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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
307/1227

4-111 世界は勝手にまわるもの⑫~天使ハスデア③~

 アルさんが名誉院長を務める≪アシュランス王国王立スカーレット ディユ シーニュ第一総合病院≫は、アシュランス王国で一番大きな病院だ。

 回復魔術、治癒魔術、解除魔術、解呪魔術、薬学魔術、錬金魔術、社会復帰プログラム。

 第一総合病院で治せないのは『恋の病』『大人な事情』『神の罰』そして『元から・・・な存在』。

 治せない物もそれなりに多いが、まぁ~何て言うか優秀な方だと思う。


 そんな優秀な病院の病室の一室で元気に暴れているらしい天使ハスデア。

 今日の午前中に予定していた現場検証は、天使ハスデアが落ち着くまで延期。

 立ち会わせるのは無理。そう判断したからだ。


「今日の夕食前までには現場検証終わらせたいですね」

「はい。ロイク様」

「パトロン殿。衣食住の食。つまり料理ですが料理とは、『着席しました』『いただきます』『ごちそうさまでした』と、優しい物ではありません。私としましては、夕食の下拵えを始める前までに終わらせる。そのつもりですので、そのつもりで動いてくだされ」

「は、・・・はい」



―――アシュランス王国王都スカーレット

 グランディール城・菊の間(RoyalFAM専用)

R4075年9月23日(水)09:30―――


 公務の時間に余裕が出来た俺は、九月七日から九月二二(22)日まで、この十六日間で関わってしまった件を一つ一つ整理していた。


 どうせ現場検証はまだだ。まだまだ先だし・・・。



 念話で話を通し、俺の神授スキル【転位召喚・極】で、ルーカス第一王子とアイダさんを菊の間に召喚した。


 菊の間の中央には応接用のテーブルとソファーが置かれている。

 ルーカス第一王子とアイダさんをソファーの一つ二人掛け用のソファーに腰掛けた状態で召喚し、二人が腰掛けたソファーと向かい合う様に置かれた一人掛け用のソファーに腰掛けたまま挨拶も無しに話始める。


 念話で挨拶は済ませてあるし、社交辞令的なあれは要らないよね。


「二人を呼んだのはですね」

「わ、私達の・・・事ですね」

「ルーカス・・・殿下」

「いいんだ。アシュランス王は私達の味方に・・・なっ・・・て・・・・・・・・・くれるはずだ」

「ですが、殿下」


「あ、えっとぉ~、良いって言われたから召喚したんですが、立て込んでるみたいだし、また後でにしましょうか?」

「いえ。今で。寧ろ今お願いします」


 良いなら良いんだけど。う~~~ん。まっ、良いか。

「分かりました。まずは、結論から言います。天使ハスデアの証言で全てが一本に繋がりました。ルーカス第一王子の件然り、アイダさんの()

「ア、アシュランス王。私は認めます」


 ルーカス第一王子は、俺の言葉を遮ると声高らかに宣言した。


 はっ?・・・認める?何を?

「えっと、あーあのぉ~」

「私達は本気です」


 本気?えっ、はぁっ?



・・・・・・・


・・・・



 ルーカス第一王子とアイダさんは結婚を前提にお付き合いしているそうだ。

 ルーカス第一王子は二〇歳(はたち)。アイダさん三五歳(さんじゅうご)。十五歳差の二人の結婚をヴィルヘルム殿や実母のエステル王妃が認める可能性はほぼ(ゼロ)パーセント。二人の立場が逆だったなら可能性はほぼ一〇〇パーセント(オールグッド)だったらしい。


 ルーカス第一王子が王になれるかはまだ誰にも分からないが、ララコバイア王国の王子にはノブレス オブリージュが伴う。王に成る為には義務を果たさなければならい。

 義務とは、子を儲ける事だ。男系男子王位継承制のララコバイア王国では、息子を数人儲ける必要がある。


 二人の話を聞き、問題は年の差よりも子を儲ける部分にあるんだと理解した。

 正直、子供に関しては天からの授かりもの。色々とやれる事が多くなったがこればかりは流石の俺にもどうしようもない。


「ようは二人でいたいって事なんですよね?子供がいない方が二人ですよね?子供がいなくても良いじゃないかな。だって、ヴィルヘルム殿にも子供がいない側室さんとか妾さんが沢山いますよね?」

「確かに父ヴィルヘルムには、王妃()、公妃、貴妃、優妃の他に序列の無い側室や妾や愛人がいます。子がいないのは序列の無い側室や妾や愛人達の一部だけです。事実、私には王位を競い合う二三(23)人の弟達と、口達者な一九(19)人の妹達。他にも名も知らない会った事も無い弟妹が五〇(50)人以上います。バイタリテの悲劇を乗り越えカトラ王家に復帰なされた宝妃ティルア様や王太孫セリム兄上を筆頭に、父ヴィルヘルムはノブレス オブリージュを現在進行形で果たし続けています」


 資料で読んだ時は『元気だなぁ~』って位にしか思わなかったけど、関係者、実の息子から聞くと『凄いなぁ~』って感心すら覚えてしまう。


「私は、傍に居られるだけで」

「私はこの国の王子だ。王子は民の模範にならなくてはならない。愛する女性一人すら幸せに出来ずして民を国を幸せに出来るはずがない。アイダ。僕は、貴女には僕の妻として僕の隣に立っていて欲しいんだ」

「ルーカス殿下」


 あああぁぁぁ―――。



 ①アイダさんの父コンラート・ジーメンスの偽者。


 ②コンラート・ジーメンスの妻ジャネットに訴状を託された旧教の副神官長。

  ジャネットさんは、この副神官長に会った事は無い。当然、話をしたことも無い。

  副神官長の偽者。


 ③聖文の真偽。

  聖文の運搬。


 ④眷属のオスカーさんと昼食を摂り商業区で買い物をしていたという王国教区教区長。

  王国教区教区長は、カトゥルールの時間は商業区で買い物をしていたはずなのだが、王城で閣僚達を前に王都教区教区長コンラート・ジーメンスの破門を宣した聖文を読み上げてもいた。

  王国教区教区長の偽者。


 時は流れ、昨日。


 ⑤もう一人のルーカス第一王子。

  偽者のルーカス第一王子。


 天使ハスデアの記憶にchefアランギー様が介入した事で全てが繋がった。



 ララコバイア王国の皆にこの話をする前に、事前にルーカス第一王子とアイダさんには話を通しておきたかった。


 ただそれだけだったのに・・・ 

ありがとうございました。

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