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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
220/1227

4-27 井戸の底の大都市②~ルネッサンスと天井絵~

今回も資料に近いですが宜しくお願いします。


・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




 オスカーさんは、旧世界創生記の舞台となった前時代に只ならぬ憧れを持っている様だ。


 有り得そうで有り得無さそうなさも事実の様な御伽噺伝説や神話を、まるで少年の様にキラキラと瞳を輝かせ興奮混じりに雄弁に饒舌に鼻息荒く時に陶酔しながら語っていた。


 天井絵を食い入る様に見上げたまま。



***********************


 ≪オスカーさんが知る旧世界創生記≫

 +(chefアランギー様より寄せられた情報)


 当時(オスカーさん言う当時とはたぶん前時代の初期頃を指していると思う)、この世界(コルト下界)には三つのイデーの塔が存在していた。


 東大陸の【ヴォロンテイデーの塔】


 南西大陸の【アドラシオンイデーの塔】


 現中央大陸の【シェルシェルイデーの塔】

  ※当時、北大陸と中央大陸は陸続き※


 三つのイデーの塔は其々が高さが684mで屋上には堕ちた神獣様が鎮座していた。


 ヴァロンテイデーの塔

  四羽の象・神象類巨象種

 神獣【シャルサルンガル】様


 アドラシオンイデーの塔

  七眼の亀・神亀類陸亀種

 神獣【トインザーテンテル】様


 シェルシェルイデーの塔

  一角の獅子・※神獅子獣※

 神獣【ハムンケルハンシ】様


 因みに、


 二首(双首)の猩猩・神猿類猩々種

 神獣【マイケルハヌンセー】様


 三足の孔雀・神鳥類孔雀種

 神獣【カシュトゥリチュリ―】様


 五尾の鳳凰・神鳥類フェニックス(瑞鳥)

 神獣【フェニックス】様

 (chefアランギー様から寄せられた情報によると、この(・・)フェニックス様は三代前の五大神鳥の一柱だった。神名が同じなので分かり難いかもしれないが三代前のフェニックス(瑞鳥)種の長で間違いないらしい)


 六宝玉の黄竜・神竜類帝竜種

 神獣【ラルーフビルドゴードン】様

 (chefアランギー様から寄せられた情報によると、偽アンペラルドラゴンこと【ラルーフビルドゴードン】様は、先代の神獣種神竜類の長(アンペラルドラゴン種)の兄で、地水火風の四大属性と雷属性と時属性の宝玉を所持し、手の付けられない荒くれ竜だった。少し前に討伐された黄竜は、偽アンペラルドラゴンことラルーフビルドゴードン様だったらしい)


 八属性の大樹・神樹類イチジク(無花果)

 神非獣(シンヒジュウ)【ケフィワルクーカ】様

 (chefアランギー様から寄せられた情報によると、神樹類イチジク(無花果)種の下級神だった。階位までは覚えていない。植物の神なので神非獣と言うらしい)


 九行の神授

 【眼】【鼻】【耳】【口】【腕】【脚】

 【腹】【胸】【背】【魂】【詞】【指】

 【己】


「九行なのに十三個なんですか?」


「はい。十三個で間違いありません。十番目の魂とは精神心そのものを、十一番目の(ことば)とは口にした音の意味と形にした文字の意味、十二番目の()とは体の(ゆび)の事でもあり物事の方向性の事でもあります。十三番目の()とは自分自身の事でもあり地属性大地の事でもあります。要するに、十番目十一番目十二番目十三番目は、一行から九行の全てに必ず存在する私達ユマンがユマンたる理由そのものの事なのです」


「へぇ~」


 良く分からないけど頷いておこう。


「ロイク様。これは魔術にも......」


 脱線は暫く続き、本題に戻った訳なのだが、(chefアランギー様から寄せられた情報によると、九行の神授とは【旧行の神授】の事で、創造神様がヒュームに与えていた神授の中でも初期の頃より存在してる神授スキルの事なんだそうだ。例としては、STR・VIT・DEX・AGI・INT・MND・HP・MP等の各ステータス値の【***強化・神】や、各状態異常の【***耐性・神】や、各生産系スキル通称神技持ち(かみわざもち)や、各属性攻撃或いは魔術攻撃の【***強化・神】等他色々。現行は多種多様となり何が存在しているのか全てを把握するのは大変な作業。旧行の時の神授スキルは分かり易さが大事だったそうだ)脱線も本題も間違っている訳で伝えるべきか迷っている内に、オスカーさんの説明は十悪に入っていた。


