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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
274/1227

4-79 勿体ないから有効利用①

 フォルヘルル島の地下遺跡ハオスヘルテリンで回収したゲートを眠らせたままにしておくのは勿体ない。


「パトロン殿よ。便利さ強さは神なのですぞぉ~。強い否定の言葉を並び立て行動したと錯覚する稚拙さは神への冒涜。何を受け入れ何を(とど)め何を実行するべきなのか己の意見を的確に伝え行動に移す。それこそが本当の強さなのです。強さは神とは、頑なに否定する稚拙さでは無く。受け入れる勇気。止める勇気。対案を提示し語り合う勇気。勇気を行動に移す事なのですぞぉ~。はい」


「は、はぁ~・・・」


 良く分からないが、取り合えず、chefアランギー様の提案を採用しゲートを有効利用する事にした。



―――スタシオンエスティバル(中空の避暑地)クリュ

  別荘のロビー・玄関の正面にある扉の前

R4075年09月18日(光)10:20―――


 chefアランギー様と俺は、執務を(俺のタブレットに収納し処理し取り出しただけなのだが)済ませ、俺の別荘のロビーにある精霊界の精霊王の宮殿の宝物殿と繋がっている扉の前に立っている。


「この扉ってゲートだったんですね」


「その通りですぞぉ~。上のおどり場にある三つのドアも厳密にはゲートですぞぉ~」


 魔力陣では無い。それ位は神眼を使わなくても見て分かってたけど・・・。


「それで、ここでいったい何をするんですか?」


「まずは」


≪パンパン


 chefアランギー様は、耳の横で手を二回鳴らした。


 あれ?・・・戻したのか?


「おや?これですか」


≪パンパン パチン


 chefアランギー様は。拍手を二回、フィンガースナップを一回鳴らした。


「そう言えば言ってませんでしたなぁ~。フィンガースナップはアシュランス王国の国王代理公人としての私。パルマセコはchefとして料理の神としての私。使い分けた方が私と接し易いですからなぁ~。おっと、パルマセコとは顔の右横右耳の横で手を二回大きく鳴らす動作の事ですぞぉ~。顔の左横左耳の横で手を二回小さく鳴らす動作もあったのですが聞こえないと某聖域(厨房)からクレームが付きまして何時しか使わなくなってしまったのです。パトロン殿もこれで私の呼称に困らずに済みますですぞぉ~。はい」


 ・・・妖精のおしごと(・・・・・・・)からクレームがあったのか。それはそうと、


「それで、さっきのパンパン(神気の行使)は何を?」


「ハレムのゲートを一旦回収しただけですぞぉ~」


 ゲートを?


 chefアランギー様から扉へと視線を移す。


 おっと無くなってる。


「でもって」


≪パンパン


 chefアランギー様は、パルマセコを二回鳴らした。


「おっ、扉が元に戻った」


 消えて無くなったはずの扉が元の場所に現れた。


「同じ扉を再利用しただけですぞぉ~。ですが、これはゲートでは無くただの扉。さぁ~、中へ入りましょう」



 中は、天井の高さがきっかり三メートルの五十五平方メートル弱の長方形の部屋だった。


「ここに設置していきますが、要望等ありましたら遠慮無く言ってくだされ」


「要望ですか。そうですねぇ・・・」


 要望って言われてもなぁ~。・・・有っても無くてもどうでも良いって思ってたから、要望何て無いですよ。


「しっかしぃ~どぉ~してこの様に使い勝手の悪い仕様にしたのですかなぁ~」


「フォルティーナが別荘を設置してくれた時のままなんで、最初からこんな感じでしたよ」


 一度も使った事が無いんで、詳しい事は何も知らないんですよ。ハハハ。


「そうでしたか。初期設定のままと言う事は創造神様から神授された時のままと言う事ですな」


 そうなのか?・・・、


「・・・かもしれないです」


「然らば、ハレムで回収したゲート四つは調整せずにそのまま再設置しましょう」


≪パンパン


「これって、ロザリークロード様が宙に展開させたゲートじゃ。・・・ドアは」


「開けたり閉めたりは非効率的克安全管理上問題ばかり。ハレムに於いてカムフラージュする必要はありませんので、素直にゲートとして展開させました。常時設置にしましたので何時でも好きな時に好きなだけ潜り抜けて結構ですぞぉ~。はい」


