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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
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4-80 勿体ないから有効利用②

「愛憎の館にゲートは幾つあるんですか?」


「キャリー式のゲートが一つだけですぞぉ~」


 キャリーシキノゲート・・・。


「随分と変わった名前のゲートですね」


「おんや、キャリー式のゲートとはゲートの名前ではありませんですぞぉ~。キャリー式とは携帯可能持ち運び可能と言う意味です。ゲートの正式名称は、ローズティンティドキャリーゲートですぞぉ~。はい」


「携帯出来るゲートですか。一瞬便利そうだなって思いましたが、微妙ですね」


「はてさて、微妙ですか?」


「えぇ、だって、あれを持ち歩くんですよね?」


 部屋の壁に並ぶゲートを指差す。


「どうやらパトロン殿は勘違いされている様ですなぁ~。ローズティンティドキャリーゲートは【キャリーゲート】と言うスキルですぞぉ~」


「知らないスキルです」


「そうでしょうなぁ~。創造神様より神授される事の無い神授スキルですからぁ~当然と言えば当然」


「神授されないんですか?」


「スキル【キャリーゲート】は、創造神様の神授ではなく神からの神託なのです。つまり、コルト下界では神授スキルに分類されてしまいますが厳密には特殊スキル、神託スキルなのですぞぉ~。・・・・・・そうですなぁ~。ローズティンティドキャリーゲートが誕生するまでの歴史を簡単に説明しましょう。あくまでもコルト下界に於いてはと言う体での話になってしまいますが宜しいですかなぁ~」


 ゲートの設置をサクッと終わらせて、別の事をやりたいです。って、言ったところで、どうせ無駄だろう。


「・・・お願いします」


「転位移動の魔力陣(・・・)の核は地属性の自然魔素(まりょく)です。その為、スタンダードでベーシックな転位移動の魔力陣を運用する為には二つスキルが必要です。そのスキルとは何ですかなぁ~」


 何故に魔力陣の話?


「何ですかなぁ~」


 ・・・答えないと先に進んでくれない設定ですか。


「【地属性の心得】と【地属性魔術】です」


「その通りですぞぉ~。それでは説明を続けましょう。スタンダードでベーシックな転位移動の魔力陣に属性変換の術式や地属性の自然魔素(まりょく)を集積する術式を組み込む事で、地属性以外の属性でも運用が可能なアドバンスでアプリケーションな転位移動の魔力陣が誕生しました。ここから本題ですぞぉ~。邪の女神様は、あえぇ~正式には、邪を司りし生と死の女神ナナンフェルテリーナ様は、運用制限を改善した転位移動の魔力陣を参考に、これまでにない画期的な移動手段の確立に成功しました。それが?・・・・・・それが?」


「ゲート?」


「はい。このゲートですが余りの便利さに創造神様は神授でゲートに制限を課しました」


「便利過ぎて制限されちゃったんですか?」


「その通りですぞぉ~。ストレスフリーで誰もが好きな時に好きなだけゲートを利用し指定した座標へ移動出来てしまう世界。・・・あっと言う間でした」


 あっと言う間って、


「何がですか?」


「犯罪が増加し争いが増え数多の下界が滅びの危機に直面しました。創造神様による制限は救済措置だったのです。この時に課せられた制限が現在のゲートの理です。干渉規制制限は至ってシンプル。神気或いは邪属性の自然魔素(まりょく)を一定量所持する存在以外の干渉を認めない」


 要するに、運用するなら神気か邪属性が必要って事か。リュシルが言ってた


「ゲートは邪属性の純正魔術ってのは、創造神様による制限。理だったんですね」


「メア下界魔界には悪気(あっき)と呼ばれる独自の力が存在しますが、悪気は無属性に近く属性の循環に影響を及ぼす事はありません。メア下界の循環の中心はあくま(・・・)でも邪属性なのです。闇属性が強くなっていた様でしたがぁ~、今はゲートの歴史について説明しておりますので、メアの闇については次回。説明を続けますぞぉ~。さて、このメア下界を創造した邪を司りし生と死の女神ナナンフェルテリーナ様は、制限を課せられたゲートを改良し消費自然魔素(まりょく)を抑えたゲートを完成させてしまったのです」


 へぇ~、何か俺の中で邪の女神様の印象が凄い変わった気がする。これ親近感って奴だな。めちゃくちゃクリエイターじゃん。


「術式を応用し、ゲートに邪属性の自然魔素(まりょく)を増幅させる回路を組み込み、その回路を正しく繋ぐ事で指向性の弱い邪属性に指向性を持たせたのです。パトロン殿もご覧になったはずですぞぉ~。新たな奥方ロザリークロード様が展開したゲートは私の推測ではスライド式キャパシタゲートのはずですぞぉ~。はい」


 スライドシキキャパシタゲート。あっ、スライド式か・・・。


「トゥーシェがやってたスライドパズル。あれ模様じゃなくて回路だったんですか」


「スライド式キャパシタゲートは、邪を司りし生と死の女神ナナンフェルテリーナ様の一族眷属隷属の神にのみ許されたゲートとして神界特許管理局に登録されていたのですが、闇を司りし神プルート様がこれにもう一つ機能を加え特許管理局の監視の眼を潜り抜けてしまったのです。ゲートだけに・・・」


「スライド式キャパシタゲートはグレーって感じですが、機能が一つ増えたゲートの方は完全にブラックって事ですね」


 うん?


「冗談はさておき」


 冗談?え?


