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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
ーコルト編ー
22/1227

1-14 夕食会と、バイル・シャレットの信者達。

作成2018年2月24日

***********************

【タイトル】 このKissは、嵐の予感。

【第1章】(仮)このKissは、真実の中。

 1-14 夕食会と、バイル・シャレットの信者達。

***********************

――― パマリ侯爵領コルト侯爵邸 大広間

――― 6月1日の24:50


 夕食会は、Buffet(立食)party(パーティー)style(形式)だった。精霊のマルアスピー様と契約奴隷のパフ・レイジィーはマナーそっちのけで、デザートコーナーに並べられた果物やケーキの前に陣取っていた。


 俺は、セイズマン・パマリ次期侯爵様とその夫人バートリー・パマリ様から、パーティーに出席した貴族やコルトの有力者達を紹介され続けていた。


「セイズマン殿。バートリー。私にも、アンカー男爵領の英雄を紹介してくれませんか?」


 バートリー・パマリ次期侯爵夫人に何処となく風貌の似た御夫人と、今朝、湿地帯から救助した際に、見かけたステファン・パマリ侯爵様の三男トランプ・パマリ様と、次女イザベラ・パマリ様が近付いて来た。


「これは、マイラ殿」


「姉さん。今朝の話を聞いたわよ」


「何の話かしらバートリー」


 御夫人は、ステファン・パマリ侯爵様の第二夫人マイラ・パマリ様だ。


「ジョージとアンガスを危険な湿地帯での貴族領軍私兵隊の演習に誘ったのは、トランプ様だったそうね」


「トランプからは、ジョージ様が私兵隊に命令して船を準備させて、湿地帯で狩りをするからついて来いと無理矢理連れ出されたと聞きましよ」


「ジョージが悪いって言ってる様に聞こえるわ」


「そう聞こえるのなら、きっとそうなのでしょう」


「2人とも止めないか。落ち着きなさい」


「セイズマン殿。ジョージ様は貴族領軍私兵隊に参謀として出陣されていると聞いていたのですが、他人の空似でしょうかね?先程、召使達が生活する居住区で見かけたと私の侍女が言っていましたが、出陣している訳ですし侯爵邸に居る訳がありませんよね?おほほほほほ」


「私兵隊の任務で湿地帯の魔獣を殲滅中です。弟のアンガスと見間違えたのでしょう」


「アンガス様はまだ16歳。女性の召使達が生活する居住区で何をされていたのでしょうね?おほほほ」


「姉さん。トランプ様は25歳でしわよね?」


「それが何か?」


「侯爵家の三男が、役職にも就かず、パマリ家やコルトの為に毎日何をされているの私気になって気になって・・・あぁ~そうでしたわね。今日は、ジョージやアンガスが年下で素直なのを良い事に湿地帯まで連れ出して貴族領軍私兵隊の演習を邪魔していたのでしわね。おーほっほっほっほっほ」


 なるほど、この姉妹は仲が悪いのか・・・


「ロイク君。済まないね。この2人は顔を合わせるといつもこれなんだよ」


「ドックさんの娘さんなんですよね?」


「義理父のドックを知っているのかね?」


「はい、今日、奴隷商会を見学させていただいた際に、ドックさん自ら親切に案内してくれました」


「なるほど」


「兄上」


「ジェルマンか、どうかしたか?」


「母上の姿が見えない様なのだが・・・」


「母上は、父上が主催するパーティーですら滅多に足を運んでくださらないからな。今日も出席されていないのだろう」


「領主館を出て、貴族街に1人でお住まいだと耳にしたが」


「あぁ~。第二夫人殿と相性が悪い様でな」


「しかし、マイラ殿とバートリー殿も相変わらずの様だな・・・」


「いつもの事だよ」


「そうだ。ロイク君。妹を紹介しようと思ってね。今、私の妻と話をしているから、一緒に来てくれるかな?兄上、ロイク君を暫しお借りしますぞ」


「あぁ」


「ジェルマン様。ちょっと待ってください」


「ふむ」


「マイラ・パマリ様と、トランプ・パマリ様と、イザベラ・パマリ様にも、シャレット家から贈物がありますので、是非受け取っていただきたいと思いまして」


「そう言えば、ロイク君は、私達全員に贈物を準備していると言っていたね。家もとても素晴らしい品をいただいたが、マイラ殿やトランプやイザベラにはどんな物を準備してくれたんだね」


