4-44 新迷宮④+2~遅延証明~(設定)
―――アシュランス王国・王都スカーレット
エルドラドブランシュ宮殿・昼食の間
R4075年09月15日(風)16:30―――
chefアランギー様と妖精のおしごとが織り成す超絶至極のデジュネを仕事の会話を一切挟まず楽しんだ。
デジュネの後は、神茶を楽しみならがらの談笑の時間。つまりティータイムの時間である。
chefアランギー様とマルアスピーが共同で開発した工房ロイスピーの新作菓子と神茶。我が家の王道パターンらしい。
神茶は俺が提供しない限り出される事はないらしいが王道パターンなんだそうだ。
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「ロイク。お父さんから聞いたんだけど、ドラゴンをまた捕まえたらしいわね」
「またって、ドラゴンを捕まえた覚えは無いですよ」
母さんが身に覚えの無い変な事を言って来た。
「ルビーちゃん」
「ルビーは保護したんです」
「おっとっとっとっと忘れるところだったね。はぁ~い、注目・・・だね」
フォルティーナがまた何かを始める気だ。関わるだけ時間の無駄だろう。モーヴェドラゴンの件も含めさっきのリュシルの話を、
「ロイク、君は何をやってるね」
思考の邪魔までして来るとは・・・。
「この後の創造神様からの指令⑧のサブクエストとかフォルヘルル島の洞窟の調査とか、リュシルに参加して貰う事になったんで、その確認って言うか整理を」
「それも大事だがだね。あたしがこれから話す有難い御話はそんなゴミよりも重要だね」
それも。って・・・。リュシルから齎された情報は呪いどころか
「はいはいはいはい。はぁ~い注目だね。今から神授に関わる話をするね。あたしに感謝するね。はいそこぉっ人の話を聞く時はどうするってあたしは言ったかね?」
無視しても無駄、聞くだけ無駄、何をどうやっても無駄を強制される流れの様だ。・・・それならばいっその事。
「・・・それで、その重要な話って何ですか?」
気持ち良く喋らせサクッと終わらせてしまおう。
「それはだね。明日で調度二ヶ月だね。おめでとうだね」
「はっ?何がですか?」
おっと、いかんいかんつい反射的に・・・。
「忘れたのかね?」
「何をですか?」
「はぁ~・・・。アスピー。君の旦那は大丈夫かね?」
「えぇ」
「そ、そうかね。・・・アルっ!」
「は、はい。フォルティーナ様」
「君の旦那、頭は大丈夫かね?」
「・・・・・・至って良好の様ですよ」
「なっ、なら良いね。・・・マリレナ、そうだねここはマリレナだね」
「私ですか?」
「あたしはロイクがおかしいと思うね。そう思えてならないね。君はどうだね?」
「そうですねぇ~。ロイク様も私も健康そのものおかしいところは何処も無いと思いますが・・・」
「・・・トゥーシェは要らないね・・・リュシル、君に決めたね」
「おいっ!神。何故私は流されたのじゃぁ~」
「安心するね。名前はちゃんと呼んだね。苛めはないね。で、ミュー」
「えぇぇ、まさかの僕に来たぞ」
「妾は何に決まったのか?」
「あああぁぁぁ―――もう五月蝿いね。皆黙るね。良いかね。人の話は眼と心と気合で静かに聞くものだね。分かったのかね」
何がやりたいんだ。こいつは・・・。
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「それで、重要な話って何ですか?」
自分で質問しておいて言うの物なんだが、デジャヴだ・・・。
「おっと、うっかり忘れるところだったね。明日で調度二ヶ月だね」
・・・デジャヴだ。間違うと目の前の駄女神はまたさっきのあれを繰り返すに違いない。ここは慎重に。
「そうですね。二ヶ月経ちましたね。そ、そろそろだと思ってたんですよ」
何かは知らないが・・・
≪私達もです。
皆からの援護射撃だ。
皆も俺と同じ気持ちでいてくれた。・・・・・・当然か。
「あっ?何がそろそろなんだよぉっ!もったいぶってねぇ―でさっさと言いやがれてんだぁっ!ブゥ―ブゥ―ッ!!!神乳ぃ―。冷やかしなら帰んなぁっ!」
親父・・・自由って確かに素晴らしいよな。だがしかし、今じゃ無いだろう。
「おっ!バイル。気になるかね。そうかねそうかね。分かったね」
・・・何がどうして今ので会話が成立する?
