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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
299/1227

4-103 もう一人のルーカス第一王子。

 昨日の夕方、この世界コルト下界に存在する全ての国に親書『未来会議の招待状』を送った。


***********************


 招待状


 明日。九月二二日地の日。正午。

 未来会議を開催します。


 主催者


 世界の守護聖人管理者兼アシュランス王国国王

 ロイク・ルーリン・シャレット


 連帯責任者


 料理を司りし神兼アシュランス王国国王代理

 アランギー・フゥファニー


 場所


 ゼルフォーラ大陸

 アシュランス王国王都スカーレット

 連合国家フィリー本部フィルマド宮殿


 議題


 1.ガルネス神王国。

 2.旧教(世界創造神創生教会)。


 参加有無


 □ 参加する

 □ 参加しない

 ※参加する場合は上の□に、

  参加しない場合は下の□に、

  印を付けてください。

 ※明日の早朝光の時間開始までに

  印を付けてください。

 ※本書招待状は、

  印の有無に関わらず、

  明日の早朝光の時間開始と同時に

  強制転送にて回収されます。


 参加希望者


 下記に参加を希望する者の名前を

 フルネームで記入してください。

 ※一〇〇名まで記入可能です。

 ※訂正は赤色の二重線或いは斜線です。








 補足確認


 1.明日は正午までに支度を整え

   静かにその時を待ちましょう。

 2.ディジュネはアシュランス王国

   ルーリン・シャレット家お抱え

   料理を司りし

   何やら他にも司ってしまった

   chefアランギー率いる妖精のおしごと(・・・・・・・)

   プロデュースします。

 3.お土産有り。


 最終確認

 国家元首署名国璽印

 ※国璽の確認を以て

  本書招待状は神の手に委ねられます。



 名前                 印

 ______________________


***********************



 この世界。コルト下界には、現在二〇(20)の国が存在する。

 ヴァルオリティア帝国が三つに分裂し三皇帝ヴァルオリティア帝国となった為、暫定的に増えた状態にある。


 国璽を捺した国は......


***********************


 ≪参加国と出席者≫


 国名 :ゼルフォーラ聖王国

 出席者:聖王・宰相・外務大臣・他


 国名 :ララコバイア海洋王国

 出席者:海洋王・首相・他


 国名 :ドラゴラルシム竜王国

 出席者:竜王・竜軍大臣・他


 国名 :ターンビット王国

 出席者:息吹王・政府顧問・他


 国名 :ジャスパット東西朝王国

 出席者:東朝王・西朝王・首相・他


 国名 :フィンベーラ魔導王国

 出席者:魔導王・軍務大臣・他


 国名 :カルーダ魔導王国

 出席者:魔導王・第一王女・首相・他


 国名 :ベリンノック王国

 出席者:火焔王・王太子・首相・他


 国名 :ベトギプス王国

 出席者:第一王子・第一王女・軍務大臣・他


 国名 :アイゼンタール王国

 出席者:首相・軍務大臣・内務大臣・他


 国名 :ズィスパール王国

 出席者:首相・軍務大臣・第二王女・他


 国名 :マルメット王国

 出席者:国王・他


 国名 :カタストロシュール王国

 出席者:王太子・軍務大臣・他


 勿論 :アシュランス王国

 出席者:chefアランギー様 

     フォルティーナ・俺・他

 ※アシュランス王国は自由参加。強制参加俺※


***********************

 

......一四(14)ヵ国で参加者はこんな感じだ。


 ガルネス神王国は、招待状を無視。当然と言えば当然の結果に納得するも、少し残念に感じている。

 とは言え、世界中に破壊と暴力をばら撒いた上、未だ戦闘中の国もある。いけしゃあしゃあと来られても困るのも確かな訳で・・・。


 三皇帝ヴァルオリティア帝国の三皇帝【コンラート弟帝派】【コンロッド皇帝派】【ケーニッヒ皇帝派】は、招待状を無視。これも当然の結果だと納得するしかないだろう。

 解放を理由に帝国の領土を奪ったのは家な訳で・・・。


 ベリンノック共和国は、参加しないの□に印。参加しない旨を参加希望者欄に長々と書き連ねていた。

 『共和国の平和と安全を脅かすベリンノック愚王国と...... ......国民を代表し正義と秩序...... ......共存を望むべくもない。』

 要約すると、

 ベリンノック共和国はベリンノック王国と戦争中だ。ベリンノック王国と同じテーブルに着く気は無い。正義はベリンノック共和国にある。ベリンノック王国は愚かで悪だ。誠意とはベリンノック王国と国交を断絶し確かめ合うもの。

 こんな感じだ。

 書籍で読んだ世界史によると、......