「ジェルマン。お前だけずるいぞ。私も興味があるぞ」


 言い争いをしていたはずの、マイラ・パマリとバートリー・パマリは、言い争いを止め俺達を食い入るような目で凝視していた。


 可視化:武具:バートリー・パマリ専用:トランプ・パマリ専用:イザベラ・パマリ専用・取り出し。


≪・・・御伽噺の外套。闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマント。闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマント(白)を武具:防具より取り出しました。


≪フワッ


「おぉ~」(セイズマン、ジェルマン、マイラ、バートリー、トランプ、イザベラがほぼ同時)


「この御伽噺の外套は、マイラ・パマリ様へ。こちらの黒い闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマントは、トランプ・パマリ様へ。そして真っ白ですが闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマントは、イザベラ・パマリ様への贈物です。御伽噺の外套はバートリー・パマリ様に受け取っていただきました物と同じ付与付加を施してあります」


「おぉ~これは、素晴らしい外套ですね。付与という事は、魔導具という事でしょうか?」


「はい。マイラ・パマリ様。詳しくは、バートリー・パマリ様からお聞きいただけると・・・」


 あ、まずいかも・・・


「そうか。バートリー。貴方の外套も見せてちょうだい。隠さないで全部教えてよ」


「分かったわよ。姉さん。この外套凄い高価なのよっ!私聞いてびっくりしちゃって・・・」


 あれ?以外に大丈夫みたいだ。


「喧嘩になるかと思いましたが・・・」


「私も内心ヒヤヒヤしたのだが、武具であってもファッションはファッションという事なのだろう」


『フフフッ』


 どうしたんですか?


『何でも無いわよ』


「ロイク君、兄上。トランプとイザベラが待ち切れない様だぞ」


「そうだな」


 俺は、トランプ・パマリとイザベラ・パマリへマントを渡した。


「今朝は助けていただきありがとうございました。領軍詰所へ慌ただしく移動したので、お礼が言えず気にしていました」


「イザベラ・パマリ様に怪我が無くて何よりでした」


「ロイク殿は英雄様だと私兵隊の隊長から聞いた。私と歳が同じ位らしいが、幾つなんだ?」


「3月で24歳になりました」


「私が1つ年上という事か。宜しく頼むぞ」


「こちらこそ、宜しくお願いします」


「それで、ロイク殿。妹のマントは白いが、私のとは何か違うのか?」


「イザベラ・パマリ様に受け取っていただきました白いマントは、闇炎牙狼(オプスキュリテ)の毛皮と革の他に兎耳狼(ラビットウルフ)の毛皮を使用し作製しました。色が違うだけで、施した効果は同じです。火属性と闇属性の耐性値を30%UPし、状態異常の【毒】【精神】【混乱】を回避します」


闇炎牙狼(オプスキュリテ)とはどんな魔獣だ?」


「お兄様。闇炎牙狼(オプスキュリテ)は、討伐対象魔獣に王国が指定しているとても危険な魔獣の1種です」


「討伐対象なのか」


「トランプのJOBは、父上と同じ非戦闘型のみだからな。だが、非戦闘型であっても旅の途中で魔獣に襲われ戦闘に参加しなくてはいけない場合もある。少しは魔獣や戦闘の事について勉強しておかんとな」


