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このKissは、嵐の予感。(仮)   作者: 諏訪弘
―ララコバイア編ー
217/1227

4-25 22個の指輪+フォルヘルル島、調査一日目⑤~井戸の底へ~

―――アシュランス王国・王都スカーレット

 エルドラドブランシュ宮殿・屋上のアトリエ

R4075年9月13日(水)17:00―――


≪パチン


 フォルティーナは、右手()フィンガースナップ(指を鳴ら)した。


 すると、工房ロイスピーの小規模会議室の中央に置かれた楕円型のセンターテーブルの上に置かれた7個のティアラと6個のコルネットが白い光に包まれた。


 白い光が消えるとそこには22個のリング(指輪)が置かれていた。


「あれは創造神に返品したね。目の前の指輪と交換になったね」


「フォルティーナ様。指輪の数が多くありませんか?」


「サンドラ。良い質問だね。まぁ~見てるね」


≪パチン


 フォルティーナは、右手で再びフィンガースナップした。


 テーブルの上に置かれたリングが夫々の前に移動し、中央には5個のリングが残されていた。


「この5つの指輪は今は必要ないね。私が預かっておくね」


「フォルティーナ様。パフ殿、バジリア殿、エルネ殿、私の前にも指輪があるのですが、・・・これは?」


「サンドラ。良い質問だね。まぁ~聞くね。その前に」


≪パチン


 中央に置かれた5個のリングが消えた。


「さて、創造神についてはさっきアスピーが話した通りだね。概ねそんな感じだね」


「そうね。神授の内容は全て話したわ」


「ここからはあたしが説明する番だね。お前達の目の前にある指輪は創造神から神授された創神具だね。創造神は言ってたね。今の御時世、頭の上に冠を乗せたがるのは夢見る少女や何かに憧れる子供の心を持った大人位だね。今時王でもそんな恥ずかしい事はしないね。コルト下界の実情をついうっかりコロッと忘れていて、まぁ~これで良いかって簡単な気持ちでゲームの商品の中に混ぜたね。何も言われないから、まぁ~良いかって放置していたが、ある時ふと思ったらしいね。『あっ!夫婦になるのに、これって平等じゃないじゃん。だめじゃん』とだね。そして目の前の指輪だね」


「・・・えっとつまり、創造神様は私達にも創神具を神授してくださったと言う事でしょうか?」


「端的に言えばそうなるね」


 フォルティーナは、パフの質問に答えた。フォルティーナにしては非常に短い受け答えである。


「さて、その指輪だがだね。ロイクやあたしであっても書き換え出来ないレベルのリュニックファタリテ(装備者指定武具)になってるね。と、言う訳で登録しちゃうね」


≪パチン


 リングが夫々の左手の人差し指に移動した。


「登録完了だね。指輪は夫々のロイクとの共有収納内に収納するか、左手の人差し指に嵌める。保管の方法はこの2つしか無いね。収納しても嵌めても効果は変わらないから安心するね」


「フォルティーナ様。その効果を教えていただけませんか?」


「サラ、視れば分かるね」


「フォルティーナ。サラ達の眼では見ても分からないわ」


「あぁ―――そうだったね。普通の人間には無理だったね。忘れていたね」


「プッ!!!バカなのじゃぁ~。バカがいるのじゃぁ―――」


≪パチン


「ギャァ~~~~~」


「うるさいね。・・・そう言えばだね。トゥーシェ。お前はその指輪温泉に入る時も風呂に入る時も睡眠時もずぅ―――っと嵌めていなくてはいけないね」


「ハァ~、ハァ~、ハァ・・・き、綺麗な指輪なのじゃぁ~問題ないのじゃぁ~」


「もう1人の(わらわ)よ、その眼で良く視てみるが良いと思わぬか?・・・今と同じ台詞をもう1度言えるか?」


「ん?何のじゃぁ~?」


 トゥーシェは、自分の左手の人差し指に嵌められた指輪を凝視する。


「ゲェッ」


「気付いたかね」


「こ、これは嫌がらせなのじゃぁ~~~」


「何を言ってるね。創造神にしては珍しく機能半分遊び心半分優しい仕様になってるね」


「ふ、ふざけるなぁ~なのじゃぁ~。こ、これでは身体を洗えなし湯舟に浸かれないのじゃぁ~」


「装備する者の事を究極まで考え抜いた至高の一品だね」


「フォルティーナ。22個あるのだから二十二品ね」


「・・・ま、そういう事だね」


「この指輪を装備すると身体を洗う事が出来なくなるのですか?」


「バルサさん。大丈夫ですよ。装備時と保管時で効果が少しだけ異なる仕様になっているみたいです」


「アル様。指輪の効果を教えてください」


 サラは、フォルティーナでは埒が明かないと判断したのだろう。


「フォルティーナ様が収納なされた先程の5個の指輪の効果は分かりませんが、この場に存在する17個の指輪の効果のみで良ければ...... ......フォルティーナ様の指輪は...... ......マルアスピーさんとミューさん2人の指輪は最高ランクのリュニックファタリテに、神気がプラス1、精霊気が2倍。物理ダメージと魔素ダメージが1万以下の場合無効で......