***********************


 ≪ベリンノック共和国≫


 滅亡した王国【エールヘーレ】の

 王家の末裔【ガルンペン】家の

 当主

 ギュンター・サージャ・フォルス・ガルンペン

 当時、ベリンノック王国の上級侯爵


 と、


 ベリンノック王国王都グルザンシュに

 拠点を構える

 国際商会ブラッデ()サムの商会長

 貿易・宝石・貸金業・実業家

 闇の金剛石(ダークネスダイヤ)DD(ディーディー)

 黒血の金(ブラックブラッディ)剛石(ダイヤ)BBD(ダブルビーディー)の二つ名で

 知られた冒険者

 ルイズジン・ブラッデサム(・・・・・・)

 当時、S級冒険者


 が、


 ベリンノック王国の西の辺境地帯

 フェンゼル半島及びその周辺地域を

 占拠し建国を宣言。


 滅亡したエールヘーレ王国は、

 現在の

 【ベリンノック王国】

 【フェルゼンラール王国】

 【ズィルパール王国】

 【ベリンノック共和国】

 四ヵ国の領土を統治する

 大国だったらしい。


***********************


......ゼルフォーラ王国(聖王国)にとってのヴァルオリティア帝国、トミーサス王国といった感じだ。


 【象徴】

  ガルンペン家

 【象徴・主】

  ガルンペン家当主 (歴任) 

 【共和国議会・名誉議長】

  ガルンペン家当主 (歴任)

 【共和国議会・議長】

  ブラッデサム家当主(歴任)

 【共和国議会】

  納税額年一億NL以上の商会の

  商会長達による合議制。

  ※連合国家フィリー通貨NL換算で約一億※

 【共和国騎士団・団長】

  ガルンペン家当主 (歴任)

 【共和国軍・総司令官】

  ガルンペン家当主 (歴任)

 【共和国軍・陸軍大将】

  ガルンペン家当主 (歴任)

 【共和国軍・海軍大将】

  ブラッデサム家当主(歴任)

 【共和国商士隊・隊長】

  ブラッデサム家当主(歴任)

 【共和国海士隊・隊長】

  ブラッデサム家当主(歴任)

 【共和国警備保安隊・隊長】

  ブラッデサム家当主(歴任)

 【教士隊・教士長】

  世界創造神創生教会

  ベリンノック共和国教区長(歴任)


 商人の国、成功者の国、世界の富が集まる国ベリンノック共和国と名乗ってはいるが、実際はガルンペン家とブラッデサム家、二つの家が君臨し好きな様に舵取りする独裁国家だ。

 国際商会、多国籍商会を飛び越え、最近では世界最初のグローバル商会と言われる様になった新進の商会『工房ロイスピー』の進出を拒み。世界創造神様を冒涜し共和国民の堕落を願う工房ロイスピー商品は違法。

 工房ロイスピー商品取締法。工房ロイスピー商品所持法。違反すると極刑もあり得るらしい。


 結局のところ問題は、教士隊。

 旧教と密接な関係を維持し続けている事。

 そして、自由権。

 表向きは民政を敷きコロコロと見解が変わる矛盾だらけの主張をしている事。

 共和国の自由権は、ユマン(人族)の権利、身体の権利、精神の権利、社会の権利、納税の権利。

 五つの権利からなる。


 経済活動、言論、表現、教育、政治、信教など、自由権五権によって認められているはずの、工房ロイスピー、啓蒙書、演劇、アカデミー、政治集会、正創生教会などは原則禁止。

 家業と異なる職種に就きたい者は、各業種の商会団体或いは公共機関に礼金保証金を支払い従事者申請し、商会契約労働従事者或いは公共労働従事者として管理登録される必要がある。