「はい。ジェルマン兄上」


「戦闘ばかりのジェルマンに勉強しろと言われては、トランプも立場が無いな!」


「兄上。私も子爵として王都では議会に出席したりと、それなりに貴族らしい事をしてるのです」


「おぉ~そうだったな。子爵に叙勲されたのを忘れていたわ」


「御母様の外套と見比べたいと思います。ロイク様。えっと・・・」


闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマント(白)です」


「はい。闇炎牙狼(オプスキュリテ)の白マント。ありがとうございました。それでは失礼します」


 イザベラ・パマリは、マイラ・パマリとバートリー・パマリの元へ移動した。


「さて、私達も、移動しようか?ロイク君」


「そうですね。妹様を紹介していただけるのでしたね」


 俺達は、セイズマン・パマリとトランプ・パマリを残し、ジェルマン・パマリ子爵の夫人マリア・パマリの元へ移動した。


「ロイク君。紹介しよう。ワルテール・ボルニ―男爵と、妹のダリア・ボルニ―だ」


「始めまして、ワルテール・ボルニ―男爵様。ダリア・ボルニ―様」


「ワルテールで良いよ。ロイク殿。今朝の救出は転位魔術で解決したと聞いたよ。君の噂で持ちきりだ」


「偶然、貴族領軍私兵隊に協力する事になったもので」


「ロイクさんは、狩人(ハンター)だと聞いたのですが、アンカー領の闇炎牙狼(オプスキュリテ)討伐では魔術を使ったと聞きました。弓矢も魔術もシャレット士爵夫妻から学ばれたのですか?」


 ・・・弓矢は親父からだとして、魔術は・・・


『何だか、面白うな事になっているわね』


 デザートタイムは終わったんですか?


『まだよ。今から、クレープというお菓子を目の前で作るらしいから、本番はこれからよ』


 太りますよ。


『大丈夫よ。その分運動するから』


 そうですか・・・


『面白そうだけど、クレープが気になるから、また後でね』


 ・・・


「両親から一通り学びました」


「バイル様の息子が、アンカー領を救ったと聞いた時は、バイル様がまた民を救ったのだと勘違いしましたが、詳しく聞いて感動しました。英雄の息子は英雄という事なのでしょう」


