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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
279/1227

4-82 神気スキル【キャリーゲート・改】。

 スタシオンエスティバルクリュの中空の離宮の俺の別荘(通称ハレム)の一階のロビーの玄関扉の正面にあるドアの向こうには、chefアランギー様と設置したばかりのゲートの間がある。


 ゲートの間には、家専用のビッグゲートが二ゲート。一つはコルト下界専用のメインゲート。もう一つは非コルト下界専用のエトセトラゲート。そして、ケータリングサービス妖精のおしごと(・・・・・・・)専用の二十五ポートシングルゲートがある。妖精のおしごとのスタッフ達は短くオシゴトゲート(・・・・・・・)と呼んでいる様だ。


 自由に利用出来るゲートのポートは、この通称オシゴトゲートの全ポートと、chefアランギー様と解散した後、神気スキル【キャリーゲート・改】の練習がてら一人で設定したメインゲートのポート200のみ。


 メインゲートのポート200を何処に繋げたかと言うと。それは、創造神様の神授神気によって展開している結界の中。つまり、スタシオンエスティバルクリュの中空の離宮の研究塔の屋上だ。


 屋上には、中空の離宮の俺の離がある。存在を忘れていた訳ではないのだが、一度も行った事がなかった。色んな場所に自分の居場所が出来居る場所に困らなくなった俺にとって離の重要度は限りなく低かった。


 そう。chefアランギー様から結界の話を聞くまでは。・・・とても低かった。


 だが、百パーセント俺と俺の家族だけのプライベート空間だと聞いてしまった以上、最早最低は過去の話。


 安息の地を求め中空の離宮の研究塔の屋上の俺の離の玄関扉の前にポート200を繋げた訳なのだが・・・。



―――スタシオンエスティバルクリュ

 研究塔・屋上・離・玄関のドアの前

R4075年09月18日(光)12:30―――


 メインゲートのポート200を試しに一人で潜ってみた。


 離の大きな玄関扉を背に屋上を見回し少しだけ考察する。


 神気スキル【キャリーゲート・改】。これはこれで便利なのかもしれないが、完全完璧なる上位スキル神授スキル【フリーパス】と比べるとどうしても色褪せて感じる。


 それに今となっては、転位転移の魔力陣ネットワークが存在する。


 あれ?ここの結界って・・・ここは屋上だ。なのに感じる天井と壁。感じるのに見える大空と大地。


 神授スキル【神眼Ⅲ】を意識し天井や壁を感じる辺りをキョロキョロと視認する。



 眼には、


***********************


 神授スキル【ファームカード(FORMCard)】限定認証結界

 創造神オリジン Version.Ⅵ


 ①登録 Automatic Update

 ②認証 Automatic

 ③上位スキル優先判定 Automatic

 ②魔導具【アシュランスカード】

  関連付け結合処理 Automatic


***********************


 俺の離に視線を移すと、眼には、


***********************


 神授スキル【ファームカード(FORMCard)】限定認証結界

 創造神オリジン Version.Ⅳ


 ①登録 Automatic Update

  or Optional Selection

 ②認証判定 Automatic

 ③上位スキル優先判定 Automatic

 ②魔導具【アシュランスカード】

  関連付け結合処理 Automatic


***********************



 どうやら、ここには、屋上全体を覆う創造神様の結界ファームカード限定認証結界創造神オリジンヴァージョンⅥと、結界の中の俺の離を覆う創造神様の結界ファームカード限定認証結界創造神オリジンヴァージョンⅣの結界が展開している様だ。


 神授スキル【タブレット】で調べてみると、この結界にはヴァージョンがⅠからⅦまであり、ヴァージョンによって通り抜けられる存在が異なる様だ。


 神授スキル【ファームカード】所持者の俺の認証コードは、ラフィネメートルと言うらしく、全ヴァージョンスルーらしい。・・・ふむ、神授スキル【フリーパス】を所持する俺に、これはどうなのだろうか。微妙に悩んでしまう。