 私財には所有者が死亡すると、国家緊急事態対策税、社会厚生福祉治癒対策税、自由権尊重防衛対策税、等々、名を変え文字を変え重複し合う様々な対策税が課せられる。

 因みに、旧教教会の治療費治癒魔術施行料御布施を国が補助支援する事は無い。

 問題が多い国。それがベリンノック共和国だ。


 フェルゼンラール王国は、参加しないの□に印。

 ベリンノック共和国から多額の援助を受けているという噂がある。噂が本当なら、難しい立場にある国って事になる。




―――アシュランス王国王都スカーレット

  連合国家フィリー本部フィルマド宮殿

R4075年9月22日(地)16:20―――


 chefアランギー様率いる妖精のおしごと(・・・・・・・)が紡ぎ出す究極至極のデジュネ(昼食会)を楽しんだ後は、本日のメイン、未来会議だ。


 大会議室へと移動し、円卓を囲む。


 chefアランギー様とフォルティーナと俺は、入口専用の扉に近い席に座った。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




―――20:50


 未来会議が終わった。

 挨拶と土産の時間を早々に切り上げ、送還を開始する。


 参加者が来た時と同じ様に、色々と関連付いた神授スキル【転位召喚・極】で順次サクサクッと快調に事を運んでいた。


 現在、大会議室に残っているのは、


 カルーダ王国国王ロジャー・シャングリラ・ド・カルーダ二世と第一王女セレスト・ド・カルーダ。

 保護や支援について話し合う為、残って貰った。


 ドラゴラルシム竜王国竜王クロージャ・ルードラゴ・ルーバーン。

 魔導具【空飛ぶ船】について改めて確認したい事があるらしく残っている。


 ララコバイア海洋王国海洋王ヴィルヘルム・カトラと宝妃ティルア・カトラと王太孫セリム・カトラと第一王子ルーカス・カトラと首相イニャス・フォン・リンプールと軍務大臣マイン・フォン・サーフィス。

 セリム王太孫とティルア宝妃の進退問題。観光地管理と公共交通機構管理ようは利権についての協議。バイタリテ宮殿やフィアテル宮殿やアウフマーレライ城地下の遺跡問題。コンラート・ジーメンスの偽者問題。等々山積した課題を話し合う為、残って貰った。


 ゼルフォーラ聖王国聖王イヴァン・ルーリと宰相パトリック・ミィストゥリィーと王国軍長官ゴドウィン・モンロー。

 ゼルフォーラ大陸に残る旧教関連施設の中で最も大きく関係者が最も多いゼルフォーラ大陸教区本部モルングレー中央創生教会問題。モルングレー創生教聖騎士団事務所問題。壁に囲まれた創生教会管理農地問題。

 聖騎士団は事実上解散した状態にあるが所属していた者の多く関係者の多くが信者だと名乗り信仰の自由を高らかに謳い、中央創生教会や聖騎士団事務所に立て籠もり抵抗しているそうだ。

 北創生教会と南創生教会こそ素直に明け渡したが、改宗を拒み中央創生教会や聖騎士団事務所に合流した者。

 『世界創造神様へ奉納する野菜や果物を育てる清く尊い仕事を奪うな。世界創造神創生教会の管理農地は選民された我々が死守する。これは世界創造神様の御意思御意向である』と、主張する神の小作人を自称する旧教関係者。自称する者達は、没収したはずの管理農地に居座り自給自足の構えで抵抗しているそうだ。


 chefアランギー様が、ガルネス神王国による宣戦布告と判断した少し前、ゼルフォーラ王国においても例外無く蜂起は起った。

 中央騎士団と王国軍の厳しい監視警戒の下、旧教関係者達は中央創生教会と聖騎士団事務所と管理農地三つの地点で一斉に蜂起した。

 大きな衝突は無く睨み合いが続いているそうだ。

 

 そして、アシュランス王国からは、国王代理のchefアランギー様と第一空挺騎士団大地艦隊臨時提督のバルサさんと第二空挺騎士団水煙艦隊臨時提督のサンドラさんと第三空挺騎士団火焔艦隊臨時提督のアリスさんと第四空挺騎士団風穴艦隊臨時提督のメリアさんと一応国王の俺が残っている。