 う~ん。・・・これだと、


「chefアランギー様。何処に繋がってるのか分からないんですが・・・」


「おっとこれはこれは私とした事がうっかりしておりましたですぞぉ~」


≪パンパン


「これで如何でしょうかなぁ~」


 ゲートの上部に文字が現れた。


「中空池研究所塔屋上結界離居間に、中空の離宮本殿儀礼の間管理者御一家控室に、中空池神宮殿幸寝殿客間に、プリフェスト下界ミッテタルグルント王宮ブランルーゴリア宝物殿。・・・えっと、幾つか質問があるんですが良いですか?」


「構いませんですぞぉ~」


「プリフェスト下界って精霊界の事ですよね?」


「その通りですぞぉ~」


「ミッテタルグルントって地名か何かだと思うんですがいったい何ですか?」


「花畑に囲まれた王宮ブランルーゴリアが鎮座する山あり谷あり海あり湖あり川あり自然豊かな大地の事ですぞぉ~。精霊界の大地は好きな所に好きな形で存在する自由主義を採用していますからなぁ~。はい」


 へ、へぇ~・・・何か良く分からないけど自由主義を採用してる世界なんですね。


「えっと、そ、そうなんですね」


「はい」


「中空池研究所塔屋上結界離居間って何処かは分かるんですが、結界ってどう言う事ですか?」


「おんやお忘れですかなぁ~」


 忘れる?・・・いやいやいや何も説明されていないはずですよ。


「ルーリン・シャレット家専用の空間で唯一の出入り口がおどり場のドアだけだって聞いてはいましたが」


「なるほどぉ~。説明不足ですなぁ~。・・・分かりました。補足しましょう。研究所の塔の屋上には創造神様の神授によって独立した理が定められルーリン・シャレット家の者以外干渉規制制限の対象となっています」


「えっと、つまり」

「つまり、現時点に於いて、干渉規制制限を受けない存在は、パトロン殿。パトロン殿の奥方マルアスピー殿。パトロン殿の奥方フォルティーナ様。パトロン殿の奥方アル殿。パトロン殿の奥方マリレナ殿。パトロン殿の奥方ミュー殿。パトロン殿の奥方バジリア殿」


「え?バジリアさんって創造神様公認の許嫁じゃ」


「違いますですぞぉ~。パトロン殿の奥方バジリア殿はどちらかと言えば奥方寄りですぞぉ~」


「し、知りませんでした」


 自分の事なのに、自分の奥さんの事なのに全く知らなかったよ・・・。


「まぁ~、問題ありませんですぞぉ~。バジリア殿も勘違いしていると思われますからなぁ~。はい。さて続けますぞぉ~。パトロン殿の奥方トゥーシェ殿。パトロン殿の奥方リュシル殿。パトロン殿の奥方ロザリークロード様ですな。はい」


 こうやって聞くと、当事者の意思とかお構いなしに公認で随分と増えたなぁ~。許嫁も加えたらって、はぁ~↑!?


