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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーガルネス編ー(傍観)
312/1227

5-4 執務室の傍観者②

―――アシュランス王国王都スカーレット

  グランディール城・国王執務室

R4075年10月7日(無)11:00―――


 連合国家フィリー遠征軍の上陸作戦は、抵抗される事無く完了した。


「ガルネス(神王国)はいったい何を考えているのでしょうか?」

「さぁ~?」

 宙に展開した画面を皆で見ていると、アリスさんに質問された。

 質問される分には構わないが、正直俺にもガルネス神王国が何を考えているのか何て、分からない。


「何もせず他国に上陸を許すなど。ガルネス軍にはまともな指揮官一人いないのでしょうか?」

「どうなんですかね?」

 テレーズさんに質問された。

 だがしかし、俺は、ガルネス神王国軍についてほぼ何も知らない。指揮官一人一人のまともさ何て、分かる訳がない。

「ガルネス神王国軍に関する報告書が上がっていたはずなのですが……」

「……あぁ―――……あ、あれですよね。あれ。勿論目は通しました…よ。タブレットにちゃんと……整理してあります…よ。当然じゃないですかサンドラさん」

「……そうですか」

 信じてませんねサンドラさん。・・・ごめんなさい半分ホントで半分ウソです。情報の整理はしてあるんですよ……タブレットがオートで。


「ロイク様。敵軍の情報を画面の横か視界に出して欲しいのですが、宜しいでしょうか?」

「構いません。ちょっと待ってください。今画面の横に違う画面で出します」

 サラさんの要望に応え視線でタブレットを操作する。



 横に長い一〇〇インチの画面の横に同じく横に長い一〇〇インチの画面を表示した瞬間、

「うん?ロイク、君はいったい何をやってるね」

「何って、見ての通りガルネス神王国軍の編成図に指揮系統に主要人物あっ……あれっ」

 フォルティーナの十八番いちゃもんが……。

 どうやら今日は違うみたいだ。

「このヒュームの頭蓋骨の様なマークはいったい?」

「あーえっとだね。それは神界で言うところの逝去印だね。要するに見たままでガイコツマークともドクロマークとも呼ばれているね」

「つまり、ガイコツドクロ? そのえっとマークが付いている人はもう亡くなっていると言う事でしょうか?」

「その通りだね。サラ」

 サラさんの質問にフォルティーナが答えてくれた。俺の視界内の情報にも逝去印イコール死亡とタブレットが捕捉説明を表示していた。


「ドラゴラルシム竜王国の竜騎士隊が」

「ねぇサンドラ。竜騎士隊って、ドラゴン(【竜】)フライングドラゴン(【竜の亜種:飛竜】)に跨って戦う兵士の事よね?」

「はい。マルアスピー様」

「そう。だとしたら竜騎士隊では無理だと思うのだけれど」

「無理ですか? 亜種に騎乗した騎士ですら一騎でゼルフォーラ王国軍の正規兵一〇〇〇人と同じかそれ以上と言われているのですが」

「亜種ってフライングドラゴンの事よね?」

「はい」

「……サンドラ。勘違いしないで聞いて欲しいのだけれど」

 あれ? これってもしかしてマルアスピーが他人を気遣ってる?

「はい」

「ゼルフォーラ王国の兵士は数だけで弱いのかしら?」

「と言いますと?」

「フライングドラゴンに跨った騎士一人に一〇〇〇人で挑んでも負けるのよね?」

「王国軍の正規兵では残念ですがその様な結果になってしまうかと……」

「変ね。エルちゃんやイザークでもフライングドラゴンなら一撃で倒せていたのだけれど」

 エルちゃんとは、滅亡したトミーラン王国の最後の国王ジーヤン・ワーロン我が国で拘留中と元第二夫人ドーラ・ワーロンさん家で保護中の次女で創造神様公認の俺の許嫁エルネスティーネさんの事で、イザーク君とはエルネスティーネさんの実弟の事だ。

