4-96 脱線と言う名の捕捉・・・①
何故かここで
次回
・マルアスピーが言う「深刻」
・つまらない物をめぐるスリーヒュームヘッズ
・たぶん他
―――アシュランス王国・王都スカーレット
グランディール城・国王執務室
R4075年9月21日(無)09:10―――
「しっかしぃ~良かったのですかなっ。プリフェストのパーティーは七日七夜。一週間ぐらい夫婦水入らずで羽を伸ばして来ても宜しかったのですぞぉ~。はい」
夫婦水入らずねぇ~・・・とっても仲の良い義祖父と義母もいましたけどね。
「こっちが大変な事になってるって時に、俺だけのんびりって訳にはいかないです」
「おぉおっと。報連相を徹底するあまりに、耳を汚してしまいましたが、なるほどぉ~原因はそれでしたか」
「何も聞かされないより全然ましです。それに、結局地の公王様には会えなかったんで、パーティーに参加し続けても意味無かったんですよね。スタンピードの時の事とか聞きたい事が山ほどあったんですが残念です。ホント、いったい何しに精霊界まで行って来たんだって感じですよ」
「ふむふむふむ。・・・・・・・・・」
「ん?」
chefアランギー様は瞼を閉じ思考しているようだ。
「・・・・ふ~む」
「どうかしましたか?」
「なるほどなるほどなぁ~るほど。メアの悪魔域とコルトの壁の修復に純度の高い透き通ったコルト側の自然の力の循環清澄地属性の自然魔素を使ったのですが、どうやらメア側には刺激が強過ぎたのかゲシュタルトを引き起こしてしまったようですぞぉ~。はい」
ゲシュタルト?
「おっとそうでしたな。ゲシュタルトとは全体性を失い個々になることです。つまり、バラバラのバァ~ラバラ。あぁ~正式にはゲシュタルト崩壊と言うのですが、まぁ~結局のところ認識の問題であって左程気にする必要はないという話です」
「えっとようするにどういう事ですか?」
「そうですなぁ~。端的に言いますとですなぁ~。まぁ~なかなか巨大でどちらかと言えば不安定な亜下界と良い具合に手頃で比較的新品な方の下界の壁を修復した結果。亜下界が崩壊しつつある。そんなところでしょうか」
え?
「今回はフォルヘルルに害無き対岸の火事。飛び火の危険もありません」
「chefアランギー様。メア下界が崩壊するんですか?」
「その通りですぞぉ~。巨大で不安定な亜下界が一つ。創造世界より消えてしまうと言う事ですぞぉ~。はい。ですが、前向きに考えましょう」
「えぇ?」
「誕生以来初めて安定が訪れつつあるのです。幾度となく繰り返されて来た衝突衝突未遂理の干渉それら全てから解放されるかもしれないのですぞぉ~」
言ってる意味が良く分からない。
「理解が追い付いていない。そんな顔をしていますですぞぉ~。つまりつまりつまり、メアは消え、コルトは幸せ。そんな感じです」
「は、はぁ~」
「ただ、前向きに考えましょうと言ったのはですな。このままでは。だからですぞぉ~」
このまま何もしないでいたら。・・・なるほど、そういう事か!!!
「chefアランギー様。この話ですが、地の公王様とサザーランド陛下には」
「私から伝えておきましょう。天啓啓示の類にはなってしまいますが滅びるにしても心構えは必要ですからな」
「ありがとう・・・ん?・・・chefアランギー様?」
「しっかしぃ~、パトロン殿は相変わらずですな。短気は損気もう少しどっしりと構え気楽に適当に時を刻む事をお奨めしますぞぉ~」
生き急いでるつもりはないんだけどなぁ~。
「親父を見て育ったせいなのかどうもって、いったい何の話してるんですか!?」
「ですから、もっとどっしりと構え気楽に適当に時を刻んだ方が良いと言ったのですぞぉ~。明日明後日の話ではないのです。急いだところで何も変わりません。パトロン殿よ!!!」
「あ、はい」
「良い言葉を一つ贈りましょう。このままではメアは消滅します。行き場を失ったコルトの地属性の自然魔素がメアの自然の力の循環を破壊しているからです。タイムリミットは長く見積もったとしても精々四百億年に届くか届かないか」
四百億年???え?
「先程も言いましたが、短気は損気なのです。今日の一言『急いては事を仕損じる』はい、御一緒に『急いては事を仕損じる』おんや、パトロン殿よ。はい、御一緒に」
え、あ、はい。
「せ」
「「急いては事を仕損じる」」
「実に素晴らしい言葉ですなぁっ!はい」
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メア下界の崩壊に関しては、まだまだ先の話なので保留にした。
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「確かに言われてみればそうかもしれませんなぁ~」
「そうかもって言うか。実際そうじゃないですか」
「ふ~む。左程変わらない様な気もしないでもありませんが。そうですなぁ~。ふ~む・・・」
いやいやいや、物凄く違いますよね?