「闇を司りし神プルート様が手を加えたゲートは百二十パーセント、アウト。そのゲートの名は、バイウィンドーゲート。新たに付け加えられた機能は常設です」


「うん?常設?それって普通じゃないですか?」


「ふむふむふむ。それは違いますですぞぉ~。本来のゲートとは、パトロン殿の奥方ロザリークロード様が展開した様に、神気スキルを発動させ一時的に出現させただけの物なのですぞぉ~」


「あれ、ゲートって最新式のがスキル?うん?あれ?・・・ゲートって元からスキルだったんですか?」


 ローズティンティドキャリーゲートはスキルなんだよな。これって何の話だったけ?


「制限の神授を受け神気スキルへと難易度を上げてしまった数少ないスキルがゲートなのですぞぉ~。さてさて、脱線せず説明を終わらせてしまいましょう。・・・闇を司りし神プルート様のバイウィンドーゲートの代表例は、メア下界魔界のメア王国の王都ミルトン市の王城ジブリール城の最上階絶対神の名で祀られた邪を司りし生と死の女神ナナンフェルテリーナ様の無十楽礼拝堂の八つのゲートです」


「あれですか」


「バイウィンドーゲート。即ち出窓の門は、出窓でありながらゲート。実に巧妙な手口でした」


「監視者って神様ですよね?神様なのに出窓とゲートを見分けられなかったんですか?」


「神とて万能ではありませんですからなぁ~。それにですぞぉ~。多くの神が闇を司りし神プルート様を支持し協力的だったと付け加えておきましょう」


「大人の事情ならぬ神様の事情って奴ですか」


「神はいつでも自由ですからなぁ~。はい。・・・そして、やっと説明のラストですぞぉ~」


 おっ、やっと終わるのか。


「闇を司りし神プルート様のバイウィンドーゲートの巧妙な手口を応用し、バイウィンドーゲートをキャリー式のゲートに作り替えたのが無を司りし名も無き神様だったのです。初期のゲートに原点回帰しただけだと思ってはいけませんですぞぉ~」


 うん?ここって頷くとこ?


「・・・はい」


「初期ゲートつまり制限を課せられたゲートは神気スキル。ほぼ神にしか扱えませんでした。ですが、大上神上神のリレーを経てゲートは神授スキル正確には天恵慈愛冥護の際に付与される特殊なスキルで扱える様になりました」


「天恵とか慈愛とか冥護って精霊様から貰う加護の神様ヴァージョンですよね」


「その通りですぞぉ~」


「それって、神授スキルを貰うより難しくないですか?」


「その通りですぞぉ~。ですので、ローズティンティドキャリーゲートが誕生したのです」


 なるほどぉ~。って、・・・説明ここからで良くない?


「キャリー式のゲートの登場は、多様性を齎しました。既に普及していたバイウィンドーゲートをキャリー式のゲートに改良する試み。バイウィンドをただのウィンドにする試み。ドアやステア―への試み。中には縄を結び輪にしただけの物をゲートにする試みもあったそうです。ですが現物を持ち歩くのはどちらかと言えば不便。この頃になると神以外の存在もゲートを再び利用する様になり運搬が目下の課題となっていたそうですぞぉ~」


「どうやっても嵩張りますからね」


 部屋の壁に並ぶゲートを見つめながら相槌を打つ。


「そしてその時がついに来るのです。キャリー式の最高峰。運搬要らずのゲート。スキル一つで楽々展開されるゲート。難しい設定も、大量の邪属性の自然魔素(まりょく)も、神気も必要無いゲート。それが、ローズティンティドキャリーゲートなのです」


「一つ良いですか?」


「構いませんですぞぉ~」


「ローズティンティドキャリーゲートは、便利過ぎて制限されたゲートと何が違うんですか?今の説明だと同じ様な物に思えるんですが」


「なるほどなるほどなぁ~るほど。説明を続けましょう。ローズティンティドキャリーゲートの運用には・・・あぁ~そうですなぁ~運用と言うより・・・この場合は利用と言った方が適切でしょうか。ローズティンティドキャリーゲートを利用する為には、愛の感情か憎しみの感情何れかの感情が一つと二十万程度の【MP】をいちどきに運用可能なステータスが必要不可欠。つまりですなぁ~、ストレスフリーで誰もが好きな時に好きなだけゲートを利用し指定する座標へ移動出来てしまう超初期型のゲートとは全く別物と断言して良い訳ですぞぉ~。はい」


 ・・・・・・これって、だよな。


「えっと、もう一つ良いですか?」


「構いませんですぞぉ~」


「愛とか憎しみの感情って多くの人が持ってると思うんですが、【MP】が二十万って、しかもいちどきに二十万も必要って、これ誰にも利用出来無いじゃないですか」


「その通りですぞぉ~。ですので全く別物だと断言したのですぞぉ~。はい」



・・・・・・・


・・・・



「ようするに、邪の女神の大神殿の湯浴みの祭壇から回収したビッグゲートと愛憎の館内の祭壇、正確には愛と憎しみの館の愛憎の女神の礼拝堂の祭壇のローズティンティドキャリーゲートはほぼ同じ仕様のゲートと言う訳ですなぁ~」


 名称が多過ぎる。


「整理するんで、少し時間をください」


「はてさてはて?端的に説明したつもりだったのですがぁ~。・・・そうですなぁ~、これならどうですかな?」


≪パンパン


 chefアランギー様のパルマセコの音が響くと、俺の視界に文字が浮かび上がった。


 え?神眼を使った覚えは、


「タブレットからゲートの情報を検索しゲートの歴史①としてまとめてみました」


「へ、へぇ~・・・便利ですね」


「そうですなぁ~。私も有ったら良いなと執務中についつい考えてしまう事がある程ですからなぁ~。はい」

ありがとうございました。

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