「・・・今日、コルト町に来た途端に英雄と呼ばれ、未だに自分の事だという感じがしません。それと、ダリア・ボルニ―様は、父の事をご存知なのですか?」


「まぁ~フフ」


「マリアさん。どうしたんですか?」


「ダリアは、『バイル様の嫁になるのは自分だ!自分こそふさわしい』って、凄かったのよ」


「あれは、若気の至りという物で・・・」


「あらあら」


「マリアもアリスもバイル様ぁ~バイル様ぁ~といつも九官鳥の様ではないか」


「弓矢を扱う者にとってバイル様は憧れの対象ですから当然です」


「マリア。私も弓矢を扱う者としてバイル様を尊敬しています。結婚を機に騎士団を除隊しましたが、日々の鍛練は欠かした事はありませんよ」


「ロイク君。マリアとダリアは王都学芸院初等学校時代からの親友どうしでね。中央騎士団では2人とも遊撃隊に所属し弓の技術を切磋琢磨していた仲なんだよ」


「なるほど」


「それで、ロイクさんは、バイル様から直接弓矢を教わったのですよね?」


「教わったというか、物心付くか前から狩りに連れ廻されていたので、どうなんでしょうか・・・」


「流石、バイル様ですわ。基礎も実践の中で学ばせる。その位やらないと英雄を育てる事は出来ないという事なのですね」


 ・・・ダリア・ボルニ―様の中で、親父が美化されているのは分かるけど、現実を知ったらガッカリするんだろうなぁ~。


「ま、家の妻よりも狂信的なんだよ」


「そうみたいですね。でも、親父がパマリ家の皆さんと親しくしていたなんて知りませんでした」


「親しいと言っても、私とパーティーを組んでいただけで、マリア達は勝手に憧れていただけで会った事はないはずだ」


「そうなんですね」


『ロイク。クレープっていうお菓子美味しいわよ。食べるなら残しておいてあげるわよ』


 ・・・ありがとうございます・・・


『クレープも大事な事なのだけれど、神様からいただいた武具って、パマリ家の人間種全員へよね?』


 そのはずですよ。


『それなら、ロイクが話をしているダリアっていう人間種はパマリ家ではないの?』


 あっ・・・そういえば、パマリ家じゃない名前がリストにあった様な気がすます。


『私のおかげよね』


 ・・・そうですね。可視化:贈物用武具の確認:渡していない武具


≪・・・表示しました。


***********************

 R4075年06月01日(無)時刻25:20


 ワルテール・ボルニ―指定武具

 【闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマント】


 ダリア・ボルニ―指定武具

 【大地の外套】


 パール・ボルニ―指定武具

 【闇炎牙狼(オプスキュリテ)の手袋】


 エマ・ボルニ―指定武具

 【闇炎牙狼(オプスキュリテ)の手袋】



***********************


 あれ?あと4つもあったのか・・・


「ジェルマン・パマリ子爵様。ワルテール・ボルニ―男爵様とダリア・ボルニ―様と、パール様とエマ様へもシャレット家から贈物があるのですが」


「ボルニ―家にも贈物があるのかね」


「はい」


「ダリア。聞いたかね。シャレット家からボルニ―家に贈物があるそうだぞ」


「バイル様が私にですか・・・」


「バイルと言いますか・・・」


義理の御父様(おとうさま)からです。で、良いのでは?』


 クレープはもう食べ終わったんですか?


『食べ終わってから、果物とかを選んで焼いてるのよ』


 待ち時間って事ですね。


『そういう事』


 武具:ワルテール・ボルニ―専用:ダリア・ボルニ―専用:パール・ボルニ―専用:エマ・ボルニ―専用・取り出し。


≪・・・大地の外套。闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマント。闇炎牙狼(オプスキュリテ)の手袋。闇炎牙狼(オプスキュリテ)の手袋を武具:防具より取り出しました。


≪フワッ


「ロイクさん、手に突然現れた様ですが、それは?」


「あぁ~ダリアもワルテールも驚いた様だね。今のはロイク君の数ある能力の中の1つなんだそうだ」


「魔導具のファルダ―ガパオみたいな物です」


 見た事無いけど・・・


「なるほど。便利な能力を所持しているようですね」


「はい。それでですね。ワルテール・ボルニ―男爵様へは、闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマントです。ダリア・ボルニ―様へは、大地の外套という武具です。パール様とエマ様には、闇炎牙狼(オプスキュリテ)の手袋を贈らせていただきます。お二人はこのパーティーに出席されていますか?」


「貴方、パールと、エマが何処にいるか知っていますか?」


「いや、俺は知らないぞ」


「ワルテール・ボルニ―男爵様にパール様とエマ様への贈物を渡しますので、お二人に渡していただければそれで構いません」


「戻って来ましたら、お礼と挨拶をさせます」


「分かりました」


「ロイクさん。この大地の外套にはどの様な魔術が施されているのですか?」


「地属性魔術や特化の攻撃をレベル3までなら100%吸収し、地属性耐性が100%になります。地属性の魔術や特化での攻撃でダメージを一切受けなくなります。そして、水属性・火属性・風属性・闇属性の耐性値が30%UPします。地・水・火・風・闇の属性の側に置くだけで、今差し上げました状態に勝手に修復するメンテナンスフリーです。あと、スキル【俊足】レベル3が付与されます」


「森や草原で狩りをする狩人には有難い武具のようですね。ロイクさん。シャレット家・・・バイル様にお礼をお伝えください」


「は、はい・・・そして闇炎牙狼(オプスキュリテ)のマントは、火属性と闇属性の耐性値を30%UPし、状態異常の【毒】【精神】【混乱】を回避します」


「俺までいただいてしまって良いのかい?」


「はい。ワルテール・ボルニ―男爵様は、パマリ侯爵家の家族ですから」


「あら、ワルテール。ボルニ―家はパマリ家の家族ですってよ。嬉しい事を言ってくれるではありませんか?」


「そうだね。家族として家臣貴族家としてパマリ侯爵家をこれからも支えていくつもりだよ」


「おや、忠誠の言葉を言う人を間違っているぞワルテール。ロイク君に言ってどうする。父上に言わなくてはな。ハッハッハッハッハ」


「そうですね。ジェルマン子爵様」


「それで、ロイク君。ボルニ―家への贈物について私が聞くのも何だが、その手袋にはどんな魔術が施されているのかね?」


「あ、はい。この手袋には、セイズマン・パマリ次期侯爵様と、ジョージ様と、アンガス様に受け取っていただきました闇炎牙狼(オプスキュリテ)の魔導衣と同じ効果を付与付加してあります」


