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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
297/1227

4-101 世界は勝手にまわるもの③~神様と教会~

 移動速度Fが約一〇(10)ノットで、移動速度Cが約四〇(40)ノット。FとCの間は二つ。EとD。・・・Eは二〇(20)ノット。Dは三〇(30)ノット。そんなところだろう。

 一〇ノットずつ増えると仮定した場合、

「移動速度S5(エスゴ)一三〇(130)ノットくらいですか?」


「陛下。約一三〇(130)ノットは概ね時速二四〇(240)キロメートル。つまりファイブエスではなくフォーエスですぞぉ~」


 ファイブエス。・・・SSSSS。なるほど、エスゴじゃなくてファイブエスだったのか。・・・今は、イヤ今はと言うか今も脱線したくない。ここは相槌で・・・。

「なるほど」


「ファイブエスは約一五一(151)ノット概ね時速二八〇(280)キロメートル。フォーエスとファイブエスには時速四〇(40)キロメートルもの差があるのですぞぉ~。はい」


 航海速力世界一を競うララコバイア王国とジャスパット王国の小型高速魔導船(約54kn)より少しだけ速く動ける感じで調整してたはずなんだけどなぁ~。

「因みに、限りなく神のSはどんな感じなんですか?」


「おんや、気付いてしまわれましたか」


 えっと、またこの流れ?

「気付いたと言いますか気になったと言いますか。はい・・・」


「その通りですぞぉ~。エスは限りなく神。ですが陛下が欲さんとする答えはエスに非ず。是れ即ちエーなのです」


 要するに、Aを聞けば良いって事だよな。

「Aはどんな感じなんですか。Sも知りたいですが」


「欲張りですなぁ~。はい。非神とは言えなかなか様になって来た様で何よりですぞぉ~。然らば、エーは約六〇(60)ノット概ね時速一一一(111)キロメートル。つまり......


***********************


 ≪魔導具【空飛ぶ船】の移動速度≫


 【S5】= 151kn= 279.652km/h

 【S4】= 130kn= 240.760km/h

 【S3】= 114kn= 211.128km/h

 【S2】= 103kn= 190.756km/h

 【S】 =  92kn= 170.384km/h

 【A3】(スリーエー)=  81kn= 150.012km/h

 【A2】=  70kn= 129.640km/h

 【A】 =  60kn= 111.120km/h

 【B+】(プラスビー)=  56kn= 103.712km/h

 【B】 =  50kn=  92.600km/h

 【C+】=  46kn=  85.192km/h

 【C】 =  40kn=  74.080km/h

 【D+】=  34kn=  62.968km/h

 【D】 =  30kn=  55.560km/h

 【E+】=  24kn=  44.448km/h

 【E】 =  20kn=  37.040Km/h

 【F+】=  14kn=  25.928km/h 

 【F】 =  10kn=  18.520Km/h

 【F-】(マイナスエフ)= 0.0001kn ~ 9.9999kn


***********************


......時速二八〇(280)キロメートルより、実は少しだけ遅い設定なのです。最高速度と説明しましたが、これはあくまでも通常のオート航行時に於けるセーブモード。艦固有のスキルやパイロットにもよりますが通常では無いオート航行時、マニュアル航行時等に於いてセーブモードはオフなのです」


「セーブモードにプラスにマイナスにオートにマニュアル。AとSについて知りたかっただけで・・・・・・他に何かありますか?」

 ステータスは後一〇(10)項目あったはず。移動速度だけでこれだ。これかなりまずいパターンだ。確実に次の日確定コースだ。意地でも回避する必要がって思ってるそばから質問しちゃったし。


「悠久なる時も限りある時も等しく時。限りある時を計画的に刻むは、無の超越であり無の解放であり無。つまり時は無と同じなのですぞぉ~。はい」


 は?・・・ヤバッ、これ想像以上の角度。


 サンドラさんと俺は、chefアランギー様が何を言っているのか理解出来ず、視線を交わし頷き合う事しか出来なかった。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



 九月。秋の嵐は去った。


―――今より三ラフン前。


「理解出来た様で何よりですぞぉ~。それでは、私は公務が山積した身。ここは陛下とサンドラ殿に任せ一足先にグランディール城にっ!おっとそうでしたそうでした。ここが済次第で結構ですので第一空挺騎士団を補っておいてくだされ。では」

「ちょ、ちょっと待ってください」


「おんや何事ですかなぁ~」


「忘れてませんか?」


「はて、私がですか?」


「管理者はむやみやたらに干渉しちゃマズいんですよね?」


「その通りですぞぉ~。ですので、パトあぁ~陛下は観光序にのんびりと邪闇の魔法陣と帝国旗印の(けもの)魔獣(まじゅう)ヒュームを回収して回ってみては如何ですかな。では」


