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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
286/1227

4-89 精霊界にて祖父と娘と娘の娘とたまに俺。

―――プリフェスト下界ミッテタルグルント(精霊王が住まう地)

工房ロイスピー・ミッテタルグルント支店3F

   オーナーズエリアリビングルーム

R4075年9月20日(樹)14:20―――


 マルアスピーの母ミト様とマルアスピーと俺は、スタシ(神々が)オンエ(住まう)スティ(空中の)バルクリュ(避暑地)の中空池の池上にある中空の離宮の俺の別荘(神々はハレムと呼ぶ)に設置したばかりのエトセトラゲートを潜り精霊界の工房ロイスピーミッテタルグルント支店の三階オーナーズエリアのリビングルームへと移動した。


「ゲートにした大窓の向こうは精霊王様の宮殿なんですね。大通りを挟んで向かい側に宮殿があるのは分かってましたが、こうやって部屋から見ると改めてここの立地の良さが分かりますね」


 最後にゲートを潜った俺は振り返りエトセトラゲートを神授スキル【神眼Ⅲ】で視認し綻び亀裂を確認していた。

 オーナーズエリアに張られた結界をchefアランギー様の指示に従い修復或いは張り直す為だ。


「聞こえてるはずなのにテレパティ―(念話)も無視するのよぉ~。ホント、いつまで怒ってるのかしら。これって確か人間種の世界ではまるで子供みたい(・・・・・・・)とかほんと心が狭いわね(・・・・・・・・・)って言うのよね。ロイクさん♪」


「会ってもくれない何て信じられないわ」


「ホントよねぇ~。アスピーちゃんと私が態々会いに行ってあげたのに信じられないわよねぇ~♪」


 って、俺の話は完全無視ですね・・・。構いませんけど・・・。


 マルアスピーの祖父でミト様の父ロロノクック様の姿は無い。

 ミト様とマルアスピーは、ロロノクック様と話す事も会う事も出来なかったからだ。


 それにしてもこの二人(・・・)。・・・仲が良いんだか悪いんだか。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



「結界の修復、完了っと。さてと次はロロノクック様を」

「精域を経由しないでこっちに来られちゃうなんて皆に自慢出来るわね」


「精域もゲートも余り変わらないと思うのだけれど」


「全然違うわよ。そうよ、全然違うわ。アスピーちゃん良いかしら。例えばよ。大樹の森の聖域の精霊樹って私達(・・・)(うち)よね」


私達(・・・)・・・そうね。例えなくても家ね」


「家って、コルトだけどコルトではない場所でしょう。精域正しくは精霊域って言うはずよね。いつからかしら気が付いたら(・・・)精域って呼んでたわね」

「それでその精域がどうかしたのかしら?」


「そうそうそれでね。精域は精域と繋がっているでしょう」


「そうね」


 二人はまだ何か話し込んでるみたいだ。ここに来てからずっと無視されてる様な気がするのは俺の気のせいって事にしておこう。


「面倒じゃない?」


「何がかしら?」


「だってねぇ~。コルトの精霊樹の精域からミッテタルグルントの時の帳の祠の精域ってちょっと離れた場所にあるじゃない」


 時の帳の祠の精域?さっきからいったい何を話してるんだ?


「離れてる?・・・そうかしらのんびり歩いても五分とかからなかったと思うのだけれど」


 五分?五分。ああ!五ラフンの事だっけ。


「そうなのよねぇ~。それに、時の帳の祠とブランルーゴリア宮殿って同じ敷地内にあるのに意外に離れてるでしょう。毎回毎回挨拶の度に面倒だなって思ってたのよねぇ~」


「毎回毎回挨拶の度って、使命を果たしたのは二回だけで後は、私」

「そうなのよ。離れてるのよねぇ~。このゲート、本当に便利だわぁ~。部屋から部屋に移動するだけであら不思議、目の前に見えますのはミッテタルグルントの宝オパールバラ―ベル、ブランルーゴリア宮殿でございまぁ~す。正門前よ正門」


「・・・正門ね。良かったわね。来年の定期報告が楽しみね」


「そうだったわ。謁見の義務があったわね。ハァ~・・・」


「大樹。地。水。火。風。コルトの大精霊には一年に一度だけ謁見の栄誉が」

「栄誉って言われてもねぇ~。御爺様に会うだけなのよ。精霊王かもしれないけれど所詮御爺様なのよねぇ~」


 かもしれないとか所詮って、ミト様にとって精霊王様っていったい・・・。


「あっ!!!あらやだ。ロイクさん、アスピーちゃん。私達大切な事を忘れていたわ」


「そうね。ロイクや私は兎も角、大切な事を沢山忘れているわね」


「さぁ、ロイクさん!!!」


「俺?」


「ロイクさんにしか出来ない事よ♪頼りにしてるわよぉ~。ホント、アスピーちゃんには勿体ないわぁ~」


 ミト様は、男の夢と希望浪漫を押し付ける様に俺の腕に抱き着いて来た。


 おっ、・・・平気なフリ平気なフリ何でも無いかの様に。そうそう相手はミト様だ。マルアスピーの母親なんだぞ。・・・・・・あああぁぁぁ~今だけ今だけ全力で左腕に成りたい。


 平常心を装いつつも神経が勝手に集中し始め五感の一つが研ぎ澄まされて行くなか、


「ねぇロイク」


 俺を呼ぶ声が微かに耳に届いて来た。


 おっ、おっと平常心平常心。


「はい、何でしょう」


「少し近くないかしら?」


 近い?


