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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
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4-35 国王のお仕事②~壁掛けの魔導具~

―――19:30 国王執務室


 約束の時間になると、chefアランギー様がやって来た。


・・・・・・・


・・・・



「......と、まぁ~こう言う訳でしてぇ~、半数程度を民間より採用する方針ですぞぉ~。はい」


「民間人を大臣にですか」


「パトロン殿の。ああぁ―――陛下の希望であり治世の目玉の一つにしたいと言ったのはぁ~」


「俺ですね・・・」


「その通りですぞぉ~。はい」


「それで大臣の半分も民間からで大丈夫なんですかね」


「問題ありませんですぞぉ~。選考はこちらで行いますが、任命権は首相のルードヴィーグにあります。もし仮に何かが起きたとしても責任の所在は全てルードヴィーグになります」


「おっ!政治の事は全く分からないんで任せてしまって良いならその方が助かります」


「陛下は事後承認法に基づき、任命後に書類が回って来ますのでその書類に承認するのであればサインとスタンプを。承認しないのであれば再任命の書類或いは直接ルードヴィーグに任命のやり直しを命令してください」


「事後なのに未承認もOKなんですか?」


「パトロン殿はこの王国の国王なのですぞぉ~。本物の愚か者でもない限り誰も異議など申し立てません。ほぼ私達に近い存在なのですからほぼ何でも自由です」


「国王って言うか、それ神のルールですよね・・・」


「まぁ~何はともあれ、今月中には第一次内閣と現行の戸籍をまとめ上げるつもりですぞぉ~。はい」



「あっそうだ。chefアランギー様。一つ質問があるんですが良いですか?」


「おんや。何でしょうかな。はい」


「親父の奴がローランって名前の聖剣を闇の迷宮の中で紛失しちゃったらしいんですが取り戻したりするって出来たりしますかね」


「ふむふむふむ。聖剣ローランをですか。聖剣ローランと言えば創造神様がサンドラ殿に神授した創神具に近い業物」


 聖剣ローランって神授の剣だったのか。親父の奴マジで何やってくれちゃってるんだよ。


「コルト下界には現在691個の闇の迷宮が存在し無作為な状況ですからなぁ~。回収出来ない事は無いかと。ですが確率の問題ですからなぁ~。気長に調査を続けるしかないでしょうなぁ~。はい」


「闇の迷宮って691個もあるんですか?」


「おんや。その通りですぞぉ~。最高難易度の迷宮が一つ。高難易度の迷宮が四つ。そこそこの難易度の迷宮が九つ。トゥーシェ殿やリュシル殿の故郷とどういう訳か繋がっている迷宮が三つ。普通の迷宮が674個ですぞ。はい」


 俺が入った迷宮って三つの内の一つだった可能性があるのか。


「そうそう。691個の内の一つは先日存在を確認したばかりの出来立てホヤホヤの新迷宮でして、面白い事に画期的な固定タイプの様でしたぞぉ~」


「画期的って、迷宮って固定タイプばかりじゃないですか」


「おんやぁ~。それは謝った認識ですぞぉ~。はい。良いですかな。まずはパトロン殿の故郷に存在するぅ―――」


 chefアランギー様は、俺に目配せする。


 答えろって事だよな。


「信仰の迷宮」


「はい。そして地水火風四つの迷宮にぃ~、コルトの泉の湖底に存在するぅ―――」


 答えろって事だよな。


「湖底の迷宮」


「コルトの丘の断層に存在するぅ―――」


「嘆きの迷宮」


「カイライ山の頂上火口に存在するぅ―――」


「火口の迷宮」


「残りは、愛と美の修練の塔。憎と美の修練の塔。要するに愛憎の館ですな。そして、闇の迷宮が691個存在する訳ですがぁ~。因みにですが、地下0階(レイカイ)やその奥の存在はコルト下界とは別の界になりますのでコルト下界の迷宮として数えないのが常識ですぞぉ~。はい」


 ・・・常識なのか。


「さてはさてはさてはと。つまりですなぁ~。コルト下界には現在701個の迷宮が存在し。画期的な固定タイプの迷宮は僅か11個。無作為迷宮が690個。比率にしますとぉ~、固定タイプは1パーセントちょっと。画期的なのですぞぉ~。はい」



