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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
264/1227

4-69 対峙②

・・・・・・・


・・・・



 軽い雑談を挟みながらも傍観に徹し神茶(しんちゃ)を楽しむ事、約三時間。


 これ以上は無駄だな。


「あのぉ~、このままだといつまで経っても終わらなそうなんで、一度情報を整理しませんか?」


「女神フォルティーナ様。旦那様。私めもロイク国王陛下の提案に賛成でございます。良い具合に正午を回りランチには持って来いのタイミングです。ここはランチと休憩を挟み気分を変えてみては如何でしょうか?」


「うんうんだね。ランチにするね」


「もうその様な時間であったか。どれ折角だ。久々に飯の一つでも食すとするかのぉ~。トゥーシェは白身魚と馬鈴薯のフライが好きであったな。トラヤヌス」


「はい。旦那様」


「昼飯はフライドフィッシュとフライドポテトじゃ。タタールソースを忘れるでないぞ」


「畏まりました」


 メア下界(魔界)は、十二時が正午になるのか。って事は、一日は二十四時間なのかな?



 トラヤヌスさんの案内で、大広間へと移動した。


 トラヤヌスさんは、俺達に席を勧めると、足早に大広間を後にした。


「おジジ王。今はブッフブルギニョンの時代なのじゃぁ~。フリットブームは終わったのじゃぁ~」


「トゥーシェ。そのブッフブルギョとはいったい何じゃ?」


「マルアスピーのランチメニューラインナップの一つなのじゃぁ~」


「マルアスピー?・・・済まんがトゥーシェ、分かる様に説明して貰えんかの」


「マルアスピーはマルアスピーなのじゃぁ~。ランチはランチなのじゃぁ~。メニューはメニューなのじゃぁ~。ラインナップはラインナップなのじゃぁ~」


 そのまんまだし、説明になってないし。


「御祖父様よ妾が説明しても良いか」


「トゥ、・・・リュシル頼む」


「マルアスピー様は、大精霊様の上位にあたる助手精霊様で、工房ロイスピーのオーナーの一人で、魔術魔導具研究所の所長で、妾達トストフィアンセの最高意思決定機関レユニオンエプーズの常任理事の一人じゃ。メアで言うところの御台所や王后に近い。ブッフブルギョは、マルアスピー様が得意とするビーフ料理の一つでレッドワイン煮込みの事じゃ。ビーフも良いが妾としては付け合わせのマッシュポテトとソースが奏でるハーモニーもおすすめじゃ。そうわ思わぬか?」


「肉を赤ワインで煮ただけの料理が美味いのか?・・・それにだ知らぬ言葉が多く何を申しておったのか半分も理解できんかったわ」


 おっと。凄い勢いで再び脱線し始めたぞぉ~。うん!?待てよ。これってもしかして、祖父と孫の微笑ましい語らいの瞬間って奴なんじゃ。


「旦那様」


 おっとビックリ。


 大広間から出て行ったはずのトラヤヌスさんが、メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドの横に立っている。


 全く気付かなかった。


 ドアを確認する。


 五十メートルか。あそこから歩いて来たんだよな・・・。


 もしかしてあれか!?・・・前にchefアランギー様が話てくれた。あれか!・・・「おんやパトロン殿は御存じありませんでしたか。そうですぞぉ~。執事とは地であり水であり火であり風。地は主柱。水は息災。火は忠義。風は空気。四つ全てが揃って初めて執事の理なのですぞぉ~。無であるかのように存在し御家族と御家を支えるスペシャリストなのですぞぉ~。命あれば心音すらも風。例え火の中水の中地の中命を賭す。それが執事という存在なのですぞぉ~。はい」


 後半の方は少し安臭さを感じたが本当なら凄い存在だと思いながら聞いていたあれなのか!?


(ひる)の間のセッティングが完了致しました」


「ふむ」


「ロイク国王陛下。女神フォルティーナ様。邪神竜ロザリークロード様。聖馬神エリウス様。トゥーシェお嬢様。リュシルお嬢様。お食事の用意が整いましたので、御案内致します」


 おっと・・・この大広間は只の控室でしたか。



 無駄話九割概ね脱線の質疑応答。約三時間の成果はと言うと。


***********************


 Q1:メア下界に於ける神とは?

