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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
267/1227

4-72 対峙⑤

 デジャヴではない。


 事の経緯は後で説明しようと思う。俺は今、ジブリール城の地下円形闘技場その名も『王立ブルートフェストアリーナ』の舞台の中央付近に立ち、二千メートルの距離を隔てメア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドと国王付名誉近衛従者トラヤヌス・ド・モルダヴィアと対峙している。



「先程のあれは無しだ。漢なら姑息な手段等用いらず正々堂々戦ってみせよ」


 メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドの声が地下三階に木霊する。


 先程のあれって、時空牢獄の事だよな。拘束しただけで姑息とか言われてるし・・・。


「旦那様」


「何じゃ」


「どうして、私めまでここに・・・」


「お前は悔しくは無いのかぁっ!?罠と言う姑息な手段を用い自らの手を汚す事無くデュエルに臨み、対戦相手の尊厳を踏み躙り存在を否定し嘲笑う。そんな事が・・・あれが・・・あれを、デュエルだと?漢と漢のデュエルは邪闇(しんせい)でなくてはならない」


「そのデュエルに最初に泥を塗られたのは旦那様であったと記憶しております」


「な、何を申すか。儂がいつその様な不埒な真似をしたと」


「私めの開始の合図を待たずに、ロイク国王陛下へと飛び掛かり、古の世界のスキルに掛かり疑似拘束され、疑似拘束の範囲内で盛大に自爆成されました」


「わ、わ、わし儂がいつその様なこ、こと事をしたと・・・」


「つい先程の事でございます。旦那様は僅か二、三分程の間に四つもの生き恥を御晒(おさら)しに成られました」


「ト、と、トラヤヌス。貴様誰に」

「デュエルは最上位の儀式でございます。一つ目の生き恥は、シーツリヒターデュエルなる私めを無視した事です。二つ目の生き恥は、名乗りと礼を無視した事です。三つ目の生き恥は、デュエルに於いて最も卑怯とされる奇襲を堂々と行い無様にも拘束された事です。四つ目の生き恥は、あの盛大な自爆喜劇より救出していただき剰え命を救っていただいたにも関わらずそれが無かったかのように偉ぶられておられる事です。五つ目の生き恥は、御一人では」

「お、おい。お前は、わ、儂の生き恥は四つだとも、申しておったではないか」


「左様でございます。先程までは四つでございました。ですが、今しがた五つ目を追加せざるを得ない状況になってしまいました。家令として一臣民(いちしんみん)として非常に心苦しく残念でなりません。はぁ~、旦那様の五つ目の生き恥は、ロイク国王陛下と御一人で対峙するのが怖いからという情けない理由を悟られまいと虚勢を張りつつも私めを巻き込みこの場に私めを立たせた事です。まことに嘆かわしい限りでございます。はぁ~」


 スゲェ~白々しくてワザとらしい溜息だ。これ俺がやられたら数日は凹むだろうな。


「こわ、怖、ざ、戯言を申すで無いわ。儂に恐れなど、恐れなどこれっぽっちもある訳がなかろう。そ、その五つ目の生き恥。訂正して貰おう。命令だ今直ぐ訂正しろ儂はデュエルを尊び」

「デュエルに畏怖しデュエルを尊びデュエルに敬意の念を抱きし者は、シーツリヒターデュエルなる者を絶対神ナナンフェルテリーナ様に成り代わりデュエルを取り仕切る者を蔑ろにするはずがございません」


「くっ!!!・・・ト、トラヤヌス。お前は儂の家来。儂への忠誠は」

「旦那様。私めはかれこれ八億年程ボナ・サザーランド王家の家令を勤めさせていただいております。私めにとって一番の幸せは、ボナ・サザーランド王家にお仕えし王家王族の皆様方にご奉仕させていただける事にございます。ですが、私めの心は常に自由でございます。心まで旦那様に売った覚えはございません」


 生き恥とか忠誠心とかこっちに関係なさそうな話は後にして欲しんだけどなぁ~。・・・・・・で、二回目の強制参加デュエルはいつ始まるんですか?