「おう。任せとけぇっ!」
最早、何も言うまい。
「発表します。・・・・・・だね。・・・・・・」
急に黙り込み何かを考えている様にも見えなくないフォルティーナ。
な、何だ?
「アランギー」
「おんや。如何致しましたかな。はい」
「足りないね」
「はい?」
「盛り上がりに欠けるね」
「はぁ~・・・」
「ここは、盛大にドラムロールとファンファーレで許すね。今だね」
「ドラムロールとファンファーレが欲しい訳ですな。はい」
「発表します・・・・・・だね」
≪パンパン
≪ドラムロールとファンファーレの音
chefアランギー様が右手の掌を左手の掌で軽く二回叩くと、スネアドラムとラッパの音が盛大に鳴り響き始めた。
「・・・アランギー」
「なんですかな?」
「もう良いね。うるさいね」
「は・・・い」
自由過ぎるだろう。横暴過ぎるだろう。
≪シーン
「オッホン。それでは一ヶ月前に創造神から届いたおまけの施行を始めるね」
≪おまけの施行?
皆の声が綺麗にハモる。
「それもですが、一ヶ月前ってどう言う事ですか?」
「ロイク。君は何を聞いていたね?あたしはさっき言ったね。忘れるところだったと、忘れたのかね?」
い、いかん。これは脱線への序章だ。俺が率先して脱線させてどうする。
「ふぉ、フォルティーナ。施行をお願いします」
「本日九月十五日。忘れずに施行出来る日が来た事を心より嬉しく思ってるね。最後に、今日発表しても施行は明日からになるね。深夜零時からだね。宜しくだね。それでは解散だね」
・・・で?
「おいこらぁ―っ!神乳ブゥ―ブゥ―。ふざけんなぁっ!乳出せぇ―!神乳ブゥ―ブゥ―」
おい親父。今どさくさに紛れて何かおかしな事言ったよな?
「ハッハッハッハッハ冗談だね。・・・・・・で、だねアル」
「えっと、また私ですか?」
「当然だね。アル、君の神気は二十になる予定だったね」
「えっと・・・・・・あっ!スタシオンエスティバルクリュの侵入者事件の時の件ですね」
「その通りだね。ロイク以外は後日と言う事になっていたはずだね」
「はい」
「アル、今だね」
「え?・・・」
今って、一ヶ月前に届いてたんですよね?それ・・・。
「はい。読みまぁ~す。・・・だね。長いのは面倒だね。要点だけサクッと伝えるね。アル、君の神気は二十になります」
「あのぉ~、フォルティーナ様」
「何だね。アル。人の話は最後まで静かに聞くものだね。学校で習わなかったのかね?」
・・・アルさんガンバです。
「神気の話なのですが、私の神気はもう二十ですよ」
「そ、そんなはずはないね。ここに書いてるねっ!・・・・・・なっ・・・」
≪なんだなんだ?
皆の声
「おんや、如何なされましたかな。はい」
「た、た、大変だね」
「大変・・・ですか」
「何て事だね。この手紙、八月十五日に届いたものだね・・・」
はっ?一ヶ月前ってさっき自分で言ってましたよね?
「創造神の奴。あたしに恥をかかせて楽しんでるね。・・・全く、信じられないね」
・・・えぇ。本当に・・・アンビリバボー、本当に信じられないですよね。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
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フォルティーナの遅延報告一ヶ月ヴァージョンの結果。本日付でステータスが更新される事になりました。
まずはアルさん。
アルさんの神格位は五級神から二級神へ昇格。神気二十制限固定の規制が解除され、以前の様にBaiserの効果が反映する様になった。以前の神授スキル【Baiser】はBaiserの回数プラス【GMP】だったのだが、現在の神授スキル【Baiser・極】は、......