***********************


 ≪創神具の指輪の効果≫


―――


 創神具【フォルティーナの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ブルーパール(青真珠)

 ≪効果≫

  ①特に無し


―――


 創神具【マルアスピーの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②グリーンガーネット(緑柘榴石)

 ≪効果≫

  ①リュニックファタリテ(装備者指定武具)

  ②神気+1

  ③物理ダメージ10000以下無効

   ※タブレット収納時は効果無効※

  ④魔素ダメージ10000以下無効

   ※タブレット収納時は効果無効※

  ⑤即死攻撃1日88回まで回避

  ⑥精霊気×2

  ⑦収納領域の機能拡張選択権

   ※1.2.3のどれか1つのみ※

   1.素材の品質向上

    ※保管1日で最高ランクへ※

   2.商品の品質向上

    ※保管1日で最高ラインへ※

   3.取り出し距離向上

    ※距離100mまで※

  ⑧対のリング(指輪)の大樹属性強化


―――


 創神具【アルの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②タンザナイト(黝簾石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥コルト下界干渉規制制限完全解除

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.神気の保管

    ※神気の保管が可能に※

  ⑧対のリングの聖属性強化


―――


 創神具【トゥーシェの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ブラウンダイヤモンド(茶金剛石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥悪気(あっき)10倍

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.新鮮な魂の保管

    ※新鮮な魂の保管が可能に※

   2.魂の浄化

    ※保管1日で魂の浄化が可能に※

   3.魂の傀儡化

    ※魂の使役が可能に※

   注意:共有収納スペース必須

  ⑧対のリングの悪気(あっき)強化


―――


 創神具【?????の指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②イエローパール(黄真珠)

 ≪効果≫

  ①~⑥まではトゥーシェの指輪と同じ

  ⑦コルト下界眷属召喚規制制限解除

  ⑧baiser規制制限解除

  ⑧対のリングの闇属性強化


―――


 創神具【ミューの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②スターパパラチア(橙星蒼玉石)

 ≪効果≫

  ①~⑥まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑦コルト下界地属性規制制限解除

  ⑧収納領域の機能拡張

   1.地属性の保管

  ⑨対のリングの地属性強化


―――


 創神具【マリレナの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②アクアマリン(緑柱石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥収納領域の機能拡張

   1.植物のみ栽培保管

    ※植物を育てる事が可能に※

   2.地属性の保管

   3.水属性の保管

   4.風属性の保管

  ⑦対のリングの風属性強化


―――


 創神具【バジリアの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ペリドット(橄欖石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥精霊樹幼樹間移動規制制限解除

  ⑦収納領域の機能拡張選択権

   1.地属性の保管

   2.風属性の保管  

   3.闇属性の保管

  ⑧対のリングの【AGI】強化


―――


 創神具【パフの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②アメトリン(紫黄水晶石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥透過移動規制制限解除

   ※地属性を帯びた存在限定※

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.素材の品質向上

   2.商品の品質向上

   3.地属性の保管

  ⑧対のリング(指輪)の【INT】強化


―――


 創神具【アリスの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ターコイズ(土耳古石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥夜眼規制制限解除

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.火属性の保管

   2.風属性の保管

  ⑦対のリング(指輪)の【DEX】強化


―――


 創神具【サラの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②クリソプレーズ(緑玉髄石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥収納領域の機能拡張

   1.短剣細剣無限取り出し

    ※品位A5の刃物のみ取り出し可能※

    ※取り出した刃物は1ラフンで消失※

    ※距離30mまで※

    ※取り出しは同時に108個まで※

   2.水属性の保管

  ⑦対のリングの水属性強化


―――


 創神具【テレーズの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②トパーズ(黄玉石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥水面歩行規制制限解除

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.水属性の保管

   2.風属性の保管

  ⑧対のリングの【VIT】強化


―――


 創神具【バルサの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ルビー(紅玉石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥感知規制制限解除

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.地属性の保管

   2.火属性の保管

   3.書類の代行処理

    ※保管3カウンで処理完了※

    ※内容はタブレットに整理※

  ⑧対のリングの火属性強化


―――


 創神具【メリアの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②グリーンアベンチュリ(砂金水晶石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥テレポート移動規制制限解除