【十悪】


 第一悪から第十悪までをまとめた全十章からなる、卑怯極まりない物語。


【旧世界創生記】


 この十悪に立ち向かうヒューム(人間)の姿を描いた英雄譚の様な物らしい。旧とは言え世界創生記なのに世界の創生とは余り関係ない構成になっていた。


 ≪第一悪≫


 堕神獣(ダシンジュウ)マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)は、ヒューム(人間)(種族不明)に化現しヴォロンテイデーの塔を上った。

 そして、屋上から神獣シャルサルンガルの子供を攫い世の無常憤りを示す。

 我が子を取り戻すべく神獣シャルサルンガルは、堕神獣マイケルハヌンセーが身を隠したヒューム(種族不明)の集落を無かった事にした。

 神獣シャルサルンガルの子供は、ヴォロンテイデーの塔の屋上で手にかけられ、堕神獣マイケルハヌンセーに吸収されていた。

 我が子の姿を確認する事が出来なかった(集落を一瞬で更地へと変えてしまった為、自ら手にかけてしまった可能性もある)神獣シャルサルンガルは、次々に集落を無かった事にしていった。

 王国(国名人名不明)は、英雄・勇者・賢者・その他大勢色々とを募り、王国を挙げて堕神獣シャルサルンガルの討伐を開始。

 出陣式は盛大に執り行われた。その出陣式に一つの大包みが届く。大包みの中には綺麗に梱包された小象の鼻(普通の獣の象の鼻)とリアルに描かれた小象のポルトレ(・・・・・・・)(普通の獣の象の絵)が入っていた。

 神獣シャルサルンガルは、少し離れた地より神獣眼でそれを目撃し堕(堕ちた)神獣シャルサルンガルとなり出陣式を強襲した。

 争いは限り無く続き。国も塔も何もかもが無くなった。無かった事に成った。


 何を言いたいか、何が起こったのか、全く分からないまま第一悪は終了した。エリウスと俺は目配せし頷いた。そして俺は思った。構成が雑な話にどうしてオスカーさんは心熱く興奮出来るのだろう。と・・・。


 ≪第二悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、アドラシオンイデーの塔。内容は、ヒュームの姿に化現した堕神獣マイケルハヌンセーが塔の屋上から神獣トインザーテンテルの卵を盗んで美味しいオムレツを食べ幸せのあり方を示す。

 堕神獣トインザーテンテルとヒュームが争う......。そして、無かった事に成る。


 ≪第三悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、シェルシェルイデーの塔。内容は、ヒュームの姿に化現した堕神獣マイケルハヌンセーが塔の屋上から神獣ハムンケルハンシの子供を神獣ハムンケルハンシに代わり投げ落とし厳しさを示す。

 堕神獣ハムンケルハンシとヒュームが争う......。そして、無かった事に成る。


 ≪第四悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、神獣カシュトゥリチュリ―。

 内容は、どちらが本当のモテ期かを競い......。そして、無かった事に成る。


 ≪第五悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、神獣フェニックス。

 内容は、ヒュームの国の王に化現した堕神授マイケルハヌンセーは言いました「燃え上がるだけしか能の無い暑苦しいだけの鳥を、神鳥として崇め奉るは愚行であり大いなる過ち。神鳥様は四大神鳥様で十二分である。今日よりフェニックスは蝙蝠の下である」と、蝙蝠は鳥ではない......。そして、無かった事に成る。

 (chefアランギー様から寄せられた情報によると、五大神鳥の長の一柱フェニックス様は失望しコルト下界を去った。その際、蘇生や復活や再生のスキルをコルト下界より持ち去ってしまった。コルト下界から蘇生や復活や再生のスキル(魔術のみ)が消失した事件は神界でもニュースになった。が、2・3日程で下火となりやがて風化した)


