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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
308/1227

4-112 この決断は、嵐の予感。(仮)

監獄島(ネットハルト)に移送された父は、ルーカス様の姿に変装していた者と同一人物で、その者は神アランギー様によって罰が与えられ、もういない。もういないとはいったいどういう事でしょうか?」


 創造神様の使徒で天使様エンジェル様と呼称される存在。

 そんな存在のドリーマーと呼ばれる睡眠状態にありながら創造神様の指令を処理し続ける能力。

 五〇パーセントの確率で御指示御意向指令を誤認する能力。

 ただでさえ使えない能力の発動中、旧教の裏組織シュヴァルツによる睡眠妨害(外部干渉)を受け、良い様に利用されていた。

 天使本人は創造神様の指令を忠実に熟していただけであり、ドリーマー中だった事もあり無自覚。

 神界の理や天使の理に於いて、ドリーマー中のミスは罪に問われない。


 問えないので、罰を与えた事にし、旧教が暗躍していた部分を強調し、論点や矛先を挿げ替える事にした。


 アイダさんやその家族そしてルーカス第一王子はこれで良いかもしれないが、ララコバイア王国、国としてはこれで良い訳が無い。

 魔術の戦闘には定評があり、呪いの影響下にあったとはいえギラギラビチビチした気質のお国柄であり、長い間旧教に鴨られた歴史を持つ国。

 ララコバイア海洋王国はそんな国だ。

 ガルネス神王国に交戦を宣言するのは避けられないだろう。


 簡単な閣議で、ララコバイアが交戦を宣言した際は、連合国家フィリーの議長国として参戦。

 アシュランス王国王都常備軍の出兵。

 食料物資の工面と提供。

 俺や俺の眷属隷属の参戦は創造神様との約束もあり禁止。

 細部は臨機応変に現時点では大雑把にが採決されている。



「パトロン殿よ。・・・公務中は陛下でしたな。はい。出兵する兵士の装備なのですが、四、五回(しごかい)程度であれば死を無効化する伝説級の武具を装備させても罰は当たらないと判断しました。ですので、一二九八〇〇(12万九千八百)人分の死亡回避武具をぉ―――そうですなぁ~、首にかけるIDタグ(認識票)の方が邪魔にならず目立たず良いかもしれませんなっ!リュニックファタリテは全て陛下で登録し貸し出しで良いでしょう。おっと、そうでした序と言っては何ですが、睡眠の耐性と過労の耐性と空腹の耐性と呪詛対策と」

「chefアランギー様。兵士達は何をしに行くんですか?」

 睡眠や過労の耐性って不眠不休でいったい何をさせる気ですか?

「この戦争は人類史に残る悪夢であり結末は喜ばしい物にはなりませんですぞぉ~」

「戦争ですからね。勝った方も負けた方も後始末に追われるでしょうね」

「相手の多くが人外ヒュームを止めてしまった堕や(ジュー)洗脳され暴れ奪い破壊を使命とする狂った存在達ですからなぁ~」

「ガルネス神王国と戦うんですよね?」

「チェスや囲碁や将棋やドンジャラや小倉百人一首であれば死者数もそれなりに抑えられるのですが」

 でしょうね。ボードゲームやカードゲームで死ぬのは寧ろかなり難しいでしょうね。

「戦争ですからね」

「ですので、IDタグを早急に創造してくだされ。陛下がララコバイアに今回の顛末を伝えた時点で、コルトはこの世界は大きく動き出します。様々な運命、様々な人生、様々な存在によって紡がれ渦巻き吹き荒れていたのですが、陛下によって齎されてしまう運命の大渦に世界中が全ての存在が一律平等に翻弄されるでしょう。運命に翻弄される機会が多い場所それは戦地ですからなぁ~。明日の午前中には出兵出来る様頑張ってくだされ。はい」