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俺ことロイクが交わした
神気を持った存在達との
Baiserの回数 ÷ 十万 = A
A × 自身の【GMP】 = B
自身の【GMP】 + B = 反映後【GMP】
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......と、【GMP】の数値が高い俺に都合の良い仕様になっている。アルさんには効果の薄いスキルと言う事になる。
ただし、俺の神授スキル【絆・眷属神・改1】の効果も反映する様になったので、アルさんの【GMP】はプラス二百パーセント。俺もこのスキルの効果が上がり、プラス二億二千百七十四万八千九百からプラス二億四千三百九十二万三千七百九十になった。
アルさんの【GMP】は、......
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基礎の【GMP】20
神授スキル【絆・眷属・改1】
≪効果≫【GMP】+200%
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】+0.0266
補正処理後の【GMP】60.0266
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......に、なった。俺の【GMP】は、四十七億三千百九十八万六千二百五十八になった。
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次はトゥーシェ。
トゥーシェは悪気が百二十、神気が一になった。
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基礎の【GMP】1
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】+0
※Baiserの回数が0回の為※
補正処理後の【GMP】1
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リュシルはおまけのおまけで、悪気が三百五十八、神気が二になった。
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基礎の【GMP】2
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】+0.00266
補正処理後の【GMP】2.00266
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マリレナさんは九級下級神の神格位を創造神様より正式に神授され、神気が一になった。
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基礎の【GMP】3
神授スキル【絆・眷属・改1】
≪効果≫【GMP】+200%
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】+0.00399
補正処理後の【GMP】9.00399
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地の中精霊のミューさんの神気は本来であれば、二らしいのだが、大精霊様方の三と間を取って、二.五になった。
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基礎の【GMP】2.5
神授スキル【絆・眷属精霊】
≪効果≫【GMP】+2.2075
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】+0
※Baiserの回数が0回の為※
補正処理後の【GMP】4.7075
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最後はマルアスピー。
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基礎の【GMP】二十二億千七百四十八万九千四
※俺の基礎【GMP】
二十二億千七百四十八万九千※
※大樹の大精霊【GMP】3 改め
コルト下界の管理者の助手精霊【GMP】4※
神授スキル【絆・眷属精霊】
≪効果≫【GMP】+16631167.53
神授スキル【Baiser・極】
≪効果≫【GMP】
+2949260.37532
神授スキル【KISS・大樹】
≪効果≫【GMP】
+241706.301436
補正処理後の【GMP】
2237311138.206756
二十二億七千三百十一万千百三十九
※ロイクとマルアスピーに限り
少数点以下は切り上げ※
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そして、一名?には、創造神様から厳しい罰が与えられた。
罰を与えられた存在。それは、勿論フォルティーナである。
罰の内容は、来年R四千七十六年のフォルティーナの誕生日まで神気、【GMP】が百八固定。
もし、誕生日を思い出せない時は、自動的に一年更新。
期間中は、神授スキル【Baiser・極】の機能は停止。加算対象外。
ただし、便宜上緊急時を考慮しコルト下界限定。
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俺の神気に創造神様の眷属の効果や、フォルティーナや邪の女神ナナンフェルテリーナ様の眷属の効果が反映されていない件は、善処に善処を重ね次のゲーム大会の時までに何か考えておいてくれるそうだ。
―――ゼルフォーラ王国・国王王国管理地
名を持たざる歪みの森の迷宮・北東部
R4075年09月15日(風)16:30―――
その頃、時空牢獄の中では、1人のドラゴンが暴れていた。
何なのだこれは!
何なのだこの森は!
ここはいったい何なんだぁっ!!!
ありがとうございました。