「ふむ。兄上に贈った物と同じな訳か・・・」


「そうです。火属性魔術レベル+1。火属性の耐性値が30%UP。闇属性の耐性値が50%UP。状態異常の【毒】【精神】【混乱】【沈黙】の回避。【MP】の最大値が+100になります」


「父上には王都で贈物を渡すと聞いたが、パマリ家は今日1日だけで物凄い贈物・・・借りをロイク君に作ってしまったな様だな」


「借りですか?」


「あぁ。母上に兄上、兄上の家族。私に私の家族。ワルテールにワルテールの家族。非戦闘型の兄上達への武具ですら、闇炎牙狼(オプスキュリテ)をベースにした神具レベル。しかも、全て装備者指定武具(リュニックファタリテ)だ・・・」


「ジェルマン子爵様。その装備者指定武具(リュニックファタリテ)とは何でしょうか?」


「ワルテールは非戦闘型だったな。武具を扱う機会が少なく聞いた事が無い様だな。装備する者を指定限定する魔術が施され、他人に盗まれたり奪われたりしない。武具に施される魔術の中では有難い補助付加の1つだ」


「とても貴重な武具をいただいてしまった様ですが、戦いを専門にした者が装備した方が実用的な気がしますが、貰ってしまって良いのでしょうか?」


「あぁ~・・・その武具は既にワルテール。君の物になってしまっている。それに、移動の際に装備しておけば襲われた際に役立つと思うぞ」


「なるほど。確かにそうですね。ロイク殿、この様な素晴らしい武具をありがとう。大切に使わせて貰うよ」


「はい」



――― 侯爵邸大広間のバルコニー


 俺と、ジェルマン・パマリ子爵様とマリアさんの3人は、バルコニーに移動しドラゴン討伐について話を進めていた。



「分かった。マリアの提案に乗ろうじゃないか」


「貴方。ありがとうございます」


「と言っても、父親としてではなく、王都中央騎士団第3師団団長として、超S級のドラゴン討伐に見習い兵の参加を認める訳なんだが・・・」


「ロイク君。娘の事は君に任せる。宜しく頼んだよ」


「は・・・はい」


「誰か!」


 ジェルマン・パマリは大きな声で召使を呼ぶ。


「ジェルマン様。お呼びでしょうか?」


 メイドが駆け寄って来て、俺達にお辞儀をする。


「あぁ~。アリスを呼んでくれ」


「かしこまりました」


 メイドは大広間へ戻った。


「ところで、ロイク君は、明日コルトを発つ予定だったのだろう?」


「はい」


「国王陛下との謁見は10日だったね。ロイを経由するとして、ドラゴン討伐に参加して貰える日数は2・3日といった感じかな?」


「そうですね。後方支援と負傷兵の搬送がメインだとすればそれくらいでしょうか・・・」


「ふむ。何だったら討伐してくれても構わないぞ。ハッハッハッハッハ」


「その方が早いとは思いますが、ドラゴン討伐は、軍務大臣から中央騎士団や駐屯騎士団や王国軍の皆さんへ出された命令ですから。俺はあくまでもサポートです」


「ハッハッハッハッハ。まっいざとなったら頼むよ。倒す手柄を横取りされて文句を言うような者は、騎士団には居ないからな。相手がドラゴンだ。礼を言いたい位だろう」


「ジェルマン・パマリ子爵様。第3師団は何人位の騎士団なんですか?」


「中央騎士団第3師団の団員はねぇ~......


