4-57 新迷宮⑪~闇の迷宮、発見~
創造神様より罰を与えられたフォルティーナの神気は百八。コルト下界への干渉はほぼ全てが制限規制対象。
chefアランギー様曰く、
「そうですなぁ~・・・ではこの様に考えてみては如何ですかな。何処にでも居る様な神格を持っただけの神。ただ、少しばかり運を司り、少しばかり良妻も司り、遊びに長けた居ても居なくても特に気に留める必要の無い存在。どうですかなぁ~。はい」
居ても居なくてもって言うか。それ居る必要無いですよね・・・。
フォルティーナがコルト下界で神気の行使が可能な場所は、現状では
スタシオンエスティバルクリュの中空池に浮かぶ中空の離宮のみ。
中空の離宮。つまり『創神殿』『神宮殿』『離宮本殿』『迎賓殿』『俺の別荘』『精霊樹の幼樹・正面・中央・東・西水上庭園』と浮いてはいないが『研究所』だ。
地下0階はコルト下界では無い。
「パトロン殿よ。少し違いますぞぉ~。干渉行為に当たらないのであれば、コルト下界に於いても神気百八までは行使が可能ですぞぉ~。はい」
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何が干渉に当たり何が干渉に当たらないのかを判断するのは理であり創造神様のみ。基本的には常識の範囲内。神々様方の常識の範囲内。
俺の中でフォルティーナの位置付けが今迄以上に面倒な存在になった瞬間だった。
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エモーションシーコンコンブルは、明日の朝食の仕込みと厨房の片付けが終わり次第、chefアランギー様と温泉宿の大女将で冬の女神プリュネ様と女将で夏の女神バンブー様と若々女将で春の女神オルキデ様と番頭で秋の女神クリザンテム様が処理してくれる事になった。
温泉宿の大女将で冬の女神プリュネ様は、名を『梅』『うーめ』と言い張りながら、創造神様公認の俺の嫁付セルヴァント兼ルーリン・シャレット家セルヴァントキャピテーヌとして家を支えてくれている。
温泉宿の女将で夏の女神バンブー様は、名を『竹』『たーけ』と言い張りながら、創造神様公認の俺の許嫁付セルヴァント兼ルーリン・シャレット家セルヴァントオフィシエとして家を支えてくれている。
温泉宿の若々女将で春の女神オルキデ様は、名を『蘭』『らーん』と言い張りながら、俺の家族付主に父バイルと母メアリと俺のセルヴァント兼ルーリン・シャレット家セルヴァントプロキュルールとして家を支えてくれている。
温泉宿の番頭で秋の女神クリザンテム様は、名を『菊』『きーく』と言い張り、家の副料理長として間食責任者として通常食材管理責任者として高級食材探求管理責任者として家を支えてくれている。家ではsous chefクリザンテム様と呼ばれている。勿論、返事は返って来ない。
余談だが、四人の女神様が盟友や眷属として認識されていないのは、正しい名つまり神名で正規雇用されていないからだそうだ。相手はとっても自由な神様だ。深く考えてはいけない。
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トゥーシェとリュシルとは、メア下界と繋がっている闇の迷宮に運良く遭遇したら合流する事になった。
闇の時間のランダムワープ経験者のトゥーシェから話を聞きたかったのだが、参考になりそうな情報を聞き出す事は出来なかった。
何を聞いても返って来る答えは、
「凄かったのじゃぁ~」
だった。
リュシルは、俺に召喚されるまで、引き続きエリウスに協力するらしい。
トゥーシェに関しては言うまでも無いだろう。
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―――ゼルフォーラ王国・国王王国管理地
名を持たざる歪みの森の迷宮
・エモーションシーコンコンブルの前
R4075年09月15日(風)26:30―――
父バイルとサラさんとサンドラさんと俺は、闇の時間の名を持たざる歪みの森の迷宮に、俺の神授スキル【フリーパス】でやって来た。
「親父、動くなよ」
「おう、任せとけぇっ!」
「ロイク様。本当に上手く行くのでしょうか?」