≪パン パァ~ン


―――そして今。


「行ってしまわれましたね」


 何が何だか分からないままここに居るんだが・・・。

「こうなってしまってはもうどうしようも無いんで、取り合えず言われた通り観光して来ます」


「陛下御一人では危険です。せめて警護の者」

「この下は戦争真っ只中です。危ない場所に警護何て連れていたら気に成って回収に集中出来ませんよ」


「あ、えっと・・・で、ですが」


「そう言う訳なんで、第二空挺騎士団は任務を遂行してください。終わったらここに、甲板は目立つんで提督室に直でも良いですかね?」


「はっ!」




―――カタストロシュール王国

       東端国境の港町ポヴォウェワン

  港見の丘正教会(元旧教の教会)の前

R4075年9月21日(無)12:30―――


 港見の丘の上に建立された港見の丘正教会の正門扉の前に、神授スキル【フリーパス】で移動した。

 丘の上から見下ろす景色は、生々しくも痛々しい。

 フィンベーラ大陸の大口ことガルネス大湾に臨む大きな港を有する貿易都市ポヴォウェワン。

 二つの陽の光をキラキラと反射させ輝く海は市街地を覆う恐怖を嘲笑うかの様に美しい。


 綺麗なだけに余計に虚しいな。


 海から港、港から市街地へと視線を動かし国境の目星を付ける。


 向かって左側西方がカタストロシュール王国の町ポヴォウェワン。右側東方がガルネス神王国の町ポヴォーエスタ。

 どうやら二つの町に境界は存在しない様だ。


 分かり易いな。


 ポヴォーエスタは、町の中心に旧教の教会と教会より大きな兵舎が建ち。その周囲に一〇〇軒程の住宅やテント。インフラの整備は全くされていない。

 一方、ポヴォウェワンは、港を中心に市街地が広がる中規模の貿易都市。インフラの整備もそれなりに進んでいる。


 ポヴォーエスタはスラムか何かなのか?


 頭に浮かんだ言葉は、寄生の一言だった。



 神授スキル【神眼Ⅲ】と神授スキル【タブレット】と半神具の魔導具【MRアイズ】を関連付け機能を効果的に運用しながら、神授スキル【フリーパス】で移動し回収して回る。


 今、視界には、神眼Ⅲで収集しタブレットで回収分析整理した処理済みの情報がMRアイズによって映し出されている。


 さっきの教会を黒色に塗り潰してぇ~えっとさっきの教会はあそこだったかな?


 景色と教会のリストと地図と処理済みの情報を確認する。


***********************


 ガルネス大湾海浜正教会      済

 正創生教会巡礼礼拝堂       済

 中央正教会            済

 ポヴォウェワン正創生教会     済

 港西正創生教会          済

 港東正創生教会          済

 港見の丘正教会

 領主館隣接庭園内辺境開拓正教会


***********************


 港東(みなとひがし)正創生教会を済みに切り替える。

 地図上の赤点が黒点に切り替わる。


 おっ!良い感じだ。関連付けを意識するだけでここまで便利になるのか。

 応用次第で凄い事になりそうだ。早く帰って試したいけど、好奇心より命優先魔法陣回収。



「お邪魔しまぁ~す・・・」


 教会の正門扉を開け聖堂へと足を踏み入れる。


 ここも聖堂だけ無傷みたいだな。


「ア”―――」

「おっと」


「グア”―――」


 殺意向き出し、喰う気満々で飛び掛かって来るって、どうなのかなぁ~。


 神授スキル【神眼Ⅲ】と神授スキル【タブレット】と半神具の魔導具【MRアイズ】に、神気スキル【時空牢獄】を組み合わせ、視認中の二体を視界内でロックオンする。


 うん良い感じだ。今回は、一回で成功出来た。


≪・・・

≪・・・


 時空牢獄は音すら逃さない。


 暴れても意味無いですよ。と、伝えた所でどうせ理解出来ないか。



 聖堂の奥祭壇の前へと歩を進める。


 あれは・・・あの二体の犠牲になったか。


「あれ、お前達がやったのか?」


≪・・・「・・・」

≪・・・「・・・」


「って、聞くだけ無駄だった」


 理性を奪われ本能のみで動く生きているとは言えない存在。


「お前達も弄ばれた立派な犠牲者だったな」

 分かってる。頭では理解してる。


 祭壇の前には、喰われ体の一部骨のみが残された亡骸、顔や腕衣類ごと喰い千切られた肩や腹や脚が痛々しい亡骸が、死屍累々としていた。


 でも、この状況は酷過ぎる。


「シャァ―――」

≪ゴッ ゴロゴロゴロゴロゴロ


 頭の直ぐ上から音が聞こえ、音の原因と思われる存在が床の上に落ちる。


 女の子?


 オートサンミュール俺の周囲に勝手に展開する聖属性の結界に顔面から突っ込み弾き返され床を転がっているのは、帝国旗印が施されたドワーフ(小人)族の少女だった。


 天井に張り付いてたのか?

 上から降って来るとか流石に想像してなかったよ。


 視界内でロックオンする。


≪・・・「・・・」



 一人で持ち運ぶには亡骸が多過ぎる。

 諦めタブレットに亡骸を収納した。騎士団の時以来だ。


 MRアイズが映し出す情報が更新された。


 ・・・・・・マジか。


 回収した亡骸は二六(26)体。全員正教関係者だった。


***********************


 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・


 ~


 ・・・・・・・・・  神官 右腕欠損

 リトマス・ジョーンズ 神官 中指のみ

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・


***********************


 袂を分かっただけでここまでやるのか。らしいっちゃらしいけど・・・・・・。決めた。遺品や亡骸は正創生教会を通して遺族に渡そう。

 中指一本だけを遺族に渡す。とてもじゃないが俺には出来そうにない。

 教会関係者の事は教会関係者に任せるが吉だ。


 はぁ~。そうと決まれば、サクッと邪闇の魔法陣を回収して次に行こう。

ありがとうございました。

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