「アスピーちゃんたら何を言ってるのかしら。ねぇ~ロイクさん。絡み合う男と女に近いも遠いも無いわ。あるのは一つだけ求め合う欲望のみなの。・・・それと快楽の追求ね」


 ミト様。それだと二つです。


「ロイクに欲望も快楽も必要無いわ」


 えっ?・・・必要ないんですか?


「そんな事ある訳無いわよねぇ~ロイクさん♪」


「ロイクにはあるのよ」


「アスピーちゃんは知らないのかしらぁ~♪人間種の男は皆獣なのよ。ねぇ~ロイクさん♪」


 えっ・・・と、あぁ―――・・・。


「・・・嘆かわしいわ。魔獣や獣、人間種の区別もつかないだなんて。人間種と駆け落ちし追放精霊にまでなったというのに。何も学んでいないようね」


 あれ?何か話が噛み合って無い様な・・・。


「そういう意味で言ったんじゃないだけどぉ~まっ良いわ!アスピーちゃんにもその内分かる時が来るわ。たぶんきっと・・・ねっロイクさぁ~ん♪」


 ミト様は、俺の首に腕を回し、俺の耳に唇を近付けると、大人の色気ムンムン甘い声で囁いた。


「お、俺、ああぁぁ~に言われて」


 のぉほぉ~。耳に吐息が・・・。


「ちょ、ちょっとロイクに変な事...... ......それに、離れなさいって言ったでしょう。近い近過ぎるわ」


「そんな事無いわよねぇ~。ロイクさん♪」



・・・・・・・


・・・・



 見目麗しい精霊の母娘(おやこ)に振り回され玩具にされ、それでも許そうと思えてしまう。許してしまっている俺がいた。


 何故なら。過程には男の浪漫が夢と希望が、そこにはあるから。


「家の父を強制召喚しちゃっても良いわよぉ~。ロイクさん?」


 ん?・・・大切な事って、ミト様、ロロノクック様の事忘れてたんですね。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・



 神授スキル【転位召喚・極】...... ......発動 ≫


「!?うん?ここは・・・」


 俺達三人の目の前に一人(・・・)の男性が姿を現した。


 男は周囲を見回している。


「ここはいったい・・・・・・ミ、ミト!?ミトっ!!!お前かお前が私を無理矢理こんなところに呼び出したのか。いったい何のつもりだぁっ!!!」


 男はミト様を二度見すると視線をミト様に止め睨み付け叫んだ。


「折角アスピーちゃんと会いに行ったのに反応が無いでしょう。不貞寝の失敗で死んじゃってたりしたらって、でも良かったわぁ~元気そうで」

「お、お前という奴は他に言う事があるであろう。言う事がっ!」


「それもそうね。紹介するわ。この()がアスピーちゃん。私の娘よぉ~♪そしてこの()は娘のアスピーちゃんの旦那様で私にとっても大切なとっても良い(・・)よ」


 ミト様。何て言いますか。今は紹介の時ではなくてですね。反省とか謝罪の時ではないかと・・・。


「知っておるわ。産まれたばかりの時にドゥーミナと会いに、そんな事はどうでも良い。追放され少しはぁ、あ?・・・ぁうん?」


「気持ち悪いわね。変な声出さないでよ」


「あ、お、す、すまん」


「精霊が皆変だと思われたらどうしてくれるのよまったくもぉ~。責任取らされるの大樹の精霊の私なの。分かるでしょう。もっと確りしてくれなくちゃ困るわ。ねぇ~ロイクさん」


 何故に、ここで俺に振ります?


「す、すまん」


「私に謝られても困るわ。私はただの大樹の精霊。謝罪するならコルトの守護者聖人管理者のロイクさんにしなくっちゃ意味が無いわ。ホラ、地の大精霊らしく地に額を擦り付け土下座。五輪投地とかいうあれよ。あれが一番効果的だわ」


 どげざ?ごりんとうち?何の事か分からないが効果的な謝罪って言ってる時点でダメな系だろこれって。って、あれ?反省とか謝罪が必要なのってミト様の方だったよね?


「私に頂戴礼拝しろと」


「そうよ」



「マルアスピー。マルアスピーとミト様みたいに、ミト様とロロノクック様も何ですかね?」


「・・・何が言いたいのかしら。言ってる意味が分からないわ」


 う~ん。会話が難しいぃ―――。


 コソコソと二人で話をしていると、


「ロイク様」


「でも、いつもミト様の事を」

「ねぇ、ロイク。呼んでるわよ」


「無視。あ、はい」


 反省と謝罪が終わった?まさかね。


「ロイク様。我が愚児の事心よりお詫び申し上げる」


「ぐじ?」


「あれの事ね」


 マルアスピーは、ミト様を指差している様だ。


「うん?どうかしたのかしらぁ~アスピーちゃん」


「何でも無いわ」

ありがとうございました。

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