「儂はお前に、いったいどっちの味方かと聞いておるのだ」


 へぇ~、敵か味方って話だったのか。へぇ~。


「・・・左様でございますか。畏まりました。それでは旦那様の五つ目の生き恥を訂正させていただきます。漢と漢(1対1)のデュエルを、漢と漢と漢(2対1)のデュエルにしてしまった旦那様には、デュエルを語る資格はございません」

「なっ、そっ、それの何が悪いと申すか。勝てば官軍、死刑囚に口無し、武の行使に卑怯も姑息もあるか!綺麗事を申すではないわ。如何なる手段を用いようとも最後に残った者。その者こそが王者。この儂こそ唯一無二の王。メア全土を統べし始まりの王サザーランド・ボナ・サザーランド。メアのルールは儂だぁっ!!!!」


 おいおい、支離滅裂過ぎだろう。


「だ、旦那様・・・」


 トラヤヌスさんも、流石に返す言葉が見つからないって感じみたいだな。


「もう良い。余興はここまでだ。既に万死は決まっておる故に執行するのみ、参るっ!!!」


 メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドの姿が正面二千メートル地点から消える。


 え!?また?


「グワッハッハッハッハッハ。見えまい。この儂に恥をかかせた罪を償えとは言わぬ。だがこの傷付いたクリアガラスハートの曇は払拭せねば気が収まらぬ。儂から王妃とトゥーシェとリュシルを奪った罪だぁ!死にされらせぇ~~~~~!!!!!」


 王妃様を奪った!?俺が・・・ホワイ?何時、何処で。・・・ホワイ?


「ヴィスズにしか見えぬ古の世界の王よ。卑怯な拘束は無しだ。漢なら正々堂々正面から潔く掛かって来るが良い。ワッハッハッハっハッハッハッハ。先程の儂は本気なぞ出してはいない。見えまい。恐怖に慄くが良い」


 矛盾し過ぎて何て言ったら良いのやら。適切な言葉が出て来ない。


 メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドは、高笑いを止め無言で俺の後方十一メートルに回り込む。


 最早、正面ですらないと来たもんだ。場所を悟られまいと口まで閉じてるし・・・。


 メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドは、俺の後方三十センチメートルまで近付くと、


「グワッハッハッハッハッハ。儂の勝ちだぁっ!トラヤヌス、挟み撃ちだ。死に晒せぇ~~~♪」


 とっても、楽しそうに高らかに勝利を宣言した。


≪ドゴォッ


 鈍く重い音が俺の背中から数センチメートル離れた場所に走る。


 メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドの黒い炎を纏った右拳が俺のオートサンミュール(自動展開の結界)を殴り付けた音だ。


「あん?・・・これは(どく)属性の結界!?チッ、無詠唱で悪気究極スキル(最終奥義)【シュヴァルツアスガルズフランメマイングロースファオスト】を、あ!」


≪ドゴォッ

「ア”ヴェブゴォ!!!!!」

≪ドダァ―――――ンパリーン ドギャッバキバキバキバキダァーン


 意外と威力の高い攻撃だったんだな。悪気究極スキル(最終奥義)【シュヴァルツアスガルズフランメマイングロースファオスト】って。衝撃の反射に時間がかかってたみたいだし、たぶん浸透圧系のスキルだな。


 後方、南側の観客席と舞台の境界を、身体ごと動かし神眼で確認する。メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドの姿は見当たらない。


 境界の結界を打ち破り、観客席に大穴を開け、地下三階に施されている特殊な何かを貫通し外側に放り出されてしまった様だ。


「ロ、ロイク国王陛下。プライベートリビングルームへご案内致します・・・」


 トラヤヌスさんは、とっても冷たい冷めた瞳で、メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドが開けた大穴を見つめていた。