 聖剣ローラン回収計画は、気長に進めるしかない様だ。


 無作為な闇の迷宮690個の中から気長に・・・。


 親父には反省して貰わないといけない。俺じゃ無理だから母さんに頼む事にしよう。



「ところでパトロン殿よ。あの壁に掛けられたアナログな物は時計でしょうか?」


「気付きましたか。あれはですね。かなり前から製作を進めていた魔導具の一つだったんですが。実はサーヴァントシリーズと同じタイミングで完成しまして」


「普通に時計ですよね。・・・私の純粋な(まなこ)には普通の時計にしか見えないのですがぁ~。はい」


「時計なんで時計に見えないと困ります。でも普通じゃないつもりだったんですけど」


「普通ではない。・・・と」


「えぇ。だって、見てくださいよ。あれ、モントレアプレともマルアスピーの時計とも違いますよね」


「腕時計タイプと置時計タイプとは異なりますなぁ~」


「あれは壁掛け何で形状の違いもそうですが、見てくださいよ。あれは針が動き針が時間を指し示す画期的な時計になっているんです」


「普通のアナログ時計に私には見えてしょうがないのですが」


 アナログ時計?さっきからchefアランギー様は何を言ってるんだ?・・・・・・あぁ~なるほどね。


「chefアランギー様。あの時計は光闇時計って名前で売り出すつもりだったんですが、アナログ時計って名前にした方が良いですか?」


「コウアン時計ですか・・・」


「です。光闇時計です。上の円の真ん中の下に書かれた6は、光の時間の朝6時の事です。で、上の円の真ん中の上にかかれた15は、正午15時の事です。朝6時から正午15時までの九時間と、正午15時から闇の時間の夜24時までの九時間を、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15。16、17、18、19、20、21、22、23、24。等間隔で配置したこの数字を長い針が時として指し示します。ラフン()は内側の0または60から右回りに1、2、3...... ......58、59、60で短い針が指し示しています。カウン()はラフンの数字が点滅していますよね。それです」


「ふむふむ。それでしたら、時やラフンもカウンと同様に点滅なり点灯させた方が良いと考えます。はい」


「フッフッフッフッフッフ。実はですね。全て点灯点滅を切替る事が可能なんです。光ってたら任務中とか大変ですからね」


「考慮済みと言う訳ですな。まぁ~あの壁掛けのアナログぅ~コウアン時計を任務時に持ち運ぶのは難しいと考えますがぁ~。あると便利なのは間違いありませんな。はい」


「ですです。それで、下の円の真ん中の上に書かれた24は、闇の時間の夜24時の事です。右回りに25、26、27、28、29、30and0の六時間。そこから更に1、2、3、4、5、6の六時間」


「つまり上の円は18時間で一周し。下の円は12時間で一周すると言う事ですな。ラフンとカウンのルールは上下共に同じ・・・・・・数字のみを表示する時計にしなかったのは何故ですかな?」


「光の時間とか闇の時間とか昼とかって1日を実感して欲しかったんです。慣れるまでは俺が作った針と明滅の方が良いかなって思ったんですがダメですかね?」


「なるほどなるほどなぁ~るほどぉ~。やはり普通のアナログ時計ですなっ。はい。パトロン殿よ。もっと分かり易く。十五時間で一周し二周で一日を表現する時計を」


「それ考えたんですが、パット見で分かり難いなって事で不採用にしたんです。光の時間か夜の時間か分かり難い場所でこの時計を見るケースもあると思うんですよ」


「光と闇の時間を指し示す何かを点灯させるだけで解決する様にも思えますがぁ―――。神授スキル【時計】を魔導具で再現したのは素晴らしい事まさに偉業の一つ。若干嵩張りますがその形状で行きましょう。はい」


「観賞用に装飾を施した物と、日常用に簡素に仕上げた物の二つのラインで行こうかなって思ってます。それとですね。1日の終わり30時つまり1日のはじまり0時に全ての時計が俺のモントルアプレと同期を取る様に術式を組み込んだんでほぼ永久的に狂いません」


「ほう。リンクですか。製作に時間がかかったのはその為でしたか。なるほどなるほどなぁ~るほど」


「まずは各国の王城や教会にタダで配って様子見です」


「タダですか?」


「はい。タダです。でもって、(うち)の国に限り騎士爵位以上の貴族家と軍籍階級で下士官以上の者には配るつもりです。皆さんなかなかに適当ですからね」


(いえ)にであればあの壁掛けアナログ時計でも良いと考えますがぁ~。時間を守らせるのが目的なのであれば、個人に渡す時計は、モントレアプレの様に腕時計タイプ或いは懐に仕舞い込める様な持ち運びに便利な形状の方が良いかと」


「なるほど。(いえ)への褒美と、個人への褒美は分けた方が良いって事ですね」


「その通りですぞぉ~。はい」


「視界内の時計とモントレアプレは神授に近い物だから一般に普及させる訳にもいかないからぁ~・・・・・・縦タイプとか横タイプとかで懐中の光闇時計・・・。縦タイプは軍籍用が良いか・・・・・・」


「パトロン殿よ。思考するのは後にして、この書類にサインとスタンプを」


「あぁ、はい」

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