~ 回想


「亡くなった者を蘇らせる事が出来たんですか?」


「おんや。その通りですぞぉ~。はい」


 おかしいなぁ~。俺の記憶が正しければ、


「以前、理に反する事は出来ない。命を失った者に命を与える行為は超が幾つも付く次元のSSS級(・・・・)の規制、干渉制限事項ですぞぉ~。はい。って・・・」


「ふむふむふ~む。パトロン殿は、何か勘違いしている様ですぞぉ~。良いですかなぁ~、蘇生復活再生は命に干渉する行為ではありません。はい」


「えっ?」


「ですから、命に干渉する行為ではありません。規制外、干渉制限外ですのでぇ~、理に反した事にはなり」


「意味が分からないんですが」


「ません」


 おっと、つい被せてしまった。


「すみません。お話の途中に・・・」


「パトロン殿はパトロン殿。些細な事等気にする必要はございませんですぞぉ~。はい」


「ありがとうございます。・・・それで理に反した事にはならないってどういう事なんですか?普通、命を失った者を生き返らせたら、命に干渉してる事になりませんか?」


「その通りですぞぉ~。命を失った者に干渉するは命への干渉ですなぁ~。はい」


 だよな。うん。


「ですが、肉体から魂まぁ~この場合は精神思念でも構いませんが今は魂に統一し話を進めますぞぉ~。創造神様は、肉体から魂が離れただけの場合を限定し、肉体と魂に干渉する行為を理内としております。つまり、肉体が存在し魂が存在する状態に干渉する行為は命の理とは別口という事になりますなぁ~。はい」


 良く分からない。


「・・・えっと、もしかしてですが命と魂って違ったりしますか?」


「おんや何をいまさらですぞぉ~。パトロン殿は極々稀に可笑しな事を口にする傾向がありますなぁ~。・・・良いでしょう。些か暇を持て余しておりましたので1つ分かり易く教えて差し上げましょう。まず、命とは寿命であり【HP】生きる力の事です。そして、魂とは精神であり精気【MP】自然の力の循環の一つです。全く別の存在という事ですなぁ~。はい」


「命は【HP】で魂は【MP】って事ですか?」


「端的に言いますと、そんな感じで概ね正解です。はい」


 ダメもとで聞いてみるか。


「なるほど、因みにですが、蘇生と復活と再生って、魔法とかスキルが違ったりするんですか?」


「そうですなぁ~。蘇生と復活は、聖属性の【レズュレクシオン】の事ですからぁ~・・・神気ですと【ルネッサンス】だったかとぉ~。う~む、私は料理専門、残念な事に一度も試した事がありませんのでぇ―――、事象の説明は出来かねますぞぉ~。はい」


 レズュレクシオンにルネッサンスか。まさか、教えて貰えるとは思わなかった。


「再生はコルト下界のヒュームが確立した魔術を元に創造神様が改めて創造した神気スキルであり精霊魔法ですのでぇ~。蘇生や復活とは毛色が若干異なる訳ですがぁ~。ヒュームの魔法王国の言葉で確かぁ―――・・・リーバス、リーバイ【リバース】。リバースは、肉体の欠損の再生で、【プレイバック】は、時間の理にギリギリ干渉しない程度という判定に落ち着き干渉制限外になりました。これは対象となる存在の個体としての時間を60カウン()以内であれば戻せる。つまり、再生ですなぁっ。はい。おぉ~そうでしたそうでした。このプレイバックですが、ルネッサンスでも同じ事が出来ますので、統合されルネッサンスになったのでした。いやはやうっかりうっかり」


 ルネッサンスは蘇生と復活と回復って事か。それにしても、リバースもプレイバックも再現出来たら凄い事になりそうなんだ。料理に応用出来ると思うんだけど気のせいか?


 ・・・あれ?それ以前に問題が、


「【HP】に干渉する事は、命に干渉するって事になりますよね?」


「その通りですぞぉ~。命の理の規制外、干渉制限外に設定されておりますのでぇ~誰もが自由に回復治癒治療し放題という訳ですなぁ~。はい」


 なるほど・・・。



 ≪第六悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、神獣ラルーフビルドゴードン。

 内容は、ヒュームの姿に化現した堕神授マイケルハヌンセーが、六宝玉を綺麗に磨き上げるという御節介という嫌がらせを行い。風属性の宝玉と雷属性の宝玉をぶつけ損傷。地属性の宝玉と火属性の宝玉をぶつけ損傷。水属性の宝玉と時属性の宝玉をぶつけ損傷。六宝玉は其々八個の欠片となって世界中に飛散。世界中に災害を撒き散らした。

 神獣ラルーフビルドゴードンは、四十八個マイナス二個、計四十六個の欠片を4万年以上もかけ探し周り、最後の一欠片が......。そして、1人のヒュームの男に討伐された。