 闘技場から戻り、質疑応答を再開した。


 正面一人掛け用のソファーには、王妃ミネルヴァ・アウグステ・ボナ・サザーランド様が座り、その後ろにはメア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドが起立の姿勢で立っている。


 トゥーシェは、暖炉の前に敷かれたフカフカの絨毯の上でゴロゴロしながら工房ロイスピーのスナック菓子を食い散らかしている。


 エリウスは、俺の後ろで睨みをきかせながら仁王立ちしている。


 モーヴェドラゴンの二人は開いたドアの廊下側で、一人は落下不動の姿勢で、もう一人は冷や汗を流しながら直立不動の姿勢で立っている。


 トラヤヌスさんは、所要の為、この場には居ない。


 テーブルを挟み長い長いソファーには、俺を中心に右にロザリークロード様、左にリュシルが座っている。


 フォルティーナは、俺の空飛ぶリビングダイニングルームの家具セットから自分専用の椅子だけを剥ぎ取り、王妃様とロザリークロード様の間に椅子を置き、コの字でテーブルを囲み主が如く図々しく偉そうに座っている。


「古の世界の王よ。あれは反則としか言えぬ卑怯卑劣なスキルだ。(どく)属性を用いる等卑怯千万同じ王として恥ずかしく思うぞ」


 ・・・えっと、一回目の時にその(どく)属性で自爆しましたよね?


「御祖父様よ。もう忘れてしまわれたのか?」


「おぉ~リュシル。なんじゃぁ~儂に話があるのか?何でも言ってくれ。何でも良いぞ。さぁ~何でも叶えてやろう。何せ儂はメアを統べるメアで一番偉い最強の存在王じゃからのぉ~。ガウワッハッハッハッハ」


「御祖父様は、妾の旦那様を卑怯卑怯と罵るが忘れてしまわれたのか?」


「何をじゃ?」


「一度目のデュエルで御祖父様は(どく)属性の究極魔術ツェアファルラディーレンエルプズュンデロイデを発動させ見事に撃沈したであろう。違うか?」


「そんな昔の事覚えておらん」


 五千万年は久しぶりの部類に入るんじゃなかったでしたっけ?・・・何か俺最近皮肉屋が板に・・・。


「そんな事はどうでも良いね」


 おいこらっ、フォルティーナ。何、祖父母と孫娘の微笑ましい語らいの場に水を差してるんですか。確かに正直、微笑ましさなんか微塵も感じませんが、少し位は気を使いましょうよ。


「その通りだ。女神フォルティーナ様の御言葉こそ正しい。人の揚げ足ばかりとっていては立派なドリーム(夢魔の王族)にはなれないぞ。もう少し大人にならなくてはな。このままでは嫁の貰い手すら見つからんわ。ヌワァッハッハッハッハ」


「サザーランド、何を言ってるね。リュシルはロイクの妻だね。お前如き半魔半神未神の都合で離婚が許されるとでも思るのかね」

「御祖父様。妾は既に旦那様に全てを捧げた身、新たな旦那様は要らぬ故、気遣いは無用じゃ。そうわ思わぬか」


「うぬぬぬぬぬ。リュシルお前はほん、ほん、本当にこんな軟弱な男にィ―――うぬわぁ~~~、あ、あ、ありえん。儂の可愛い可愛い初孫娘がヴィスズに篭絡され手籠めにされた何てありえん。考えただけでも虫唾が走る。ぬぅおわぁ~」


 一蹴回ってまたこの件・・・。


「アナタ」


「なんじゃうるさいぞ。儂は涙に打ちひしが」

「オダマリッ!!!」

「は、はひぃー」


 王妃ミネルヴァ・アウグステ・ボナ・サザーランド様の一言は、メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドを震え上がらせた。


「何が不満なのです。ロイクさんは古の世界。コルトと言いましたか?」


「はい。御祖母様。古の世界の名はコルトです」


「ありがとうリュシル。良いですかアナタ。ロイクさんは古の世界コルトを、最も偉い神様の信頼信用を得て、任されているのですよ。あの来たる日の世界の王様なのですよ。アナタの許可にいったいどれ程の価値があると言うのですか?おっしゃってごらんなさい」