 A1:絶対神ナナンフェルテリーナ様。一柱。

          by.サザーランド・B・S


「何を言ってるね。お前は馬鹿なのかね?お前達が言うところの神なら神界に余ってるね」


「ありえん」


「サザーランド。お前は自分のステータスを()たね。百聞は一見にしかずだね。()たのに理解出来ないのかね。ハァ~、流石はトゥーシェの祖父だね。仕方ないね」


≪パチン


 大広間に響くフォルティーナのフィンガースナップの乾いた音と、身構える二人。


「ステータスのプロテクトを一部解除したね。あたし達の身分と称号を鑑定してみるね」


「先程のスキルは自身のステータスを確認する物ではなかったのか?」


「何を言ってるね」


「先程のスキルを使い皆のステータスを確認しようとしたがunknownとしか理解出来なかったぞ」


「あたしが与えた力で、あたし達のステータスに干渉出来る訳が無いね。考えなくても分かる事だね」


 スキルを付与したのは俺ですけどね。


「戯けた事を申すでないわ。ならば問うが何故トラヤヌスのステータスまでunknownだったのだ。説明してみせよ」


「簡単だね。トラヤヌスはメアスキルに【ハイディング( 隠 蔽 )】【カムフラージュ( 偽 装 )】【ミスリード( 誤 認 )】を持ってるね。コルトスキル【イヴァリュエイション・ステータス】修練度上限(レベル10)では看破出来るはずがないね」


「と、トラヤヌス。本当なのかぁっ!!!」


「・・・はい。旦那様。我等ヴァンピスト(吸魔族)ヴァンパイア(吸血族)は、夜の帳の眷属でございます。皆一つから五つ闇のスキルを所持しております」


「お、お前はその闇のスキルとやらを三つも所持していると言う訳だな」


「左様でございます。私の愚兄は闇のスキルを四つ所持しております」


「四つか。三つまでは分かった。後の二つは何じゃ?」


「おジジ王は馬鹿なのじゃ~。簡単なのじゃ~」


「トゥーシェよ。儂とて万能ではないのじゃ。ヴァンピストもまた優秀な種族ではあるが儂の敵ではない。故に知る必要が無かったのじゃ。分かってくれるかのぉ~」


「分かったのじゃ~。爺やは確かにヨワヨワなのじゃぁ~」


「はて、トゥーシェはどうして闇のスキルを知っておるのじゃ?」


「トゥーシェお嬢様。私めも知りとうございます」


「簡単なのじゃ~。ギャッハッハッハッハッハなのじゃぁ~」


 ・・・トゥーシェ。俺の周りってこんなのばっかりな気がするよ。


「トゥーシェに代わり妾が話して聞かせようと思うがどうか?」


「ト、リュシル頼む」


「お願い致します。リュシルお嬢様」


「トゥーシェと妾は、闇のスキル【ハイディング】【カムフラージュ】【ミスリード】【アフロディジアック】【アオフレーグング】【ドリームタイ】【ツァウベェルフレーテ】を幼き頃より持っておった故知っていて当然じゃ。そうは思わぬか?」


「そうなのじゃぁ~」


「リュシルお嬢様。【アフロディジアック】【アオフレーグング】【ドリームタイ】【ツァウベェルフレーテ】とはどの様なスキルなのでしょうか?」

「リュシル。闇のスキルは五つではないのか?んん?トラヤヌス。どう言う事じゃ!?」


「お前達はうるさいね。あたしが端的に説明してやるね。良いかねあたしは同じ事を何度も言うのは嫌いだね。・・・では始めるね。メアスキル【アフロディジアック】はコルトスキルで言う所の催淫だね。【アオフレーグング】は興奮だね。【ドリームタイ】は夢縛りだね。【ツァウベェルフレーテ】は魔笛つまり男がこのスキルを持っているとだね称号に夜の帝王が女が持っているとだね夜の女王が付くね」


「フォルティーナ。コルト下界のスキルで説明しても」


「なるほどのぉ~」

()がド・モルダヴィア家に伝わりし柄鏡で一族種族を調べた限りでは、【ハイディング】【カムフラージュ】【ミスリード】【ワースレス】【冥府創造】の五つしか闇のスキルは確認されておりません。冥府創造に至っては私めの父の固有スキルだった可能性が高く父の死後今日まで確認されておりません。まさか、闇のスキルに催淫や興奮、夢縛り等が存在していようとは、思いもしませんでした」


「・・・通じてるみたいですね」


 それにしてもメアのスキルも凄いな。隠蔽、偽装、誤認のスキルに、評価を意図的に下げるスキルに、冥府って空間を創造するスキルがあるのか。貰っとこ。あ~あ、ワースレスと冥府創造は残念だったなぁ~。


「うんうんだね」


「ほう。冥府創造も闇のスキルであったか。なるほどのぉ~。ならば妾は闇のスキルを八つ所持している事に成る訳か。フッフッフッフそうかそうかなるほどのぉ~。旦那様よ。見直したか?」


 え?