 ・・・俺自身の事は置いといて、他がどうなってるのか。当然、気になるので読み進める。



 マルアスピー、アルさん、トゥーシェ、リュシル、ロザリークロード様、マリレナさん、バジリアさん、ミューさんの八(・・)の認証コードは、マンブルファム。ヴァージョンⅡからⅦをスルー出来るらしい。


 フォルティーナはマンブルファムなのだが、ヴァージョンⅢからⅦをスルー出来るらしい。


 サラさん、バルサさん、パフさん、アリスさん、テレーズさん、カトリーヌさん、メリアさん、サンドラさん、エルネスティーネさんの九人の認証コードは、マンブルフィアンセ。ヴァージョンⅢからⅦをスルー出来るらしい。


 母さんは、マンブルメール。ⅢからⅦ。


 親父は、マンブルペール。ⅢからⅦ。


 祖父エンゾは、マンブルグランペール。ⅣからⅦ。


 祖母イネスは、マンブルグランメール。ⅣからⅦ。


 ミト様は、マンブルアンセートルベルメール。ⅢからⅦ。



 義父母、義祖父母は基本的にⅣからⅦの様だ。



 中も確認しておくか。


 玄関扉に近付くと扉が開く。


 ふむ。どうやら玄関扉は誰も居ないのに勝手に両開きする仕様らしい。


 そして、扉を潜るとまず目に飛び込んで来たのは、高そうなカーペットにソファーにテーブルにシャンデリア。そして五百人位なら余裕で談笑出来そうな広過ぎる空間だった。


 モルングレーで見た高級サロンにしか見えないんですが・・・って、言うか、ここ広さおかしくないか。絶対神気で空間処理されるよこれ。屋上の五分の一程の大きさしか無い離の一階が屋上の庭や菜園より広いって。まずいと思うんだけど良いのかなぁ~・・・創造神様?


≪ガチャ


「おや」


「え?」


 奥のドアが開き、神鰐のクロコダイアンさんがサロン(・・・)に入って来た。


 あれ?ここって、Ⅳ以上じゃないと通れないんじゃ?・・・あれれ?


「旦那様。はなれ(・・・)の一階でいったい何を成されておられるのですか?」


「あ、えっと・・・」


「一階は、親族、盟友となられました神々、眷属神となられました神々、盟友や眷属神となられた神々の友神(ゆうじん)。御家族となられました神々の神族(しんぞく)の為のコルト下界専用ダイニング兼サロンでございます」


「え?・・・そ、そうなんですかっ?」


「はい。旦那様御家族様専用のダイニング兼サロンは二階でございます。ランチの時間にはまだ少し早い様ですし、ドームココドリーロのオリジナルスーパーブレンドコーヒーでもお飲みになられますか?」



 二階に移動し、ドームココドリーロのコーヒーを飲みながらクロコダイアンさんと話をして分かった事が二つある。


 エルドラドブランシュ宮殿、グランディール城、ルトロヴァイユ宮殿で、クロコダイアンさんを見かけないなと思っていたら、長時間ヒュームの姿に化現しているのが苦手らしく、chefアランギー様と相談した結果、宮殿や城を訪れた存在を驚かせない様に配慮し、中空の離宮付きのマジョルドムとして勤務していたそうだ。


 そして、由緒正しき老舗神獣カフェ『ドームココドリーロ』は、神域に存在する唯一無二のカフェという事もあり、出入り口は自由自在。例え創造神様の結界であっても、ヴァージョンⅢまでは理外として存在する。