   ※距離100mまで※

   ※視界内限定※

   ※人数制限無し※

  ⑦対のリングの回復治癒治療効果強化


―――


 創神具【カトリーヌの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②アイオライト(菫青石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥浮遊規制制限解除

   ※高度30cmまで※

  ⑦対のリングの【MND】強化


―――


 創神具【エルネスティーネの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②ルチルクリスタル(陽光水晶石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥魔術陣規制制限解除

   ※魔術陣を何処にでも描ける※

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.火属性の保管

   2.闇属性の保管

   3.聖属性の保管

  ⑦対のリングの神気強化


―――


 創神具【サンドラの指輪】

 ≪素材≫

  ①レミレリラス(神星石)100%

  ②アメジスト(紫水晶石)

 ≪効果≫

  ①~⑤まではマルアスピーの指輪と同じ

  ⑥無属性規制制限解除

  ⑦収納領域の機能拡張

   1.無属性の保管

   2.火属性の保管

   3.風属性の保管

  ⑧対のリングの神気強化


―――


***********************


......フォルティーナ様とトゥーシェさん以外の皆さんは神気が1つ上がるみたいですよ」


「アル様。私達の指輪は夫々どの指輪と対の関係になっているのでしょうか?」


「バジリア。何を言っているね。22個の指輪の対はロイクに神授されたアクセプテの指輪だね。それで1つ気付いた事があるね。トゥーシェ、君の指輪にはまだ名前が無いね」


「はっ!?何を言っているのじゃぁ~。バカなのじゃぁ~。トゥーシェの指輪と書いてあるのじゃぁ~~~。こ・こ・にぃ―――書いてあるのじゃぁ~」


≪パチン


「ぎゃぁ―――――」


「お前では無いね」


「妾の指輪は?????の指輪という名前では無かったのか?」


「貴方。それで良いのかしら?????の指輪では分かり難いと思うのだけれど・・・」


「確かに?????の指輪では呼び難いし分かり難いか・・・」


「もう1人のトゥーシェさんは、名前をロイク様に付けて貰う事になっていませんでしたか?」


「そう言えば、そんな事もあったか。・・・ふ~む。のぉ~アル、マルアスピー確認しても良いか」


「何かしら?」


「はい」


「妾の名前が何になったのか分かるか?」


「知らないわ」


「私も知らないです」


「そうか」


「うん?お前達は何を言ってるね」


「何?・・・何ってフォルティーナ。もう1人のトゥーシェの名前の話をしていると思うのだけれど・・・」


「妾の名前の話以外に何の話に聞こえたのか?」


「フォルティーナ様。トゥーシェさんの名前の話ですよ」


「そんな事は聞かなくても分かるね。そうでは無いね。何故ロイクに聞かないかと言う話だね。今でしょうだね」


「ロイク様はララコバイア王国に仕事で」


「それがどうしたね。アル。個人の呼称の方が大切だね。名前は大切だね。名前以上に大切な事なんてこの世界には1つたりとも存在しないね。分かったかね。トゥーシェ!!!」


「そうぉ~~~なのか?」


「トゥーシェさん。フォルティーナ様の言葉を鵜呑みにしてはいけませんからね」


「何を言ってるねアル。神様嘘つかないね」


「お前は嘘ばかりの駄目神なのじゃぁ~。プゥ―――ギャァ~ハッハッハッハッハノハァ~~~なのじゃっ!」


≪パチン


「じゃぁぎゃぁ――――」


≪パチン


「ブチィギャァ~~~~~~~」


「トゥーシェ静かにするね」


≪パチン


「ギャァ~・・・・・・なのじゃぁ~・・・・・・」



「≪『ねぇ(もう1人の)トゥーシェ。フォルティーナに一理あるわ。ロイクなのだから名前はまだ考えてもいないと思うの。考える様に伝えておいた方が良いと思うわ』→女王様な方のトゥーシェ≫」


「≪『旦那様のこと故まだ何も考えていない可能性があるのか』→マルアスピー≫」


「≪『えぇ』→女王様な方のトゥーシェ≫」


「≪ふむ。しかし、仕事中に話し掛けても良いものだろうか?大丈夫であろうか?」


「会話するだけなのだから問題ないわ」



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




 魔素ダメージ1万以下無効の効果によって、自然の力の循環、水属性の自然魔素(まりょく)の循環である雨の影響を受けない。つまり、湯(水と火の循環)の影響を受けない。つまり、湯舟に浸かっても全く意味が無い。


 物理ダメージ1万以下無効の効果によって、肉体への直接的な衝撃の影響を受けない。つまり、洗体時の衝撃の影響を受けない。つまり、表皮に付着した汚れしか落とせない。全く意味が無いとは言わないが・・・。




