4-87 私を天球に連れてって計画①と、サプライズ。(概ね設定)
天球の前へと神授スキル【フリーパス】で移動した。
神授スキル【マテリアル・クリエイト】の【創造・小】ではここまでが限界だった。
【創造・極】では無いが【創造・大】に成った今【GMP】四十九億強と相まって何処まで大きく出来るだろうか。
実験開始だ。
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・・・・・・・
・・・・
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結果は......
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旧球体の体積
約 6021298.893㎥
新球体の体積
約 199460736553.487㎥
旧球体の表面積
約 160058.061㎡
新球体の表面積
約 165090610.419㎡
旧球体の半径
約 112.8584m
新球体の半径
約 3624.5684m
旧球体の円周の長さ
約 709.110m
新球体の円周の長さ
約 22773.830m
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......約三万三千百二十六倍。循環力に至っては約九万倍も向上。想像以上、かなりの安定具合だ。
しかも、目に見えない視認出来ない何かが天球全体を覆い。天球を一際大きな存在へと引き上げている。
神授スキル【神眼Ⅲ】を意識し正体不明の何かを確認する。
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【プレノン】ネートル(仮)
ロイク・ルーリン・シャレットによって創造された非公認の世界。非創造神是半神によって創造された亜下界に分類される世界。
≪大気≫
【主な成分】窒素67%
酸素21%
自然魔素無属性2%
自然魔素地属性1%
自然魔素水属性1%
自然魔素火属性1%
自然魔素風属性1%
自然魔素聖属性1%
自然魔素邪属性1%
自然魔素光属性1%
自然魔素闇属性1%
二酸化炭素0.03%
他・・・
補足説明:下 界『コルト』
『プリフェスト』
『KANBE』
亜下界『メア』
他・・・
等に、大気の構造が非常に近い。
【層の厚さ】約 13000m
補足説明:類似する下界亜下界と比べ
層の厚さはかなり薄い。
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亜下界?はぁっえぇ???
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・・・難しく考えるのは止めよう。うん。
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良く分からないが、この世界に似てるって事は、もしかしたらもしかするかもしれない。
住めちゃえるかもしれない。その可能性は滅茶苦茶高いって事だ。
ついに、ついに・・・・・・その時が、ついに来たぁ~~~。・・・よね?
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さて、だがだ。だがしかしだ。
こういう時にこそ焦りは禁物だ。
「急いては事をし損ずますぞぉ~。はい」
「chefアランギー様。それってどういう意味なんですか?」
「急いで...... ......こういう時...... ......と言う訳ですぞぉ~」
chefアランギー様から教わった素晴らしい言葉を忘れてはいけない。
今がこういう時なのだ。ビビビッと来てしまった。
・・・・・・ハハハ、まるで大樹の森の木の上の秘密基地だな。久々に興奮してる俺がいる。
だが、・・・・・・。
今日はこの辺りにしておこうじゃないか。・・・そうしておこう。
視界の時計を確認する。
R4075年09月18日(光)23:39―――
ふむ。思った通りだ。今からこれに何かを始めるには時間が足りない。
確実に夕飯の時間だ。
うん。そうと決まれば、バルブの確認をして戻る事にしよう。
そう言えば、時間の表示の仕方が変わった様な。・・・まぁ~良いか!
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メーンの食材選びも中途半端。結局のところ何もしていない。
役立たずな俺が何も手伝っていないchefアランギー様によるささやかなサプライズ小さなパーティーは成功に終わった。
妖精のおしごとのスタッフ。スコーチュ君、アメール君、ソイソース君、オムレットさん、メレンゲ君がいつものカラースーツ姿ではなく、自分たちの世界の礼装姿シルクぽい生地で出来た装いで夕食の間へとやって来た。
指示を出したのは当然chefアランギー様だ。
chefアランギー様と俺は、席に着くよう五人に促した。
状況を掴めず戸惑う五人。
「あら?初めてね。スコーチュ、アメール、ソイソース、オムレット、メレンゲ。貴方達と一緒に食べられるなんて嬉しいわ」
マルアスピーが五人に声を掛けた。
「そう言えばそうだね。お前達と一緒に食事をした事はないね。いつも何をしているね」
フォルティーナ、それ本気で言ってます?
さり気無くフォルティーナの表情を確認する。どうやら、かなり本気の様だ。
「フォルティーナ様。本日は、パトロン殿と私のサプライズディネとなっております。急ではありますがサプライズはサプライズです。サプライズと言えば、スコーチュ君、アメール君、ソイソース君、オムレットさん、メレンゲ君にも席があって当然。食事を共に楽しむのもまた向学勉強なのですぞぉ~。はい」
「なるほどだね」
今の説明で納得出来たのか。・・・流石だな。
「始めますぞぉ~。さぁさぁ~スコーチュ君、アメール君、ソイソース君、オムレットさん、メレンゲ君。料理を出しますぞぉ~」
慌てて空いてる席に着く五人。
「私も座るのじゃぁ~」
???どうして、トゥーシェまで慌ててるんだ?