「クロコダイアンさん。さっきからⅢって言ってますけど、ここってⅣですよね?」


「いえ、ここはⅢです。神眼で御覧になられてみては如何ですか?」


 神眼Ⅲを意識する。


 あっ、ホントだ。


「おかしいな。さっきはⅣって・・・」


「そう言えば旦那様は、はなれは初めてでしたね」


「えぇ」


「それでしたら、簡単に説明致しましょう」


「ありがとうございます」


「中空の離宮の研究塔はⅦ。屋上はⅥ」


「塔その物に結界が張られてたんですか?」


「はい。その通りでございます。Ⅶのセキュリティーの認証コードは、認証コードⅡ以上であれば一時的に与える事が出来ます」


 俺の他にマルアスピー達も塔に人を招待出来るって訳か。


「御安心ください。研究フロアー地上はⅥと地下はⅤとなっております。それに、地上一階からパーティー会場の最上階まではノンストップの昇降機を利用するか或いは直通転位陣あぁコルト下界では魔力陣でしたね。直通魔力陣を利用するかしか移動手段がございません」


「なるほど」


「そして、はなれ(・・・)はⅣ。これは、はなれの一階のみでして、地下一階と二階はⅢ。三階はⅡ。書斎等がある四階以上と塔の最下階はⅠ。因みに私達ルーリン・シャレット家神にしてアヴァンセサルヴィタールにのみトゥースマジョルドムのアランギーより特例が認めらております」


「トゥースマジョルドムって何ですか?」


「ルーリン・シャレット家で働くサルヴィタールの長でございます」


「あぁ~なるほど」


 そう言えば、以前言ってたな。執事で家令がどうこうって。


「現在は、神にしてアヴァンセサルヴィタールは、セルヴァントキャピテーヌのプリュ、梅。セルヴァントオフィシエの竹。セルヴァントプロキュルールの蘭。sous-chef菊。中空の離宮サールマジョルドムの私クロコダイアン。そして、トゥースマジョルドムのアランギーの六人のみとなっております」


 百パーセント家のプライベートって・・・


「ラフィネメートルとトゥースマジョルドムは一心同体であると古来より言われております。ですので、トゥースマジョルドムのアランギーの認証コードは旦那様と同じⅠでございます」


 chefアランギー様は、トゥースマジョルドムとしてⅠもスルー・・・・・・でも待てよ。フォルティーナはⅢだから二階まで、つまりここまでしか上がれない。つまり三階以上俺の書斎や寝室には来られない。素晴しい。実に素晴らしい事じゃないか。


「旦那様」


 何か久々に良い仕事した気分になって来た。


「旦那様?」


 俺の離に俺のプライベートな時間があったなんて。


「旦那様」


「あ、はいはいはい」


「オリジナルスーパーブレンドコーヒー」

「是非、お願いします」


「・・・畏まりました」


 クロコダイアンさんが神授カフェドームココドリーロのキッチンに行ってる間にレソンネしておこう。


「≪『マルアスピー。マルアスピー。聞こえますか』→アスピー≫」


「≪『ええ。いったい何かしら?』→ロイク≫」


「≪『俺、今日から離れの寝室で就寝する事にしました』→アスピー≫」


「≪『え?・・・いったいどう言う事かしら。意味が分からないわ』→ロイク≫」


「≪『ですから、今日から離れの寝室で寝る事にしたんです』→アスピー≫」


「≪『べっきょ・・・』→ロイク≫」


「≪『違います。別荘じゃなくて離です。今日からは何も気にせずゆっくり休めると思うととっても気分爽快ですよぉ~。ハハハ』→アスピー≫」


「≪『ね、・・・ねぇロイク』→ロイク≫」


「旦那様。コーヒーを御持ち致しました」


「おっ、ありがとう。スゥ~~~ハァ~~~。とっても良い香りですね。何て名前のコーヒーなんですか?」


「・・・・・・ドームココドリーロオリジナルスーパーブレンドコーヒーでございます」


「へぇ~。こんなに美味しいコーヒーがあったんですね。俺、初めて飲みましたよぉ~。ハハハ」


「・・・えっと・・・ありがとうございます」


「≪『あっ、そうそう。往復の件はフリーパスとか精霊域を経由しなくても大丈夫になりました。ロロノクック様の件は宜しくお願いします。期待して待ってます。それじゃ、仕事のじゃましちゃまずいんで、また連絡します』→アスピー≫」


「≪『えぇ・・・分かったわ・・・って、え?』→ロイク≫」

ありがとうございました。

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