 ≪第七悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)と、神非獣ケフィワルクーカ。

 内容は、ヒュームの姿に化現した堕神獣マイケルハヌンセーが、神非獣ケフィワルクーカの実をこっそり食べてしまい。ヒューム属は森から追放された。

 長い時間を費やし許されたのは、フェアリー種族・エルフ種族・セリアン種族のみだった。

 その他の種族は森を離れ過酷な地で生き抜く事を余儀なくされ文明を発展させるに至った。

 そして、自然 vs ユマン種族+他による争いが......。

 大樹の森が意志を持ったのはこれが切欠。(有り得ない)


 ≪第八悪≫


 堕神獣マイケルハヌンセー(何故、堕ちたのかは不明)は、神という存在を失ったイデーの塔に鎮座した。

 ヴァロンテイデーの塔では堕神獣シャルサルンガルに化現し、アドラシオンイデーの塔では堕神獣トインザーテンテルに化現し、シェルシェルイデーの塔では堕神獣ハムンケルハンシに化現し、ヒュームの信仰を集めようとした。

 だが、ヒュームは討伐の為、立ち上がる......。

 その時、最後の欠片を求めて参戦した神獣ラルーフビルドゴードン......。

 この争いは前時代を終わらせ新時代の切欠となった。(有り得ない)


 ≪第九悪≫


 ヒュームは止め様としなかった......。

 そして、バースデイスキルは、ユマン種のドワーフ族とユマン族だけに神授される事になった。(ツッコミどころ満載過ぎて・・・)


 ≪第十悪≫


 ヒュームは、未だに最悪を経験していない。第一悪から第九悪を経験したヒュームは1人も存在していない。

 ヒュームは大いなる力を失い大いなる最悪に直面する事になるだろう。

 だがしかし......。



 余談


 chefアランギー様からの情報をもとに考察する。近くて二億年以上も前、遠くて八億年。前時代よりも更に更に遥か昔の出来事である。


***********************



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




 所詮は基本只の作り話。意味など通ってる必要等無い。


「・・・主殿。オスカー殿は御存じ無いのでしょうか?」


 エリウスは、若干引き気味にオスカーさんを視界に捉え、俺に小声で話し掛けて来た。


「エリウス様?・・・御存じ無いとは、いったい・・・?」


 エリウスの声は、齢百歳に届こうかという少年の様な状態のオスカーさんの耳に届いていた様だ。


 ・・・神眼とか色々まだみたいだけど、耳だけはフォルティーナばり。イヤ、年寄りのあれ(・・)って感じか。


 くだらない事を考えていると、


「コルト下界のバケーションブームは数億年も前に終わったそうです。この話は以前chefアランギー様からお聞きしたのですが、主殿がケータリングサービス妖精のおしごと(・・・・・・・)や神獣カフェドームココドリーロと繋がるまで、コルト下界に創造神様はおろか神々は1柱も存在していなかったそうです」


 エリウスの説明が始まっていた。


「創造神様が居られなかった?・・・ですと!?」


「そうです。数億年前からここ最近まで神々は居なかった。つまり、この天井絵は何者かの手によって創作された空想、ファンタジーを描いた絵」


「そ、そん、そん、そん・・・そ・・・」


「あっ、見た事も聞いた事もない先輩神獣様が数柱描かれていますのでヒュームの創造力と芸術性には感銘を受けます。素晴らしい天井絵です」


 エリウス。ホローになってないです。


 オスカーさんは、膝を付き、天井絵を仰ぎ見つめながら、口から魂を吐き出していた。


「あ、ああ主殿。主殿が、クロコダイアン様やchefアランギー様に初めて御会いしたのは何時頃でしょうか?」


「えっとぉっ・・・ドームココドリーロはですねぇ~。オーナーでマネージャーでウェイターでケアーテェイカーのクロコダイアン様に初めて御会いしたのはぁ~創造神様からの指令が合った時なので・・・・・・ちょっと待ってください。今タブレットで確認します」


・(確認中)


「神獣カフェドームココドリーロのクロコダイアン様に御会いしたのは6月4日の午前中で、chefアランギー様に御会いしたのも6月4日の午前中みたいです。ただ、神獣カフェは神界の神域に存在してるそうなので、厳密に言うとこの世界の6月4日ではないかもしれません。でも、chefアランギー様とはスタシオン(中空)エスティ(の避)バルクリュ(暑地)に成る前のスタシオンエスティバルクリュだったので、この世界の6月4日にこの世界で神様に御会いしたのは間違いないです」