「神アランギー様。アシュランス王。アリス提督。此度は本当に本当にありがとうございました。改めて心より感謝をも」

「ふむ。ロジャー。感謝の言葉はもう要りませんですぞぉ~。それよりなによりこれからですぞぉ~。はい」


 そうそう。俺、何もやってないから、感謝される度にどう反応したら良いか・・・ホント悩むんですよ。


「はっ!神アランギー様。このロジャー、神アランギー様の御言葉を胸に復旧復興に努め一日も早いガ」

「モリエールでしたかな?」


「モ、モリエールが何か?」


 モリエールって、カルーダ王国の首相だったっけ?沢山の人に会ったからちゃんと覚えてないや。って、chefアランギー様。さっきからガルーダ王に被ってますよ。あえて指摘はしませんが・・・。


「王城の修繕が完了するまで、未成年王族と女性王族をアシュランス王国で保護すると伝えた際、動揺していましたが何故かなと思いましてぇ~、はい」


「神アランギー様。このセレスト・ド・カルーダに父ロジャーに代わり首相モリエールについて説明する機会をお与えください」


「構いませんですぞぉ~。ですが、説明は端的に手短に手短にですぞぉ~」


 ・・・端的にねぇ~。へぇ~。


「感謝致します......」


 セレスト王女は、深々と頭を下げ、chefアランギー様を直視する事無く語り始めた。


「......ガルーダ王国の女性王族と未成年王族の定義が理由にございます」


 うん。端的過ぎて意味が分からないや・・・。


「ふむ、定義ですか。・・・なるほどぉ~、価値観の相違というあれですなっ!」


 えっと、今ので納得出来ちゃったんですね・・・。

 王族の定義。

 価値観の相違。

 ・・・分からん。


≪『陛下。ララコバイア王国より連合国家フィリー有事緊急法の』

≪『緊急事態発生。陛下、ララコバイア王国より緊急特使が謁見』

≪『陛下。ララコバイア王国よりルーカス第一王子が有事緊急法の』

≪『先輩、報告の順番を守ってください』

≪『馬鹿者。緊急事態に順番も糞もあるかっ!ララコバイア王国の王子殿下直々の』


 廊下が騒がしい。


「アシュランス王。私はここに・・・?」

「いますね・・・」


「は、はい」


 偽者が乗り込んで来たって事だよな。


「何やら胡散臭く芳しい興味深くも非常に面白そうな事態になって来ましたですぞぉ~。・・・・・・あぁ~、ロジャー。セレスト。どうでも良いモリエールの話は保留にしましょう」


「「神アランギー様の御心のままに」」


 どうでも良い話だったのか・・・。



 扉の向こう側は未だに騒がしい。


「陛下」


「どうかしましたか?」


「ボーっとしてる暇はありませんですぞぉ~」


 ボーっとしてた覚えは無いんだが。


「気を付けます。それで、どうかしましたか?」


「ララコバイア王国のルーカスが陛下へ熱烈なラブコールを発信しているのですぞぉ~」


「神アランギー様。私がいつアシュランス王に愛をっ!私は男色ではありません!!!」


「仮にですぞぉ~。ここに居るルーカスはそうかもしれませんがもう一人のルーカスが熱烈ではないと言い切れますかなっ!」


「ララコバイア王国の第一王子でルーカスは私しかいません。偽者のルーカスが熱烈な男色であろうがなかろうが私には何ら関わり合いの無い話です」


「その通りですぞぉ~」

「な、そ、それなら良いのですが・・・」


「chefアランギー様。ルーカス王子。終わりましたか?」

 相変わらずの脱線お疲れ様です。さて、話を進めましょう。進めましょう。


「ララコバイアの王子よ。王子は次代の王になる身なのだろう?」


「ドラゴラルシム王よ。それはまだ分かりません。ララコバイア王国には今上王即位の古礼という仕来たりがあり、次王のそれを語るは不義不忠。御隠れになられるまでは礼節を欠いていると非難されます」