―――ララコバイア王国・フォルヘルル領

 フォルヘルル島・廃墟・3つの井戸の底

R4075年09月13日(水)18:04―――


「おぉ~主殿。お疲れ様です。して、井戸の状態は如何でしたか?」


「底に近付く程、壁の硫黄がラメール化してるみたいでした」


「水属性の自然魔素(まりょく)を帯びた黄色い鉱石の事でしょうか?」


「えっと、これの事です」


 俺はタブレットから硫黄を取り出し、エリウスに見せる。


 あれ?何だこの指輪・・・。


 左手の人差し指には、見慣れない指輪が嵌ってあった。


「井戸の壁に大量にあった黄色い鉱物は大海石(ラメール)化した硫黄だったのですね。臭いが私の知っている硫黄とは若干違っていたので気付きませんでした。・・・ん、どうかなされましたか?」


 エリウスは、硫黄の塊から視線を動かし、俺の顔を覗き込む。


「この指輪・・・」


 硫黄をタブレットに収納し、左手を宙に翳し手の甲をエリウスに向ける。


「その指輪がどうかなさい・・・そ、その指輪、創神具の指輪じゃないですかぁっ!!!」


「みたいですね。井戸の底に着いたら指に嵌ってました」


「はぁ?・・・と言いますと?」


「そのままの意味です。井戸の中を調べながら降りてる時には、指に指輪はありませんでした」


「指輪が勝手に指にですか。・・・不思議な事もあるものですね。ここの様に」


「確かに、この指輪よりもここの方が問題ちゃぁ~問題かな」


「指輪は創神具だと分かっていますが、ここは・・・」



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




「ところで、エリウス。オスカーさんはまだですか?」


「はい。きっと厳重に何度も調べながら降りているのでしょう」


「なるほど。あの性格ですからねぇ~」


 天上を見上げ、オスカーさんが降りて来るであろう井戸を確認する。


「時に、主殿。ここについては如何なされるおつもりですか?」


「そうですねぇ~。どう見ても人工的に造られた街ですからねぇ~」


「高度な建築技術に高い芸術性。ララコバイア王国の王都ラワルトンクより遥かに優れている様に思えます。都市の規模もかなりのものかと」


「大き過ぎると思いませんか?」


「どうですかね。私は地中に存在する都市を初めて見ましたので、対象になる都市がございません」


「えっと、エリウス。それ俺も同じです」


「しっかし不思議な事は創造神様や神々様から何度かいただきましたが、地中にここまで大規模な都市が存在していたとは、想像もつきませんでした」


「俺もです。井戸の底約500mの場所に無人の街・・・」


「おっ!主殿の井戸は500m程でしたか。私の方は620m程ありました」


「2つとも予想以上に深い井戸だったみたいですね」


「はい」


 俺は神眼を強く意識し、井戸の底に広がる大都市を見渡す。エリウスも神獣眼を意識し周囲を見回していた。



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




「この街。南北8Km東西7Kmあるみたいです」


「端が綺麗に切断された都市。・・・何処からか切り取りここに移したとしか思えません」


「ここまでの規模の都市が最初から地下にあったとは俺も思いません」


「どうしてここに存在しているのか?・・・主殿!」


「エリウス!これは、調査する価値がありそうです」


「はい」


「手始めに、あの神殿かな宮殿の様にも見えますが、あの建物から調べてみましょう。もしかしたら呪いの手掛かりと」


「主殿。調査を開始するとして、その前にオスカー殿ですが、遅いと思いませんか。何かあったのではないでしょうか?」


 か、あるかもしれないし・・・・・・。って、遅いっちゃぁ~遅いか。


「井戸の壁はラメール化した硫黄くらいで特に気になる事も無かったし、時間が勿体ないし召喚しちゃいましょうか?」



・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・・




―――ララコバイア王国・フォルヘルル領

 フォルヘルル島・廃墟・3つの井戸の底

R4075年09月13日(水)18:25―――


 神授スキル【転位召喚・極】で、オスカーさんを召喚した。


「ロイク様っ!エリウス様っ!い、井戸の調査なのですが」


 オスカーさんは目の前に現れたと同時に喋り出した。


「オスカー殿。井戸の調査の件は後にして、この状況を」


「この状況ですか。ふむって、うほっ・・・・・・な、何ですか、何なんですかここはぁっ!!!」


「ララコバイア王国のフォルヘルル島の廃墟の井戸の地下。正確にはフォルヘルル島の地下に存在するかなり規模の大きな都市ってところでしょうか」


「わ、わ、我が領島のち、地下に・・・東西ドュンよりは、遥かに巨大なしゅ、集落がぁ~・・・・・・」

ありがとうございました。

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