「ええぇぇ!!!えぇ~儂、王様。メアの王ぉ~~~」

「だから何です?私は王妃です」


「お!?お、王妃は王より身分が下で」

「はぁ~?」


「わ、わ、わわし儂じゃないです。儂の意見じゃないです。前にトラヤヌスが儂の前で力説していたのをチラッと小耳に挟んだだけで儂の意見じゃないです。・・・トラヤヌスめ!ホント奴ときたら全くもってけしからん奴だ。考えを改める様、確りと言い聞かせる故ここは穏便に穏便・・・頼む。・・・穏便にお願い・・・します」


「御祖父様よ。夫婦とは運命共同体、対等なのじゃ。故に、上下は存在せず、自らを深く愛するのでは無く歩み寄りの慈悲深き愛が必要なのじゃ」


「リュシル。その考えは、素晴らしいです。そうですよアナタ、夫婦とは運命共同体なのです。対等なのです。慈愛なのですよ。アナタに足りないもの。それは、他者を思いやる心です。アナタは家族に対して部下に対して民に対して愛が足りません。足りていません」


「・・・うぐぐぐぅ」


「・・・何故、先程私がロイクさんを褒めたのかお分かりになりますか?」


「・・・分からん!」


「はい?」


「わ、分かりません」


「そうでしょうね。そうだと思いました。アナタに分かるはずが無いのです。何故ならアナタには自分以外に対する愛が足りていないからです。魅力が足りていないからです。ロイクさんに有ってアナタに無いもの。それは、魅力、人徳、神の祝福です。アナタに足りない物は何ですか。言ってごらんなさい」


 けちょんけちょんに言われてるけど平気なのか?