「な、な、ななな、そ、そ、そそそ、な、そん・・・」


 オスカーさんは、ブツブツと独り言を繰り返している。



「な、なっ、な・・・神は居られない。・・・今年の6月4日まで神は居られなかった。・・・神は・・・神が・・・・・・」


 繰り返していた。


「オスカーさん。chefアランギー様は居ましたよぉ―。・・・聞こえてます?」


 ・・・これ、聞こえてないな。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




「バースデイスキルとか教会での神授は続いてた訳だし」


 実際は、世界創造神創生教の教会に行かなくても、ユマン()二種族なら16歳の誕生日の日にバースデイ(神授)スキルを最低1つは所持出来るけど・・・。


「そうですね・・・」


「夢だったりJOB(職業)だったりで個人的に神授を与えられていたユマンも居た訳だし」


 実際、俺も指令とかメールで届いてたし・・・。


「そ、そうですね・・・」


「ホラ、あれですよ、あれ。この世界に存在していなかっただけで、神界や神域には存在していた訳で、神界からこの世界に最低限干渉はしてたって事にはなる訳で、・・・てな感じで・・・存在はしてるって、みたいな」


「主殿の仰る通りです。コルト下界には存在して居りませんが、神界には間違い無く存在して居ります」


「そうぉ~ですね・・・」


 棒読みを繰り返すオスカーさんの表情を確認する。


 創造神様や神々様方が直で常に居ない事がそんなに凹む事なのだろうか?居ても居なくても結局やる事は同じだと思う。強く生きるしかない。


 視界左側の一部が激しく点滅し始める。


 な、何だ!?。


 激しく点滅し自己主張しているのはフォルティーナと書かれた文字だった。


 画面を消し忘れてたよ。って、うん!?


「おっと、フォルティーナに初めて逢ったのも6月4日だったみたいです。神獣カフェで遭遇してました。・・・ペットの飛竜が逃げたとか・・・そうそうそれで悲惨な事になって。って、今は関係ない話ですね」


「主殿。その話はジェルマン殿の、・・・今は関係ない話ですね」


 エリウスと俺は同時に頷いた。


「関係ない話ですか。そうですか。・・・そうですよねぇ―――・・・」


 オスカーさんは、再び口から魂を吐き出し始める。


「・・・コォフォ―――・・・・・・」


 複雑な表情で天井絵を仰ぎ見つめながら・・・。


 齢百歳近い老人の姿で表情豊かなに凹まれるのは、正直見ていて気持ちの良いものではない。興奮(少年)からの落差が無駄に良い味を出し、言っては悪いがそこはかとなくキモチワルイ。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




 ホローには成らないが、chefアランギー様によると、前時代はヒューム属達が神々より独り立ちし多種多様な文化文明を構築した時代で、神が立ち寄ったとしても何かの序で何となくが主流。

 独り立ちし神々より離れはしたが、今より精霊や聖邪獣と密接な関係を築き共存共栄していたヒュームや国が多かった。

 今よりも低い自然魔素(まりょく)だったコルト下界にあって密接な関係は彼等に高い行使の機会を与えた。



「エリウス。戻って来るまでそっとしておいてあげましょう」


「畏まりました。しっかし堕神獣ですか。大先輩に対し失礼だとは思いますが、同じ神獣として何とも恥ずかしいです」


「二首の神猩猩獣様と、三足の神孔雀獣様と、四羽の神象獣様と、五大神鳥の神鳳凰様と、六宝玉の神竜様と、七眼の神陸亀獣様と、八属性の神無花果非獣様は自在してて、堕ちたのは猩々と巨象と陸亀だけで、孔雀と鳳凰と竜と樹は通常対応していただけって事なんですよね?」


「はい。chefアランギー様の御話ですとそうなります」


 スタシオンエスティバルクリュにある俺の実験や研究の為の塔。地上144m地下540mの塔。イデーの塔とは家の塔の事らしい。呼び名が異なるのは数万年単位で時代が異なるかららしい。でも、何かがおかしい。北大陸と中央大陸が陸続きだったのって・・・う~ん・・・。


ありがとうございました。

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