる世界は度々大きな争いを起こすね」

「それは愚か過ぎるぞ」

「そうだね。愚かだね。コルトはその程度の下界だね。嘆かわしいね」

 その程度って……。


「なぁ~、お前、何でここに居るんだ。我には理解できないぞ」

 幼女姿のロザリー・クロード様は、呆れたようにシュラグすると、溜息混じりに呟いた。


「何を言ってるね。ここは素晴らしいところでもあるね。欲望に忠実で(よこしま)な心を持った存在が溢れ返り正にあたしの聖地だね」

「お前、言ってる事が矛盾しているぞ」

「何を言ってるね。あたしは前から言ってるね。程良い娯楽は人生を豊かにする。娯楽それ即ち、リキュール、リビドー、アンド、ギャンブルだね」

 隠すこと無くほくそ笑むフォルティーナ。


 フォルティーナがおかしくなったと思ったのは、どうやら俺の気のせいだったようだ。ふぅ~……何にせよ、良かった良かった。


≪ガゴン ガゴン ガゴン ガゴン

 宙が裂け、ユーコ様が姿を現した。

「は、はぁ~↑!? ちょっ、ちょっと待ってくださいユーコ様。ここってかなり強力な結界がぁ、あ!?」

≪アラヨットォ―――!!

 宙が再び裂け、たぶんユーコ様の友人(ゆうじん)たぶん神様が姿を現した。

「えっと……」


「紹介しよう。私の友神(ゆうじん)だ。仲良くしてやってくれっ!! キューン、キューン」


 声のトーンが高い。心の底から嬉しいのはわかる。けど、…………今のは紹介だったのか。今のでいったいどうしろと。


「おいまだ微妙に人間なロイク。テレる必要は無い。こっちに来てお手でもおかわりでも構わん一つ友好のコミュニケーションで親睦を深めようじゃないか。確りと出会いの思い出を心に刻むと良い」

「えっと……」

 お手って犬とかにするあれだよな。……で、出来る訳ないだろう。

「さぁー、さぁ―、さぁー」

「神様ですよ」

「当たり前だ。悪狼(あっおい)が神でなかったら悪狼の(しもべ)達は犬以下って事だぞ。アハハハハハ何かそれ良いな面白いな」

悪狐(あっこ)。人の姿が良いからとお前が言うから女子(おなご)の姿でついて来たのだぞ。何故お前は神の姿のままなのだ?」

「アハハハハハ、アハハッ忘れてたよ。最初からやりなおすかい?アハハハハハ、キューン、キューン」


 ……あれって、ユマン()だったんだ。てっきり、三つ編みした白いゴーレムかなにかだと。

「あ、えっと、あっおい様は何の神様なん、なのでしょうか?」

「うちか。うちは悪狼。字の如く(おおかみ)の神獣おす」


「終わったな自己紹介。自己紹介が終わったなら次はお手だなっ!!」

ありがとうございました。

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