4-83 未解決だらけと、強かに観光化。
2020年3月17日(火)修正
・【俺の別荘】→【研究塔の屋上にある俺の離】
ドームココドリーロオリジナルスーパーブレンドコーヒーの余韻に浸りながら歩く研究塔の屋上にある俺の離。
その二階と三階と四階のセキュリティーを、万が一を考え念の為に確認しながら歩く俺。
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結界のヴァージョンと認証コードに間違いは無さそうだ。
時間を確認する。
―――14:56
おっと、後四ラフンで昼飯の時間か。取り合えず家に戻るか。
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―――ララコバイア王国・王都ラワルトンク
王城アウフマーレライ・絢爛豪華な一室
R4075年09月18日(光)16:30―――
エルドラドブランシュ宮殿の昼食の間でchefアランギー様と妖精のおしごと達が紡ぎ奏でる至福の時間を楽しんだ俺は、食後の恒例行事ティータイムには参加せず、眷属神獣の神馬エリウス、眷属亜神獣の亜神鱓ミイール、眷属亜神の亜神オスカーの三人を連れ、ララコバイア王国へと移動した。
そして、アウフマーレライ城の一室で、国王ヴィルヘルム・カトラ(52)、第一王子ルーカス・カトラ(20)、王弟君ルーヘン・カトラ(31)、首相イニャス・フォン・リンプール(62)、魔務大臣サルディー・フォン・フォルヘルル(65)、老師(近衛魔術剣士隊の隊長)ナディア・フォン・クレーフェルト・カトラ(14)、副老師(娘で老師ナディアの補佐兼監視役)ユルキリル・フォン・クレーフェルト・カトラ(51)と、円卓を囲んでいる。
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「分からなくなってしまった。とはいったいどういう事でしょうか?」
イニャス首相の言葉に、円卓を囲むララコバイア王国側の皆が頷く。そして、視線が俺へと集中する。
俺は、フォルヘルル島の件を包み隠さず全て伝える事にした。
「......サザーランド・ボナ・サザーランド様に向こうの事は全て任せました。chefアランギー様の話では、亜下界は創造神様が創造された世界ではない為、世間一般的な神では余り良く分からないんだそうです。勿論、向こうに行けばそれなりに何かは分かるらしんですが、こっちに居た状態ではそれなりにサッパリなんだそうです」
「ロイク殿。この際、犯人等もうどうでも良い。我が国を蝕んでいた呪いや汚水はもう・・・」
ヴィルヘルム国王は、惨状を思い出し青ざめつつも力強く言葉を発したのだが、気丈なふるまいは最後まで続く事は無く語尾を濁した。
「今回の様に異界それも亜下界から理の外壁に干渉されてしまうとどうしようもないらしいです。なのでサザーランド・ボナ・サザーランド様にメア下界側から頑張って貰うしかないのが現状らしいです。ただ、この世界の理内、理に直接干渉されたなら直ぐに気付けるそうです」
「我が国の呪いはかなり前から生じていたはず。理に直接干渉された場合は直ぐに気付けるのですよね?」
「ヴィルヘルム殿。俺もそれが気になったんで、chefアランギー様に確認したんです。そしたら」
「神アランギー様は何と?」
「そしたら、コルト下界を訪れたのは今年の六月。しかも数億年ぶり。コルトの状態をスキャンし情報を更新。最新情報は今年の六月四日。以前の情報は数億年前。なので、数億年経過し現状の様な理になったんだなって感じで軽くスルーしてしまったんだそうです」
「・・・慢性的に呪いを撒き散らす状態が通常の状態だと認識されてしまった・・・と」
「そうみたいです。何せララコバイア王国は、セアン、バイタリテ、ソルのメディウム。呪いに塗れてましたからね」
・・・・・・・
・・・・
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「アシュランス王国国王陛下。一つお聞きしても宜しいでしょうか?」
「フォルヘルル卿!!!」
「イニャス。良い、ここは謁見の間では無いのだ」
「はぁっ、畏まりました」
「ロイク殿。我が国の魔務大臣から一言良いだろうか?」
「えぇ・・・」
「ありがとうございます。単刀直入にお願い致します。我がフォルヘルル領はどうなってしまうのでしょうか?」
「今後の島のあり方と言いますか遺跡の中央に関しては、オスカーに一任してあります。何か分からない事がありましたらオスカーに確認してください」
「ち、父・・・に・・・です・・・か」
サルディー魔務大臣は、オスカーさんを鋭い視線で睨み付ける。
相変わらずの父と子だ。今度、話をする機会でも・・・いや、触らぬフォルティーナに祟りなし、藪にフォルティーナだ。そっとしておこう。
「ただいま我が主ロイク様より紹介いただきました。コルト下界守護聖人管理者ロイク・ルーリン・シャレットが眷属、眷属亜神オスカー・フォン・フォルヘルルにございます。この度、古代遺跡ハオスヘルテリンの中央史跡邪の女神様の大神殿の責任者という大役を仰せつかりました一介の亜神にございます」
オスカーさんは、サルディー魔務大臣こと息子の視線に気付くと、徐に立ち上がり、美しい所作で挨拶した。
あかみ。あがみ。あじん。あしん。皆好きな様に言ってるけど、本当はどれが正しんだ?・・・それにしても、亜神だって態々強調してたみたいだけどなんかあるのか?