「は、は・・・い。儂に足らない物は、慈愛と魅力と人徳と絶対神様からの祝福です」


 凄く居ずらい雰囲気なんですけど。ここに居たく無いんですけど・・・。


「御祖母様よ。今のは妾の言葉ではなく、旦那様の言」

「でだね」


 フォルティーナは、タイミング的には本日最高の、ヒューム(人間)的には最低の水を差した。


「そろそろ頃合だとあたしは思うね。今だね。まさに今だね。エリウスっ!あれを」


「あれ?・・・フォルティーナ様、あれとはいったい何の事でしょうか?」


「良いから。あれを早く出すね」


 エリウスからは、何の事か本当に分かっていない感じが伝わって来る。


「申し訳ござません。いったい何の事やら。いったい何をお出しすれば宜しいのでしょうか?」


「はぁ~。じゃぁ~ロイクで良いね」


 じゃぁ~って、じゃぁ~って・・・。


「仕方ないから俺でってみたいなこの流れはいったい何なんですか?」


「良いから早く出すね」


「だから何をですか?」


 ・・・いったい何の話をしてるんだ?本当に本気で分からないんだが。


「あれと言ったらあれに決まってるね。はぁ~、もう良いね。邪神竜、あれを出すね」


「あれとは何だ遊びの女神よ。親しくも無い縁遠き我と主の間で指示詞が何の役に立つ。我は暇ではないのだ」


「使えない竜だね。・・・そ、そうだね。トゥーシェ。お前ならあたしの気持ちが通じているはずだね。さぁ~、トゥーシェ」


「なんなのじゃぁ~。ゴロゴロしてて忙しいのじゃ~」


「あれだね」


「あれ?・・・あ~あぁ~あ~はいはい。私のお菓子はあげないのじゃぁ~。一昨日来やがれなのじゃぁ~。ペッペッ、ペッペッペッなのじゃ」


≪パチン


「アンゥガギャァ――――――――――ギョバギョヴァギョヴァバババァ~」


「もう良いね。お前が一番役に立たないね」


「は・・・い・・・・・・なのじゃぁ~。もう・・・いらないですなの・・・じゃぁ~」


 何て言うか、毎度のパターン過ぎて、何か余り感じなくなって来た気がする。


 フォルティーナは、訳の分からん事を言い出し、一人で勝手に怒り心頭中の御様子だ。


「それで、あれって本当に何の事ですか?ここに居る皆が分かってない感じですよ。人に頼みごとをする時は、もっと具体的に的確に話して貰えませんか?」


「何でだね。ロイク、あたしは君だけはそうじゃないと信じていたね。これは立派な裏切りだね。・・・これはもう・・・デュエルするしか二人には道が残されていないという事かね!?・・・わ、分かったね。このデュエル受けて立つね」


 はぁっ?何言ってんだこいつは。


「どうしたら、フォルティーナと俺が」


「さぁ~、サザーランド。あたしが胸を貸してやるね。かかって来るね」


 え?


「儂が!?・・・うえぇぇぇ?今の流れは儂じゃない・・・だが、・・・・・・その胸は。・・・御胸。ふむ・・・・・・女神フォルティーナ様。その御胸有難く頂戴じゃなかったお借り致しましょうぞ。ヌワッハッハッハッハ。急ぎ三階へ参りましょう。さぁ~さぁ~さぁ~」



 闘技場に二度目の移動をする少し前。


「トゥーシェもリュシルも良い殿方と巡り会えたのね。私とっても嬉しいわ。ロイクさん」


「はい」


「もう少し早く出逢いたかったわ」


「えっ・・・と・・・」


「ホラッ、私、王妃でしょう。これでも人妻なのよ。息子も一人いるし。ねぇ~・・・」


「えっと、は?」


「旦那様よ。トゥーシェと妾の父は、御祖母様の一人息子で御祖父様の長子。故に、廃嫡されていなければメアの王太子じゃ」


「そうなのよ。王妃として数億年前に息子を一人産んだのよ。もう立派に王妃の務めを果たしたと思う訳ね。そろそろ良いじゃないかなって私思うのよね」


「は、はぁ~・・・」


「王妃?・・・お前二人目が欲しいのか?」


「アナタとは要らないわ。気持ち悪い」


「気持ち悪い?こ、この儂がか?」


「えぇ。あ~ぁ~あっ!もっと早く出逢っていたなら、私もロイクさんのお嫁さんになれたかもしれないのに。本当に残念だわぁ~」


「お、お、お、お、お前、いったい何を・・・。きっ、貴様。古の世界の王だか何だか知らぬが所詮はヴィスズにしか見えぬ姑息な漢の分際で、お、お、王妃まで手籠めにぃっ!!!グゥオワァ~、リ、リュシルやトゥーシェならいざ知らず」


 トゥーシェとリュシルは良いかい。だったら何故にさっき闘技場へ・・・。


「わ、わ、儂の物にて、手を」


「アナタ」


「なんじゃ。うるさい。儂は今、人生の岐路・・・に」


「私がいつアナタの物になったと?私は物ではありません。分かったわね」


「はひぃー。・・・き、き、貴様のせいだぁっ!き、貴様にデュエルの刑をも、も、申し渡す!!刑の執行は今より九分後だ!!!ト、トラヤヌスお、お前も来い」


「旦那様、私めもでございますか?」


「二度は言わぬ。逃げるなよ古の世界のヴィスズ」



・・・・・・・


・・・・



「うんうんだね。面白い事は三度続くと言う諺がある様にだね。これは最早御約束だね。このデュエルはロイク、君の人生を左右する歴史的デュエルになるね」


「おぉ~歴史なのじゃぁ~」


「我が使徒ロイクよ。あの軟弱な存在は死なば諸共後先考えず自爆する類の生き物であった様だ。最新の注意が必要だ。ここで提案なのだが、あの程度の自爆、我等には小川のせせらぎ。いっその事憂いを断ち切ってしまえ」


「は?」


「それが良いね。はい、決定だね。それでは行くとするかね」


≪パチン

ありがとうございました。

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