 因みに、エルネスティーネさんをエルちゃんと呼ぶのはマルアスピーだけである。

「えっ? イザーク殿は先日陛下の部隊にお試し入隊したばかりのはず」

「そうね」

「…………し、信じられませんが本当の話の様ですね」

「そうね」

「私でもフライングドラゴンを一撃では……」


「あのぉ~サンドラ様。イザークと私はロイク様に許可をいただき、地下〇階(チカレイカイ)の知の英雄の試練の館と力の英雄の試練の館に挑みました。保護者同伴、週二回、一回六時間以上禁止、温泉宿に迷惑をかけない等過保護な条件付きではありましたがソロで二つの館を無事踏破するが出来ました」

「た、単独でフィニッシュしたのですかぁっ!!?」


「「……はい」」


 サンドラさんは、信じられないものでも見るかのように大きく目を見開き、エルネスティーネさんとイザーク君を見つめていた。

 言葉尻が気持ち引っ繰り返ってしまっていたのは、心の底から驚いたからだろう。

 サンドラさんの微妙な迫力に気圧され小さく頷くエルネスティーネさんとイザーク君。

 この状況だけを見たら、俺でも疑問を持っただろう。

 本当に二人はソロで試練をクリアしたのかと。


「私は何度か危ない状況に陥り同伴者判断で強制脱出致しましたが、イザークは挑み始めた最初の頃だけで最後の方は集中力さえ切れなければ余裕だったそうです」

「陛下!!!」

 何だ?もしかしてサンドラさん怒ってる?

「ほ、ホラ、創造神様が公認した人の親って何て言うか一応俺にとっては義理の関係だけど親って事になるじゃないですか。兄弟とか姉妹も義理の関係だけど姉妹とか兄弟って事ですよね。イザーク君はロイーナじゃないし俺の眷属隷属として認識されてないけど大きく見たら家族みたいな感じじゃないですか……だ、だから良いかなって」

「陛下。ど、どうしてですかっ!!!」

「え!?だ、だから今言った通りで、家族みたいな」

「違います」

「違うって言われても……」

「私が言いたいのはそういう事ではありません」

「え!?はぁ?」

「陛下は以前私にこう言いました......


***********************

―――サンドラの回想


「陛下。温泉宿の東西南北にある試練の館に弟子達を同行させ挑戦したいのですが宜しいでしょうか?」

「地下〇階の試練の館に弟子達とですか。弟子ってジャマル王子だけじゃなかったんですね」

「はい。ジャマルの他に六人弟子がいます」

「なるほど。弟子七人を連れてって事ですか……」

「六人の素性は私が保証します。皆、ゼルフォーラ王国の貴族家の出で、長子ではない、ただそれだけの理由で将来に大きな不安を持つ婦女子達です」

「……サンドラさんとジャマル王子は、無理しない程度であればいつでも好きな時に挑戦して良いですよ。ただ他の六人は」

「陛下。私にとって弟子とは家族と同義家族そのものなのです。陛下、いえ、ロイク様。私はロイク様の家族なのでしょうか?」

「chefアランギー様とフォルティーナからの創造神様。ごり押しで結果的にそんな感じになっちゃいましたね」

「ありがとうございます。つまり陛下の家族である私の家族もまた陛下の家族。私はそう考えます」

「……いやえっと流石にそれはちょっと」

「確かにロイーナでも眷属隷属でもありません。ですが、私達は最早家族過言でもそれ以上でもそれ以下でもありません。ロイク様、いえ、陛下っ!!!試練に挑戦する許可をお願いしますっ!!!!!」

「お願いしますって言われてもなぁ~……そ、そうだ、そうですよ。こういう事は皆に……皆で相談して決めた方が良いかなって。と言う訳なんで保留にします」

「……保留ですか。分かりました。良い返事をお願いします」

「善処します」


―――終了

***********************


......私と弟子達を保留にした上で、エルネスティーネ殿とイザーク殿には許可を与えたのですよね? 」

「エルちゃんとイザークの方が先よ。二人は九月に入ると同時に試練を開始したの。一ヶ月と少しで個体レベルが三〇〇を超えたのは努力の賜物と良いわね」

 マルアスピー。それだと会話が成立してませんよ。

「マルアスピー様。それは、強化合宿が終わって直ぐの話ですよね?」

 あれれ、どういう事だ。サンドラさん……え?

「そうね」


 ええ?

 ……良く分からないし、黙っていよ。

ありがとうございました。

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