だって、精霊界の一日は三九〇時間もあるんですよ。つまり、七日七夜もパーティーに参加していたら二七三〇時間です。
それって、帰界したら九一日経ってるって事ですよ。国王が管理者が三ヶ月間も不在って問題ですよね。
「まぁ~良いでしょう。急ぐなと諭し言葉を贈ったのは何を隠そうこの私ですからな。ふむふむふむ。ゆっくりで良いのです。善い王に成長してくだされ」
「・・・は・・・い」
「ですが一言。そう遠くない未来を保留にするだけの決断を下せたのです。今更、大海原に鳩の涙梟の涙と言われましても説得力に欠けておりますですぞぉ~。はい」
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「神授スキル【フリーパス】って移動系スキルの最上位スキルじゃないですか?」
「おんや、それは違いますですぞぉ~」
「え?違うんですか?」
「【フリーパス】は理や制限や干渉をスルーする創造神様のきまぐれ系スキルで、移動系スキルは動作の視認が可能な【俊足】【加速】【縮地】【垂直歩行】【二段跳躍】【三段跳躍】等の事ですぞぉ~。因みに、移動系スキルと転位移動系スキルとゲート移動系スキルと召喚移動系スキルと送還移動系スキルはそれぞれ別物です。召喚移動系スキルと送還移動系スキルは召喚移動系スキルに一纏めになっているケースが多く別物とは言いましたが同じ物として考えても間違いではありません。また、パトロン殿の【転位召喚・極】の様に転位移動系スキルと召喚移動系スキルと送還移動系スキルが一纏めになったスキルも極稀に存在しますので別物とは言いましたがこの場合も同じ物として考えても差し支えないでしょうなっ!!!」
なるほど。
「【転位陣の叡智】と【キャリゲート・改】」
「あぁ~なるほどなるほどなぁ~るほど。パトロン殿が私に何を聞きたいのか分かりましたですぞぉ~。然らば、パトロン殿は【神眼】【タブレット】半神魔導具【MRアイズ】のタブレットと同じ様な事が、【転位召喚・極】【フリーパス】【キャリゲート・改】【転位陣の叡智】【タブレット】のフリーパスに起こっていると思った訳ですな」
「は?」
「・・・正解・・・ですぞぉ~。いやはやまさか気付いてしまわれましたか。いやはやいやはや」
「えっと・・・」
フリーパスに何か起ってるって事?
「パトロン殿が所持するスキルは、創造神級スキルの【創造神のきまぐれ】と【フリーパス】と【修練の心得・極】修練の心得極は神なのか極なのか未だ不安定な様ですがどちらでも同じ事、このまま話を進めますですぞぉ~。同じく創造神級スキルの【プロモーション】と【タブレット】と【神眼】神託スキル【幸運】と【運の暴走】そして神気の影響を受けています」
「はぁ~・・・」
「【フリーパス】の効果を【タブレット】が活用し【神眼】を強化し【タブレット】が【MRアイズ】に反映する。同じ様に【フリーパス】の効果を【タブレット】が活用し【転位召喚・極】や【転位陣の叡智】や【キャリゲート・改】に反映。フォルティーナ様からの神託スキル【幸運】や【運の暴走】は、【創造神のきまぐれ】の効果と【フリーパス】の効果を【タブレット】が活用し【幸運】や【運の暴走】に反映しています。同じように【創造神のきまぐれ】【修練の心得・極】【プロモーション】【フリーパス】の効果を【タブレット】が活用し【マテリアル・クリエイト】や各種ステータス値...... ......と言ったところです。まぁ~結局のところ、神授スキルの類は神気に依存しているところが大きく神気次第なところがありますのでぇ~利用は計画的にと付け加えておきましょう」
「あの、いったい何の話を?」
ロロノクック様とお酒を飲みながら話をしてて【フリーパス】と【転位召喚・極】について気が付いた事が・・・・・・って、今更言えそうにないや。
気が付いた事はあってたみたいだし。
俺が発動する転位や召喚にはフリーパスの効果が常にある。
「それでは、難易度を少しだけ上げ、パトロン殿には違いの分かる男になって貰いましょう。まず【転位】言わずと知れた転位移動の事ですが、異なる二つの地点A地点とB地点に設置した転位陣を使わずにA地点からB地点へB地点からA地点へと移動する。これが【転位】です。A地点からB地点へ移動する際の事象としては、存在をA空間から消しB空間に現す。次に【召喚】言わずと知れた召喚移動の事ですが、召喚対象の居場所を的確に把握しそこから目の前へと呼び出す。これが【召喚】です。C地点元の場所からD地点目の前へ移動する際の事象としては、存在をC空間から奪いD空間に置く。【送還】は【召喚】の逆だと思っていただいて結構ですぞぉ~。【転位】と【召喚】と【送還】は実に良く似ていると思われませんかな。・・・そうです。瞬間移動なのです。つまり、ゲートでも【転送陣】サイクルを用いる転位移動と【フリーパス】の効果が無い【転位】は同じ。ゲートでも【転位陣】サイクルを用いる転位移動と【フリーパス】の効果が有る【転位】は同じ。ですので、パトロン殿の場合は・・・・・・」
何か語り始めたけど、まだ続くのか?
「・・・そう。そうなのです。【フリーパス】によって【転位】も【召喚】も【転送】も概ね同義。つまりですなぁ」
≪コンコンコン
≪「軍より報告が届きました」
「―――ぁ!陛下。フィンベーラ或いはマルメットからではないかと」
「なるほど」
chefアランギー様の脱線から解放されたのは嬉しんだけど喜べないや。戦争の報告だし。たぶん。
ありがとうございました。
会話重視。説明軽視。
削り過ぎてしまい、
書いた本人が読んでも
意味不明な事態になっています。
バックアップを確認しながら
いつか書き直します。