「私も八つ持ってるのじゃ~。私は持ってる女なのじゃぁ~」


 微妙に意味が違う様な気がするけど、あれれ?トゥーシェとリュシルって冥府創造を所持してたんだ。・・・あぁ~、そういえば悪気(あっき)スキルは時間がある時でいいやって後回しにしたんだっけ。帰ったら忘れずに貰っておこう・・・・・・。さてと。


「トゥーシェもリュシルも凄いですね。・・・はい、と言う訳で、イヴァリュエイションに話を戻しましょう」


「おおそうであった」


「サザーランド。さぁ~、今だね」


「物は試しじゃ。うぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぉぉぉぉ!!。イヴァリュエイション・ステータスッ!!!」


 フォルティーナにさっき言われた事を真に受けて律儀に何かやってるし。・・・面白いからほっとこ。


「我が使徒ロイクよ」


 ロザリークロード様が耳打ちして来た。


「どうかしましたか?」


「我は神茶を所望する」


「おっと、これはこれは、・・・・・・どうぞどうぞ粗茶ですが」


「うむ、かたじけない」



「な!?な、何と言う事だ!!!!トラヤヌスが申しておった事は真実であったのかぁっ!!!いやいやいやいやいや待て。このスキルその物が強力な催眠であったならば。儂は儂がスキルを使っている様に思わされておるだけで実のところは騙されておるという事も・・・いやいやそれは有り得ん。儂が催眠状態に陥る等あり得ぬ。するとこれはやはり事実と言う事なのか!?」


≪パチン


「ぬおあっ」


 フォルティーナのフィンガースナップの音が響く。それと同時に声を上げたメア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランド。そして身構えるトゥーシェ。


「はい。終了だね。お疲れ様でしただね。本日はここまでですだね」


「な、何も見えなくなったぞ」

「紛らわしいのじゃぁ~」


「当然だね。スキルの付与を解除したね」


「邪酔の柄鏡以上の・・・力が・・・」


 なるほど。メア王国の国王サザーランド・ボナ・サザーランドはステータスが見えなくなってしまった事の方に気が回っていた訳か。


「そうだったね」


≪パチン


 フォルティーナのフィンガースナップの音が響く。


 フィンガースナップとほぼ同時に二人へと視線を動かす。


 ここまで来るともはや脊髄反射のレベルだな。


 二人は、余裕で身構えていた。


「サザーランド。あたしが神だと信じる気になったかね」


「幼女の・・・邪神竜ロザリークロード様のあの人離れした力。貴女のいや女神フォルティーナ様の理解不能な力。この力が神の力でなく何の力だと・・・」


「うんうんだね。それでだね。サザーランド、お前にメア仕様のスキルを一つ与えたね」


「儂に?」


「トラヤヌスを見ながらステータスと唱えてみるね」


「ステータス。ぬお・・・これは先程と少し違うがイヴァリュエイション・ステータス」


「メアスキルとして【ステータス】を付与したね。自分自身のステータスなら詠唱はステータス、他人のステータスなら詠唱はステータスオープンだね。神気や精霊気を持った存在のステータスを視る事は出来ないがだね。それ以外の存在のステータスであればほぼ分かるはずだね」


「おぉぉぉ。まさに神の御業。女神フォルティーナ様。このサザーランド、絶対神ナナンフェルテリーナ様の次に偉大な神として女神フォルティーナ様への祈りを」


≪パチン


「さザギャグゥギャギャギャギャウガァルルルルルルルアガガガガガ・・・」

「フゥ~・・・」


「ナナンはあたしの下であり同輩だね。分かったかね」


「ハァ~ハァ~ハァ~、はぁ・・・いぃ・・・」



「神様はいっぱい。はいもう一度だね」


「神様はいっぱい」


「はい、もう一度だね」


「神様はいっぱい」


「もう一度だね」


「神様はいっぱい」



・・・・・・・


・・・・



 Q1:メア下界に於ける神とは?

 A2:いっぱい


「正解だね」


***********************


 時間はかかったが、信じて貰えて良かった。・・・やっと本題に進める。


 と、思ったのだが・・・


「ところで、古の世界の王よ。儂の目がおかしくなってしまったのかのぉ~」


「目がですか?」


「儂には可愛い可愛い孫娘がおってな」


***********************


 Q2:先程見た嫁妻婿夫について話て貰えぬか?

 A1:えっとですね・・・・・・

              by.ロイク・R・C


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