「おぉ~御老体が責任者とは素晴らしい」
「御意にございます。オスカー殿おっとこれはとんだ失礼を致しました。神オスカー様であればフォルヘルルの民も喜びましょう。フォルヘルル卿。我が国の代表として誠心誠意全身全霊を以て神オスカー様の御意思御意向に従う様に」
「ぐ・・・」
「従う様に」
「い、イニャス首相閣下の仰せのままに・・・」
「フォルヘルル卿。ルーヘン殿下。別室に人を待たせてあります。移動しましょう」
「うん?御老体。俺もか?」
「海洋と言えばルーヘン殿下。ルーヘン殿下と言えば海洋だったと記憶しておったのですがぁ・・・勘違いでしたかな?」
「おおおぉぉぉ、その通りだ。海の漢ルーヘン。ルーヘンと言ったら俺の事だからなぁっ!!!よしっ、兄上。海が俺を呼んでいる。席を外すぞ」
「あ、あぁ・・・分かった。分かったから、少し声のヴォリュームを落としてくれないか」
「お?・・・ついにその時が来てしまったか。俺の声がワイルドを通り越してしまったか。だが兄上、これは仕方の無い事。何せ俺は海の漢だからな。ハッハッハッハッハ」
ルーヘン殿下、サルディー魔務大臣、オスカーさん、他が別室へと移動した。
因みに、別室には、
ララコバイア王国ケーヴェナ領島領主セリム・ケーヴェナ公爵(46)海洋大臣兼海洋保安隊本部議長と部下数名。フォルヘルル島東ドュン村村長コルゴ代官と側近。フォルヘルル島西ドュン村村長アキゴ代官と側近。
ゼルフォーラ王国トニナス領領主マット・トニナス侯爵(40)と家臣男爵カッリスト・サヴォア(35)トニナス領通商観光庁長官と部下数名。家臣子爵メダルド・カラブリア(41)トニナス領河川海洋警備局局長と部下数名。
アシュランス王国伯爵スヴェレ(579)文化大臣兼国定史跡管理局局長と部下数名。アシュランス王国男爵フェオドール(30位)国王親衛隊隊員兼史跡警備隊隊長兼ゼルフォーラ王国士爵と部下数名。
が、控えている。
面子からして凡その見当は付くが、機会があったらと言う事で今はスルーしたいと思う。
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海、海底の状況説明は亜神鱓ミイール様に任せ。空、全島の説明は神馬エリウスに任せ。世間一般的に言うところの付き添いを静かに熟した俺は、ふと考えていた。
隣人同士のいざこざなら法律が何とかしてくれるだろう。国家間のいざこざなら経済力や武力で何とかするしかないだろう。下界間は?
呪詛なら解呪と制裁。自然の力の循環自然魔素の乱れや上位の存在によって生じた呪いなら解呪と説得。下界を跨いだら?・・・解呪は可能。だけど、解決にならない。最悪のケースとしては鼬ごっこになってしまう可能性がある。
メアからコルトに干渉出来るなら、コルトからメアに干渉する位出来るのではないだろうか。出来るのではないだろうかではないな。神授スキル【フリーパス】と神授スキル【タブレット】と神授スキル【転位召喚・極】がある時点で余裕な気がする。
創造神様ではない神様が創造した下界、亜下界に干渉するのは全下界の理で厳しく制限されていてかなり難しいとchefアランギー様は話していたが、俺の神授スキルなら余裕な気がする。
戻ったら、天球の前に、他下界への干渉実験だな。
「......島全体に魔力陣の術式が存在していましたがどれも施された当時の機能を失っていました。...... ......地下水を枯らす程度ではありましたが誤作動を起こしている物が複数個見受けられた為、万が一を考え全て回収...... ......島の生態系に関しましては、回収した際に循環を正常化してありますので御安心ください。...... ......ソルのメディウムの呪いに似た呪いは、アランギー様の慣れないフィンガースナップやパルマセコによって、...... ......私からは以上です。お待たせ致しました主殿。・・・主殿?・・・・・・如何なされました?」
そうなると検索の練度や効率が・・・うん?
「は、はい。・・・えっと何ですか?」
「ミイール殿と私の説明が終わりました」
「二人共お疲れ様です。と言う訳で以上になります。旧教が絡んでる件はもう少し時間をください。生きてる限り必ず偽者は見つけ出します。暫くは呪いとかに悩まされる事は無いと思うんですが、誰かの呪詛とかは別口なんでそっちは通常通り気を付けてください。それと、ヴィルヘルム殿、イニャス首相。遺跡観光は転位ネットワークから態と外す予定です。この件は別室で話し合ってはずなんでこの後は宜しくお願いします。俺はやる事があるんでこれで戻ります。エリウス、ミイール様、戻りましょう」
「はぁっ!主殿」
「畏まりました。ロイク様」
ありがとうございました。