「ふんっ、その様な建て前などどうでも良いわ。古礼とやらを重んじた国の赤子と母が暮らしてゆけぬ地の礼節など欠いているどころの話では無いわ」


 皮肉云々を通り越して最早ただの痛烈な批判だな。

 気持ちとしては、竜王陛下(・・・・)の言葉に激しく同意したいところだけど立場がねぇ~。

 セリム王太孫とその母ティルア宝妃を家が預かり保護するのは良いけど根本的な解決にはなっていない。

 う~む・・・まぁ~なるようにしかならない訳だけど・・・って、今はそうじゃない。それどころじゃないでしょう。


「はいはいはいはい。竜王も王子も一旦その話はその辺に置いといて貰っていいですかね。ガルーダ王国の話も保留になってる訳ですし、ここはお願いします」

「その通りですぞぉ~。詰まらぬ王位のどうでも良い些細な話など寝言程度で十二分ですからなっ!陛下っ!!!」


「俺?ですか?」


 chefアランギー様は、突然大きな声を上げた。


「物事には順序が存在します」


「ですね」


「今やるべきは何ぞや」


「は?」


「今、陛下がやらなくてはいけない最優先事項の事です」


 俺が最優先でやらなきゃいけない事って何だ?

「廊下の三人を部屋に入れて報告を聞くとかですかね?」


「違います」


「ですよね・・・」

 違うのか。


「報告を聞き情報をまとめる必要はあります。ですが、最優先事項ではありません。さて、何ぞや」


「・・・答えが出る前に取り返しのつかない大事になってそうなんで、最優先で降参とかって駄目ですかね?」


「・・・なるほどぉ~。日々成長しているようで何よりですぞぉ~。私の言葉を昇華させ己の大事理論を確立させるに至った訳ですな」


 ・・・えっと・・・そ、

「そんな感じですかね。ハハハ」


「最優先事項は、ここに居るルーカスを消す事ですぞぉ~。はい」


「ぼ、僕を消す!!?」

「はっ?」

 いや、消すとかそれはまずいでしょう。


「神アランギー。面白い事を考えたな」


「どうやら、クロージャ、貴方には私と同じビジョンが見えているようですな」


「ふん。信用していては足をすくわれるな。伝え聞くそれ以上に恐ろしい存在よ。ララコバイア王!覚悟は出来ているのか!?」


「覚悟ですか?」


「そうだ覚悟だ。これより耳にする伝令はどれも嘘偽りの無い真のみ、唯一(ただひと)つ一人の偽りによって動かされる真。荒れるぞ」


 ルーカス王子の名を騙る偽者の事を言ってるのか?


「クロージャもヴィルヘルムもそこまでですぞぉ~。楽しみは取っておくもの残さにゃ損々面白おかしくあぁ~めでたしめでたしですぞぉ~。それでは、陛下どうぞ」


「は?」

 どうぞ。って、は?・・・俺に何をしろと?


「ですから、ルーカスを消してくだされ」


「お、俺がですかっ!?」


「陛下が手を下さずしていったい誰が下すと言うのですかな。まさかヴィルヘルムにやれと?」


「神アランギー様・・・アシュランス王。・・・わ、私に息子を・・・」


「勘違いして貰ってはこまりますですぞぉ~。ヴィルヘルム、貴方には無理、不可能です。今ここに居る存在で最良を実現し得るは不可視化の能力を持った陛下のみ」


「不可視化?・・・消すって、そっちの意味だったんですか」


「はて、消すは消すですぞぉ~。・・・あぁ~なるほどぉ~。定義、価値観の相違とはこの様な些細が積み重なり大事となってしまう訳ですなぁ~。実に興味深い話ですなっ!ですが、今は、その時ではありません。それでは、陛下どうぞ」


「えっと・・・不可視化ですよね。そんなスキル持ってませんよ」


「な、なんと。・・・陛下が極々稀に姿を存在その物を晦ませているあれはいったい」


「うん?俺がですか?そんな事した覚え無いですよ」


「そんなはずはありません。ほんの僅かな時間ですが、日に数回存在が消えてしまう瞬間を私は経験しておりますですぞぉ~」

ありがとうございました。

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