***王国中央騎士団第3師団の説明***

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

***王国軍中央騎士団第3師団の説明おわり***


......団長の私や、監察官、医務官を加えて、6979人だね」


「約7000人ですか。マルアスピー村の人口が約550人って考えると凄い数ですね」


「第3師団だけで驚かれては困るよ。王都中央騎士団は第1師団から第12師団。そして第13師団。各見習い兵。合計すると約10万人位の大部隊なんだよ」


「10万人ですか・・・想像がつかないです」


「王国軍の兵士全員ならもっと凄い事になるぞ」


***王国軍の説明***

挿絵(By みてみん)

***王国軍の説明おわり***


「王国には騎士団が沢山あるんですね」


「移動手段として陸路で馬より速く動ける部隊が存在しない。結果的に、最小限の配置をして今の状態なんだ。近衛騎士団や国境警備隊や辺境騎士団には、宙を飛んで移動する兵士も居るが、隊を編成出来る数ではない。現状では馬の機動力に頼るしかないと言う訳だ」



「ジェルマン様。アリスお嬢様をお連れしました」


「御父様。どうなさいました?」


「アリス。ドラゴン討伐への参加を認めよう。ただし、ロイク君のパーティーメンバーとして後方支援とに専念して貰う」


「御父様。御母様。ありがとうございます」


「それとだ、ロイク君は国王陛下との謁見を控えている。鉱山都市ロイを経由し王都へ入る予定なんだそうだ。お前には、ロイク君のパーティーメンバーに加わ待ったまま王都へ向かって貰う。御父様にロイク君を紹介して貰いたい。王都での宿は私の屋敷を自由に使って貰うつもりだ」


「・・・ロイク様。国王陛下との謁見はいつですか?」


「6月10日ですが、どうかしましたか?」


「謁見は10日なんですね・・・」



――― 大広間


≪バァーン


 大広間の扉が大きな音を出し勢い良く開く。


「セイズマン・パマリ次期侯爵様へ報告します。殲滅討伐命令を受け出陣しました貴族領軍私兵隊は、コルトの南12Km地点に広がる湿地帯にて、当初の魔獣に加え姿の見えない視認不可能な魔獣数匹と交戦中。英雄ロイク様の結界魔術と支援補助魔術のおかげもあり、視認不可能な魔獣の攻撃を何とか凌いでいる状況です。増援部隊の派遣を要請致します」


「見えない敵だと?・・・アームストロングが増援部隊を要請したのか?」


「はぁっ!」


「そうか・・・トッド。ジェルマンとロイク君を執務室に呼んでくれ」


「かしこまりました」



――― バルコニー


「パーティー会場が何やら騒がしい様だね」


「何かあったんでしょうか?」


「御父様。兵士が会場に駆け込んだみたいですよ」


「領軍のかね?」


「そうみたいです」


「魔獣討伐に失敗したのか?・・・」


 結界を張ったし、失敗するとは思えないけど・・・


「こちらにおられましたか。セイズマン様から、ジェルマン様とロイク様を執務室にお連れする様に仰せ付かりました。至急、執務室までお願いします?」


「おぉ~トッド。領軍の件かな?」


「セイズマン様からは、執務室へお呼びする様にと仰せ付かりました」


「・・・まぁ良い。執務室だね」


「はい」


 執事のトッドさんは、足早にバルコニーを後にした。


「・・・ロイク君。済まないが執務室まで転位移動をお願いしたい」


「分かりました」


 【フリーパス】【タブレット】:場所・侯爵邸執務室・発動。



――― 侯爵邸 執務室


 【召喚転位】:対象・ジェルマン・パマリ・発動。



「ちょっと、ロイク。どうして、私やパフちゃんまで、執務室に転位させたのよ・・・」


「ごめん。パーティーメンバーだっかたら強制的に一緒に転位しちゃったみたい」


「ロイク君。トッドも兄上もまだのようだね」


「転位で移動しましたからね・・・」



「しかし、視認不可能な魔獣とはいったいなんだろうか」


「俺も気になります」


「御父様」


「どうした?」


「私と御母様も転位で執務室に移動しちゃいましたが、私達はどうしたら良いでしょうか?」


「私達はデザートを食べに大広間に戻りたいです。ねぇ~パフちゃん」


「あ、あのぅ~・・・は、はい・・・・」


 まだ、食べるんですか?


『別腹よ。別腹』


≪ガチャ


「先に来ていたのか・・・ジェルマンとロイク君に貴族領軍私兵隊の件で相談がある。呼んで居ない者まで居る様だがまぁ良いだろう・・・実は・・・」

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