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今日は贅沢だ。メーン、中心になる料理が二品もあった。
妖精のおしごとの五人は、終始涙を流しながら料理を楽しんでいた。
chefアランギー様の料理を食べられる。chefアランギー様が自分達の為に神の腕をふるってくれた。
感動しない訳が無い。歓喜の余り感極まり涙が止まらなかったそうだ。
ただし、五人は料理の味を確実に覚える為、料理を口にする時だけは涙を止めきちんと楽しんでいたそうだ。
プロ根性恐るべし。
思考を停止し一心不乱に貪り胃袋へと収めるトゥーシェとは偉い違いだ。
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AWAのクロアワビのステーキは、キモと呼ばれる部位の鮮度と大豆から精製されるしたじと呼ばれる液体の調味料とバターとハーブやスパイスが絶妙克官能的なフレンチキスを交わし蕩け溺れ絡まり合う事によって神の舌をも唸らせる一品になるんだとか。
「これ、例のあれですよね。美味しいです」
「パトロン殿よ・・・」
俺の感想はいつもの様に短めで分かり易い。
・・・・・・うん。
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食事の後の我が家の恒例行事ティータイムで、別荘に新設したゲートの間の説明をし、フォルヘルル島の状況と史跡の説明をし、研究塔とその屋上とその離の結界の説明をした。
そうそう、ゲートの間に設置したトゥエンティファイブポートシングルゲートによって、料理のおしごとの食材の質が大きく向上する。向上したそうだ。
今迄は、たまに『鮮度・やや良い』の天然物ありの基本養殖物と採れたてではないが食材の中心だった。
これからは、『鮮度・もう神』の天然物と養殖物と採れたてが食材の中心になる。
リスク回避分散の為にもスタシオンエスティバルクリュの農場や牧場、果樹園、養殖池、等々は必要だと言われはしたが、本当に必要なのだろうか。
今迄は、鮮度を考慮しKANBE下界から持ち込んだ養殖物の魚介香草香辛料野菜果物をスタシオンエスティバルクリュで更に養殖していた。
これからは、『鮮度・もう神』の天然物をそのまま使っても良いし、持ち込み養殖した『鮮度・ほぼ神』の食材を使っても良い。
「選択の時が来てしまったようですなぁ~」
「選択ですか?」
やっぱり農場とか不要になってしまったか。品質形味どれも良い感じになって来てたけど仕方ないよね。
「態々遠く離れたKANBEの江戸前大神宮本殿の応接室を維持する必要が無くなってしまいました。そうですなぁ~~~・・・・・・・決めましたですぞぉ~。KANBEの応接室をスタシオンエスティバルクリュ池上地区ハレムの一室に移します。池外東地区と池外北東地区の農場等も移転の序に応接室に移しておきます。手狭なスタシオンエスティバルクリュの有効活用が出来一石二鳥にもなり万々歳ですな。はい」
手狭。手狭ねぇ~・・・。バンバン干渉してませんか?空間に。
「時にパトロン殿は知っておりますかな?」
とは、言わないけどね。ん?
「何をですか?」
「コルトで育ったKANBEのハーブやスパイスやフルーツは、香り良し味甘さ辛さ良し刺激良しとKANBEでは大人気なのですぞぉ~」
「家で育てたKANBE下界の食材を本家本元で売ったんですか?」
「その通りですぞぉ~。パトロン殿とパトロン殿の家族。ルーリン・シャレット家のアヴァンセサルヴィタール。月に一度のパーティー。食材を消費する機会は左程多くはありませんからな。食材が腐り無駄になる等と言う悍ましい事態にはなりませんが増え続け消費されぬまま眠り続ける食材を積み重ねるはこのアランギー死んでも死に切れません」
まぁ~何て言うか、・・・死なないです・・・よね。
「そして、パトロン殿の奥方マルアスピー殿とオムレットさんの提案を採用したのです。食べ物を粗末にするのは愚の骨頂。KANBEの食材はKANBEで。常日頃より慣れ親しんでいるであろう食材を抵抗無く完売出来るのはKANBEのみ。舌の肥えた存在を多く抱えるKANBEに売り付けWinWinを目指したところ大ヒット。売れに売れにてもう大変なのですぞぉ~。はい」
「へぇ~」
「特にハチミツは一番の大人気でして」
「え?chefアランギー様。ハチミツってオンソンルパルスが集めたハチミツですか?」
それって大樹の森のめぐみ、名産品なんじゃ・・・。
「その通りですぞぉ~。三十グラムが何と千百円ですぞ!!!おっと、コルトのアシュランス王国の貨幣価値に換算しますと二千六百NL程でしょうか」
「た、高っ!ハチミツ三十グラムが二千六百NLですか・・・ハチミツって一キログラム千NLもしませんよ」
「ねぇロイク」
「はい、なんでしょう?」
視線をchefアランギー様からマルアスピーへと移す。
「工房ロイスピーのハチミツは百グラム単位でしか販売してないわ。瓶は二百三十NL、特殊パックは百七十NL。一キログラム分購入となると瓶なら二千三百NL、特殊パックなら千七百NL。これは正当な価格なの」
「・・・えっと、もしかしてですが、KANBE下界の取引も工房ロイスピーが?」
chefアランギー様へと視線を戻す。
「言ってませんでしたかな。何を隠そう私は料理を司る神。商売は二の次三の次他人任せがモットーなのですぞぉ~。はい」
何て言うか。
「程々にお願いしますね。程々に」
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尚、工房ロイスピーは利益の一部のみを手数料として回収。生産管理研究人件費を差し引き残りは俺の個人資産としてタブレットに収納してあるそうだ。
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タイミングを見計らいコソコソとティータイムを抜け出し、スカーレット大神殿の最上階にある温泉『とうみの湯』へと移動した。
何か今日も疲れる一日だった。
ありがとうございました。