「chefアランギー様。今ロザリークロード様って聞こえたんですが」


「聞こえたも何も言いましたからなぁ~」


「ロザリークロード様って邪神竜様の事ですよ」


「その通りですぞぉ~。邪神竜様の事ですなぁ~」


「夫婦になった覚えが無いんですけど・・・」


「御安心くだされ。こちらの暦で言う所の、昨日にあたりますが、昨日の正午のお知らせを持ちまして創造神様より夫婦の公認を神授されています」


「はぁっ?何も聞いてないんですが」


「役所に婚姻届が供物され、厳正なる一時審査を経て無事通過。二次審査もストレス無く通過し創造神様の御手許に、歓喜と祝福と驚愕を持って嫁として夫として公認。即ち創造神様より公認の神授が、はて?神授されていない・・・のでしたら、今神託されたという体で宜しいかと。あぁ~・・・おめでとうございます。祝福致しますですぞぉ~。よっ、難いねぇ~、この色男っ!!!」



「幸寝殿って、フォルティーナの部屋って事ですよね?」


「その通りですぞぉ~。位の高い神の寝殿は一文字がルール。私の様に位が中途半端な神は、二文字だったり三文字だったり四文字だったりする訳です。因みに私の寝殿は、料理の二文字ですぞぉ~」


「へぇ~」


「さてと、パトロン殿の疑問が解決した所で、次の作業に参りましょう」


 疑問が解決した。疑問。・・・納得いかない件についてはどうすればいんでしょう?


「ハオスヘルテリンの大聖堂の祈りの間から回収したスリーポートゲートと、邪の女神の大神殿の湯浴みの祭壇から回収したビッグゲートですが、スリーポートゲートは特性を活かし有効利用しますですぞぉ~」


≪パンパン


 新たにゲートが三つ部屋の壁に現れた。


「地の聖域精霊域前に、水の聖域精霊域前に、風の聖域精霊域前ですか。聖域の精霊域の前・・・これって大地の聖域の結束の一枚大岩に宿る大精霊ロロノクック・フォン・センペル様の家の前って事ですか?」


「家と言う定義がパトロン殿と精霊と私とで若干異なる様ですからなぁ~。肯定も否定も出来かねますですぞぉ~。有り体に言うとするならば、そうですなぁ~、大地の聖域の結束の一枚大岩の北東に面した岩壁の前、水煙の聖域の大瀑布ガルネスの滝壺の底の南東の岩壁の前、風穴の聖域の息吹の谷の見得ざる風の断層の西翼の先端の前でしょうか」


 地と水と風の大精霊様の家の前に繋がってるって事か。


≪パンパン


 chefアランギー様のパルマセコが二回響いたが何も起こらない。


「えっと、次は何を?」


「ビッグゲートはKey()となる神気が不足している為このままではゲートとして利用出来ません。ですのでこれをパトロン殿にお願いしようと思いまして」


 chefアランギー様は、右手に握った灰色に黒色が混ざった鳥の羽根を渡して来た。


 フクロウの羽根だよな。一応確認しておくか。


 受け取り、神眼Ⅲで視認する。


「unknown!?えっ、フクロウの羽根じゃないのか?」


「正確には、神梟の尾羽と言う神界の贅沢品の一つですぞぉ~。(よこしま)なる賢神、忍び寄る賢神、暗躍の賢神。三賢神の名を欲しいままにする神獣の二番目に人気のある色尾っぽの羽根ですなっ!」


 へぇ~。


「それで、この羽根をどうしろと?」


「簡単な事です。パトロン殿の神気をその尾羽に注いでくだされ」


「俺の神気をですか」


「はい。パトロン殿の神気ですぞぉ~」


 良く分からんが、注げば良いんだな。



 chefアランギー様は、神気を注いだ神梟の尾羽を部屋の壁目掛け投げ飛ばし突き刺した。


 すると、何も無かった壁の空間が捻じれゲートが現れた。ゲートの上部には、メア下界メア王国王都ミルトン王城ジブリール最上階ムトラク礼拝堂ツヴァイゲート前と文字が浮かび上がった。


「これ常設なんですよね?」


「これで心置き無く闇の迷宮を攻略し強制転位移動の魔力陣の書き換えが出来ますなぁ~。残るはハオスヘルテリンの神殿で回収したリトルゲートですなっ!あややうっかりをもう一つしておりましたですぞぉ~。愛憎の館のゲートを回収し忘れておりましたですぞぉ~。はい」

ありがとうございました。

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