「はっ?明日の午前中?」

「その通りですぞぉ~。まさか陛下は、ララコバイア王国にだけ戦えと」

「そんなつもりはありません。一三(13)万人分の認識票ですよ。間に合う訳ないじゃないですか」

「一二万九八〇〇人分ですぞっ!」

 ・・・ほぼ一三万じゃないですか。


「マテリアル・クリエイトの時間が勿体ないですかなぁ~。さっさと会談を済ませ、現場検証はIDタグの準備が終わってからの予定に変更しましょう」

「は、はぁ~・・・そ、それでお願いします」

 最早、何を言っても無駄だ。神様の決定事項は覆らない。



―――11:00


 ヴィルヘルム国王、ティルア宝妃、セリム王太孫、イニャス首相、マイヤーオレグ外務大臣、マイン軍務大臣、サルディー魔務大臣、ナディア老師、ナディア老師の保護者ユルキリル副老師。


 俺の眷属オスカー、chefアランギー様、そして俺。


 菊の間では狭いと判断し、菊の間の広いヴァージョン百合の間へと移動し、若干改竄した内容を伝えた。


 バイタリテの悲劇以前から王国建国期の矛盾含め全部旧教の裏組織が大きく関わっていた。

 組織の名は、(シュヴァルツ)

 精霊様や異界の力。多くの場面で創造神様の名を騙り権威を振り翳し慈愛と更生の名の下殺戮破壊禁術に手を染めていた旧教の裏の顔。


 俺が伝える事で世界中が戦争一色戦争ムードになってしまうというchefアランギー様の言葉に何も感じない思わない訳が無い。

 ただ、俺が伝えなくても戦争は回避出来ないらしい。

 ただ、俺が伝えなくてもchefアランギー様やフォルティーナから漏れてしまう可能性が高いらしい。

 chefアランギー様が漏らさなければ良いだけの様な気がしないでもないが、フォルティーナから質問されたら答えるしかなく、聞いてしまったフォルティーナは絶対に首を突っ込む。だったら最初から盛った状態で各国に伝えてしまった方が被害が少なくて済むかもしれない。

 俺は参加出来ないが(うち)が主導となって動いた方が「絶対確実に間違い無く戦後処理が楽になるりますですぞぉ~。はい」と、唆され俺は大渦の引き金を引く決意をした。



 会談が終わり、ティルア宝妃とセリム王太孫を残し、ララコバイア王国に皆を送還移動させた。


 次は、聖王と竜王と息吹王と魔導王二人との会談だ。


 階段まで少し時間があったので、百合の間の大きな応接用テーブルの上に神茶と工房ロイスピーの新作菓子『バナナ・イチゴ・マンゴー・ブルーベリー果肉たっぷり塩キャラメルエクレア』を出し、ティルア宝妃とchefアランギー様とオスカーと小休止していると、扉をノックする音が響いた。


―――11:50


≪「ララコバイア海洋王国より緊急の公開書簡が届きました」


「早いですね」

「彼等にもそれなりにプライドがあるのでしょう。盛りが着いていたのはセアンの呪いのせい。セアンの呪いはバイタリテの呪いのせい。国内で発生した呪いの多くはメアのせい。不可解な件は取り合えず全部旧教のせい。これではどの側面から楽観的に判断しても、戦わざるを得ない状況ですからなぁ~。はい」

「それにしても早過ぎますよ。戻して二〇(20)ラフンも経ってませんよ」

「焚きつけたのは陛下ですぞぉ~」

「えっ?」

 やった方が良いって・・・。

「この世界の運命を命運に陛下自身が干渉すると決意し行動した。ただそれだけの事です。それでは、公開書簡を拝見するとしましょう」



 リーファ歴四〇七五年九月二三日水の日の正午(15時)少し前。


 連合国家フィリーは、ガルネス神王国に対し交戦権を行使。ガルネス神王国の解体と旧教の撲滅を宣言した。


 どういう訳か、俺の名前で・・・。

ありがとうございました。

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