「何だぁ―サラサラぁ―。闇の時間の森がこえ―とか今更猫被ってどぉ―すんだよぉっ!」
「サラ。レベル五百の貴女をどうにか出来る魔獣がこの迷宮に居ると思いますか?」
「バイル様。私は猫を被るとかそんなつもりはありません。計画通りに調査出来るか心配しているだけです。それに叔母、サンドラ様。私のレベルは四百七十九です」
「似た様なもんだろうがぁ―。なぁ―サンドラッチ」
「全くです」
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夕食の間で話し合った結果、闇の時間の調査は、
①各々一歩動きランダムワープに巻き込まれる。
②ランダムワープした先で、俺の眼とリンクした状態の半神具の魔導具【MRアイズ】で周囲を確認する。
③四人分の視界を、神眼Ⅲで視認し分析処理する。
処理が終わり、闇の迷宮の入口が無い場合は、再び①②③を繰り返す。闇の迷宮の入口が有る場合は。
④発見した闇の迷宮の前に、神授スキル【フリーパス】で俺だけ移動する。
⑤闇の迷宮の中に、俺の私物を適当に投げ入れる。
⑥投げ入れた俺の私物を目印に、神授スキル【フリーパス】で俺だけ移動する。
⑦安全を確認する。
大丈夫そうなら。
⑧神授スキル【転位召喚・極】で皆を召喚する。
大丈夫ではなさそうなら。
⑨大丈夫になるまで俺一人で何とかする。
大丈夫そうなら。⑧を実行。
⑩全員揃ったら聖剣ローランを求めて闇の迷宮内の調査を開始する。
こんな感じで進める事になった。
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「調査を開始します。動いてください」
「おう」
「「はい」」
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・ 一回目
≪『動いてください』
神授スキル【レソンネ】で皆に指示を出す。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
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・ 二回目
≪『OKです。動いてください』
うわっ!
闇の迷宮の入口が視界に飛び込んで来た。
「おっとっとっとっと危ねぇ―。ふぅ―。何なのよまったくもうぉ―。目と鼻の先にこれはないんでないのぉ―」
父バイルの声が頭の中に直接響く。
「早速中にぃ―」
えっ?
≪『親父ちょっと待っ』
闇の迷宮の入口が視界から消え、
「おっ!もう一個見っけぇっ!」
・・・まじかよ。
別の闇の迷宮の入口が視界に飛び込んで来た。
だが今は迷宮よりも親父だ。
≪『親父。動くなよ。頼むから動かないでくれ』
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俺は計画した通りに事を進め父バイルが最初に見つけた闇の迷宮の中へと移動した。そして計画通り安全を確認しサラさんとサンドラさんと父バイルと合流した。
「いやぁ―。わぁ―りぃわり。目の前に闇の迷宮があるもんだからついうっかりいつもの調子でよぉ―。ハッハッハッハッハ」
フォルティーナが、親父に闇の迷宮の探索を依頼したのって、偶然だよな・・・。
「ガッハッハッハッハ」
父バイルの笑い声が、闇の迷宮内に響いている。
「バイル殿。静かにっ!何が居るか分かりません」
「あん?何が居るも何もここはぁ―闇の迷宮の中だぞぉっ!居るもんつぅったらぁ―。魔獣か人間かぁ―悪魔くれだろうがよぉ―」
「その魔獣や悪魔種を警戒しているのです」
「あん?でもよぉ―。ここぉ―どう見ても俺達しかいねんじゃねぇ―?」
サンドラさんは、周囲を見回し、
「・・・か、かもしれませんが、あのドアの向こうに何かが集結する可能性もある訳でして」
「開けなきゃ良いんだろうがぁ―」
「バイル様。この立方体の部屋にはあのドアしか見当たりませんよ」
父バイルは、周囲を見回し、
「お・・・おう」
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調査を進める前に、父バイルに確認した。
どうやらこの迷宮を調査した事は無い様だ。
ありがとうございました。